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調査・診断(組織分析)

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スマホレジ的DX | モチベーションサーベイ

スマホレジ的DX

 1年ほど前に、オフィス前にあるコンビニでセルフレジのシステムが導入された。 以来、そのコンビニでは、棚から商品を取って、バーコードを自分のスマホのアプリで読み込み、そのまま精算し、レジに並ぶことなく、誰とも会話する事なく店を出ている。ファミリーレストラン等でも、テーブルに設置されているタブレット端末の画面メニューを見ながら、注文をするようなシステムが導入されているが、コンビニのセルフレジは、商品を取って、代金の精算するまで、店舗のスタッフとは、まったくコンタクトせず取引が完了するので、その先を行っている。店側は、人件費削減になるし、顧客側もレジの列に並ばなくてよいし、まさに、デジタルトランスフォーメーションの代表的な例だ。  デジタルトランスフォーメーションでは、一般に、プロセスの自動化やデータ分析、クラウド移行、IOT導入など、デジタル技術の活用が前提になるが、それと組み合わせて、業務や取引プロセスを変更することで、ビジネスモデルの進化がなされる。先ほどのスマホレジの場合も、商品の代金決裁の機能の主体者を提供者からユーザーに移管させた訳である。  当社で提供している社員意識調査においても同様の効用を感じる例がある。 社員意識調査の質問項目別のポイント集計は、サーベイ対象者全員と共に、年齢別、男女別、部門別、役職別、等級別、職種別といった属性ごとのポイント集計を行っている。そうする事で、例えば、ある質問項目に対する全社員の満足度は、比較的高い結果がでているが、年齢別でみると30代、40代の社員に比べて、20代の社員が極めて低いという事がわかる。  では20代の社員だけなぜ満足度が低いのかを検討する中で、今度は、20代の特定の部門に所属している社員が他の部門と比べて低いことがわかれば、20代のなかで、特定の部門に所属している社員にターゲットを絞って固有の理由を考えればよいことになる。  こうして、年齢別X性別、年齢別X部門別、年齢別X等級別、等、様々な属性を掛け合わせて見る事で、ピンポイントの状況が把握できるので、結果として、その理由も推察しやすくなるし、対策も打ちやすくなる。当社の提供する社員意識調査では、当社で、全社のポイント集計と共に属性別のポイント集計、および、結果に対して想定される原因や想定されるソリューションを一通り提示するが、それに加えて、2つの属性の掛け合わせの集計に関しては、簡易的なダッシュボードツールも提供して、クライアントが、20代の男性、40代の課長など設定された属性の中から、ツール上で自由に選択し、その集計結果が把握できるようにしている。  こうした属性X属性の集計は、必ずしも、すべての組み合わせでやることは有効ではないし、まずは、単独の属性別での集計結果の中で、着目すべき結果に対して、原因を考察し、特定の属性X属性というクロス集計を見てみようという流れになるので、サーベイの提供者である我々が、あらかじめ一定の仮説のもとでクロス集計を行うよりも、ユーザーとしてのクライアント企業の方で、提供したダッシュボードツールを自由に使いながら、考察する方がより効果的で本質的な問題把握が可能になると考えている。  こうした機能の主体者を移管させる事が有効となる可能性は、企業内の人事部と社員の間でも十分ありうる事だろう。人事評価の過去の履歴や分布情報なども、人事が抱え込んで、分析をしようとしても、なかなかやりきれないのであれば、一定以上の管理職にデータを提供し、人事評価を行う前に、過去データを分析することで、より評価品質が向上したり、評価対象者に対する効果的な育成ポイントが見えてきたりするかもしれない。

管理職昇進を望まない社員増加は心配事ではない | スマートアセスメント®

管理職昇進を望まない社員増加は心配事ではない

 近年は労働観が多様化し、管理職になりたくないという人が増えています。厚生労働省の調査(平成30年版労働経済の分析)によれば、実に61.1%もの人が「管理職に昇進したいと思わない」と回答しており、更に直近の調査会社の結果では80%という数字も散見されます。管理職になりたくない理由として、「出世欲がない」「責任が伴う」「仕事量が増える」が上位を占めます。バブルの時代「24時間戦えますか?」というフレーズが流行り、管理職になることはキャリアにおける一つの目標であったものの、現在は誰もが出世を夢見た時代は終わり、働き方が多様化し、仕事はほどほどに、私生活の充実も重視するライフワークバランス派の増加だけでなく、専門性を突き詰めるために管理職にならない道を選ぶポジティブなキャリアを選択する社員も増えているということです。  この様な状況から、企業の人事担当者との商談で、管理職登用試験を受けない社員が増えているが他社でも同じ傾向ですか。自分が試験を受けた時は、試験を受けられなかったらどうしようと思っていたのに・・・、という場面がリピートします。  企業としては、管理職になりたくない人が今後も増えていくことを前提に人事管理を行っていく必要となるものの、一方、現状の管理職層の問題課題として、40歳前半になると管理職に昇格させてきたことで、部下無し管理職や会社貢献が希薄な管理職の扱いに苦慮している企業は少なくありません。 「2:6:2の法則」「8割を2割が生み出す“パレートの法則”」から、会社を牽引する管理職は20%が適切で、80%の社員が管理職になりたくないことは、管理職の歪な状態を見直すトリガーになり得るとも言えます。ただし、留意点としては、会社が管理職にしたい社員が管理職を目指す仕組みが整っているかです。ミスマッチを回避するために、以下のようなことを確認することをお薦めします。これが全てではないですが。 ①本人のキャリアプラン確認(入社5年・10年の節目で複数回設定) ②会社からのメッセージ(上位職から君は管理職として会社を牽引する人材だと情熱を持って伝える、情熱が欠けると意味がない) ③人事制度(キャリアプランが選択できる複線型パス、適正な評価、報酬格差等) ④能力把握の適正診断(アセスメント等) ⑤管理職候補者に絞った育成研修(社員全員の底上げでなく選抜型での育成)  働き方の多様化から、管理職昇進を望まない社員の勢いは止めることは出来ないでしょう。管理職試験を受けたくない社員がいること自体、50代の管理職は理解できないことかもしれません。この傾向を管理職の歪さ解消を中心とした組織見直しのチャンスと捉え、前向きに人事管理に向き合っていくことができれば、決して心配することではないと言えます。どの様な場面においても、プラス思考を忘れなければ、進むべき路は見えてくるものです。

2023年は卯(うさぎ)年 | 調査・診断(組織分析)

2023年は卯(うさぎ)年

 十二支それぞれの相場格言に(辰)(巳)天井、(午)尻下がり、(未)辛抱、(申)(酉) 騒ぐ、(戌)は笑い、(亥)固まる、(子)は繁栄、(丑)はつまずき、(寅)千里を走り、 (卯)は跳ねるがあり、卯年の相場は上昇相場と言われています。  昨年の2022年は寅年であり、「千里を走る」でした。この「千里を走る」は政治や経済で波乱が起こりやすいとされていましたが、その格言通り、ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮によるミサイル発射の脅威、世界的な金利の急上昇、さらには安倍元総理の事件、その後は宗教と政治の関係が政権を揺るがしかねない状況を招くことになりました。 まさに波乱の1年であったと言えるでしょう。 この状況に沿って考えると、卯年の2023年は産みの苦しみを経て、新しい視界が開けてくるという流れになってほしいと思います。  人事関連に目を向けると、人事制度や人事施策には、社会情勢やIT化の急速な進行に伴い様々な課題への対応が求められています。「同一労働同一賃金」や、「育児・介護休業法」「パワハラ防止法」といった法改正、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方の「テレワーク」や、仕事を同時に手がける働き方の「パラレルワーク」等を代表する働き方の変化など、企業は世運隆替に即した、かつ自社の風土にフィットする制度への変革が必要とされているのです。  昨今、急速している人的資本経営に対する動きに注視すると、人事施策を打つだけでなく、人材を「資源」から「資本」へ、人件費や教育費を「コスト」から「投資」へと、考え方の転換が求められています。人材の情報管理状況をいくつかのクライアントに聞いてみると、「人事考課」「異動・経験部署」のデータは一元管理していますが、「キャリア志向や目標」「スキルや強み」のデータを一元管理している企業はまだまだ少ない状況です。大抵は基本的な属性情報の一元管理に留まり、実際に異動配置などに活用できるレベルの人材情報は蓄積できていません。 また、戦略人事の認識度と進捗度合を聞くと、「データドリブンな意思決定」や「HRテクノロジーを使いこなす」は認識度及び実現度とも低いです。残念ながら、人材情報の一元管理・活用が戦略人事に非常に有効と考えつつ、実行できていないという状況です。  一方、先進的な企業では、「デジタル人材」を人事部に配置する流れが進んでいて、人事データを分析して活用するピープルアナリストも生まれています。今後は、人事のDX化を推進していくため、人事部にデータ系のスペシャリストを設置する企業が増え、「データ分析」や「AI活用」がさらに進んでいくのではないでしょうか。 今年は、これまで以上に「人事部のパーパス」が問われる1年になると思います。これまでの給与計算や労務管理といったオペレーション中心の人事は、DXによって置き換えられつつあります。また、働き方の選択や変化により、副業がよりメジャーになっていくため、さらに個人主義の時代になっていくと考えます。それに伴い、「やりがい」のある会社が選ばれるようになるでしょう。人事部には、報酬の考え方、会社へのエンゲージメント、今後の人事戦略立案がより一層求められるようになります。より優秀な人材を採用し、引き留めておくためには従来の労務管理型の「人事部」では対応しきれないのです。 2023年に跳ねるには、「旧型人事部」からの転換期として、まず「人事部とは何のためにある部署なのか」という再定義が必要になるでしょう。

人事の財務諸表 | 人事アナリシスレポート®

人事の財務諸表

 企業経営にとって、財務諸表はその企業の経営状況を知るうえで必須のものである。財務諸表を見れば、企業の財務状況や損益状況を即座に正確に把握することができるのである。“金”という視点で企業を見る場合には財務諸表を見れば十分であろう。経理財務機能では最も重要な帳票である。  人事分野ではこの“財務諸表”にあたる定期的な報告書式を持っていない。財務諸表の附表の中で、社員数や平均給与、平均年齢の数字は記載されているがこの程度であるし、あくまでも財務諸表の一部情報である。人事については経営者に対しても定期的に報告すら行っていない企業がほとんどであろう。経営者はどうやって人事の状況を把握するのであろうか。人事が経営にとって重要な機能であるのであれば、財務諸表に類する報告書式を持ち、定期的に報告されなければならない。“人事諸表”、“人材諸表”というのか命名はともかくとして、正確な人事情報を提供するルートとコンテンツが必要なのではないだろうか。 おそらくこの“人事諸表”は以下のような構成になるだろう。大きくは一定時点の人材の保有状況を把握するための帳票と一定期間の人事のパフォーマンスを把握するための帳票である。 前者は人材の保有状況であるので、期末時点の保有する人材状況がわかるものであるので、人数(雇用区分別、入退社員推移など)、人数構成(等級別、年齢別など)、人件費総額(総額、平均年収、推移、各種指標など)、スキルレベル(保有スキルなど)などである。これらが整理されていれば企業の保有人材、人的資源状況が一目でわかるだろう。後者は一定期間のパフォーマンスであるので、マネジメントレベル(目標達成度、管理職レベルなど)、モチベーション(全体、推移、評価統計など)、コンディション(職場環境、健康面など)である。これらの情報が“数字”を元に作成されていると、一定期間のパフォーマンスがわかりやすいのではないか。 “ポートフォリオ”と“パフォーマンス”、“保有人材”と“期間成果”を中心とした報告書式が整備され、最低一年に一度役員会報告になり、また一部情報が外部開示されるようになると、企業の人事レベルは一気に上昇するはずである。 人事の特殊性として、また近年の人事の重要課題として付属して報告する必要が高いものもいくつかある。例えば社員は“期間の定めなき雇用”であり大卒社員は65歳までの43年間雇用するように長期に拘束される。そのため将来の人員数や人件費予測は非常に重要な経営情報である。また女性活躍推進が義務付けられているため、これらに関する統計なども必要だ。 人事は経営や外部に対して正式な報告書式と報告場所を持たなければならない。現時点でそれがない企業が大半であろう。人事機能がより高度に発達して経営に貢献するためには必須ではないだろうか。 以上

なぜ進まない「女性活躍」 | 人事アナリシスレポート®

なぜ進まない「女性活躍」

2016年4月に女性活躍推進法が施行され、各企業は様々な取り組みをしている。 政府も2020年には指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げるという目標を掲げて推進しているが、現実はどうだろうか。遅々として進んでいない。 女性社員の働き方改革に対応した社内制度はある程度整ってきていて、ダイバーシティ推進課や女性活躍推進課の新設とともに、テレワークのような新たな働き方を導入しているケースがある。ただし、マミートラック(仕事と育児の両立は実現できても、昇進昇格とは縁遠いキャリアコース)だったり、R職への格付け(HR、PR、CSR、IR等のRがつく職種)のパターンが多い。 女性社員はなぜ活躍できていないのだろうか。企業の担当者からは、うちの女性社員は管理職になりたがらなくて困っている、管理職に魅力がないのだろうとよく聞く。 他に何か阻害要因があるのではないだろうかと考えると、女性社員の働き方は男性社員に比べてライフステージ(結婚、出産、育児)に応じて多様なことから、各ステップを通じて自分らしい生き方や進路の選択ができるようにしなくてはならない。だが、男女共同参画の視点に立ったキャリア教育や、キャリア形成ができていない。そもそも女性に大きな仕事やレベルの高い仕事をさせていないケースも多い。組織内での経験や短期業績評価を基に昇進・昇格させていく企業では長時間労働が前提とされ、子育て中の女性社員のように限られた勤務時間の中で生産性高く働いて帰宅しても、長時間職場にとどまっている他社員に比べて評価されにくいこともあるだろう。 出産・育児等で仕事を一旦離れ、キャリアやスキルの形成が中断した場合、復帰しても管理職、役員といった立場で意思決定過程に参画していくための環境も十分に整っていない。そしていまだに残るガラスの天井があげられる。 こういった阻害要因を排除した取り組みを本格化していかなくてはならない。 また、短期的に一定の業績を上げる必要がある企業にとっては、株主・顧客・社員といった様々なステークホルダーにそうした取り組みが理解されることが不可欠である。そのためには,女性の活躍推進に取り組むことが企業の活動や職場にプラスの効果をもたらすことをステークホルダーに対して示していく必要もあるだろう。 一方、政界に目を向けてみると、日本の女性政治家は世界に比べてまだまだ少ないといわれている中で、小池百合子氏が女性で初めて都知事に就任し様々な問題を解決すべく奮闘している。世界でもイギリスのテリーザ・メイ氏が故サッチャー氏以来26年ぶりの女性首相に就任、アジアでも台湾では、蔡英文氏が第14代総統に就任した。アメリカでは、ヒラリークリントン候補者が史上初めて女性で米大統領選の主要政党候補になるなど女性の活躍が進んできている。 女性活躍推進法が制定された2016年は、日本で女性が参政権を獲得して70周年となる年だった。100年前の大正時代では女性が参政権をもつなど考えられない、それを別に変とも思っていなかっただろう。現代では当たり前になっているように女性の活躍が当たり前になる時代はすぐそこまで来ている。現代社会の当たり前がどんどん変わっていくように。 女性活躍推進法は10年の時限立法だ。今後2025年までに、女性の働き方はどこまで変わるのだろうか。社会や企業の意識が変わっていくと同時に、働く女性自身も意識を変えるべき時がきているのかもしれない。 前出の故サッチャー氏はこう言っている。 考えは言葉となり、 言葉は行動となり、 行動は習慣となり、 習慣は人格となり、 人格は運命となる。

拡張自我 | 調査・診断(組織分析)

拡張自我

普段何気なく使っている筆記具や腕時計、鞄などの様々なアイテムをキチンと意識して、毎日使っていることに感謝することが必要です。身のまわりのものが自分の行動に影響を与えてくれたり、自身を映し出す鏡になってくれたりするからです。 この筆記具や腕時計など、自分の身近なものを褒められると、自分が褒められたように嬉しくなることがあります。これは、私たちが自分周辺のものを自らの一部として認識しているからで、このことを心理学的には「拡張自我」と呼びます。 身につけるもので分かりやすいのはブランド品です。ブランド品を身につける人は「自分は高価なものを身につける価値がある人間だ」と思っていたり、そうありたいと思ったりしているからだそうです。高価なブランド品によって「拡張自我を利用して自信をつけようとしている」とも言えるのです。 また人間の脳は、実際の価値の議論は置いておいて、ブランド名に惹かれる傾向があるそうです。このことは、アメリカのベイラー医科大学で脳科学を専門とするモンタギュー博士らの有名な「コカコーラ」と「ペプシコーラ」の実験から明らかになっています。コカコーラとペプシコーラのブランド名を隠した状態とブランド名を見せた状態で、どちらかを選ぶ時の脳の反応を比較しました。実験の結果、ブランド名を隠した状態では、コカコーラとペプシコーラは同じように好まれて差がありませんでしたが、ブランド名を見せた状態では、コカコーラがより好まれる傾向を示したそうです。 (引用元:2004年『Neuron』掲載、Neural Correlates of Behavioral Preference for Culturally Familiar Drinks) さて、このように無意識のうちに自分自身に影響を与える自分の身のまわりの品について、日頃は身近すぎてほとんど意識しないと思いますが、きちんと手入れをして大切に扱うことが必要です。 野球のイチロー選手は道具の手入れをすることで知られています。「イチローの流儀」小西 慶三 (著)によるとイチロー選手がどのくらい道具を大切にしているかが伝わってきます。イチロー選手は勝った試合でも、負けた試合でも試合が終わってロッカーに帰って来ると、必ずグローブの手入れをするそうです。負けた腹いせにグローブを投げつけるなどは、もってのほかの行動です。 拡張自我から考えると、使用後に道具を手入れするということは、自分を手入れすることと同じです。仮に失敗した時にも感謝の念を持ちながら手入れをして向き合うことで、次へのパワーや自信が生まれてくるのかもしれないのです。 身近な物を大切に思い丁寧に心をこめて手入れをすると、きっとそれは自分の自信や力となって戻ってきてくれるのです。さて、このように無意識のうちに自分自身に影響を与える自分の身のまわりの持ち物たちへ、日頃は身近すぎてほとんど意識しないと思いますが、きちんと手入れをしたり大切に扱ったりしていますか?

メディアとしての社員 | モチベーションサーベイ

メディアとしての社員

 企業統合や経営/事業変革に伴い、ミッションとビジョンを改めて策定することは最重要施策といってよい。付加価値として何を生産し、社会に対してどのような貢献をなすことでコーポレイトサステナビリティを実現するか。そのエッセンシャルな意思表明がミッション、ビジョンであり、企業活動のブランディングの核となるものだからである。    ブランディングの核とは、対外的には、事業活動を通じて形成される企業イメージの統一軸であり、対内的には、事業活動を担う社員が主体的に行動する際に常に参照すべき軸(=基準/規範)だということだ。事業活動とは一人一人の社員の仕事の集積だから、とくに大事なことは後者。ゆえに、新しいミッション、ビジョンは制定後に、いかに全社に浸透させ、企業活動に反映させていくかがまず最初に問われ、インターナルコミュニケーション戦略の巧拙と徹底度がその成否をわけることになる。  ミッション、ビジョンの背景や意義/意味を理解させるべく、さまざま機会を設けての広報(=ビデオメッセージや階層別勉強会等)、経営陣による車座セッション展開、行動基準やバリュー評価項目へのブレークダウンなどがなされるものの、ともすると、理解は進むけれどもどこか「会社の方針だから」といったやらされ感を払拭できずに、主体的行動が生成するという意味での「浸透」には至らなかったりする。  行動喚起のポイントは、一人一人にとっての「自分ゴト化」である。新たなミッション、ビジョンが、自分にとってどういう意味をもつのか。自分の将来とミッション、ビジョンが示す会社の将来を関係づける――つまり、自分の夢、仕事を通じて実現したいこと、キャリアビジョンといった個人的な想いとの重なりのなかで、会社のミッション、ビジョンを肚落ちさせる。社会性と抽象性の高いステートメントというものは、自分にとっての意味づけができて初めて、具体的な行動実践への意志を持てるのだ。たとえば自己言及とグループダイナミクスを組み込んだプロモーションにより、そうした内省/言語化ができれば、あとは、実践に向けてのスキルをインプットしてあげればよい。  さきに、ブランディングの核は、対外的なイメージ統一軸と対内的な主体的行動の参照軸の二つと言った。インターナルコミュニケーション戦略の要諦となる「自分ゴト化」は、もちろんこの後者に資する施策ではあるが、実は、前者の企業イメージ形成にも直結する。社員一人一人の一挙手一投足から、顧客はその会社ブランドを感じとる。つまり、一人一人の社員が、顧客のイメージ形成の際のタッチポイントになってしまうからだ。  全ての個々の社員は、ブランドに即した行動の実践者であると同時に、顧客や市場や社会に向けて自社のブランドを伝えるメディアなのである。一人一人の社員が、社会に対するブランディング・コミュニケーションのメディアであるからこそ、自分ゴト化することにより生まれる「ブランディングへの信念」が、見えないけれども感じ取れるメッセージとして伝わることで、リアリティをもったブランドイメージが接する顧客や社外の人々のなかに形成される。  メディア戦略とは、広告媒体をはじめとしたさまざまなPR/コーポレートコミュニケーション媒体活用を「社外向けのメディアミックス」としてではなく、「社員というメディアを補完し増幅するもの」として、組み上げなければならないのだ。つまり、社会に対するブランドプロミスの発信のターゲットは、つねに、まず第一に社員なのである。

対人能力は必須か | 人材アセスメント

対人能力は必須か

 社会で働くために必要な能力=就業スキルとして、コミュニケーション能力は必須のものとされる。社会人基礎力には、「チームで働く力」として発信力、傾聴力、柔軟性などがあげられ、社員教育では早い段階からビジネスコミュニケーションのスキルが教えられる。管理職昇格アセスメントの評点が、「思考能力」、「対人能力」、「資質/姿勢」の3領域で測られるように、マネジャーのスキル要件にもコミュニケーションスキルは欠かせない。  ゆえに、どの会社でも、きわめて高い思考力や高度な専門的スキルをもっていても、コミュニケーションが不得手な人はなかなか肩身が狭いことになる。人との関係形成が苦手だったり、対人感受性に欠け人の気持ちがわからない人(=私です)は、職業人として課題あり、とされる。とくに、人を動かして組織成果を出す役割の管理職なら、対人能力欠如はまず問題視されるだろう。  しかし、ほんとうにそうか。仕事で成果を出すうえで、対人コミュ二ケーション能力は必須なのだろうか。業務上必要な意思疎通さえできれば、それ以外の対人配慮、たとえば、感情や想いへの気配りや、態度や表情といった非言語的サインの察知、ヒドゥンアジェンダ(=隠されているテーマ)への忖度、チームを盛り上げんとする言動などなどは、それはあった方がよいけれども、必須ではないし、ときに邪魔だったりもする。  チームワークにおいて大事なことは、言語化された明示的メッセージをきちんと受発信することで、それさえ徹底されれば、余計なコミュニケーションのワザなど必要ない。メッセージが曖昧だから、察知し、気遣い、忖度するスキルや四の五の言わなくても通じる信頼感の醸成のワザが、補完的に求められているにすぎないのではないか。  よく知られるように、多民族が協働する多国籍企業内のコミュケーションは、意思や要求を明確に言葉にしてやり取りすることこそを必須とする。対人関係の常識の背景(=文化・習慣・感性)がまったく異なるから、すべては言葉にして伝えるのであって、「行間」を読むことなどそもそも前提しないのだ。すでに日本の会社も、年齢や価値観や他者感覚における多様性の組織であり、メッセージの言語化/明確化こそが、協働のためのコミュニケーションの原点だろう。  「言語化された明示的メッセージをきちんと受発信する」ための能力は、思考能力(=理解力や論展開力や概念化力など)と姿勢(=達成指向や誠実性や自律一貫性など)である。いわゆる対人能力(対人理解力、共感力、関係形成力など)ではない。人と協働するうえでは、共感や関係形成ができたほうがもちろんよいが、思考力や姿勢面で優秀であれば、あるべき対人行動を「演じる」ことができるから、その意味でも、生来の対人能力はなくても問題はないのである。    そもそも、仕事をするうえでコミュニケーションスキルが必須となったのは、人類の長い歴史のなかでは、ごくごく最近のことだ。自然に働きかけて直接に商材を得る仕事(=第一次産業)や自然界のモノを加工して商材を得る仕事(=第二次産業)では、身体的技能こそがコアスキルだった。例えば偏屈で人づきあいできない職人でも、モノづくりの腕が良ければそれだけで評価されていただろう。  就業者の大半が第三次産業、つまり人を相手にしたサービスを商材とする仕事に従事する現代になって、対人コミュニケーションが重要なスキルとして台頭してきた。自然を対象にするスキルやモノを対象にするスキルではなく、ヒトを対象にするスキルが重要視され、高度消費社会の進展とともに、対人能力は社会の基盤的なワザかのように見なされるようになったのだった。  技能があるだけでは許されずに、つねに対人配慮性や対人能力が求められる現在の状況は、しかし、人々を能力評価する眼を曇らせる。ヒューマンスキルは「人を動かし成果を拡大させる」能力ではあるが、もともとのアイディアや新しい機能や手法を生み出すのは、コンセプチャルスキルとテクニカルスキル。つまり、思考や身体の技能こそがパフォーマンスの源泉たりうるコアスキルだろう。  職人の方々は、よく「身体が覚える」とか「手で考える」と言う。近年、「身体性の復権」がイノベーションの鍵だといわれる意味でも、対人能力の偏重には気を付けなければいけないのではないか。

Web会議は疲れる⁉ | モチベーションサーベイ

Web会議は疲れる⁉

 最近のコロナ禍で、オンライン会議といわれるWeb会議が非常に増えました。このWeb会議だと、会社に行かなくても自宅からだし、移動時間がなくなって良かった、出席する負担も軽いはずだし、時間を効率的に管理できると考えていたが、1日に2回、3回実施するとリアルで会議や商談をするより、はるかに疲れるなぁと思うようになったのです。連続でこなそうものなら、疲労がピークに達する場合もあるほどです。  なぜWeb会議は、リアルの会議に比べてこれほど体力や精神力を必要とするのでしょうか。web会議の場合は、参加者全員とコミュニケーションをとる必要があり、相手の言っていることや考えていること、表情をすべて理解しなければいけないという意識が働くわけです。そのため、いつも能動的なスタンスで、画面に向かいます。さらに映る背景を気にしながらカメラにいいポジションでという意識から、同じ姿勢で固まったままになりがちです。  通常の会議であれば、何人か出席していたとしても、自分が発言している時は他の参加者は、その他大勢となるので、参加者の顔は見えるが、個々の表情にまでそんなに意識を向けなくても良いのです。つまり会議全体の「雰囲気」さえ把握していれば問題ないのです。  ところがweb会議では、遮断された「雰囲気」をできる限り摂取しようと画面を通して伝わってくる情報に目や耳を集中させることが必要になります。「全参加者分の個別ワイプ画面」と対峙することになる状況が続き、たくさんの顔と向き合うと、一人ひとりの表情や動作が非常に気になるという事態が発生します。いろんな顔に目を向けることになるし、さらに、共有された資料も見ながら常に集中し続けているし、情報が多すぎて整理できない。この高度な集中力を要求されることが、web会議後のなんとも言えない「疲労感」につながっているのではないかと考えるのです。  今後、Web会議に疲れていると自覚しているのであれば、ツールの使い方の工夫が必要です。たとえば、出席者の確認をしたら、あとはカメラ映像をOFFにしてしまうとか、時間を思い切って短く設定するとか。テレカン(teleconference)のように複数人で電話会議をすることは前から実施しており、映像を使わないことがあります。音声だけでも十分にコミュニケーションはできるはずです。映像というツールが使えるからついつい表情も見たくなり、映像は常にONにという暗黙のルールや圧力を感じるときもありますが、実務的な打ち合わせなどでは、顔よりも資料に目線を集中させた方がはるかに効率的なこともあるのです。  今後もweb会議はますます発展していくことが予想されます。すでに会議だけでなく、集合型の研修をWeb型研修に切り替えるケースも増えてきているし、web会議にしかない良さ、冒頭にあげたような「効率」の面では圧倒的に便利です。その一方で、対面での会議でも、これからweb会議がどんどん合理的なツールになれば、「非合理的な」コミュニケーションの手段として残って欲しいなと思います。  リモートワークに体が慣れてないうちは、いろいろ大変なことも多いです。会社でなく家にいるからといって、決して楽ではないわけです。充実したリモートライフを送るためにも、気づいたことがあればいろいろと工夫していきたい。それぞれの良さを踏まえたうえで、場面に応じた使い分けが大事ですから。

「モンスター社員」の増殖 | モチベーションサーベイ

「モンスター社員」の増殖

最近、「モンスター社員」と言う言葉をよく耳にする。厳密言うと「モンスター社員」にも色んなタイプがあるようだが、一般に、処遇や福利厚生に対し過度な要求をしたり、会社の制度やルールに対して否定的・非協力的な主張をして、自身の要望が受け入れられないと、「労基署に行く」等と言って人事を脅したり、実際にそうする「やっかいな社員」の事を指すようだ。 入社時点に想定していた内容と異なる業務を求められると、話が違うと、拒否したり、上司や人事から気に入らない注意を受けると翌日から無断で休む、さらには、インターネットのSNSや掲示板上に、そうした状況を誇張・曲解した上で、会社や上司・同僚を誹謗中傷する投稿をする等・・。こうした「モンスター社員」は、従来の「やる気のない社員」や「さぼり社員」とは異なり、よりたちが悪いと言える。会社にとっては深刻な存在で、対応を間違えれば、一人のモンスター社員が、会社全体の価値を下げてしまうリスクさえあるかも知れない。 モンスター社員が「増殖」している背景には、採用難が続く中で、会社の採用基準が甘くなりがちな事や、働き方改革が進む中で、残業時間の抑制や休暇の取得など、労働者の権利をきちんと確保していこうとする社会的要請が高まる中、「会社」より「社員」の権利をより尊重する空気が我が国の社会全体に漂っていることも影響しているだろう。 また、SNS上に発信されたコメントにひとたび火が付くと、その内容の正否を確認される間もなく、それが世界中に瞬時に拡散してしまうというネット社会特有の現象もまた、事態をより悩ましくしている。 最近、かつて目覚ましい企業再生を果たし、賞賛されてきた著名な企業経営者が、一たび、逮捕されると(まだ有罪と確定したわけではないのに、)手のひらを返したように、否定的なコメント一色になる我が国のマスコミや識者の論調に、正直、驚いているところだが、我が国のそうした「推定有罪的」国民性?もまた、会社が毅然としたアクションを取りにくくしていて、結果として、「モンスター社員」をのさばらせてしまっているようにも思う。 会社のいわゆるブラック企業的行動を排除させるために、「社員」の権利をより尊重する方向で、「会社」と「社員」の関係をリバランスする取り組みはよいのだが、それが行き過ぎて、社員の権利を守ることに囚われすぎてしまうと、会社の中に、多数のモンスター社員の増殖を許してしまうような事にならないか。ルールに基づく「モンスター社員」への毅然とした対応と共に、社会全体としての「会社」と「社員」のパワーバランスが適切かどうかを検証していく姿勢が、我々、ひとりひとりに求められている。

パイロットフィッシュ | 人材アセスメント

パイロットフィッシュ

 職場で何か新しいことや面倒な取り組みをはじめる際に、なぜかいつも声がかかる人物がいた。中小企業の間接部門に所属していた彼は、取り立てて優秀な社員というイメージではなかったが、30代前半という若さもあったろう、どんなプロジェクトも気力と体力で突っ走っていくような男だった。  いろいろなプロジェクトに先陣を切って投入される彼であったが、なぜか、途中で他の社員にバトンタッチすることが多かった。本業が忙しくなって呼び戻されたり、どういうわけだか、プロジェクト終盤に差し掛かってくると失速し、勢いだけでは押し切れなくなるところがあった。とはいえ、あともう少しというところでプロジェクトを外される彼の気持ちを考えると、さぞ悔しかったに違いない。はたから見ていて気の毒に思うこともしばしばあった。  そんな彼のことを、仲間の間では(今にして思うと、大変失礼な言い方なのだが)”パイロットフィッシュ”と呼んでいた。  熱帯魚を飼育した経験のある方ならご存知と思うが、新しい水槽を立ち上る際に、新しい水を入れて直ぐに高価で繊細な熱帯魚を入れるようなことはしない。新しい水槽には、熱帯魚の排泄物やえさの食べ残しを分解するバクテリアが存在しないので、水質の変化に弱い繊細な魚を投入するとすぐに弱ったり死んでしまったりするのだ。 そこで登場するのがパイロットフィッシュだ。そういう名前の魚なのではなく、有益なバクテリアの繁殖を早めるために、まっさらな水槽に先陣を切って投入される魚のことを言う。無事にバクテリアが繁殖し、水質が安定すると、パイロットフィッシュの役割は終わりとなる。はじめは魚にとって過酷な環境なので、時には死んでしまうこともある。したがって、丈夫で安価な種類の魚がチョイスされるのだ。  職場で新しい取り組みを始めようとすると、誰しも苦労するものだ。誰もやりたがらない面倒なプロジェクトに次から次へと飛び込んでいく彼の姿が、アクアリウムのパイロットフィッシュと重なって見えたのだ。  先日、そんな彼と何年振りかに会う機会があった。聞けば今でも同じように、いろいろなプロジェクトを次から次へと渡り歩いているらしい。そこで、どうしても気になっていた、かつての疑問をぶつけてみた。あんなに何度も途中でプロジェクトを外されて、どうして腐らずにやっていられるのか、と聞くと、「何もないところからスタートして、造り上げていくっていう感覚がなんかいいんだよね。道筋ができると俺の中ではもう終わりっていうか、そこからなら誰でもできちゃうし」  なるほど、本当に彼は職場のパイロットフィッシュだったのである。 彼をプロジェクトにアサインしていた上司はその適性を的確にとらえていたのであった。 (ちなみに、パイロットフィッシュの語源は飛行機のテストパイロットから来ている。)

ストレスワクチン | モチベーションサーベイ

ストレスワクチン

多くの組織で問題になっているメンタルヘルスの予防的施策として、ストレスワクチンという処方がある。 メンタル不調を結果するような状況に至る前に、ワクチンを打ってストレスの抗体を作り、個々人のストレス耐性を高めておく手法だ。「ワクチンを打つ」とは、Off-JTのワークショップとフォロープロセスのことで、まずは組織診断によりその会社固有のストレス因子を検出し、それを使ってストレスフルな状況の予行演習を体験する。主に、入社間もない社員に対し行われる予防施策である。 企業内ストレスにさらされる状況はある程度決まっている。一般的には、入社直後や配属直後、異動後や転勤後、管理職への昇格したときがそうであり、加えて各社の業務や組織の特性と風土や慣習によって、ストレス状況の類型化ができる。部門による人間関係の特性や組織の意思決定のクセが、その会社固有のストレス因子かもしれない。それを“抗原”として、想定される状況下で、自分がどのように対処すべきかを先行して考えることで、ストレスを受け止める力を身につけさせるということである。 言うまでもなく、生産性を追及する組織である限りストレスは必須だから、組織のストレスをなくしていくのではなく、個人のストレス耐性が課題になる。「メンタル失調になりそうな候補者を検出できないか」という採用担当の方々からの要請も少なくないように、“個々人の資質問題”に偏りがちなアプローチに対して、ストレスの抗原−抗体反応の仮説は魅力的ではないか。 この仮説が正しければ、EAPや産業保険医体制の整備、あるいは管理職へのメンタルヘルス研修などで、不調者の予兆を個別的に早期発見、早期対応するくらいしかメンタルヘルス対策がないなかで、組織的な予防施策として展開できるからである。 「必ず直面するストレス状況を、事前にイメージさせ、受け止められるようにする」とは、その時どうすればよいかをシミュレーションさせることだけが大事なのではない。何より、その状況の背景の意味を考えさせ、理解させること。個人の業務や役割の意味とその背景にある会社のミッション、そうした業務が自分にとって、自分の将来にとってどのような意義を持つのかを、深く考えさせることこそが重要だ。つまり、将来のストレス状況にポジティブな意味づけを予め前提させる。ストレスとモチベーションが表裏の関係あること自体を体感させるのが、こうした施策の最大のポイントだろう。 さらに、ストレスワクチンの効用はもうひとつある。組織の暗黙知が明示化することである。抗原を検出するための事前のストレス診断により、暗黙のルールや集団行動のクセのインパクトがわかる。例えば、ある部門はきわめて家族的な人間関係に特性があるかもしれない。新入社員がこうしたことを事前に知ることで、効率的に仕事に集中できるはずだ。 かつて、辞めてほしくない社員に対して、アメリカの会社は“ゴールデン・ハンドカフ(金銭による手錠)”をかけるが、日本の会社は“エモーショナル・ハンドカフ”をかけると言われたことがある。日本企業の雇用関係は、長期雇用の黙契がなくなり、成果と報酬の契約的関係になりつつあるとはいえ、暗黙のルールや人間関係の圧力は存在する。ストレスワクチンは、それに対するプラグマティックな挑戦でもあるのではないか。