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プレミアムマンデー(プレミアムな仕事をしよう)

執筆者: 高柳 公一 人事管理

先月末の金曜日、ショッピング等の個人消費を喚起するとともに、午後3時に仕事を終えることを奨励するプレミアムフライデーが始まった。実際に、金曜日の午後3時にどれだけの人が仕事を終えられるのか、といった議論等、賛否は様々であるが、働き方改革の主テーマの一つである「長時間労働の是正」に、国全体で取り組んでいこうとする機運を後押しする象徴的なキャンペーンと受け止めている。
「長時間労働の是正」の狙いは、働きすぎて、生活のバランスが崩れ、過労死などの心身の健康に悪影響を及ぼしている状態が社会問題化する中、ワークライフバランスのとれた「より人間的な生活」を取り戻す事である。我が国の正社員の年間労働時間はサービス残業と言われる部分をふくめると2,000時間程度になると言われていて、諸外国と比べて1,2割程度は、労働時間が長いことは間違いないようだ。 

こんなにも日本人がよく働きだしたのは、明治維新後と言われる。産業革命が進む中、当時の機械工や繊維女工の年間労働時間は3,000時間を優に超えていた。戦中、戦後も、同様に欧米に追い付け、追い越せというマインドの下、「長く働くことが善」という観念が我々日本人にしみついて、今に至る。ただし、それ以前の江戸時代などは、武士は城に10時に出勤し、14時に退勤だったし、庶民も、職業によるが、昼休みを含めて1日3回、休憩があったようで、総じて、今に生きる我々ほど長く働いてはいなかったようだ。だとすると、現代日本人の長時間労働の傾向は、生来の気質ではなく、社会的背景の中で、作り上げられてきた社会観念に由来するものであり、今後の我々のマインドの切り替え方次第では、労働時間の短縮自体は、思ったほどには難しいことではないのかも知れない。

さて、労働時間削減の取り組みは、誤った議論ではないし、是非、そうするべき事ではあるが、同時に、社会や企業の構造の中で、その周辺への影響を整理して行く必要があるだろう。
例えば、社会における労働と生産の構造を簡単に表すとすれば、
「仕事の質(生産性)」 X 「仕事の量(労働時間)」= 「生み出す生産価値(アウトプット)」
という事になる。 この関係式で考えると、我々が今、取り組むべき、より本質的な問題は、むしろ「仕事の質(生産性)」の方ではないだろうか。

OECDによる国別の時間当たり労働生産性を見ると、米国やEU諸国が60ドル前後の水準に対して、我が国は40ドルと大差をつけられている。現在の生産性水準を所与とすれば、労働時間を減らした分だけ、アウトプットも減じることになる。 少子高齢化が進む中で、さらに労働時間を減らしていこうとするなら、従来生み出してきたアウトプットを維持、増大するため、我々は、相当なレベルで生産性を上げていかねばならない。 労働時間を削減するのはよいが、それがゴールでなく、そのうえで、いかに生産性を高めて、組織として国としてのアウトプットを最大化できるのか、こっちの課題に正面から取り組むべき局面にきていると思うのだが、周囲を見渡しても、まだこのテーマが国民的な課題として盛り上がっている状態にはない。

「今日、定時で帰るためにはどのように仕事をすればよいか」 「8時間で行う仕事を6時間で行うためにはどうしたらよいか?」こんな問いに、国や経営や社員が一体となって建設的に取り組めたら、生来、工夫や改善が得意な日本人の事であるから、日ごろ感じている無駄や効率の悪さが明らかにされる中で、業務の自動化 情報共有化 標準化など‥、今まで上司に遠慮して、胸にしまっていた、さまざまなアイデアが出てくるに違いない。

我々は、労働時間の削減と並行して、生産性向上にも本気で取り組むべき時期に来ている。これもまた、日本人のまじめで、従順な性格からすると、政府が、一役買って出て、プレミアムフライデーの第2弾として、生産性の高い「プレミアムな仕事の仕方」を目指し、情報交換やディスカッションを喚起するための「プレミアムマンデー」を毎月1回月曜に設定し、キャンペーンを張るのも悪くないと思っているが、どうだろうか。

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プロフィール

高柳 公一 (たかやなぎ こういち)

代表取締役 CEO シニアパートナー

一橋大学商学部卒業。米国ジョージワシントン大学経営大学院修了。プライスウォーターハウスコンサルタント社に入社し、国内外の大手企業に対して、人材開発、業務改善、IT戦略立案等のコンサルティングプロジェクトに関与。その後、トーマツコンサルティング株式会社にて、多くの組織・人事に関するコンサルティングを行った後、当社、取締役シニアパートナーを経て現職。人事分析、人事制度設計、他幅広い分野の人事コンサルティングに多数関与。

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