©️ Transtructure Co.,Ltd.All Rights Reserved.

MENU

©️ Transtructure Co.,Ltd.All Rights Reserved.

調査・診断(組織分析)

column
Web会議は疲れる⁉ | モチベーションサーベイ

Web会議は疲れる⁉

 最近のコロナ禍で、オンライン会議といわれるWeb会議が非常に増えました。このWeb会議だと、会社に行かなくても自宅からだし、移動時間がなくなって良かった、出席する負担も軽いはずだし、時間を効率的に管理できると考えていたが、1日に2回、3回実施するとリアルで会議や商談をするより、はるかに疲れるなぁと思うようになったのです。連続でこなそうものなら、疲労がピークに達する場合もあるほどです。  なぜWeb会議は、リアルの会議に比べてこれほど体力や精神力を必要とするのでしょうか。web会議の場合は、参加者全員とコミュニケーションをとる必要があり、相手の言っていることや考えていること、表情をすべて理解しなければいけないという意識が働くわけです。そのため、いつも能動的なスタンスで、画面に向かいます。さらに映る背景を気にしながらカメラにいいポジションでという意識から、同じ姿勢で固まったままになりがちです。  通常の会議であれば、何人か出席していたとしても、自分が発言している時は他の参加者は、その他大勢となるので、参加者の顔は見えるが、個々の表情にまでそんなに意識を向けなくても良いのです。つまり会議全体の「雰囲気」さえ把握していれば問題ないのです。  ところがweb会議では、遮断された「雰囲気」をできる限り摂取しようと画面を通して伝わってくる情報に目や耳を集中させることが必要になります。「全参加者分の個別ワイプ画面」と対峙することになる状況が続き、たくさんの顔と向き合うと、一人ひとりの表情や動作が非常に気になるという事態が発生します。いろんな顔に目を向けることになるし、さらに、共有された資料も見ながら常に集中し続けているし、情報が多すぎて整理できない。この高度な集中力を要求されることが、web会議後のなんとも言えない「疲労感」につながっているのではないかと考えるのです。  今後、Web会議に疲れていると自覚しているのであれば、ツールの使い方の工夫が必要です。たとえば、出席者の確認をしたら、あとはカメラ映像をOFFにしてしまうとか、時間を思い切って短く設定するとか。テレカン(teleconference)のように複数人で電話会議をすることは前から実施しており、映像を使わないことがあります。音声だけでも十分にコミュニケーションはできるはずです。映像というツールが使えるからついつい表情も見たくなり、映像は常にONにという暗黙のルールや圧力を感じるときもありますが、実務的な打ち合わせなどでは、顔よりも資料に目線を集中させた方がはるかに効率的なこともあるのです。  今後もweb会議はますます発展していくことが予想されます。すでに会議だけでなく、集合型の研修をWeb型研修に切り替えるケースも増えてきているし、web会議にしかない良さ、冒頭にあげたような「効率」の面では圧倒的に便利です。その一方で、対面での会議でも、これからweb会議がどんどん合理的なツールになれば、「非合理的な」コミュニケーションの手段として残って欲しいなと思います。  リモートワークに体が慣れてないうちは、いろいろ大変なことも多いです。会社でなく家にいるからといって、決して楽ではないわけです。充実したリモートライフを送るためにも、気づいたことがあればいろいろと工夫していきたい。それぞれの良さを踏まえたうえで、場面に応じた使い分けが大事ですから。

「モンスター社員」の増殖 | モチベーションサーベイ

「モンスター社員」の増殖

最近、「モンスター社員」と言う言葉をよく耳にする。厳密言うと「モンスター社員」にも色んなタイプがあるようだが、一般に、処遇や福利厚生に対し過度な要求をしたり、会社の制度やルールに対して否定的・非協力的な主張をして、自身の要望が受け入れられないと、「労基署に行く」等と言って人事を脅したり、実際にそうする「やっかいな社員」の事を指すようだ。 入社時点に想定していた内容と異なる業務を求められると、話が違うと、拒否したり、上司や人事から気に入らない注意を受けると翌日から無断で休む、さらには、インターネットのSNSや掲示板上に、そうした状況を誇張・曲解した上で、会社や上司・同僚を誹謗中傷する投稿をする等・・。こうした「モンスター社員」は、従来の「やる気のない社員」や「さぼり社員」とは異なり、よりたちが悪いと言える。会社にとっては深刻な存在で、対応を間違えれば、一人のモンスター社員が、会社全体の価値を下げてしまうリスクさえあるかも知れない。 モンスター社員が「増殖」している背景には、採用難が続く中で、会社の採用基準が甘くなりがちな事や、働き方改革が進む中で、残業時間の抑制や休暇の取得など、労働者の権利をきちんと確保していこうとする社会的要請が高まる中、「会社」より「社員」の権利をより尊重する空気が我が国の社会全体に漂っていることも影響しているだろう。 また、SNS上に発信されたコメントにひとたび火が付くと、その内容の正否を確認される間もなく、それが世界中に瞬時に拡散してしまうというネット社会特有の現象もまた、事態をより悩ましくしている。 最近、かつて目覚ましい企業再生を果たし、賞賛されてきた著名な企業経営者が、一たび、逮捕されると(まだ有罪と確定したわけではないのに、)手のひらを返したように、否定的なコメント一色になる我が国のマスコミや識者の論調に、正直、驚いているところだが、我が国のそうした「推定有罪的」国民性?もまた、会社が毅然としたアクションを取りにくくしていて、結果として、「モンスター社員」をのさばらせてしまっているようにも思う。 会社のいわゆるブラック企業的行動を排除させるために、「社員」の権利をより尊重する方向で、「会社」と「社員」の関係をリバランスする取り組みはよいのだが、それが行き過ぎて、社員の権利を守ることに囚われすぎてしまうと、会社の中に、多数のモンスター社員の増殖を許してしまうような事にならないか。ルールに基づく「モンスター社員」への毅然とした対応と共に、社会全体としての「会社」と「社員」のパワーバランスが適切かどうかを検証していく姿勢が、我々、ひとりひとりに求められている。

パイロットフィッシュ | 人材アセスメント

パイロットフィッシュ

 職場で何か新しいことや面倒な取り組みをはじめる際に、なぜかいつも声がかかる人物がいた。中小企業の間接部門に所属していた彼は、取り立てて優秀な社員というイメージではなかったが、30代前半という若さもあったろう、どんなプロジェクトも気力と体力で突っ走っていくような男だった。  いろいろなプロジェクトに先陣を切って投入される彼であったが、なぜか、途中で他の社員にバトンタッチすることが多かった。本業が忙しくなって呼び戻されたり、どういうわけだか、プロジェクト終盤に差し掛かってくると失速し、勢いだけでは押し切れなくなるところがあった。とはいえ、あともう少しというところでプロジェクトを外される彼の気持ちを考えると、さぞ悔しかったに違いない。はたから見ていて気の毒に思うこともしばしばあった。  そんな彼のことを、仲間の間では(今にして思うと、大変失礼な言い方なのだが)”パイロットフィッシュ”と呼んでいた。  熱帯魚を飼育した経験のある方ならご存知と思うが、新しい水槽を立ち上る際に、新しい水を入れて直ぐに高価で繊細な熱帯魚を入れるようなことはしない。新しい水槽には、熱帯魚の排泄物やえさの食べ残しを分解するバクテリアが存在しないので、水質の変化に弱い繊細な魚を投入するとすぐに弱ったり死んでしまったりするのだ。 そこで登場するのがパイロットフィッシュだ。そういう名前の魚なのではなく、有益なバクテリアの繁殖を早めるために、まっさらな水槽に先陣を切って投入される魚のことを言う。無事にバクテリアが繁殖し、水質が安定すると、パイロットフィッシュの役割は終わりとなる。はじめは魚にとって過酷な環境なので、時には死んでしまうこともある。したがって、丈夫で安価な種類の魚がチョイスされるのだ。  職場で新しい取り組みを始めようとすると、誰しも苦労するものだ。誰もやりたがらない面倒なプロジェクトに次から次へと飛び込んでいく彼の姿が、アクアリウムのパイロットフィッシュと重なって見えたのだ。  先日、そんな彼と何年振りかに会う機会があった。聞けば今でも同じように、いろいろなプロジェクトを次から次へと渡り歩いているらしい。そこで、どうしても気になっていた、かつての疑問をぶつけてみた。あんなに何度も途中でプロジェクトを外されて、どうして腐らずにやっていられるのか、と聞くと、「何もないところからスタートして、造り上げていくっていう感覚がなんかいいんだよね。道筋ができると俺の中ではもう終わりっていうか、そこからなら誰でもできちゃうし」  なるほど、本当に彼は職場のパイロットフィッシュだったのである。 彼をプロジェクトにアサインしていた上司はその適性を的確にとらえていたのであった。 (ちなみに、パイロットフィッシュの語源は飛行機のテストパイロットから来ている。)

ストレスワクチン | モチベーションサーベイ

ストレスワクチン

多くの組織で問題になっているメンタルヘルスの予防的施策として、ストレスワクチンという処方がある。 メンタル不調を結果するような状況に至る前に、ワクチンを打ってストレスの抗体を作り、個々人のストレス耐性を高めておく手法だ。「ワクチンを打つ」とは、Off-JTのワークショップとフォロープロセスのことで、まずは組織診断によりその会社固有のストレス因子を検出し、それを使ってストレスフルな状況の予行演習を体験する。主に、入社間もない社員に対し行われる予防施策である。 企業内ストレスにさらされる状況はある程度決まっている。一般的には、入社直後や配属直後、異動後や転勤後、管理職への昇格したときがそうであり、加えて各社の業務や組織の特性と風土や慣習によって、ストレス状況の類型化ができる。部門による人間関係の特性や組織の意思決定のクセが、その会社固有のストレス因子かもしれない。それを“抗原”として、想定される状況下で、自分がどのように対処すべきかを先行して考えることで、ストレスを受け止める力を身につけさせるということである。 言うまでもなく、生産性を追及する組織である限りストレスは必須だから、組織のストレスをなくしていくのではなく、個人のストレス耐性が課題になる。「メンタル失調になりそうな候補者を検出できないか」という採用担当の方々からの要請も少なくないように、“個々人の資質問題”に偏りがちなアプローチに対して、ストレスの抗原−抗体反応の仮説は魅力的ではないか。 この仮説が正しければ、EAPや産業保険医体制の整備、あるいは管理職へのメンタルヘルス研修などで、不調者の予兆を個別的に早期発見、早期対応するくらいしかメンタルヘルス対策がないなかで、組織的な予防施策として展開できるからである。 「必ず直面するストレス状況を、事前にイメージさせ、受け止められるようにする」とは、その時どうすればよいかをシミュレーションさせることだけが大事なのではない。何より、その状況の背景の意味を考えさせ、理解させること。個人の業務や役割の意味とその背景にある会社のミッション、そうした業務が自分にとって、自分の将来にとってどのような意義を持つのかを、深く考えさせることこそが重要だ。つまり、将来のストレス状況にポジティブな意味づけを予め前提させる。ストレスとモチベーションが表裏の関係あること自体を体感させるのが、こうした施策の最大のポイントだろう。 さらに、ストレスワクチンの効用はもうひとつある。組織の暗黙知が明示化することである。抗原を検出するための事前のストレス診断により、暗黙のルールや集団行動のクセのインパクトがわかる。例えば、ある部門はきわめて家族的な人間関係に特性があるかもしれない。新入社員がこうしたことを事前に知ることで、効率的に仕事に集中できるはずだ。 かつて、辞めてほしくない社員に対して、アメリカの会社は“ゴールデン・ハンドカフ(金銭による手錠)”をかけるが、日本の会社は“エモーショナル・ハンドカフ”をかけると言われたことがある。日本企業の雇用関係は、長期雇用の黙契がなくなり、成果と報酬の契約的関係になりつつあるとはいえ、暗黙のルールや人間関係の圧力は存在する。ストレスワクチンは、それに対するプラグマティックな挑戦でもあるのではないか。

社員の幸福感の高め方 | モチベーションサーベイ

社員の幸福感の高め方

 幸福感の高い人はどのような人だろうか?一般的には配偶者のいる人や非喫煙者、心身が健康である人はそうでない人と比べると幸福感が高いと言われています。また、興味深い調査として、幼少時にシルバニアファミリーで遊んでいた女性とそうでない女性を比べたものがあります。この調査では、大人(20~25歳)になった時点での幸福度は、シルバニアファミリーで遊んでいた女性のほうが高いという結果が出ています。  しかし、当コラムを読んでくださっている皆さんが興味をもたれるのは、「幸福感」という概念は、ビジネスの中でどのように活かすことができるのか?特に、「生産性」や「業績」といった代表的な成果指標に対してどの程度の影響を与えるものなのかといったことではないでしょうか。  欧米の研究を見ると、幸福感の高い社員は、生産性が高く、売り上げも多く、リーダーとしても優れ、高い業績を上げる。また、病欠も離職も少なく、仕事のストレスに負けることもないという報告があります。幸福な気持ちで業務に取り組むと、時間の使い方が効率的になり、仕事の質を下げることなく生産スピードを向上させることができるそうです。その結果、幸せな気持ちで物事に取り組んだ人は、そうでない人と比べて生産性が12%向上するという調査結果も発表されています。ちなみに、不幸は生産性を10%低下させるそうです。  では、企業にとって良いことづくめの幸福感は、何から影響を受けているのだろうか。幸福感の高めかたが分からないと施策を講じられませんが、この領域の研究は国内外を通してまだ始まったばかりです。  国内における先駆け的な研究は、2012年に内田・城戸が人材育成学会にて発表した『ポジティブ組織行動論の試み-仕事での「幸福感」と組織内要因-』であると言えます。内田らはこの中で、約300名のビジネスパーソンから集めた定量データを分析し、幸福感を高める5つの組織内要因を明らかにしています。この5つは、「マイビジョンへの挑戦」、「自己効力感」、「地位と給与の満足」、「仕事の社会的評価」、「努力と評価の関連」と名付けられた因子であり、これらが幸福感に対して統計的に有意であることを示しています。  自分の実現したいビジョンをもち、得意分野を活かしながら挑戦的に仕事ができていること。自由裁量の度合いが高く、自分の能力を活用しながら自信をもって仕事を進められていること。現在の地位や役割と、得られる給与等の報酬に満足していること。自分の仕事が社会的にも組織内においても評価されていること。そして、自分の努力が上司などから人事的に評価されること。つまり努力と評価のつながりが認識できることが「幸福感」を高めるのです。  2回のコラムで取り上げた「幸福感」は、組織内で伝播する特性をもっています。自分が職場で幸せであると思えるほど、共に仕事をする仲間だけでなく顧客に対しても、より多くのポジティブ感情を伝えるようになります。そして、最終的には、職場全体がポジティブな状態へと変わってゆき、大きなビジネス成果を生み出すのです。ポジティブ感情のドミノ効果と呼ばれるこの現象は、組織に対して大きな変化を起こすための小さな一歩の必要性を示唆しています。  職場の幸福度について興味をもたれた方、詳しく知りたい方はお気軽にご連絡ください。 以上