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column

期間とレベル

 多くの人事制度改革のコンサルティングを行ってきましたが、制度の検討期間が長くなればなるほど、改革のレベルは低下する傾向にあるのではないかと感じます。企業によって人事制度を改革する背景や目的は異なりますが、外部のコンサルティング会社を入れてまで、制度を改革しようとするのですから、今までの制度より相当優れたものでなければなりません。優れているというのは、経営目標や計画を達成するための有効な部品としての優秀性と言うことです。そのため新しい人事制度は、経営への貢献という観点で合理的に設計されなければなりません。日本企業では成果主義的要素は入りつつも、現在でも年功序列的制度です。また等級・グレード制度なども経営に連動し手いるとは言い難く、単に簡単な人物イメージの表記にとどまっています。また業績貢献が低い社員の雇用を大事にしており、さらに給与レベルも高かったりします。現状はあまり合理的な制度設計に運用になっていないため、様々な問題が発生しているのです。現在の人事制度の見直しは、年功序列、終身雇用色は薄くし、経営との連動性を重視する事となり、多くは改訂ではなく改革というほうが妥当でしょう。

 改革とは、制度そのものの内容の改革はもちろんですが、最も重要なのは、経営者、管理職、人事部門が持っている今までの緩い人事管理感覚からの脱却といえるでしょう。制度設計当初は、経営課題から人事制度を検討する意識が強いため、合理的で構造的な設計になります。しかし当初設計した内容から、検討する時間の経過とともに変化していく企業が散見されます。検討期間が長くなれば、現実の人事からのギャップを心配したり、長年慣れ親しんできた人事管理感覚から脱却できづらくなってきます。通常人事制度の設計は3ヶ月から6ヶ月程度の期間をかけることが多いですが、この期間が途中で延びる場合や当初から6ヶ月以上の場合の多くは、改革レベルが当初掲げていたものよりも、だいぶ後退してしまう傾向が強くあります。自分が経営者の時に、自分が人事の担当の時に改革することを躊躇しているのかもしれません。特に年功序列、終身雇用を継続してきた企業では、先輩後輩や同期という意識が存在しています。具体的な顔を思うと、今までのようなあまり差のない、ある意味曖昧で緩い人事管理のほうが、社員全体からの印象は悪くないのです。実際は人件費が高騰し経営を圧迫していたり、人事管理によって業績が上がらないという事態になっているのですが、現状から変えることに一歩が踏み出せなくなるのです。

 業績が一気に低下するような状況では、人事制度は合理的なものに直ちに改革しなければ企業が存続できません。しかし業績が大きく低迷していないときに人事制度改革を行う企業では、短期間であるべき制度に改革できる企業と、長い検討期間を経て結果として行うべき改革が実現できない企業に分かれるようです。

 人事部門は、制度の改革によって、短期的な効果とともに長期的な成長基盤の提供ということであることを再確認しなければなりません。また人事制度改革は、最も大きなコストである人件費のコントロールと、経営目標、計画達成のための原動力でなければならないことも、再認識が必要でしょう。決して先輩後輩や同期の顔がちらつき、改革が手ぬるくなることがないようにしなければ人事部門の存在そのものが問われてしまいます。現時点で波風を立てないことが、将来の経営に大きなないマイナスになることを強く認識し、直面しなければなりません。逆の言い方をすれば経営者、人事部門は毅然とした姿勢で、自信を持ち、短期間で大胆に合理的な制度への改革を断行するべきということであり、そういう経営者や人事部門担当者は後の経営や社員から賞賛と感謝がされるのではないでしょうか。

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