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執筆者: 吉岡 宏敏 その他
管理職の昇格アセスメントでは、複数のディメンション(=評価項目)で評点をつけ、総合点の降順で候補者を序列化するのが常である。それを見ながら「合否」を判断していくのだが、ある合格点ラインで単純に合否を分けるのは得策ではない。総合点がはっきり高い、あるいは低い人たちについては、能力適性判定の限りではその高低に従ってよい。あとは、社内評価や個別の期待事情を含めて総合的に判断していくことになる。問題は、ボーダーラインの前後あたりに並ぶ人々をどう評価するか、である。
アセスメントとは入学評価である。まだ経験していない管理職業務における能力発揮可能性をみる。将来管理職としてちゃんとやっていけるかどうかを、複数のディメンションで評定する手法だが、個々のディメンションには「濃淡」がある。誰しも、ディメンションごとの評点に高低のメリハリがあるものだが、これだけは低い評点であってはマズいというディメンションがあるのだ。
ディメンションは通常、①思考面、②対人面、③資質面の3カテゴリーで構成されるが、この資質面カテゴリーの項目群のなかにそうしたクリティカルなものがある。例えば、「達成指向」、「自律一貫性」」といった項目が低い評点であるなら、まず候補からはずしたほうがよい。ひらたくいえば、達成に向けてブレずにやりぬく――こうした資質は、人を率いて組織成果を出すうえでの前提要件だからである。他に際立って高い評点の項目がない、つまり総合点でギリギリのポジションにいて、これら姿勢を持たないなら、そもそも管理職に向いていないといってよい。
思考面や対人面の能力には、経験や教育によって高めていけるものがある。なかには変えることが難しい能力もあるが、その弱みは、管理職になってからの限定的アサインやサポートする上司やナンバー2の配置によって補完することもできる。つまりは、能力課題はあるけれどもそれをわかったうえで、管理職登用後の成長期待や組織的配慮を併せ合格判断をすることもできる。その場合あくまでも、資質面がOKであれば、ということである。資質というくらいで、この手の姿勢はなかなか変え難いからだ。
では、思考能力や対人能力において、マストとなる必須能力はあるか。ディメンションにはなかなか分解できないが、管理職としての優劣を分けるベース能力としては、「概念化力」と「自己認識力」のふたつに特定できるだろう。概念化つまり本質を掴み表現できれば、課題解決や方針策定から日常の業務遂行まで的確に行えるし、自己認識つまり自身の内面も外面(=行動)も客観視できれば、自分をコントロールし、周りの人々を的確に動かすことができる。
というようなことはしかし、我々がいろいろな場面で見てきた優れた経営者、管理職者、ハイパフォーマの方々を思い浮かべれば、あまりにも当たり前のことなのである。
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プロフィール

吉岡 宏敏 (よしおか ひろとし)
シニアパートナー
東京教育大学理学部応用物理学科卒業。ベンチャー企業経営、ウィルソンラーニング・ワールドワイド株式会社コーポレイト・コミュニケーション事業部長等を経験後、株式会社ライトマネジメントジャパンに入社。人材フローマネジメントとキャリアマネジメントの観点から、日本企業の組織人材開発施策の企画・実行支援に数多く携わる。ライトマネジメントジャパン代表取締役社長を経て、現職。