
CASE STUDY
事例紹介
これまでに約20の業界、毎年数百件の
コンサルティング実績を誇ります。
企業規模や特定の業界に限らず、人事領域の課題を包括的な解決策を提供したこれまでの実績をご紹介します。
©️ Transtructure Co.,Ltd.All Rights Reserved.
©️ Transtructure Co.,Ltd.All Rights Reserved.
これまでに約20の業界、毎年数百件の
コンサルティング実績を誇ります。
企業規模や特定の業界に限らず、人事領域の課題を包括的な解決策を提供したこれまでの実績をご紹介します。
お悩みに合わせた解決策をご提供いたします。
トランストラクチャは、人事の課題を把握し、
解決する3つのフェーズ
「調査・診断」「計画・設計」「導入・運用」に対応した、
それぞれのサービスを提供しています。
組織・人事の状況を多面的に定量分析し、問題・課題を見える化する組織・人事診断サービスをはじめ、人事制度設計、雇用施策、人材開発の領域で多彩なサービスを提供。分析や戦略構築から、施策の実践、得られた効果の検証までサポートを通じて、真に経営に貢献する人事コンサルティングを行います。
組織や人事の課題解決には、その背後にある要因を正確に見極めることが不可欠との思いから、トランストラクチャはデータ分析を基にした定量的なレポートを提供。客観的かつ精密な課題の見える化により、分析や戦略構築、施策を適切に実践。効果の検証も可能です。施策の効果測定や進捗管理にも役立ちます。
当社を起点に、人事システム、退職金、給与計算などの人事関連サービス専門企業との緊密なネットワークを形成。組織・人事に関わるほぼすべての分野に対する良質なサービスの提供が可能です。企業が抱える組織・人事分野のさまざまな課題をワンストップで解決します。
トランストラクチャのコンサルタントは、徹底した教育とナレッジの共有、品質管理により、人事コンサルティングの最新知識から当社のサービスに関する方法論・テクノロジーまで熟知しています。全分野を網羅する課題解決力で、お客様の組織の成長と変革に向けた持続可能な人事戦略と組織体制を構築します。
組織・人事制度導入後も、最少2名の経験豊富なコンサルタントが伴走。長期的かつ持続的な改善を支援します。これによりお客様の組織に対する深い理解を得られ、その組織文化やニーズに適した戦略や改革の提案が可能。組織の持続的な成長と成功を支える重要な要素です。
人口減少・少子高齢化、テクノロジーの進化、働き方とライフスタイルの変化など、かつて経験したことのない変化が生じる2030年を見据えた組織と人事の課題解決はお済みですか?まずは、貴社の現状をお聞かせください。
トランストラクチャについての会社情報やサービス利用のご検討に際して当社の資料が必要な方に役立つ各種資料はこちらからダウンロードが可能です。ご登録メールアドレス宛にご希望の資料をお送りします。
トランストラクチャのコンサルタントが執筆したコラムを掲載するたびに、あらかじめご登録いただいたメールアドレス宛に更新情報をご案内します。まずはお問い合わせフォームより購読希望をお知らせください。
トランストラクチャでは、人事の課題解決に役立つ具体的な事例や、
最新の人事トレンドを反映した無料セミナーを積極的に開催しています。
組織と人事に関する最新情報やノウハウを発信。
ビジネスの現場ですぐにでも役立つ内容を厳選してご紹介します。
人事に関する魅力的なデータやチャートを
分かりやすく解説します。
これらの情報は、将来の人事管理に向けた基盤を提供します。
2025.04.10
昨今、人的資本の情報開示義務化の流れを受け、企業の教育投資意欲が高まっています。 企業向け研修サービス市場は、2023年度に前年度比4.3%増の5,600億円、2024年度には同3.6%増の5,800億円と予測されています。(※1) 2022年10月配信のHRデータ解説では、平成20年度から令和3年度調査までのOFF-JT(※2)の実施率と労働者一人当たりの教育費の推移を取り上げました。今回は令和5年まで広げた経過を、図表1にまとめてみました。 コロナ感染が拡大した令和2年(2020年)の出資企業割合は、過去最低の45.7%をマークし、令和3年(2021年)には一人当たりの費用平均額も過去最低の1.2万円となりました。令和4年(2022年)以降は徐々に増加しているものの、コロナ禍以前の値までには回復していません。 【図表1】正社員のOFF-JTに費用支出した企業割合と労働者一人当たりの費用平均額 出所:厚生労働省「能力開発基本調査」(平成20年~令和5年)に基づき作成 図表2は、縦軸に正社員に対するOFF-JTの実施率、横軸に経年での増減率を置き、各産業をプロットした散布図です。 【図表2】産業別OFF-JTの実施率と増減率) 出所 厚生労働省 「能力開発基本調査」(平成18年度~令和5年) に基づき作成 注1 平成18 ・19年度調査 と平成20年度~令和5年度調査の産業項目種別は一部異なるため、同サービスで集約・編集を行った 注2 「学術研究、専門・技術サービス業」は平成18年度調査ではデータがない為、平成20 年度の数値を一番古いデータとして使用した。 OFF-JTの実施率が高く経年で増加もしている情報通信業・金融業は、恒常的に新しい知識や技術のアップデートが求められ、OFF-JTを有効活用し効率的な社員教育を実施していると思われます。コロナ禍以降当たり前になったオンライン研修や、デジタル機器の発達も増加要因の一つでしょう。現場主導で実務習得の指導が欠かせないサービス業や宿泊業・娯楽業では、いわゆるOJT(※3)がメインの教育方法であり、OFF-JTの実施率・増減率はいずれも低いと考えられます。 人手不足が顕著である医療現場や建設現場では、継続的にOFF-JTを実施していても、増加はしていません。戦力として早期の立ち上がりを求められ、集合研修参加の時間捻出が難しい逼迫した就業環境では、時間と場所を問わない教育方法が求められていると予想できます。 eラーニング市場の拡大(※4)はこういったニーズを受けた結果であるとも考えられます。 教育投資強化を検討する際、外部データから事業特性の傾向と時流を掴むことは、自社の社員教育の在り方を見つめ直す有効な機会になり得ます。 企業研修市場が盛り上がっている今、ただ「実施した」ことに満足するのではなく、本当に社員が「学ぶ」ことが出来たのか、時間を投下した分の成果が得られるのか、社員教育の真価が問われる局面ともいえます。人的資本の指標だから、ではなく、自社の目的に最適な教育投資が実を結んだ暁には、人材採用力や人材定着力が強化され、企業ロイヤリティの向上にも繋がっていくでしょう。 ※1 出所 矢野経済研究所、「企業向け研修サービス市場に関する調査」(2024) ※2 OFF-JTとは、業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修)のこと(出所:厚生労働省、「能力開発基本調査」) ※3 OJTとは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練のこと(厚生労働省、「能力開発基本調査」) ※4 2022年度の国内eラーニング市場規模は、提供事業者売上高ベースで前年度比4.3%増の3,705億円を見込み、さらなる拡大が見込まれる(矢野経済研究所、「eラーニング市場に関する調査」、2023年4月) 以上
2025.03.27
現在日本において、労働力不足は深刻な問題となっています。年々人口は減少し、高齢化の進行は止まりません。そのような中でも経済を止めるわけにはいきません。女性活躍、定年延長、Wワークなど労働力確保のための対策がなされています。その中で、外国人労働者の活用にも期待がかかるところとなっています。 2023年の10月時点の集計で、日本で雇用されている外国人労働者は過去最高の200万人を超えました。対前年増加率は12.4%、人数としては約22万人増加と、コロナ禍を経て多くの外国人が日本で就労しています。また、外国人雇用事業所についても年々増加しており、外国人労働者の活用は拡大しています。 【図表1: 外国人雇用事業所数及び外国人労働者数の推移】 出典:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況に基づき作成 産業別で賃金を比較すると、各産業の正社員・正職員の平均賃金よりも低く、正社員・正職員以外と同等かまたは少し高いという水準です。 外国人労働者の賃金は月額約24万円で、これは一般労働者の約7割に相当します。外国人労働者にも日本の法律が適用され、最低賃金も日本人同様です。しかし、一般の水準に比較して低いのは、在留資格区分による賃金の違いがあります。「技能実習」の区分は月額17.7万円と低く、それにより外国人労働者の平均賃金が下がってしまっていると言えます。技能実習生の問題は多く耳にするところですが、人材育成を通じた国際貢献を目的とした制度にも関わらず、労働力確保の手段として利用されるケースがあり、低賃金、長時間労働、ハラスメントなどの事実もあり、失踪してしまうケースもあるのが実情です。 高水準とは言い難い賃金ながら、わざわざ日本に来て就業するのは、自国の平均所得と比べれば日本は母国よりも高いためです。国籍別で見ると、ベトナムからの労働者が最も多いですが、ベトナムの平均月収は約4万円です。 【図表2:第一次産業年齢別就業者数】 出典: 「令和4年 賃金構造基本統計調査」に基づき作成 日本で稼いで、自国に仕送りをするなど、「稼ぐため」に日本での就業を選んでいる労働者も多い一方で、在留外国人に対する基礎調査では、就労関連での困りごととして、「給料が低い」というものが最も多く選ばれています。再度ベトナムの例をあげると、ベトナムは近年経済発展が見込まれ、賃金が上がってきています。そのような発展途上国と呼ばれていた各国の賃金が上がり、日本は賃金が上がらないという構造が続けばわざわざ日本で働く魅力は無くなってきてしまいます。 【図表3:就労に対する困りごと】 出典: 出入国在留管理庁「令和4年度 在留外国人に対する基礎調査」に基づき作成 賃金に対して不満がある外国人労働者が多いということは事実ですが、それでも日本に来て働こうという理由は他にもあるでしょう。外国人労働者を雇用するのであれば、外国人労働者と「共生」を考え、そのサポート、フォローアップを徹底する体制を整え、やりがいを持って働いてもらう基盤と意識を作ることが重要です。ただ、日本人のみの会社においても、定着してもらい、気持ちよく働いて活躍させるのは苦労するところです。外国人労働者を雇用するならば倍以上、社員の働きがい、働きやすさについて意識を向ける必要があるのではないでしょうか。 以上
2025.03.13
令和6年の技術者の大卒初任給の平均は約22.6万円であり、令和に入り増加傾向にあります。特にベースアップ・賃上げおよび人材不足の影響を受けて、ここ2~3年の増加は急激です。 ここ最近の初任給の増加傾向を把握するため、平成16年から平成30年の15年間と令和の6年間の初任給額の推移を見てみます。 図表1は、平成16年以降の技術者と事務員の初任給額の推移を示しています。 平成16年からの初任給額の推移を大卒の職種別で見ると、15年間で技術者は8,448円増加、事務員は10,824円増加しています。同じく大卒の職種別の令和以降の初任給額の推移は、技術者は19,752円増加、事務員は18,852円増加しており、平成15年間の増加を令和6年間で約2倍増加していることがわかります。このことから、令和以降の初任給が急激に増加していると言えます。特に技術者は令和以降の増加率が、平成と比べると約2.3倍(事務員は約1.7倍)に増加しており、より顕著な増加となっています。 [図表1]大卒初任給 技術者・事務員の推移(企業規模計) 出典: 人事院「職種別民間給与実態調査」(2004年~2024年)に基づき作成 図表2は、平成16年以降の技術者の初任給額の推移を企業規模別に示しています。 企業規模別に見ると、500人以上の企業が令和以降25,005円増加(平成と比べると増加率は約2.3倍)と、500人未満100人以上の企業の令和以降14,574円増加(平成と比べると約2.2倍)と差は拡大している傾向にあります。 [図表2]大卒初任給 技術者(企業規模別) 出典: 人事院「職種別民間給与実態調査」(2004年~2024年)に基づき作成 ※平成16年、平成17年の調査分類は500人未満の企業のみの為、当図表では100人以上500人未満として示している。 日本の労働市場では、人材不足が顕在化しており、特に技術者の獲得競争が激しさを増しています。その影響もあり、新卒の初任給が急激に上昇しています。これは企業が優秀な技術者を確保するために大きな努力をしていることを示しています。また、この努力の度合いも企業間や企業規模間で差が広がっていることを示しています。 政府が主導する賃上げ方針と人材不足の現状を考慮すると、初任給や賃金の上昇傾向は今後も続くと予想されます。ただし、これらのコストを商品やサービスの価格に転嫁できなければ、企業には大きな財務負担がのしかかることになります。 特に年功序列色が強い賃金制度では、新卒初任給の急上昇に伴い、賃金カーブ全体も急激に上げざるを得ません。その結果、社員全体の賃金が短期間で大幅に増加し、中長期に企業の人件費が増加します。 単に初任給や賃金を引き上げるだけでは、根本的な問題は解決しません。中長期的な人件費の管理を計画し、全体的な人事制度の見直しが必要です。社員一人ひとりが長期にわたって安心して活躍できる職場環境を提供することが、優秀な人材の獲得と定着に重要です。これにより、企業全体の成長と発展が期待できます。 以上
トランストラクチャのコンサルタントによるコラムをお楽しみください。
多くの企業様へのサポートを通じて蓄積された知識や、
日々の人事・経営に対する洞察をシェアします。
2025.04.21
管理職の登用試験として使われるアセスメント(アセスメントセンター方式)は、シミュレーション演習下の候補者たちの言動をアセッサーという専門家が観察・評価する。それが登用試験として効果的なのは、「入学評価」つまり、まだやったことのない管理職の必要な能力をもっているかどうかの見極めができるからだと、前回書いた。 社内評価は、環境要因や情状、主観も影響するし、どうも能力評価が正しいかどうかもあやしい。だから客観的で正しいであろう外部視点評価を使う、ではないことに留意したい。あくまでも、社内評価=現状職務での能力発揮に対して、アセスメント=「未経験の職務」の能力発揮可能性を測定できることの効用、ということだ。 ことさらにこう書くのは、ときに、アセスメントの結果だけで管理職の登用判断を行っている会社もあるからである。アセスメントは、管理職能力発揮可能性を診るには信頼性の高い、しかも相対評価でない絶対評価の手法ではあるけれども、そこには、すぐれた効用とともに限界もある。だから、テストとして合格点クリアだけで登用者を決めるという単純な運用をすることにはリスクがある。 よくなされているように、社内評価(人事考課を含む経営の評価)の高低とアセスメント結果の高低を二軸にとって、4象限にプロットし、ギャップある象限の人たちを個別詳細に検討するといった総合的な判断は、最低減必要なことである。そのポイントは、ギャップの原因を、総合点だけではなく、ディメンションごとに検討することだ。たとえば、オペレーショナルな能力(情報理解力、分析力など)と経営的能力(戦略立案力、視座の高さ、人材育成力など)にわけて見る。 前者は、現状職務と今後になう管理職務でも通底するから、ギャップがあれば気になるところだ。【社内>アセスメント】であれば、その人には専門性や業務習熟の面で強みがあるのかもしれないし、【社内<アセスメント】であれば、現状職務や職場とのミスマッチに起因するのかもしれない。後者の経営的能力は、現状職務では求められていないことも多いから、アセスメントならではの能力評定判断として優先できるが、権限移譲して管理職務を一部担わせているような場合、その社内評価とのギャップがあれば、その理由についての検討が必要だろう。 とくに、注意が必要なのは対人能力である。そこに、アセスメントという手法の限界があるからだ。アセスメント・ディメンションは、①思考系能力(課題解決や方針・計画を策定する力) ②対人系能力(他者を理解し動かす力) ③資質・姿勢(達成志向や自律一貫性) の3カテゴリーに分かれている。うち、①と③は、かなり正確に測れるけれども、②の評点には注意が必要なのである。 なぜか。シミュレーション演習のなかでは、対人行動は「演じる」ことができるからである。演習のなかに、「面接演習」というものがある。アセッサーが厄介な部下役となり、部下面談をやってもらうものだが、試験として観察されているわけだから、実はハラスメント満々の人でもそれをおくびにも出さずに、正しい部下コミュニケーションを演じたりする。本性を見たいアセッサーは、ことさらに嫌な態度で応えるのだが(まれにそれが昂じて、リアルに喧嘩になってしまうほど)、思考力の高い人であればなおのこと、効果的な演技に徹する。 逆に、アセスメントでは対人系能力の評点が低い人が、実は、日常業務ではたいへんな「人たらし」で仕事の成果を出していたりする。この対人能力も、アセスメントではたいへん見にくい。シミュレーションのなかで、人をたらしこむ必要もないし、そもそも、個々人の行動発揮から保有能力を測るアセスメントでは「他者を動かし、他者を巻き込んだ」行動発揮は、見ようがないからである。 もう一点、留意すべきアセスメントセンター方式の限界がある。アセスメントは、モチベーション=内発的動機を無視していることだ。内発的動機は、思考力とくに創造や発想、企画に関わる能力の原動力であることが認知科学領域では定説である。しかしアセスメントは、アウトプットされた行動から思考力を推察するものだから、アタマのなかのメカニズムは見られない。思考力を駆動する内発的動機をもつ人の強みには関知しないのだ。 たとえば、目の前の仕事が大好きで、なんとかお客さんに喜んでもらいたい、価値提供したいとエンゲージされ、日常業務では高い能力を発揮している人が、「あなたは、〇〇工場に工場長として赴任しました…」というシミュレーション・ケースに臨んだとき、持ち前のモチベーションの高さが再現できなくても不思議ではない。結果、思考力の評点が低く出ているとすれば、そのギャップは慎重に検討すべきだろう。 ゆえに、アセスメントの効用(と限界)を正しく理解し、社内評価や社内での職務状況とのギャップを併せ、総合的な登用判断を行うことが必要なのである。 *アセスメント活用の効用と留意について提起する3回シリーズ。 ■「登用の失敗」はなぜおこるか(アセスメント活用の勘所①) ■外部視点評価を過信するな(アセスメント活用の勘所②)今回 ■VUCAリーダーをどう見極めるか(アセスメント活用の勘所③)2025年5月予定 本コラムの筆者が登壇! ぜひご来場ください。詳細はこちら 【対面型セミナー】「失敗しない管理職登用判断の方法」 ~人事が知っておくべきアセスメント活用のポイント~
2025.04.04
きっちりと成果を出し、職務遂行能力にも問題ないと判断して、管理職に登用してみると、どうにも困ったマネジャーだったということがある。なんであんなヤツを上げたんだ、と人事部が経営から非難される、いわゆる管理職への「登用の失敗」。その原因は、名プレーヤーは必ずしも名監督ではない、というありふれた警句そのものにある。 つまり、卒業評価≠入学評価であるのにも関わらず、卒業評価だけで昇進を決めてしまうからだ。在籍等級でのパフォーマンスが高いけれども、管理職としてやれるかどうかはわからないのに上げてしまうということである。じっさい多くの会社の昇進運用は、卒業評価だけに終始しているように見える。 『日本の人事部 人事白書2024』(株式会社HRビジョン)によれば、管理職登用に際して重視する要件は、①これまでの実績・成果(75%)、②保有している能力(60%)、③人柄(50%)。名プレーヤーであれば当然、①実績・成果は申し分ない。問題は、②保有能力である。 それを、何で見るか。『JMAM 昇進昇格審査 実態調査2022』(株式会社日本能率協会マネジメントセンター)によれば、審査内容のトップ2は、「人事考課」(87%)と「上司推薦」(81%)。人事考課の結果は、現在の等級における能力評価であって、管理職能力の有無やレベルは示さない。管理職業務は経験していないし、評価項目も管理職能力ではないからだ。上司推薦では、「こいつは、管理職もできそうだ」という上司の判断はあるだろうが、客観性には疑問がある。 半数程度の会社が、テストも行っているが、「面接試験」(58%)や「論文・レポート試験」(46%)、「社内知識試験」(42%)といった社内基準の試験がほとんどで、意欲や知識は見て取れるものの、管理職に必要な能力を客観的に測定するものとは言えない。昇進に際して、管理職能力の多寡、つまり管理職ができるかどうかの可能性判定をしないで決めている会社がじつに多い。 やるべき入学評価とは、卒業できる(=当該等級での必要能力を持ち結果も出している)候補者たちの、管理職という「未経験の職務」の能力発揮可能性を判定することだ。その方法として、一番確かなのは、実際に管理職務をやらせてみることである。たとえば、上司(課長)の視点にたって自組織の課題を設定させ、1年間のPDCA実践による課題解決を課し、役員面接などで「課題の妥当性と実践の成果」を判定する審査プロセスを組めばよい。 ただこの方法は、もっとも効果的実践的ではあるものの候補者の負荷はもちろん、上司や人事部にとっての負荷が高い。端的に試験によって、管理職能力の発揮可能性を見たいということであれば、アセスメントセンター方式の能力評価を行えばよい。この方法は、まさに、「未経験の職務」の能力発揮可能性を診断するための専用ツールであり、管理職の職務状況をシミュレーション演習として用意し、候補者全員が同じ状況下での行動発揮を課せられ、その行動を観察・分析することで、保有能力レベルを判定する。 アセスメントセンター方式とは、第二次大戦中に諜報員の選抜試験として開発されたといわれる能力判定手法。社会心理学者クルツ・レビンの方程式B=f(P・E)を原理とし、行動(B)は、環境(E)と個人の能力・資質(P)の関数であるから、シミュレーション演習によって環境を固定し、そこでの行動を観察・分析すれば保有能力の評定ができるというコトワリである。 さきの昇進昇格審査実態調査によれば、約3割の企業がこの試験を行っている。昔から、昇進審査としてのアセスメントの精度は定評あるものの実施企業数がまだ少ないのは、ここに書いたような「登用の失敗」の原因にそもそも気づいていないか、あるいは、わかってはいても、試験と言いながらも、1~2日間の研修形式で行い、アセッサーという専門家たちが観察して評価するための手間と費用がかさむことがネックになっているのかもしれない。 しかし、能力測定手法においてもDX化は進んでいる。「未経験の職務」の能力発揮可能性を診断する原理とITC技術の融合により、自社の状況や要件や制約に即した「入学評価の道具」は、いかようにでも設計できるのである。 *アセスメント活用の効用と留意について提起する3回シリーズ。 ■「登用の失敗」はなぜおこるか(アセスメント活用の勘所①) 今回 ■外部視点評価を過信するな(アセスメント活用の勘所②) ■VUCAリーダーをどう見極めるか(アセスメント活用の勘所③) 本コラムの筆者が登壇! ぜひご来場ください。詳細はこちら 【対面型セミナー】「失敗しない管理職登用判断の方法」 ~人事が知っておくべきアセスメント活用のポイント~
2025.03.10
「ダイバーシティ推進を進めるためにはどのようにしたらよいでしょうか?」以前ダイバーシティコンサルタントという立場で各企業の人材開発・組織開発に携わっていたころ、最も多く受けたのはこのようなシンプルな質問であった。 2023年のノーベル経済学賞は、男女の賃金格差についての包括的な研究を行った米ハーバード大学教授のクラウディア・ゴールディン氏が受賞した。日本でもメルカリが自社の男女の賃金格差を公表するなど、男女の賃金格差についての議論も多くなっている。 だが、日本はジェンダーギャップすら解消できていない。2023年の日本のジェンダーギャップ指数は世界125位で過去最低と世界標準から程遠いのが現状だ。 また、DEI(Diversity(ダイバーシティ)、Equity(エクイティ)、Inclusion(インクルージョン)の頭文字)という言葉を聞くことも多くなっており、ギャップの解消や平等性や公平性が混在して議論されているなど、各企業の取り組み状況はバラバラである。 ジェンダーギャップすら解消できていない状況の企業も多くあるが、成功するための3つのポイントを紹介したい。 ➀経営上重要な戦略としてのダイバーシティを明確に位置づける 社会的な要請から取り組む企業は多いが、あくまでダイバーシティをポジティブな変化として捉えイノベーションの創出や成長機会として捉えることが重要だ。 公平性が担保されているかどうかという各企業が取り組んでいる現在のステージから、 視野・視座を上げて組織力強化やビジネスシーズの創出という、成長機会の取り組みとしての早期のステージ転換が必要となる。 ➁ダイバーシティ推進管理職へ浸透させ、管理職の実行力を高める 中期経営計画にダイバーシティや女性活躍推進を盛り込んでいる会社は多いが、戦略や内容が各管理職に浸透していない会社が非常に多い。 なぜ自社がダイバーシティに取り組むのか共通言語化されていない会社は多い。 ダイバーシティ推進を進めるためには、ダイバーシティをどのように職場で推進し、成果に繋げるか管理職に腹落ちさせることが必要である。 また、視座や視野を高めるためにダイバーシティをテーマとした管理職への教育機会も必要。 ➂成功事例を社内で作り、社内外に情報発信する カルビーの女性活躍推進事例(※1)が、非常に分かりやすい事例であるため、ここで紹介したい。カルビーは、顧客である消費者の半分は女性だから、女性の意見を取り入れて企業経営をするために、女性の管理職比率を多くすると、トップからメッセージを発信した。 その結果商品として生まれたのが、「フルグラ」。今では売り上げを支える重要な柱となっている。もちろん、イノベーションだけではなく、女性で時短勤務の執行役員を置くなど、戦略推進を支える組織作りも同時に行っていた。旗振り役であったトップが、結果を社内外に発信することで、カルビーは女性活躍推進を推進している企業であるというブランドイメージも獲得した。 社内外の結果のアピールは、浸透を進める上でも効果が大きい。 人的 資本開示の義務化など、社会的な要請が強くなり取り組んでいる企業も多いが、旗振り役であるトップからのシンプルで継続的な分かりやすいメッセージなど、一過性のものではなく、ダイバーシティは企業成長の源泉として継続して取り組み続けることが必要である。 経営層や人事・ダイバーシティ担当の皆様と共に解決できるように伴走していきたいと思う。 ※1 筆者による関係者ヒアリングと併せて、以下を参考:カルビー、7期連続の最高益の裏側に「女性の活躍」あり | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
私たちは「“見える化”を強みとした、
企業の持続的な成長・発展を後押しする組織人事コンサルタント」として、
日本社会が抱える多くの課題に向き合い、企業の未来を見据えています。
2025.03.11
2025.03.03
2024.12.27