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賃金引上げ率の推移と参考指標<br />~自律的な報酬水準のコントロールを~ | モチベーションサーベイ

賃金引上げ率の推移と参考指標~自律的な報酬水準のコントロールを~

 2022年以降の物価上昇率の伸長と実質賃金が目減りしている状況等を踏まえ、2023年12月、政府は物価上昇率を超える賃上げを実現できるよう、賃上げ税制を抜本的に拡充しました。同11月末には、「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査」が厚生労働省より発表されており、2023年の各社の賃上げ状況が見えてきました。  賃金の改定を実施した又は予定している企業は、89.2%(前年86.6%)。管理職のベースアップを行った・行う予定の企業は43.4%(前年24.6%)、一般職のベースを行った・行う予定の企業は49.5%(前年29.9%)と前年から急上昇しました(※ベースアップの実施割合は、管理職及び一般職で定昇制度がある企業を100.0%とした場合の割合)。  図表1は1人平均賃金の改定額・改定率の調査結果と、消費者物価指数(CPI)の推移です。昨年の1人当たりの平均賃金の改定額は9,437円、改定率が3.2%と、消費者物価指数(CPI)の上昇を追いかけるように大幅に伸びているのがわかります。 <図表1> 1人平均賃金の改定額(円)及び改定率(%)と消費者物価指数(%)の推移 出所: 厚生労働省(2023)『令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査』,総務省統計局(2023)『消費者物価指数(CPI)』をもとに作成 注1 図表は「1人平均賃金の改定額及び改定率の推移」と「消費者物価指数(CPI)」より加工 注2 消費者物価指数は生鮮食品を除く総合。2023年のCPIは日銀の予測(2023年10月31日時点)より引用  注目される2024年以降の賃上げですが、皆さんの企業ではどのように検討を進めているでしょうか。他社が何を参考指標としているのか、同調査結果を見てみましょう。 <図表2> 賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素別企業割合の推移 出典:出所:厚生労働省(2023)『令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査』をもとに作成 注1 図表は「企業規模、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素別企業割合」より加工したもの。 注2 賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業のうちの割合。ただし、平成20年調査以前は賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業のうち、改定に当たり最も重視した要素に記入のある企業を100.0%とした割合であり、比較の際は注意を要する。  図表2は、賃金の改定を実施した又は予定している企業において、賃金改定の決定の際に最も重視した要素の推移です。2023年は、「企業の業績や前年実績、関連会社の動向」の割合が42.2%と最も多くなっており、次いで「雇用・労働力の確保」が28.9%、「世間相場・物価の動向」が14.6%となっています。注目すべきは、前年に比べて「雇用・労働力の確保」と「世間相場・物価の動向」の割合が急増しており、「重要視した要素はない」とした企業が減少していることです。それだけ昨年の賃金改定では、世の中の動向と従業員への配慮を念頭に置いて検討した企業が多かったということです。  報酬はハーズバーグの二要因理論からすると「衛生要因」であり、不満足の要因になります。一旦報酬水準が上がったとしても、それを継続しないと、また不満足の要因になるということです。  社員の報酬満足を維持するには、「世間の賃上げの気運が高まっているから」ではなく、労働市場における報酬水準や物価等を定期的(例: 半年ごと、年次など)に把握しつつ、自社の業績なども踏まえ、自律的に報酬水準をコントロールしていくことが望ましいです。  企業は成長を続けないと報酬満足を維持していくことは難しいため、人的資本経営の観点における適正な報酬水準のコントロールとともに、人材のパフォーマンスを高めるマネジメントや育成も重要になってきます。  従業員への適正な報酬とパフォーマンスマネジメントが、企業と従業員の間の相互信頼を築き、持続可能な業績向上へつながっていくでしょう。 以上

有給休暇は取りやすくなったか<br />~取得率推移と産業別比較~ | モチベーションサーベイ

有給休暇は取りやすくなったか~取得率推移と産業別比較~

 年次有給休暇の取得率は低いと言われてきました。労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的とした有給休暇ですが、請求することへのためらいから取得率は低調であるとされています。2019年より働き方改革の一環として、年に5日の有給休暇を取得させることが経営者の義務となりました。有給休暇の現状と、労働時間、その課題はどういったものでしょうか。  労働者一人当たりの平均年次有給休暇取得率の推移を見ると、ここ数年取得率はやや上昇傾向です。しかし、政府は令和7年までに有給休暇の取得率を70%までにするという目標を掲げており、現在そこにはまだ及ばず、まだ「有給休暇がとりやすい」とはまだ言い難いのではないでしょうか。このまま取得率を上げていくためには、各企業において有給休暇取得の促進を図っていくことが必須です。  では、労働時間はどうでしょうか。総実労働時間・所定内労働時間・所定外労働時間の推移を見ると、2018年までは横ばいが続きましたが、コロナウィルスの影響による労働時間の抑制も影響してか2020年は総実労働時間・所定内労働時間・所定外労働時間すべて減少しました。コロナウィルスは労働時間に抑制にいい意味でも悪い意味でも影響を与えたと言えます。社会の変化を契機に、労働者の意識の変化も起こりました。仕事とプライベートの両立ができる労働時間や、休暇の取得は労働者にとって非常に重要なポイントになっています。道半ばの有給休暇取得率、労働時間の抑制がどのように推移していくかは、各企業の今後の取組みにかかっていると言えます。 (図表1:有給休暇取得率と労働時間の推移) 出典:厚生労働省 令和3年就労条件総合調査厚生労働省 令和3年版 労働経済の分析 -新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響-  ※労働時間:労働者が実際に労働した時間数。休憩時間は給与支給の有無にかかわらず除かれる。有給休暇取得分も除かれる。    産業別の有休取得率を見ると、産業別に有給休暇の取得率に差があることがわかります。特に電気・ガス・熱供給・水道業のインフラ関連については73.3%と高水準です。一方、卸売業、小売業や宿泊・飲食サービス業などは50%を切っており、有給休暇の取得がし辛い現状が見て取れます。不特定多数の一般顧客がメインの顧客である産業ですが、近年人材不足は深刻です。業務が回らない部分の解決のため、例えばホテルのフロント受付業務を人ではなく、機械に置き換える、小売店でのセルフレジの導入を進めている企業も増えています。システムの活用と社員の活躍のバランスを取り、社員が休みを取ることができる状況を模索することは必須です。 (図表2: 産業別労働者1人平均有給休暇取得率) 出典:厚生労働省 令和3年就労条件総合調査  有給休暇の取得は労働者の権利です。必要に応じて気兼ねなく、取得できるようにするには組織の風土の問題があります。有給休暇を取ることを申し訳なく感じることなく申請を出すことができる組織の雰囲気の醸成です。その雰囲気醸成の手前には、有給休暇取得をしても仕事が滞りなく進む状態が必須です。有給休暇で休む人がいたとしても業務が滞らない体制、準備、システムの活用など、人の数だけでなく業務全体を見通した改善を検討する必要があります。 社員がメリハリを持って働く環境を整え、労働生産性の向上、社員の満足度を向上させる風土と体制づくりを実現し、本当の働き方改革を実行していくことが求められます。 以上

育休取得状況の推移<br />~仕事と家事を見直すチャンス~ | モチベーションサーベイ

育休取得状況の推移~仕事と家事を見直すチャンス~

 育児休業(以下育休)とは、育児をする労働者を時間的かつ金銭的に支援する制度です。育休は、男女の雇用機会の均等の実現、少子化への対応などといった社会的責任があり、経営者、人事がその責任を強く認識していく必要があります。  日本の育休取得率は全体として非常に低い水準です。特に男性の育休取得率は他国に比べても著しく低く、女性の育休取得率は85%に対し、男性はわずか14%弱です。しかも数年前まではわずか2%程度という状況でした。(図表1) 育児や家事の負担が女性に偏り少子化の要因になっている背景を踏まえて、政府は、2025年までに男性の育休取得率を30%に上げる数値目標を掲げています。 (図表1:育児休業取得率の推移) 出典: 厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」「育児・介護休業制度等に関する事項」 注)本調査は男女別に掲載されているグラフを、1つのグラフに統合している。  男性の育休取得率は目標の30%まで程遠いですが、増加傾向であることは好ましい状況です。しかし取得率が上がっても育児休業期間について大きな問題があります。企業の対応や社内での理解との間に温度差があることで”短期間の育休”を取得する男性が多いのが実情です。性は、半数が1年以上の育休期間を取得する一方で、男性は、半数以上が2週間未満の期間しか取得していません。男性は育休を取得しているとはいえ、その期間についてはまだ十分ではないと言えます。(図表2) (図表2:取得期間別育児休業後復職者割合) 出典: 厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」「育児・介護休業制度等に関する事項」      (単位:%) 注)「育児休業後復職者」は、調査前年度1年間に育児休業を終了し、復職した者をいう。  男性の育休取得及び育休期間が女性と比較してまだ不十分である要因は、主に4つあると考えられます。「育休取得による代替要員の確保」、「業務の引継ぎ調整」、「育休取得による不利な処遇になる懸念」、「前例がない等の社内文化」です。  1つ目と2つ目の要因は、「実際に抜けた『穴』を問題なく埋められるのか」についての懸念です。業務の担当者がいなくても問題なく遂行させるためには、”あの人にしか分からない”といった業務の属人化を解消し、標準化させる必要があります。また業務の棚卸しが出来れば、その仕事に見合った人材のレベル感や、業務の難易度を元に給与のレベル感を再定義できる機会にも繋がります。 (図表3:男性部下の育児休業への懸念) 出典:サイボウズチームワーク総研『「男性育休」についての意識調査』    ・調査対象:部下に男性正社員/公務員をもつ上司(課長職相当~経営者):2,000名 ・調査期間:2022年4月15日(金)~20日(水) ・調査方法:パネルを活用したインターネット調査    3つ目の要因は、会社と本人の間で認識の齟齬が生じていることです。会社としては、法律で認められた制度であり不利益な処遇をしてはならないと認識している一方で、本人にとっては“育休が昇格や昇給の妨げになるかもしれない“と懸念し、両者間で処遇に対する認識が一致していない可能性が考えられます。昇格や昇給の判定に育休の取得有無は全く関係が無い、ということを会社は社員に対して適切に周知していく必要があります。  4つ目の問題である前例がない等の社内文化は、経営者や管理職の視点によるものです。部下に対して育休を取得しやすい環境を作るのはもちろんのこと、担当者が不在でも業務が回る仕組みを構築することは“前例がない”に対する解決策の1つとなるでしょう。  ご家庭内での家事分担における個人の意識の改善も重要です。出産前後で生活環境や家事の内容は大きく変わり、出産後の女性が一手に家事を担うのは負担が大きいです。家事をパートナーに任せっきりにせず、なるべく分担をし、育休期間の間に家事・育児の新生活に慣れることが望ましいです。  育休は、取得すれば良いということではなく、十分な期間を設けて育児をすることが本質的です。育休を皮切りに、今一度会社の仕事の在り方・ご家庭での家事分担を振り返ってみてはいかがでしょうか。

新卒社員の離職率<br />~企業のキャリア教育に対する責任とは~ | モチベーションサーベイ

新卒社員の離職率~企業のキャリア教育に対する責任とは~

 新卒採用しても一戦力化する前に離職してしまうという課題を抱えている人事担当者の方は多いのではないでしょうか。日本はゼネラリストとして育成することを前提とした採用が中心のため、一人前として成長する前に離職となると企業にとって大きな損失となります。離職防止策として初任給の引き上げが行われることも多いですが、社員がモチベートされる理由は賃金以外にも様々な理由があります。そのため、各企業は賃金以外についても課題がないか実態を把握する必要があります。  新規大学就職者の3年以内離職率は企業規模が大きいほど低くなるものの、最も離職率が低い1,000人以上の企業でも約25%と4人に1人は入社3年以内に退職しており、非常に高い傾向にあります。企業規模が大きくなるほど退職率が低くなる理由としては、大企業ほど社員への雇用責任が強く求められ、雇用者が手厚く守られているということが挙げられます。 (図表1:新規大卒就職者の企業規模別3年以内離職率(平成30年3月卒)) 出典:厚生労働省「令和3年 新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」を加工して作成  そして、最も離職率の低い大企業でも約25%もの新規大卒就職者が退職しているということは、採用の際に企業側と学生側で職務に関するミスマッチが起きていると考えられます。  現に、自己都合退職した20~24歳の離職理由として、「満足のいく仕事内容でなかったから」が約4人に1人おり、「賃金が低かったから」を若干上回ります。この背景として、日本におけるキャリア教育は不十分であり、実際に働くことを想定した講義は多くないということが挙げられます。キャリア教育が不十分な結果、仕事を通じて実現したいことは何か曖昧なまま就職活動を行い、働くにつれ「想像していた仕事と違う」となった結果、離職に繋がっているのです。企業側も、新卒一括採用で一度に多くの候補者の中からポテンシャルを重視して採用することも多く、その人が本当に適性や業務遂行する十分な能力を有しているのか正確に判断することは難しい状況です。 (図表2:20~24歳における自己都合退職者の離職理由) 出典:厚生労働省「令和2年 雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」を加工して作成注)上記データは「最終学歴」「直前の勤め先での就業形態」「現在の勤め先での就業形態」による区分はされておらず、また、新卒者以外も含まれる。  また、20~24歳の転職者が今の勤め先(転職後の勤め先)を選んだ理由として最も多く、約半数を占めるのは「仕事の内容・職種に満足がいくから」です。「自分の技能・能力が活かせるから」が次に続いていることからも、就職前ではなく働き始めてから、自らの適性や仕事を通じた目標などキャリアが明確になり、新たな環境を選択する社員が増えていると推察されます。 (図表3:20~24歳の転職者における今の勤め先を選んだ理由) 出典:厚生労働省「令和2年 雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」を加工して作成注) 上記データは「最終学歴」「現在の勤め先での職種」「現在の勤め先での就業形態」「事業所規模」による区分はされていない。  職務に関するミスマッチを減らすために、企業・教育機関は連携して、学生が働くことに対して向き合う機会を積極的に提供しなければなりません。例えば、長期休暇期間だけの補助業務や体験業務のような短期インターンシップだけではなく、より実務に近い業務を担う長期間のインターンシップ制度を充実させることで、企業・学生共に適性を把握することができます。また、学校は働くことを意識した講義の充実に加え、学生がインターンシップで認識した不足しているスキルを補えるような環境を整備しなければなりません。 また、採用担当者は、選考段階から入社後に担う職務と目指すキャリアゴールを説明しなければなりません。説明するためには、どのような方針をもとに人事制度が制定されているのか採用担当者は理解を深める必要があります。そもそも人事制度のコンセプトと会社方針が連動していない場合は人事制度そのものを見直さなければなりません。経営目標を達成するにはどのような人材が求められ、各人材群はどのようなキャリアを描くことができるのかが整理されて初めて、採用すべき人材が明確になります。  新卒社員の離職率を下げるためには賃金以外にも、「どのような能力を発揮し、キャリアを歩んでもらいたいのか」という企業側の思い、そして、社員一人ひとりの「職務を通じて達成したい目標」の双方が合致するよう、採用までの在り方を見直さなければならないのです。 以上

健康寿命とシニア人材<br />~シニアの活躍こそ日本の成長につながる~ | モチベーションサーベイ

健康寿命とシニア人材~シニアの活躍こそ日本の成長につながる~

 ひと昔前までは60歳で定年退職し、退職金をもらいその後の余生はゆっくりすごしたいと思っていた方も多かったのではないでしょうか。高年齢者雇用安定法が令和3年に改定され、70歳までの就業確保措置を講じることが企業の「努力義務」となりました。今後働き続けるためには、本人にとっても、そして企業にとっても健康であることが前提です。今回は健康寿命について解説してまいりたいと思います。  図表1は平均年齢と健康寿命の推移を示しています。「健康な人」というのは、全国から無作為抽出された国民を対象に,「あなたは現在,健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」の質問対して,「ない」と回答した人のことになります。  健康年齢を男女別で時系列に推移をみると、男性は2001年に69.4歳でしたが、2019年には72.68歳上昇、そして女性は2001年には72.65歳でしたが、2019年には75.38歳と75歳を超えています。また男女の差は、女性のほうが健康寿命が長い傾向はかわらないものの、2001年に男女で3.25歳あった差が、現在2.5歳とその差が縮小しています。平均年齢と健康寿命ともに上昇傾向にあり、平均年齢と健康寿命の経年の差に大きな変化は見られませんが、健康寿命に男性は約9歳、女性は約12歳を加えた年齢が平均寿命で推移しています。このままの傾斜で推移すると、2030年の健康寿命は男性が約74歳、女性は約76歳となり、その差が縮まってきていくことが予測されます。 (図表1:日本の男女の平均寿命と健康寿命の推移) 資料:平均寿命については、2010年につき厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室「完全生命表」、他の年につき「簡易生命表」、健康寿命については厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室「簡易生命表」、「人口動態統計」、厚生労働省政策統括官付参事官付世帯統計室「国民生活基礎調査」、総務省統計局「人口推計」より算出。    図表2は、WHOが発表した2022年版の世界保健統計(World Health Statistics)による、各国の男女平均の健康寿命になります。最も長い国は男女ともに日本で、トップ3は日本、シンガポールや韓国とアジアの国が占めています。世界全体の健康寿命は平均63.7歳。 そのうち男性が62.5歳、女性が64.9歳となっています。日本は長期に渡わり労働力として社会で活躍できる人材が多いことを意味し、健康先進国といえます。 (図表2:各国の健康寿命ランキング(2019年)) 出典:WHO 世界保健統計2022年版に掲載されている健康寿命統計    日本では労働生産性の低さ、競争力の低下、労働力不足などが課題となっています。健康で長く活躍していくことは、労働力不足の解消にも直結することから、今後シニア人材の活用、活躍が期待されています。社会保障の財源の問題の解決、そしてなにより豊かな生活をするために働き続けなければならない個々人の事情もあります。 企業においては、シニア人材が活躍できる基盤の整備が遅れています。シニア人材は現役を引退し、活用が難しい再雇用者ということではありません。改めてシニア人材に対して求められる役割、スキルセットを明確にし、必要な教育を講じることで、配置の柔軟さを高め、シニア人材にとっても残りのキャリアを充実した時間としていくことが求められています。 以上

伸びない女性管理職割合・男女差が埋まらない育児休業率<br />~女性活躍推進への一歩は意識改革と即実行~ | モチベーションサーベイ

伸びない女性管理職割合・男女差が埋まらない育児休業率~女性活躍推進への一歩は意識改革と即実行~

 社会における女性活躍を軽視している人はいないでしょう。様々な手で女性が活躍できるようにと努力がなされています。しかし、実際の女性の活躍、男女の雇用機会均等の実現は想像以上に厳しい道のりです。  管理職に占める女性の割合は女性活躍を測る重要な指標の一つです。そして大きなライフイベントの一つである出産・育児についてもキーポイントとしてとらえる必要があります。  管理職に占める女性の割合は緩やかな上昇傾向ではありますが、男女雇用機会均等が実現しているとは言い難いのが現状です。特に実務の中心を担う部長、課長相当職の女性割合の低さが顕著であり、いかに女性管理職が生まれていないのかがわかります。  データで見ると、最も高い係長職に占める割合でも17.9%、部長相当職に占める割合にいたっては6.2%といまだに10%にも満たない状況です。 図表1: 企業規模30人以上における役職別女性管理職割合の推移 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成23年度は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果  女性の活躍が進まない背景の一つの理由として出産・育児があげられるのではないでしょうか。育児休業を取ることができる労働環境は必須ですが、いまだに男性は育児休業を取りづらい、取るべきではないという意識があるのではないかと推察します。  育児休業者率の推移データを見ると、女性は平成19年度以降、80%を超える水準で推移していますが、男性は平成29年度に5%を超え、そこからやや上昇、令和2年度は12.7%となっています。依然として男女での差が大きい状態が続いており、男性の育児休業取得が進んでいないことがわかります。 図表2:育児休業取得率 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成22年度及び平成23年度の比率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果  また、この育児休業取得率を産業別に見ても、男女の差は明らかです。  金融業,保険業が男性の取得率で最も高く30%を超えていますが、女性のとの差は50%以上です。電気・ガス・熱供給・水道業の男性取得率が最も低く、2.95%という状況です。業種による人材流動性の高低や雇用環境、職種など様々な要因がありますが、男女の差がなく、かつ高い水準であることが理想でしょう。 図表3:産業別育児休業取得率 出典:厚生労働省「雇用均等基本調査」注1)平成30年10月1日~令和元年9月30日に出産した者又は配偶者が出産した者のうち、調査時点(令和2年10月1日)までに育児休業を開始した者(開始の予定の申出をしている者を含む。)の割合  労働力不足の中、多様な人材の活用が必須の現代で、女性が活躍できないことは大きな問題です。これを脱却するポイントは、男性・女性、既婚・未婚、子どもを持つ・持たないに関わらず、優秀な人材の育成と登用、働く環境の整備をしていくことです。育児休業に限って言えば、まずは企業として男女関わらず育児休業を取ることや、復帰後も活躍することはごく普通のことであるという意識改革、そして社員に子どもが生まれたら育児休業を勧めるような、即時実行が必須です。  また、企業側の努力のみならず、働く側の意識改革と実行が重要です。男女の雇用機会均等は、家事分担や育児分担がなされていることが前提です。特に共働き世帯では、家事や育児について家庭でストレートに話し合い、育児をしながらも活躍できる、または活躍するという意識を持つことで、道は拓けていくでしょう。  誰もが平等に活躍できる社会の実現は、意識改革からの実行にあるといえます。 以上

メンタルヘルス対策<br />~心の病が最も多い世代とストレスの内容~ | モチベーションサーベイ

メンタルヘルス対策~心の病が最も多い世代とストレスの内容~

 近年、職場における若者のメンタルヘルス対策が話題に上がることが多くなっています。そこで今回は、年代別の心の病の割合と、従業員が抱える就業上のストレスの内容について解説します。  企業に対する調査の結果によると、実際に心の病を抱える従業員が最も多い年代として10~20代を挙げている企業が増加傾向にあります。多くの企業の経営者や人事担当者の方々が、口にする「若者のメンタルヘルスの問題が増えてきている」との感覚は、実態に合っていると言えます。  過去に目を向けると、2000年代前半には心の病が最も多い年代として挙げられる年代は、30代が突出していました。30代は、職場・プライベート共に変化や心身にかかる負荷が大きく、心の病を抱えがちな年代であったのです。具体的には、職場では「働き盛り」「管理職(候補)」と期待され、質・量共に業務上の負担が掛かりがちな世代であると同時に、結婚や育児、場合によっては両親の扶養や介護が始まる等、プライベートにおいても変化が多い世代であることが推察されます。  その後、2019年時点では、50代以上を除き、10~40代がほぼ同水準となっています。10~20代については過去からの増加率が高いため若年層のメンタルヘルスに対する問題意識を特に抱きがちですが、年齢による差が無くなってきているというのが現状です。  年齢差が無くなってきた要因は、複数考えられますが、職場において年功的要素が徐々に薄まってきたことや、生産性向上への強い要請を背景に、即戦力志向が強まってきていることも一因でしょう。従来、一定程度の年数をかけて育成された30代の従業員に対して期待してきた役割や負荷が、前後の年代に対しても広がりつつあると考えられます。また、ライフスタイル・ライフプランに対する価値観の多様化も進み、プライベートで抱えるストレスについても年代差が少なくなってきているのではないでしょうか。 図表1:心の病の最も多い年代 出典: 公益財団法人 日本生産性本部「第9回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」(2019年11月22日)  続いて、年代ごとの業務上のストレスの内容に目を向けてみても年代による大きな差はないことが分かります。  いずれの年代においても最も多いのは「仕事の質・量」に対するストレスです。労働者として職業生活を送る上で致し方ない部分もあるとは考えられますが、企業には長時間労働の防止等によるワークライフバランスへの考慮と生産性向上施策等を講じることが求められます。  その次に多いのは「仕事の失敗・責任の発生等」であり、「仕事の質・量」に続いて仕事そのものに関する項目が挙げられています。続いて「対人関係」「役割・地位の変化等」が挙げられています。  仕事そのものに対するストレスと、職場というコミュニティの中での立ち位置や他者との相対的な関係性の中で引き起こされるストレスが、職業上のストレスのうちの大部分を占めていることがわかります。この傾向には年代による差は、ほとんど見受けられません。 図表2:仕事や職業生活に関する強いストレスの内容 出典: 厚生労働省「平成30年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」 注:1人3つまでの選択式であるため最大値は300%である  今後も引き続き継続的なストレスチェックを実施し、従業員のストレス状態を把握・観察し続ける必要があります。また、各年代に共通する「仕事の質・量」によるストレスを軽減・緩和すべく業務の質・量の調整を通じて従業員のワークライフバランスを保つことも重要です。

労働者の就労に対する意識(年齢階層別)<br />~時代で変わる「働く目的」、やはりお金が一番?~ | モチベーションサーベイ

労働者の就労に対する意識(年齢階層別)~時代で変わる「働く目的」、やはりお金が一番?~

 労働者の就労に対する意識(以下「働く目的」とする)は、労働者の労働意欲・パフォーマンスに大きく関わります。その為、効果的な人材活用にあたり「働く目的」をしっかり踏まえた上で施策を検討する必要があります。但し、「働く目的」は時代や社会的背景に大きく影響を受け、世代によってその特徴に違いがある為、時代の変化に応じ世代別の傾向を捉えておく必要があります。  内閣府の『国民生活に関する世論調査』(2019年)によると、世代にかかわらず労働者の大半が「お金を得るため(=金銭的報酬)」に働いていることが分かります。特に、20代・30代・40代の三階層は割合の高さが顕著で、回答の約7割を占めています。一方、40代以降はその割合が低下し、70代以上の階層では4割程度となります。  そして、「生きがいをみつけるため (=生きがいを求める志向)」に働く労働者は40代以降で増加し、当該階層で1割程度だった割合が70代以上の階層では3割程度となっていることから、年齢が上がるにつれ重要視されていることが分かります。 (図表1)労働者の就労に対する意識 出典:内閣府『国民生活に関する世論調査』労働者の「働く目的」に関する調査結果(単一回答)を年齢階層別に示したもの    また、当該調査結果はこの20年間(2001年比(※))で大きく変化しました。 例えば、「お金を得るため(=金銭的報酬)」に働く労働者の割合は全世代において増加しています。他にも、「自分の能力や才能を発揮するため(=キャリア志向)」に働く割合は20代(若年層)で増加し、「生きがいをみつけるため(=生きがいを求める志向)」に働く割合は50代以降の高齢層で大きく増加しています。 ※2001年は、就職氷河期のピーク、情報化の進展(ブロードバンド元年)等社会環境が大きく変化した年として比較対象とした。 (図表2)労働者の就労に対する意識 出典:内閣府『国民生活に関する世論調査』  以上、世代別傾向を踏まえた上で「働く目的」別に以下の事が言えます。 「お金を得るため(=金銭的報酬)」は、2019年において全年齢階層で一番高い割合を占めています。また、2001年比で見てもその割合は全年齢階層で増加しており、働く目的として重要視する傾向がより強くなっています。このことから、労働生産性を高めるとともに、労働分配率を見直して社員への配分をより高める事が重要です。  「自分の能力や才能を発揮するため(=キャリア志向)」は、2019年において20代が一番高い割合を占めています。また、2001年比で見ても20代における割合は増加しており、若年層のキャリア志向が進んでいます。今後そういった成長意欲の高い人材を会社の主要な戦力として育成していく場合、重要なことが主に二つあります。まず、キャリアパスが明確で、魅力的なキャリアゴールを描ける制度になっていること、そしてキャリア構築をサポートする計画的な育成施策が整備されていることです。  「生きがいをみつけるため(=生きがいを求める志向)」は、2019年において50代以降で高くなっています。また、2001年比で見ても50代以降における割合は大きく増加しており、昨今働く目的として重要視されてきています。今後雇用年齢の上限延長に伴って増加が見込まれる定年再雇用者の活用は非常に重要であり、その為にも高年齢者が生きがいや働きがいを得られる体制を構築していく必要があります。  例えば、定年後も能力発揮が求められるような再雇用の在り方について検討する事が必要です。他方で、働き方に多様性を受け入れる体制の整備も必要です。これらを踏まえ、定年の5年以上前からキャリア形成支援の研修を実施する事や、継続雇用契約を締結する際に本人の求める労働スタイルにマッチした職務の提供を行う事も重要となります。 さらに、50代以降は健康寿命を延伸しないと体力・気力が大幅に低下し、それに応じてパフォーマンスが著しく下がってしまいます。その為、高年齢者の活用に当たっては、健康経営の推進も非常に重要となります。                 以上

転職率推移 ~高まる転職率、不満を抱える若年・中堅層~ | モチベーションサーベイ

転職率推移 ~高まる転職率、不満を抱える若年・中堅層~

 昨今、日本国内における人材の流動性が高まっています。背景にあるマクロ環境要因としては、終身雇用の衰退や、若者の転職に対する意識の変化などがあると想定されますが、いずれにせよ転職者の割合が今後増加する事に伴って、人事管理の在り方を変革していく必要があります。  図1は、転職者比率(以下転職率と称する)に関する推移を年齢階級別に示したものです。総数の推移で見ると、2011年の4.5%から2019年の5.2%で、1年あたり約0.1%の微増傾向となっています。また、年齢階級別にみると、基本的に若い世代になるほど転職率は高くなっています。直近1年間では、15-24歳で1.0%、25-34歳の階級で0.8%と大きく割合が増加しています。総数の増加割合である0.3%と比較すると、約3倍程度も増加しており、若年層~中堅層ほど顕著に転職率が増加している事が分かります。 (図1)年齢階級別転職者比率 出典:総務省『労働力調査 詳細集計(長期時系列データ)』  図2は、転職率が高い若年~中堅層において、実際に転職した人材の離職理由を示したものです。割合上位の項目(「その他の理由」を除く)に着目すると、どちらの階層も共通して、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「給料等収入が少なかった」の項目が上位3つを占めています。それぞれの階層でこれら上位3項目の割合を合算すると、19歳以下~24歳の若年層では43.9%で約2人に1人が当該理由によって辞職しています。同様に、25歳~34歳の中堅層では35.0%で約3人に1人が当該理由によって辞職しています。以上の事から、転職率の高い若年~中堅層においては、労働条件・人間関係・給料に関する問題が主な辞職理由となっていることが分かります。 (図2)転職入職者が前職をやめた理由別割合(2019年) 出典:厚生労働省『雇用動向調査』出典の転職入職者数データを基に加工  今後も人材の流動化はゆるやかに進んでいくものと考えられますが、流動化の進行に伴い、人事管理として中途採用の強化と離職防止の重要性が増すと考えられます。  中途採用の強化によって、今まで育成できなかったタイプの人材を採用できるチャンスが増えるとともに、即戦力の人材を獲得できるメリットがあります。但し、優秀な人材を採用するためには、求める知識、スキルを明確にすると同時に、労働市場に連動した給与へ転換する必要があります。つまり、職種、等級制度、給与制度の再整備が必要になるということです。  同時に、自社の社員の過度な離職も防止しなければなりません。特に若年者層に対してはワークライフバランスを重視した、労働条件・環境の整備が求められます。また、若年者層に関わらず、社員満足度調査などを定期的に実施して、離職の主要な原因を分析し、対応していくことも必須であると言えます。               以上

民事上の個別労働紛争相談件数  ~急増するパワハラ相談~ | モチベーションサーベイ

民事上の個別労働紛争相談件数 ~急増するパワハラ相談~

 近年、パワハラやセクハラなどの職場でのトラブルに関する話題をよく耳にするようになってきました。今回は、民事上の個別労働紛争相談件数とその内訳のデータを基に、労働者と事業者間でのトラブルの内容や傾向について解説します。  民事上の個別労働紛争相談とは、個々の労働者と事業者との間の労働問題についての相談のうち、労働基準法違反などに関わる事案を除いたものです。図表1から分かるように、民事上の個別労働紛争相談件数は増加傾向にあり、2019年度には過去最高の約28万件に達しています。2001年の個別労働紛争解決制度導入以降、右肩上がりに増加していた相談件数は、リーマンショックが起きた2008年度に急増し、さらに増加した現時点では2002年の件数の約3倍になっています。 (図表1)民事上の個別労働紛争相談件数 出典:厚生労働省『個別労働紛争解決制度施行状況(令和元年)』  図表2では、相談内容ごとの内訳を示しています。2008年度までは解雇についての相談件数が最も多かったものの、その後は減少傾向です。一方、雇止めに関する相談が2008年以降増加している背景には、2000年代前半の人材派遣の規制緩和、リーマンショックによる雇止めの増加、その後の人材派遣の規制強化という一連の変化があります。不況下では解雇や雇止めに対する相談が多かったのですが、直近10年では自己都合退職に関する相談が増えてきています。この背景には人手不足があると考えられます。  そして、直近8年間は、いじめ・嫌がらせの割合が最も高くなっています。背景としては、厚労省がハラスメント防止対策の報告書をまとめ、法整備への議論を進めてきたことなどにより、ハラスメントに対する意識が高まり、問題が顕在化したことが考えられます。 (図表2)相談内容別 相談件数の推移 出典:厚生労働省『個別労働紛争解決制度施行状況(令和元年)』 注)1回の相談において複数の内容にまたがる相談が行われた場合には、複数の相談内容を件数として計上しているため、図表1の件数と整合しない。  相談件数が増加傾向にあることから、労働者に対して相談制度が浸透していることが分かります。また、年度別に相談内容の内訳を見ると、景気や労働市場の状況、法整備・改正の影響を大きく受けていると言えるでしょう。  2020年6月にはパワハラ防止法が施行され、労働者のハラスメントに対する感度はさらに高まることが予想されます。  企業の事業運営に支障をきたさないためにも、これまで以上に法改正や時代の変化による労働者の要請を俊敏に察知し、未然にトラブルを防ぐための措置を講じる必要があります。 以上