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目標と投下

執筆者: 林 明文 人事管理

 多くの企業で目標管理について基本的な間違えがあると感じる。それは“目標”と“投下”という点である。

 社員個人の目標は、各人のミッションに合わせていくつかの目標を設定することになる。例えば“個人の売上目標5億円”と同時に“部内の営業成績管理の精度を向上する”“部下の育成強化(部下の目標達成を100以上)”などのように複数の目標を設定することが多い。3つの目標すべてが100%の達成であれば、合計100の評価になるように、目標に“ウエイト”を設定するのが一般的である。上記の例であれば最初の目標が最も重要であるから60、2番目と3番目はそれぞれ20とし、合計を100とするのだ。

 非管理職社員はこの目標達成のために、時間という資源を投下する。全く超過勤務がないことを想定した月150時間投下を前提とした目標と月30時間の超過勤務をする場合(月180時間)の場合では目標は異なるはずである。投下量が150と180では20%も異なるが、目標が同じであるのはおかしいからだ。合理的に考えれば前者はウエイトの合計が100に対して後者は120でなければならない。多くの企業では目標管理の考え方の中に投下量と目標の関係が不明確になっている。

 さらに目標管理と超過勤務管理が全く連動していないことも重要な点である。超過勤務0を前提とした目標である社員が超過勤務なしで100%達成した場合と、0を前提としつつも毎月20時間の超過勤務をして目標100%達成した場合で評価が同じであるのは問題だ。目標業績が同じでも、超過勤務をした社員のほうが、収入が多いことになる。もっと言えば時間生産性が低い社員のほうが、収入が多いことにある。

 加えて次のような問題も発生する。仮に月給30万円の社員(賞与4か月とした場合年収480万円)の場合、20時間の超過勤務をした社員は毎月の約5万円の超過勤務手当、年収で約60万円多く受け取ることになる。この社員はもともと超過勤務0ベース、目標を100%達成したとする。同じ目標で超過勤務を0ベースで、目標を120%達成した好業績の社員を想定しよう。この社員は評価がよいので賞与が多くなるだろう。一回の賞与は標準で60万円である。評価がよいので、70万円から80万円くらいは分配されるだろう。好業績の見返りとして年間20万~40万円のプラスとなる。

 しかし前者の社員の超過勤務手当の増加分に届かない。結果としては超過金勤務をして通常の業績の社員と超勤務0で好業績社員の年収が逆転してしまう。目標管理における超過勤務業績による分配が過小な企業が多いため、思ったような“メリハリ”がつかないのである。

 近年生産性向上の議論が多くの企業で課題となっている。そのため目標と投下についての議論も顕著に多くなってきた。より生産性を上げるためには、目標管理を改造して、目標と投下、目標管理と超過勤務管理の見直しが必要だということだ。

以上

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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