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column

ターニングポイント

 東京都が都内の企業を対象に行ったリモートワークについての調査によると、2020年6月時点の導入率は57.8%と昨年の25.1%から大幅に上昇しており、大企業だけでなく中小企業においてもリモートワークの導入が進んでいることを示している。リモートワークの導入については、以前から政策や自治体のアクションプランにおいて、大きなテーマとして取り上げられてきていたが、新型コロナウイルスの感染拡大という予想もしていなかった外圧によって、ついに企業も本格的な導入に踏み切ることになった。

 人口減少・少子高齢化に伴う労働力の減少、雇用構造の変化、また、テクノロジーの革新など、現在、企業を取り巻く環境が劇的に変化していくなかで、働き方や組織の制度もこれ合わせて変化していくのは当然のことだ。例えば、リモートワークの導入を進める企業においては職務・成果型の人事評価制度への移行を進める企業が増えている。従来の能力・行動評価が中心の評価では、上司が部下の職務行動やそのプロセスを観察することができず、職務・成果物自体、あるいは成果指標の達成度で評価しなければならないため、従来の職能型の人事評価制度では対応が困難であるためだ。

 働き手は、リモートワークの導入が進むことによって、通勤や移動時間が削減できたり、自身や家族との時間を確保できるようになって、ワークライフバランスを実現しやすくなることや、自身の空間で作業に集中できるといった利点がある一方で、これまで以上に仕事の目的を的確にとらえ、自分自身で業務を計画・遂行する、強い自主性が必要となる。人材育成のスタイルも、これまで企業が主体となって提供していた人材育成プログラムから、自らが学習プログラムを選択し、専門性を追求するものとなっていくだろう。個人が成功するためには、自身が明確にキャリアをデザインし、計画的に知識・スキルを習得していくことが重要になるのである。

 雇用の面では、これまでのメンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用へのシフトも進んでいくことで、今後は、高度な技術やスキルを有した人材が、副業や兼業により、複数の企業でその能力を発揮するようになったり、フリーランス人材との業務委託が進み、不足する労働力に対応していくことになるだろう。特定の企業に”就社”するのではなく、文字どおり、職に就く”就職”が実現するようになるのである。

 このような企業や職場といった場所や時間にとらわれない働き方は、働き手の利便性や、満足度を向上することだけが目的ではない。働き方の自由度が増す、ということは企業人事の取れる手段の自由度も増すということであり、企業にとっては、経営戦略の実現のために必要な労働力を確保するための手段となる。今までのような、日本型○○というような画一的な組織構造、制度、働き方を維持するだけでは、この変化に対応する術を自ら放棄することになる。これからの企業人事は、過去に例のない大変革を強いられることになるだろう。その劇的な環境変化の中においても、企業が存続し続け、さらには安定した成長を実現していくためには、これらの働き方を実現するための準備、組織づくりを迅速に進めていくことが最重要課題だ。従来の制度から新しい制度への変革、今まさにそのターニングポイントを迎えているのである。

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