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column

役職定年は「消化試合」をもたらす

 多くの日本企業で高齢化が進むなか、高齢化対策として導入されてきたのが「役職定年制度」です。役職定年制度は、1986年に施行された高齢者雇用安定法により55歳定年から60歳までの雇用を努力義務とされたことを契機に拡大してきました。

 定年が引き上げられ、1つの役職に長く留まる人が増えると、世代交代が滞り、若手のモチベーションダウンにつながります。また、年功型の人事制度の場合、時には実際のポスト数より多くの役職者が発生し、総額人件費も増大化します。そこで、一定年齢(多くは50代前半)になった段階で、役を外し、それによって若手にポストをあけ、賃金を抑えることを目的としているのが役職定年制度です。

 しかしながら、役職定年制度の実態をみるとさまざまな問題が生じています。

 役職定年後の当事者は、ほぼ同じ仕事で、給与は6-7割にダウンするのが通例です。当然モチベーションダウンは避けられず、生産性も低下します。シニア人材は定年までの「消化試合」をして過ごすということにたとえられるのではないでしょうか。バブル層が今55歳前後に差し掛かり、5年後に60歳の定年を迎えます。大量の人材が「消化試合」状態になる姿を、経営側は望んでいるはずがありません。

 一方で、優秀な方においては役職定年を機に離職するという負のスパイラルを生み出します。

 また、役職定年制は年齢差別であるという批判もあります。外国に目を向けると、米国や英国では、年齢を理由に雇い入れや労働条件を差別することを原則禁じられている例もあります。

 そんな中、最近においては、55歳前後で管理職から外す役職定年制度を廃止する企業が増えています。例えば、大手の某電気メーカーにおいては、役職定年を迎えた約1,000名を、成果実力主義に則り管理職に復活させました。

 さまざまな状況を踏まえ、今後を見据えた場合、「もはや、年齢を理由にした人事管理は限界にきている」と考えています。

 しかしながら、若手が相変わらず役職に就けないというのも望ましくはありません。これらを解消するためには、仕事内容を明確にするジョブ型雇用が考えられます。
管理職の登用については、管理職の役目を担えるスキルや能力があって、パフォーマンスが発揮できる方であれば、男性、女性、高齢者、若年者、外国人などに関係なく昇格できる評価制度が確立されていることが重要になります。つまり、ペイフォアパフォーマンスを徹底することです。

 シニア人材のモチベーション低下も、仕事と成果レベルによって処遇パターンを変えることを合意の上で雇用を継続すれば、一律ダウンは避けられるはずです。

 シニア人材を消化試合化させず、誰もがモチベーション高く活躍できるために、成果・能力・貢献を評価基準とした制度設計と、それを明確に正しく厳格に評価できる評価者の育成こそが求められています。

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