合理的・構造的アプローチで企業人事を進化させる
コンサルティングファーム

コラムを読んだら投票を! コラムの最後にフィードバック欄がございます。ぜひご協力ください。

数字のない生産性向上

執筆者: 林 明文 経営

 日本は主要各国に比較して社員の生産性が低い。先進28か国の中で26位という低さである。多くの社員が長時間働いているのだが付加価値が低いのだ。より利益が上がり、社員の処遇をよりよくするためには、この生産性向上が必須である。生産性が上がれば、会社も社員もより良い状態になるからだ。近年この“生産性向上”がブームであり、多くの企業で重要な経営課題として認識し、経営計画の目標に掲げている。

 ある企業の部長以上を集めた経営会議でのことである。社長が次年度の経営計画を説明することとなっていた。会社の経営方針、数値目標や各事業の重要課題など話をし、その最後に今年の全社共通の重要課題として“生産性の向上”の説明をしたという。内容は非常に簡潔で、生産性向上の重要性とそのための施策の概要であった。具体的な施策としては、残業時間の短縮、業務の見直しによる無駄の排除ということであった。ひととおり説明した後に質問を促したところ、ある部長がこう質問したそうである。

部長:「質問させていただきます。生産性向上が当社にとって重要だということがよくわかりました。お聞きしたいのは、当社の生産性はいくらでしょうか?また現在の生産性をどの程度向上させるのでしょうか。さらに当社は業界の中で生産性が低いのでしょうか?」

 社長は質問を聞いたのちに、経営計画をとりまとめた経営企画部長とすこし話をし、こう
答えたという。

社長:「そんな細かいことは気にしなくていい。とにかく生産性を向上させるのが今期の目標だ。とにかく部下を早く帰宅させることを徹底してくれ。」

 この企業の例はすこし大げさかもしれないが、生産性向上を掲げている企業でも、生産性の現状や目標を“数字”で掲げている企業ばかりでない。生産性といってもさまざまな指標がある。売上生産性、労働生産性、1人当たり利益、賃金生産性、労働装備率などである。より正確にはこれらの指標を、全社だけでなく事業別に把握する必要があるだろう。現在の生産性が過去の生産性に比較して高いのか低いのか、また他社に比較しての高低も知らなければならない。実態を知らないで生産性向上の具体的な施策を打つことはできない。

 生産性の数字を把握しないで、精神論や単に残業時間短縮などの時間管理的な視点での生産性向上はうまくいかない。日本企業の生産性は極めて低く、その改善を早急に進めなければならない。生産性改善と言って生産性の数値を知らないというのはあまりにも滑稽だ。まずは数字からということである。

以上

コラムを読んだら投票を!

コラムをお読みいただきありがとうございます。 今後、さらに興味深いコラムの提供やセミナーテーマの参考とさせていただきますので、ご感想の選択をお願い致します。
※投票いただくと、これまでの感想をグラフで見ることができます。

このコラムの評価

投票いただくとこのコラムの評価が表示されます。

このコラムの平均評価

このコラムの平均評価

このコラムの平均評価

ご投票ありがとうございました。他のコラムも是非ご覧ください。

このコラムの感想

  • 大変つまらない:
  • つまらない:
  • ふつう:
  • 興味深い:
  • 大変興味深い:

プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

会長

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て当社設立。代表取締役シニアパートナーを経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

詳細はこちら

執筆者のコラム一覧はこちら

TOPICS