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column

ワークライフバランスの本質

ワークライフバランスの本質

月末金曜は15時に仕事を終えることを推奨する「プレミアムフライデー」の導入にあたり、旗振り役の経済産業省が、各省庁にキャンペーンへの協力を求めたところ、
「では15時に帰社しますが、15時以降は何したらいいかモデルケースを示してください。」と言われたそうだ。

笑うに笑えない話で、仕事を早く切り上げて、15時に帰社しても、何をすればよいのか、
自分で考えず、誰かに決めてもらうのを待っているような受動的な労働者が、日本には数多くいることを象徴しているように思う。

「長時間労働の是正」は、極めて重要なテーマであるが、仮に、帰社時間を今よりも早められたとしても、それで、ワークライフバランスの実現という訳にはいかない。そもそも、ワークとライフは対立する二者択一の要素として、ワーク:ライフ=4:6とか、3:7という議論や、単純に、○時に帰社して、全体の○割をライフに割り当てなさいといった事に、話を単純化してしまうと事の本質をゆがめてしまう。

早めにワークを切り上げ、ライフの時間をゆっくり過ごすことで、体力や気力が高まり、健康的になり、ワーク時と異なるコミュニティでの活動をするなかで、新しい発想力や人脈を身に着けられ、ワークにも生かされる。あるいは、ワークの中で、得られた知識やコミュニケーションスキルが、ライフの中でも、有効に活用されていく・・・。

こうして、ライフからワークへ、あるいはワークからライフへのインプットで、双方のクオリティが高まっていくことが本質的なゴールであり、ワークとライフの相乗効果を求めるワーク・ライフ・シナジーや、ワークとライフが相互に好影響を与えあう環境を追求するワーク・ライフ・エフェクティブネス、あるいは、ワークとライフを明確に区切らず、ワークとライフを高いレベルでの統合をめざすワーク・ライフ・インテグレーションといったアプローチへと議論のフォーカスを高めていかなければ、真のゴールには到達しない。

冒頭の話から推察するに、15時と言わずとも、定時に帰社してから、何をすべきかわかっていない労働者も、我が国には多数、存在しているのが現状だろう。

長時間労働をしている人々の中には、本当に切羽詰まっていて、やむなく残業している人々もいる一方で、定時に帰社したら何をするか、明確な意図がなく、残業代も出るし、とりあえず、働いておこうといった、非本質的な長時間労働者が少なからず、混じっているものと思われる。
長時間労働の是正やワークライフバランスの実現について、政府や会社が方針や施策を出すことは重要であるが、単に●時帰社、●時間以上の残業禁止といった外形的な施策だけでは、そもそも限界がある。

それよりも、重要なことは、労働者一人ひとりが、政府や会社の方針を待っているだけの受動的なスタンスから脱却し、自らの頭でワークとライフをどうバランスをとるか、ワーク(ライフ)に効果的なライフ(ワーク)とはなにか?など、自らワークとライフの在り方を主体的に考えていくようにならない限り、真のワークライフバランスの実現はないだろう。

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