合理的・構造的アプローチで企業人事を進化させる
コンサルティングファーム

コラムを読んだら投票を! コラムの最後にフィードバック欄がございます。ぜひご協力ください。

抑止力としてのパワハラ

執筆者: 林 明文 経営

 パワハラとは、”同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為”ですが、正直どこまでがパワハラでなくどこからがパワハラかよくわかりません。企業を経営してよりよい会社にし、より社会貢献し、社員により処遇をよくしていこうとすると、いろいろなこだわりが出てきますので、どうも納得できないことがあるとかなりストレートな物言いになることがあります。このストレート度合いがパワハラか否かというかということなのでしょうが、正直はっきりとした線引きはできません。

 経営の方針や行動規範などに抵触する発言や行動に対しては、当初はやんわりとストレートに話をするのですが、それでも改善しないのであれば次第に強くなります。挙げ句の果てには机を叩いて怒ることもあるでしょう。しかし頭の片隅ではこれはパワハラであろうかと常に自問する自分もいます。企業を経営するまたは部門の管理をする人たちにとって、方針の明示とその徹底は生命線ですので、これに反することがあるのは、経営者管理者としては看過できないはずです。そのため勢い激しい言動になってしまうのでしょう。

 このパワハラの議論はいろいろな文献を見るとどうも働く側にある意味過保護だと思うところが多すぎます。こんなに気を遣って管理監督しなくてはならないのかとも思うような事例も目にします。しかし現在の社会の常識上仕方ないのかもしれません。

あるクライアントの取締役がこんな話をしていました。この取締役は以前社員に対して罵声を浴びせパワハラであると社内で問題になったことがあります。当の取締役は昔の厳しい社風で育った人物で、強い指導=パワハラと言われてしまうようなことが感覚的に理解できないといっていました。その後この取締役は言葉使いには非常に気を遣っていると言っていましたが、鋭い目つきとなんとなく醸し出す苛立ちなどから、”存在がパワハラ”と言われているそうです。

 さてこの取締役の凄いところは、自分の方針や計画については妥協しないで実行することに強い意志を持っているところです。部下が明らかに準備を怠ったり、やる気がない場合には、最後はパワハラ覚悟で徹底させようと思っていると言っていました。”抑止力としてのパワハラ”と名付けましたが、会社として組織として守るべき一線を守るためには、最後はパワハラも辞さずというスタンスです。こんなことしたらまずいことになる、という価値観を、過去に実際に見せたパワハラの姿で抑止するという新たな武器のようなものです。

 パワハラを肯定しているのではありません。しかし譲れない一線もあることがビジネスマンとしての価値なのではないかと思うということです。

コラムを読んだら投票を!

コラムをお読みいただきありがとうございます。 今後、さらに興味深いコラムの提供やセミナーテーマの参考とさせていただきますので、ご感想の選択をお願い致します。
※投票いただくと、これまでの感想をグラフで見ることができます。

このコラムの評価

投票いただくとこのコラムの評価が表示されます。

このコラムの平均評価

このコラムの平均評価

このコラムの平均評価

ご投票ありがとうございました。他のコラムも是非ご覧ください。

このコラムの感想

  • 大変つまらない:
  • つまらない:
  • ふつう:
  • 興味深い:
  • 大変興味深い:

プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

顧問

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て当社設立。代表取締役シニアパートナーを経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

詳細はこちら

執筆者のコラム一覧はこちら

おすすめのサービス

TOPICS