合理的・構造的アプローチで企業人事を進化させる
コンサルティングファーム

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生産性向上と高齢化社会

執筆者: 高柳 公一 人材育成

働き方改革が進む中、多数の日本企業が、労働時間の短縮や生産性向上に取り組んでいる。付加価値を生み出さない業務の見直し、ウェブ会議やビジネスチャット等のITツールの導入、さらには、残業時間の少ない社員を高評価する仕組みの検討、等々、どの企業も、様々な視点から生産性向上にむけて、必死に頭を悩ませているところだ。ただ、実のところ、そうした取り組みの多くは、今までも不況の折にも行ってきたものであり、今まで以上に、際立った効果を期待するのは難しいかも知れない。

もちろん、組織として、そうした構造的な生産性向上アプローチは続けていかねばならないのだが、それ以上に重要なことは、社員一人ひとりが、仕事や時間に対する意識を強烈に変えていく事だと思っている。同じアウトプットを出すにも、いかに必要な事だけを行い、いかにそれに対する時間投下を減らしていくかという事に、一人ひとりがどれだけ本気で取り組めるか。

「前回は半日かかったこの業務を、今回は3時間でやってしまおう」「いままで、20時まで残業してやっていた作業を、集中して17時までに終わらせて、定時に帰宅する」等、所定の時間内に必ずアウトプットを出す取り組みは、組織としての施策と言うより、個人の姿勢・マインドによるところが大きい。上長に言われるからやるのではなく、だらだらと時間をかけて仕事をするより、密度の濃い仕事を短時間で集中して行い、さっさと帰る事を良しとする観念や美学?のようなものを個人の信条として身に着けていく事ができないと、我が国は、世界中で繰り広げられている厳しい競争から取り残されてしまうかも知れない。

一方で、我が国では、「高齢化」という大きな社会的トレンドも進行している。
先日、急いでクライアントのオフィスに行く際、ICカードにチャージしようと駅の自動券売機に行くと、ひとりの高齢の男性が前にいて、右往左往していた。使い勝手もよくわからずに、あれやこれやとボタンを押してはやり直し、後ろに私を含め、多くの列ができてしまった。仕事の生産性から言えば、はやくチャージして切符を買い、クライアントに、予定の時刻に到着したいところだが、年老いて、機械の操作に慣れないのだから、仕方ない。ゆっくり操作方法を説明してから、急いでチャージをして、その日はなんとか事なきを得た。

また、別の日には、半休をとって母の診療同行したことがあった。
母も高齢で、いまや軽やかに歩く事もできないし、コミュニケーションの内容を理解するにも時間がかかる。病院への道中、ゆっくりした母の歩行に合わせて歩いたり、大きく明瞭な声で話しかけ、必要であれば、何度か同じ事を何度かくり返し話しなら、同行していたが、その日の午前中は、オフィスで複数のウェブミーティングをしたり、多数のメールや電話でのコミュニケーションをフルスロットルで行ってから、病院にやって来ただけに、流れる時間のスピードギャップが極めて大きく、高速運転からローギアへとチェンジをする事に相応のエネルギーを必要とすることを痛感した。

おそらく、これから高齢化が進行する我が国では、同じ場所に住みながらも、個人間で流れている時間のスピードのギャップが、ますます広がっていく事だろう。国際的な競争が激化する中で、我々は、仕事上ではより強烈に生産性コンシャスなマインドで臨まなければならない一方で、ゆったりとした時間が求められる高齢者ゾーンでは、彼らの生活に配慮し、やさしく寄り添っていかなければならない。状況に応じて時間への向き合い方に柔軟性が求められる訳で、我々は、脳の筋力を、益々、鍛えていかねばならならない時代に突入していく。

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プロフィール

高柳 公一 (たかやなぎ こういち)

代表取締役 CEO シニアパートナー

一橋大学商学部卒業。米国ジョージワシントン大学経営大学院修了。プライスウォーターハウスコンサルタント社に入社し、国内外の大手企業に対して、人材開発、業務改善、IT戦略立案等のコンサルティングプロジェクトに関与。その後、トーマツコンサルティング株式会社にて、多くの組織・人事に関するコンサルティングを行った後、当社、取締役シニアパートナーを経て現職。人事分析、人事制度設計、他幅広い分野の人事コンサルティングに多数関与。

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