成長しているのに、なぜ組織は疲れているのか― 成長でも停滞でもない、組織の次の選択肢 |コラム|株式会社トランストラクチャ(東京都)

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成長しているのに、なぜ組織は疲れているのか
― 成長でも停滞でもない、組織の次の選択肢

売上は伸びている。利益も出ている。それでも、組織の空気はどこか重い。
コンサルタントの視点から現場を見ていると、この違和感を抱くことが多い。

目標は毎年更新され、評価制度も回っている。
けれど、数字が達成されるたびに歓声が上がるわけでもなく、「また一年が始まるのか」
という静かな疲労だけが積み重なっていく。
成長しているはずなのに、なぜ人はこんなにも疲れているのだろう。

背景には、私たちが長く共有してきた「成長し続けることが正しい」という価値観がある。

成長し続けることは良いこと。止まることは衰退。
そう信じる文化の中で、株主は成長を期待し、経営者はそれに応えようとする。
人事もまた、その前提のもとで制度を設計し、組織を回してきた。
誰かが間違っていたわけではない。
それぞれが、自分の立場で誠実だっただけだ。

ただ一つ、見落とされがちな視点がある。
自然界において、「成長し続けるもの」は例外なく不健全だという事実だ。

がん細胞は増殖を止めない。その結果、宿主は死ぬ。
健全な細胞は、成長期を終えると分化し、役割を変え、維持へと向かう。
成長し続けることは、世の摂理ではない。

それにもかかわらず、企業だけが「永遠に成長し続ける存在」であるかのように扱われている。
この無理が、組織をじわじわと疲弊させているのではないだろうか。

ここで考えたいのが、「維持」という言葉の意味だ。
成長しない=何も変えない、と思われがちだが、実際は逆である。
維持するためには、変え続けなければならない。

人は年を取り、役割は変わり、環境も変化する。
仮に事業規模や人数を保とうとしても、中身を更新しなければ、組織は自然に老いていく。
役割が固定されたままの人、形だけ更新される評価制度、惰性で続く会議やプロセス。
一つひとつは小さくても、組織の新陳代謝を確実に鈍らせていく。

成長しないことは、止まることではない。
会社も生き物だ。必要なのは、成長でも停滞でもなく「代謝」ではないだろうか。

代謝とは、拡大することではない。
何かを入れ替え、手放し、役割を変えながら、組織としての輪郭を保ち続けることだ。
人が入れ替わることもある。事業を縮めることもある。経営者がバトンを渡すこともあるかもしれない。

それは冷たい判断ではない。
無理を続けないための、ごく自然な営みである。

人事の役割も、ここで少し変わってくる。
「どう伸ばすか」だけでなく、「どう続けるか」「どう回復させるか」を設計すること。
成長前提の制度を回し続ける苦しさに、言葉を与えること。
そして、役割や期待を定期駅に更新し、組織の代謝が止まらないように支えることだ。

成長そのものを否定したいわけではない。
ただ、「成長し続けなければならない」という呪縛から、一度離れてみてもいいのではないか。そう問いかけたい。

成長しているのに疲れている。
もしそう感じているなら、それは個人の問題ではない。組織が、次の在り方を探し始めているサインだ。

あなたの組織はいま、「もっと大きくなること」と「健やかに回り続けること」。
どちらを本当に求められているだろうか。

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