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コンサルティングファーム

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飲み会のスタンス

執筆者: 林 明文 その他

 私も50歳弱の年齢となりましたが、最近、飲み会での風景やマナーや礼儀が以前に比較してずいぶんと変わってきたと実感します。我々の年代がまだ駆け出しだった頃は、クライアントとの会食でも社内での飲み会でも、ずいぶんと気を遣った記憶があります。クライアントとの会食は年輩の方との会食が多いため、私自身の振る舞いなどは以前と変わらないのですが、同席する社員の言動やスタンスなどにははらはらすることがあります。また、社内を意識的にフラットにしていることもありますが、それにしてもあまりに気を遣わない、気が利かないなどという感覚を強く感じます。これはよい面と悪い面がありますので一概に以前に比較して問題だと思わないのですが、個人の感覚との差として驚くことも多くあります。

 具体的にギャップを感じることを列挙してみます。まず第一に、酒を注ぐことをしなくなったなと思います。酒を注ぐという行為は相手に対する慰労や感謝、親近感の現れの一行為です。接待側であればお客さんに対する礼儀として、常に杯やグラスの状況から適度なタイミングで酒を注ぐのが気遣いというものです。当社の社員は比較的女性比率が高く、また、人事関連サービスをしている企業ですので、女性がお酌をするのも妥当認識は全くありません。フラットな企業文化にするためにも、男女とも基本的には社内での飲み会は酒を注ぐことはしないようにと指導しています。そのため社内での飲み会では酒を注がれることは稀です。この感覚をクライアントとの会食に持ち込まれると、世の中の常識と異なることにすら気づかないことのではないかとも思います。接待の席で静かに座っており、酒も注ぐという感覚がないのです。マニュアル的に酒を注ぐ注がないと言っているのではなく、酒を注ぐという行為の意味や自分の位置付けがあまり理解されないようです。

 次に、飲み会の主旨の理解です。飲み会はいろいろな意味で絶好なタイミングであることを理解していません。これも我々が若いときは、飲み会は普段話さない相手や話さないことを会話できる絶好のチャンスなのです。コンサルティング会社は基本的にはプロジェクト単位で組織編成しますので他の社員と日常コミュニケーションを十分にとれません。ノウハウや情報を共有するという観点からも、もっと積極的にいろいろな人といろいろな話しをする絶好のチャンスであるということを認識していない人もいます。仲のよい数名の社員が固まって酒を飲んでいることなどもありますが、別の機会に数名でいけばよいのであってチャンスを生かしているといえません。クライアントに対してもそうです。クライアントの経営者や幹部との会食ですので、様々な話を聞ける絶好のチャンスです。チャンスを生かせるか否かは本人のスタンスによります。

 第三には、場の雰囲気を見ないということです。テーブルに料理が運ばれてくれば、気が付いた者が率先してテーブルに置いたり、スペースがなければ少量残っている料理を皿を取り分けてスペースを空けるなどの配慮ができないようです。自分に取り分けられた料理を食べるか、自分の食べるものを自分で取るくらいで、テーブルにいる他の社員への配慮やテーブルの状態などへの場を見ることができないのです。遅れてきた社員に対しては、まずは席を指定して用意することがその社員への礼儀ですのに、あまり気を遣ってはいないのではと思えることが多くあります。

 この他にもいくつか気になることはありますが、クライアントにせよ社内にせよ、宴会や飲み会の行動やマナーや礼儀がずいぶんと感覚が違うなと感じます。これは職場を離れて飲食をともにするという意味やスタンスが違うのだと感じます。クライアントとの会食時には口うるさく言いますが、社内の飲み会ではこれも自然な文化の一つかなと思ってしまいます。ですので、飲み会始まりますと、食べ物飲み物への配慮などは私がしていることが多いことに気が付きます。最近ではいたずら心もあり、酒の瓶やボトルは私の横に確保して私が他のメンバーに注ぐようにしています。たまに私に注ごうとする社員はいますが、断りますとすぐに引き下がります。形式の問題ではなく、酒を注ぎたいと思ったら、私から瓶やボトルを奪っても注ぐくらいの気合いがなければ、注いでもらわないで結構だということなのです。

 お酒を飲まない社員の比率も高くなってきている中で、宴会や飲み会のスタンスやマナーを論じること、特に社内での飲み会などはそうですが、昔の飲み会の方が人間味があったなと感じてしまいます。クライアントとの会食などは、普段は話せない普段では聞けない仕事や人としての話が聞けます。時代とともに変わるのでしょうが、最低限のマナーや礼儀はビジネスマンとして意識するのが当然です。私などはクライアントとの会食で本当にいろいろなことを教えていただきましたし、親交を深められました。せっかくの機会ですので、気持ちよく、さらには勉強になるような、いい酒を飲みたいと思っています。

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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