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【収入3割減も】役職定年と「給料の減少額」について|減給による”労働意欲の変化”も詳しく解説

そもそも役職定年とは?

役職定年制度(やくてい)とは、管理職などの役職に就いている社員が一定の年齢に達したときに、その役職から外れる人事制度のことを指します。つまり、役職定年は「管理職の定年」と言い換えることもできます。

近年、役職定年制度のニーズが増えている背景には、”定年退職年齢の引き上げ”があります。定年退職年齢が上がることで、管理職の年齢も徐々に上がり、人件費の高騰やパフォーマンスの低下が懸念されるようになりました。そこで企業は、管理職の定年である役職定年を設けるようになったのです。

役職定年制度の定義・背景については、下記コラムでより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

関連コラム:『役職定年制度(やくてい)とは?定年退職との違いや”制度の現状”を解説

役職定年によって給料が下がる理由

役職定年によって給料が下がる主な理由は「役職の降格や肩書きがなくなること」によるものです。多くの企業では、役職定年を迎えた従業員は、これまでの役職・管理職から外れた業務をこなすことが一般的です。
当然これまでの役職(役職に対する報酬)がなくなるわけですから、それに応じて給料も下がってしまうというわけです。

役職定年による経済損失は「1.5兆円」という試算も

定年後研究所とニッセイ基礎研究所は、役職定年による50代社員の意欲低下などで発生する経済損失は約1兆5000億円にのぼると試算しています。中には仕事に対するモチベーション・意欲の他にも「50を過ぎて若手と一緒の学び直しが苦痛」といった悩みもあるようです。

参考記事:『NECさらば役職定年 50代後半「消化試合」にしない』日経転職版2022年11月18日

具体的な減給額はどれくらい?

役職定年による具体的な減給額は、企業や個人の状況によって異なりますが、多くの場合で「年収の2割程度の減少」が見られます。具体的な企業事例でいえば、NTTグループやソフトバンクなどの企業では、役職定年制度によって「最大30%程度」の減少となったケースもあります。民間企業での役職定年後の年収水準については、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」を基に試算すると、課長クラスの場合、役職定年前の48万6900円から75%の減少として計算すると、役職定年後は36万5175円になります。

一方、公務員の場合は、管理職についていた時点から段階的に基本給が下がっていき、最終的に管理職時の70%まで下がります。例えば、課長クラスで51万円だった場合、役職を降りた翌日には41万円、60歳に達した日後の最初の4月1日には35万7100円(調整額を含む)となります。

減給の対象となる項目は、基本給、ボーナス、管理職手当などが該当します。特に管理職手当をなくす企業は全体の37.7%に上っており、役職手当で一定の年収を維持していた方は、年収が大きく減少する可能性があります。

役職定年による減給は避けられない現実ですが、一部の企業では給与を維持する取り組みもなされています。しかし、その割合は1割以下に過ぎず、多くの場合で減給を見据えておく必要があるでしょう。老後の生活プランを立てる上でも、役職定年後の年収減少を考慮に入れ、適切な準備を進めることが大切です。​​

経営・人事の立場からすると、役職定年による減給は、人件費管理上の意味合いは大きいですが、従業員のモチベーション維持と生活設計への配慮もまた、重要だと言えます。一部の企業では、給与維持の取り組みもなされていますが、多くの場合で減給となることから、減給を見据えた対応が求められています。役職定年を迎える従業員に対しては、早めに制度の説明を行い、老後の生活プランについてのアドバイスを提供することも大切なのです。

参考記事:『50代で年収3割減も!シニア「役職定年」の残酷な現実、主要企業の実額を初公開』ダイヤモンド・オンライン2022年8月2日

役職定年による減給で社員のモチベーションはどう変わる?

役職定年による減給は、社員のやる気に大きな影響を与えることが明らかになっています。

「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の調査によると、役職定年を経験した労働者の6割が、役職を降りた後に仕事や会社に尽くそうとする意欲が低下したと回答しています。また、ダイヤ高齢社会研究財団による「50代・60代の働き方に関する調査報告書(2018年7月)」でも、役職定年後に収入が減った労働者の6割がモチベーションの低下を経験したと報告されています。

モチベーション低下の主な要因としては、役職手当がなくなることや基本給の減額に伴う年収の大幅な減少が挙げられます。同じ仕事内容なのに給与が下がることへの不満や、生活の安定性への不安から、意欲が低下してしまう社員も少なくありません。

また、役職定年は事実上の降格と受け取られがちで、これまで積み上げてきたキャリアや評価が一度にリセットされてしまうような印象を与えます。肩書きを失うことによる自信の喪失や、会社からの期待感の低下も、モチベーションの低下につながる要因と言えるでしょう。

さらに、役職定年後の自身のキャリアについて前向きになれない様子も浮かび上がっています。新たな仕事や難しい仕事に挑戦する自信を失う傾向があり、これまでの経験や能力を十分に発揮できないと感じる社員もいます。
役職定年制度を導入する際は、これらのモチベーション低下の要因を理解し、適切な対策を取ることが重要です。役職を降りた後も、社員のやる気を引き出すような仕事の提供や、キャリア形成支援などの取り組みが求められるでしょう。また、役職定年による減給の影響を最小限に抑えるための工夫も欠かせません。

社員のモチベーションを維持し、長期的な活躍を促すための制度設計が望まれます。

参考記事:『「50代・60代の働き方に関する調査報告書」公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団2018年7月

下記コラムでは、役職定年の対象となる「年齢層」について詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

関連コラム:『【年齢層の平均は?】役職定年は何歳から対象?最新の傾向を踏まえて解説

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