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1on1をラクにするコツ

 上司と部下がマンツーマンでミーティングを行う1on1は、社内のコミュニケーションを改善し目標の達成度を高くできるため、導入している企業・導入を検討している企業は数多い。上司と部下が対話形式でじっくりと話し合えることで信頼関係を築きやすく、週1回~月1回の高い頻度で定期的に行う中で、部下の仕事への動機づけを行いやすいのがその理由だ。

 ビジネスのスピードが加速し、半年前に立てた目標や計画が早い段階で陳腐化しやすい現在では、1on1を通じて部下の状況を逐一把握し、目標を修正したり予期せぬ課題に早く手を打ったりすることが益々重要になっている。しかし、運用における上司の負担感が大きく、導入を難しく感じている企業もまた多いのが現実である。本稿では、そんな1on1の高い敷居を少しでも下げ、なるべく軽い労力で導入することができないかを考えてみたい。

①何を話せばよいか、わからない

 上司が負担を感じる最も多い理由のひとつとして挙がるのが、部下との対話のネタだ。会話がもたないかもしれない不安感もあるだろう。対応としては、部下が自分自身で仕事に対する気づきを得られるように、本人が話したいことを話させることが大切である。上司は話を注意深く聴くことに集中し、部下に主体的に参加してもらえるよう話したい内容を事前に本人で決めておいてもらうと良い。参考として、以下の3つのことを事前に考えてもらっておけば、部下の状況を把握しやすく、対話は立派に成立する。

(1)最近の取り組みで良かったこと・その理由・良かったことを継続するために取り組みたいこと
(2)最近の取り組みで悪かったこと・その課題・課題に対して取り組みたいこと
(3)キャリアについての相談・困っていること等

 大事なポイントは、上司が一方的に話したり、業務の単なる進捗確認をしたりしないということだ。報告・確認は日々の業務指示の中で行えばよく、対話の中では部下の本音を引き出し、会話のキャッチボールをすることに専念してもらいたい。

②時間がない

 次に多いのは、対話できるまとまった時間が取れないという理由だ。一人で何十人もの部下を管理しているのなら分からなくもないが、数人の部下に対してひと月15分~20分くらいの時間を確保することぐらいはできるのではないだろうか。時間は部下の状況によって調整する工夫もできる。仕事が順調で大きな課題感もない部下の場合なら、10分程度で終わってしまっても良いと思う。あるいは、困難な課題に直面していて、20分では終わらない場合は、部下の方で自発的に対話時間の再調整をしてもらい、2回目・3回目と時間の許す限り実施しても良いだろう(このような場合、じっくり話し合う時間をとった方が、結果として生産性が上がりやすいことが多い)。
 大事なポイントは、部下が相談しやすい環境を作り、とにかく対話を継続することだ。月1回が無理でも隔月1回~四半期1回とするなど、取り組み可能なペースでやり続けることが、部下への浸透につながる。

③効果がわからない

 最後に挙げるのは、果たして1on1による効果が測れるのか、という疑問だ。これについては相当な時間がかかると思った方がいい。なぜなら、1on1の効果の一つである人材育成は、評価制度や教育施策等と同様に、かなり時間の掛かるものだからだ。まして、1回の対話の中で解決策が明確化して部下の行動が劇的に変わる、などといったことは殆どないだろう。上司は対話の中で「結論を出そう」「成果を出そう」とあまり気を張らずに、部下の自発性を尊重して、本人自身の経験から学ぶための気づきのきっかけ作りに努めてもらいたい。
 とはいえ、せっかくの1on1が単なる雑談で終わってしまう懸念があるかもしれない。しかし、上司が部下の本音と気づきを上手く引き出すことさえできれば、以前よりも部下の状態や業務の状況を正確に把握し、より早くより適切な助言をすることは確実に可能になる。ときには部下からもフィードバックをもらい、1on1の有効性について認識を合わせることも効果的だ。

 以上、部下の自発性・主体性がいかに重要かを強調しながら、なるべく楽に取り組める方法はないか検討してみた。上司だけでなく部下にも参画意識をなるべく高く持ってもらい、1on1をお互いの努力で有意義なものにしていく必要がある。しかし、部下の参画意識を引き出すことができるのは、日々の業務における上司の部下に対する接し方と、人材育成にかける強い意志に他ならないことを忘れてはいけない。上司が、部下との関係性に日頃から気配りしていれば1on1実行の障害は少なく、対話による相乗効果によって組織のコミュニケーションは着実に活性化していくに違いない。もし、1on1が上手くいかないと悩んでいる時があれば、まず最初に「部下が近づきやすい・話しかけやすい雰囲気づくりができているか」と、自身に問いかけてもらいたい。

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