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コンサルティングファーム

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スキルの実装

執筆者: 林 明文 人事管理

 企業の研修・トレーニングの中には教育効果が十分ではないものが多いのではないかと疑っている。研修・トレーニングは企業の方針や経営計画達成に必要な知識、スキル、マインドを実装させるために行う。企業がコストをかけて行うものであるので、当然経営として何らかの成果にプラスの効果があるものでなくてはならない。実施後に教育した知識、スキル、マインドのレベルが向上し、それが業務に生かされ、成果の向上とならなくてはならない。そうなると研修・トレーニングの項目や内容が真に重要な経営ニーズであり、かつ社員に不足していることが前提だ。要は教育ニーズが経営の求めるニーズであり、またそれが不足していることが明確であって、はじめて効果が出るのだ。そうなると経営が求める人材像からキーとなる知識、スキル、マインドを把握することと同時に社員のレベルを正確に測定する必要がある。

 ニーズが特定されると、それを身に付けさせるための研修・トレーニングを企画、実施することになる。実際に行われている研修・トレーニングは総じて時間、コストの投下が少なすぎると感じる。営利企業が時間とコストをかけて実施するのであるから、できるだけ効率的効果的に行いたいという背景があり、そのため業務をせず研修・トレーニングを長期間受けさせることが困難であるので、どうしても短期間になってしまいがちである。

 極めて重要であるのは、研修・トレーニングが目的的かということである。具体的な知識、スキル、マインドの向上なくして、経営方針、計画達成が困難であれば、必要な教育への投下は当然である。またその教育方法も参加する社員の大半が確実に向上するものでなくてはならない。適度な投下と効果的な手法があって初めて効果が見込めるのだ。

 例えば“部門計画立案”、“論理的思考”、“プレゼンテーション”などの具体的な研修・トレーニングで、参加者の多くに実装することを保証するためには、一つ一つの項目に対する時間投下は相当なものであろう。プレゼンテーションスキルの向上を実務で役立たせるレベルで教育しようとすると、少なくとも何度も何度もプレゼンのシミュレーションを行い、個別に指導し、職場に持ち帰り実務で使い、更にフォローアップし、必要であれば再度教育するくらいしなければ、スキルの実装にならない。“訓練”が必要なのだ。そうなると研修・トレーニングの考え方もだいぶ変わるだろう。すでに目標のレベルに達した社員には教育投資はいらなくなる。十分なレベルに達していない社員には継続して教育が必要であり、社員ごとに教育投下が異なることになる。

 プレゼンスキルが対象者全員に対する一日か二日の集合研修で、経営に影響を与えるくらいの効果が出るのであろうか。多くの研修は投下に対する効果を自信を持って言えないため、中途半端になっていないだろうか。そのため参加者全員のスキルアップを保証するための必要投下を説得する力がなく、結果短期間で形式的、啓発的なものになっているようにも感じる。

 企業に必要な知識、スキル、マインドを身に付けさせるための計画やその教育方法はもっと、分析的であり目的的でなくてはならないし、どうも全員一律に集合研修という発想も当てはまらない。やらないよりマシである教育ではなく、確実に経営貢献する施策でなければならない。業績が低下するとやめてしまう教育は本当に必要だったのか。教育の存在意義が問われ続けており、それを証明しなくてはならないタイミングなのである。

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

会長

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て当社設立。代表取締役シニアパートナーを経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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