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無音を制する

執筆者: 林 明文 その他

 アルゼンチンタンゴの全盛期の代表的な指揮者として有名なファン・ダリエンソは、“無音”の天才でした。ダリエンソの演奏は曲の途中で突然無音になります。あたかも次の音やメロディーを強調するかのように突然無音になるのです。この“無音”の効果が余すことなく発揮されている代表作は、“ラ・クンパルシータ“とう名曲です。曲名は知らなくとも、この曲を聞いたことがない人はいないくらいのタンゴの名曲です。この曲の中でも“無音”の効果は絶大なものがあります。音を強調するに大きな音を出すのではないという手法に改めて驚かされます。

 会議やプレゼンテーションをする中で、強調して話したい、話さなくてはならない状況があります。このような場合には自然と声を大きく話すことになる傾向にあります。確かに心情的にも自然に声が大きくなってしますのは当然と言えば当然です。しかし強調したい部分をより効果的に伝えるには、“間”をとることも非常に効果的です。“間”を取るとは、「この場でお話ししたいことは、(ちょっとした間)○○ということです」のように、強調したい部分の前に“無音”の時間を作るということです。通常話をしているときは一定のスピードで話をしていますので、いわゆる緩急があまりありません。効果的な話をするにはこの緩急を意識するとよいということです。その究極が“間”であり、これは“無音”ともいうことができます。

 プレゼンテーションにせよ会議にせよ、話すことで何かをより効果的に伝えるには、さまざまな準備や工夫が必要です。話すという行為は、話し言葉が順番に耳に入ってくるだけですので、そもそも全体の構造が分かりづらいのです。そのためプレゼンテーション資料などを用意して、図やグラフなどを使用しながら話すことは、この話すという行為を強力にサポートしてくれます。図やグラフや目次や話のポイントなどが目に入ることによって、話し言葉だけでは伝えきれない、伝えられないものが伝えられるからです。そういう意味では本質的に話だけで相手に何かを伝えることは、相当な制約があるということです。

 しかし聞き手は、図やグラフやパワーポイントの資料を見に来ているのではなく、これらの補助物は使用しながらも、その人の“話”を聴きに来ています。したがって資料の説明を頭から読むようにやられると全く面白くありません。やはり“話”そのものの面白さと技術が根底にあり、資料などはそのサポートにすぎないのです。

 うまく話す、面白く話すという手法やポイントはたくさんあると思いますが、多用して非常に効果的で使いやすいのは、この“無音”の技術です。話にメリハリが出て、また構造的にもわかりやすく、また誰でもが使える技術です。限られた時間で効果的に伝えなくてはならないプレゼンや会議などで、意識的に使用すると、その効果が実感できます。“無音を制する”人は話がうまい人であると評価されるのではないかと思います。

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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