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column

ハラスメント研修の常識を疑う

 ハラスメント研修でこんなことを聞いたことはないでしょうか?

・ハラスメントでは「グレーゾーン」の判断が難しい
・ハラスメントは職場のコニュニケーションをよくすれば防止できる

 もちろんその通りですし、筆者も研修の場で同じように申し上げることもあります。しかし、職場でハラスメント問題の実務を数多く扱った経験から考えると、「グレー」というのはちょっと違うんじゃないか?と思えます。また「コミュニケーションの問題」と言いますが、職場のトラブルのほとんどは人間関係の問題で、人間関係の問題は、全てコミュニケーション問題であるのです。

「グレーゾーン」「コミュニケーションの問題」という陳腐な決まり文句(クリシェ cliché)で思考停止してしまっては、職場での真の問題解決には至りません。もう少し深く考えてみる必要がありそうです。

●グレーゾーン?

「彼/彼女のあの行為ってどうなの?」「うーん、グレーだよね〜」

「これっていかがなものかな…」と感じたらそれはやめてもらうべき行為です。ハラスメントに当たるのか当たらないのかの二者択一、白か黒かという判断基準は訴訟や裁判でのことでしょう。私たちの職場は法廷でも裁判所でもありません。皆が安心して力一杯働くことができる、そんな職場を作るためには、いかがなものかな?と思われる行為であったら、ハラスメントであるとかないとかよりも「今後はやめておきましょう」と判断すべきです。

「それこそまさに『グレー』なのでは?」と思われましたか?違います。職場で「いかがなものか?」「今後はやめておきましょう」という行為は、実は、アウト・ブラックなのです。ただ、処分を行わない、軽い注意に留めるという外観がグレーであるという印象を与えているに過ぎません。

グレーはグレー、ホワイトではないのです。

●ハラスメントはコミュニケーションの問題?

「コミュニケーションが良くなればハラスメントはなくなります!」と研修講師がドヤ顔して言ったとしてもそれで問題が解決するわけではありません。

誰と誰の間で、どのようなコミュニケーションを、何のために行うのか。そして、そのコミュニケーションの背景にどのようなマインドを持ったらいいのかを、腹落ちするレベルで理解することが必要です。

 もちろん、ハラスメントにならないための、NG言動や行為を知る必要はあります。「敬語を使いましょう」「あだ名はやめましょう」「男性にも女性にも皆お互いに『さん』づけで呼び合いましょう」「下の名前で呼ぶのはやめましょう」そんな「べし・べからず集」を参考にすることは無駄ではありませんが、本質的ではありません。では何が本質なのか?

 それは自分の価値観や意見と違う相手やその行動に対して「敬意」を持つことです。その相手の「人としての存在を認める」ということです。これは筆者が14年間働いた任天堂で当時の社長であった故岩田聡氏から学んだことです。敬意を持つということは、ご自身の考え方や価値観を変える/改めるということでもなければ、相手に譲歩する、妥協する、ということでもありません。自分と違う価値観や意見を持つ人たちの存在を認めるということ。自分と違う価値観や意見を持つからこそ、自分にはできないこともできてしまう能力がその人にはある。そんな能力を集めて、一緒に働くことこそが組織/会社で働くことの意味であって醍醐味であるのだと。それが岩田さんの教えでした。

 ハラスメント研修から発展して、職場でのコミュニケーションを深く考えてみることは、とても有意義だと思います。

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