合理的・構造的アプローチで企業人事を進化させる
コンサルティングファーム

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乗り心地

執筆者: 林 明文 人事管理

 私たちは車を買うときには、乗り心地、安全性、燃費などで選びます。自分が気になる車種をいくつか選び、実際に試乗し、営業の人にいろいろ聞き、そして決定します。高価な買い物であり、また自分の生活に密着したものであることから、慎重に判断することになります。
 車は精密な機械で数多くの部品からできています。一般的には3万もの部品からできているそうです。この数多くの部品が総合的に機能して、乗り心地、安全性、燃費などを実現するのです。よい乗り心地、より高い安全性、燃費を実現するために、車全体の設計がされ、最終的に構成する一つ一つの部品が作られ、組み込まれます。逆に言えばユーザーは個別の部品の性能を評価して車の購入はしません。たしかに特徴ある部品で、その部品の効果によりユーザーニーズを満たすのであればその部品の優位性が車を選ぶ際の重要な判断になるでしょうが、多くのユーザーは技術者ではないので部品の優劣での選択はしないでしょう。要はニーズを満たすのかどうかが重要であり、部品の優秀性は従属した判断事項だろう、ということです。
 経営者の人事に対するニーズは車と同様非常にはっきりしています。経営方針、計画を達成するために必要な人資源を過不足なく保有していること、人資源がより有効に機能すること、短期だけでなく中長期に安定した人資源が提供されることの3つです。経営者にとっての人事の乗り心地、安全性、燃費と言ってもよいでしょう。この状態が続けば経営者ニーズを満たすことになります。この経営者ニーズを満たすために人事管理は様々な部品から構成された複雑な構造体となっています。主要部品としては採用。教育、等級、給与、評価、代謝、労働条件、システム、社会保険、給与計算・・・など様々です。本来はこれらの部品が相互に関連、連動して機能することによって経営者ニーズを満たすことになります。しかし現在の日本ではこれらの部品群が体系的効果的なベストな組み合わせになっているとは言えません。各部品を提供する会社は別々であり、企業側で様々な部品を組み合わせて人事管理を行っているのです。なかには自分で作成した部品もあったりします。
 たとえば新卒採用は企業の将来の継続した発展のために、一定数の採用を継続することが望ましいですが、業績好調企業などが、驚くほど多くの新卒社員採用を突然行うようなことがあります。このような一時的に多くの新卒社員を採用すると、バブル期大量採用などを見てもわかるように将来大きな問題を発生させる原因になります。新卒採用サービスを提供する企業にとっては受注が大きくなってよいのですが。新卒採用サービスと人事コンサルティングの両方の部品を提供している企業があれば、異常に多い新卒採用を相談されても、否定しなければなりません。
 日本における人事管理は、個別の部品領域に閉じた世界から、経営ニーズを満たす個別部品の統合を指向することになるでしょう。個別部品に閉じた世界では本来の経営ニーズを満たせないからです。企業の人事部門や人事サービスを提供する企業は、個別部品の良し悪しを議論するのではなく、人事管理の“乗り心地”“安全性”燃費“こそが重要な論点であることを、強く意識しなければなりません。
以上

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

会長

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て当社設立。代表取締役シニアパートナーを経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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