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組織の言語

執筆者: 南城 三四郎 人事管理

 言語相対性仮説という仮説がある。「人の思考というものが、言語を用いてなされているのであれば、思考は言語に影響され、異なる言語を用いる人との間では同じ認識を持つことができない」というものである。サピア=ウォーフの仮説という呼び名の方が有名かもしれない。

 これには二つの仮説が含まれている。ひとつは「言語のない思考は存在しない」という仮説だが、これはその後の非言語的思考の研究により、成立しないとされている。もうひとつの「言語は人の思考に影響を与える」という仮説についてはさまざまな意見はあるものの、限定的ながら成立するという主張が一般的である。
人が頭の中でめぐらせている思考は、言語が違うからといって、お互いに理解しあえない、と言えるほどの大きな違いはないが、それでも、さまざまな認識に影響を与えているらしい、ということである。

 同じことは組織においても言えるだろう。組織が違うからと言って、お互いに理解しあえない、とまでは言わないが、組織自体がそこに属する者の認識や行動に様々な影響を与えているのである。
例えば、経験も実績も豊富な中途入社社員が、新しい職場で本来のパフォーマンスを発揮できなかったり、ベテランらしからぬミステイクを犯したりすることがある。
これを単に新しい環境に適応できていないから、と片付けてしまうのは少々乱暴な気がする。

 組織にはそれぞれ独自の価値観やポリシーがあり、同じ言葉でも違うニュアンスで使われていたりすることもある。業務フローやコミュニケーションのスタイルについても同様だ。これらはその組織固有の”言語”といってもいいだろう。
組織の言語が異なることにより、思考が影響を受ける。そして、その思考が行動にも影響する。しかもそれはほとんどの場合ネガティブな方向に作用するのである。
これは時間を置けば解決することもあるだろうが、放置することにより、メンタルへの影響、人材の流出にも繋がりかねない。

 これを防ぐためには、組織の言語を誰もが理解している状態、かつ、新しくその組織に加わった者には、その言語を効率よく学習させるプロセスを用意することが必要だろう。
そのような環境を作り上げるうえで、人事の果たすべき責任は大きい。人事の役割は人事制度を作ることだけではない。経営戦略実現のための人材マネジメントこそが人事に課せられた使命であり、だからこそ、その制度が何のために、何を目指し、それをどのように実現するのか、誰もがわかる言葉で理解の浸透を図らなければならない。
それができてはじめて、組織の全員が力を結集するための方向性を示すことができるのであり、それこそが人の思考に影響力を持つ組織の言語となるのである。

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プロフィール

南城 三四郎 (なんじょう さんしろう)

シニアマネージャー

大学卒業後、建設系専修学校にて、都市計画、情報処理関連学科の教員として、講義、学生指導を行う。その後、IT企業にてサーバー、ネットワークの保守・運用業務のほか、スマートフォンアプリ、Webサービスの企画、開発を担当するとともに、人材育成担当マネージャーとして社員教育に従事した後、現職。

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