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column

中高年は使えない

 中高年社員はビジネスの第一線で使えないと言われることがあります。例えば情報産業では一時期に35歳定年説と言われたように一定の年齢ピークを過ぎると技術的にまた体力的に第一線での活躍ができなくなるということです。また広告業では40歳以上の社員の多くは、世の中のトレンドについていけなくなり、センスが古いと言われてしまいます。建設や営業や製造の現場でも体力的に若年社員と同様に働くことが難しくなるとも言われます。このように一定年齢をピークにして次第に現場の主戦力と位置付けなくなる業界や企業が多いと感じます。大企業ではこのような第一線で活躍できなくなった社員を体力的な負担の少ない間接部門などに異動させることによって、社内のアウトプレースメント場所として吸収している例も多くみられます。また小売業やサービス業などでは中高年社員に対して退職促進するスタンスの企業も散見されます。

 この中高年社員は使えないということ自体が本当であるのか強く疑問に感じるとともに、今後高齢化成熟化する社会において、逆に中高年社員の活用や再活性化が企業の成長を支える大きな原動力になる可能性も議論しなくてはなりません。65歳までの雇用を考えると、この中高年社員の戦力化の問題はさらに深刻です。

 中高年社員は本当に使えなくなるのかということについて大いに疑問であると論じましたが、この使えなくなる現象は企業の努力不足によるところが大きいとも推測できます。例えば情報産業では中高年社員は技術進化についてこれないという理由を挙げる企業が多いですが、若手社員と同様のまたはそれ以上の技術教育と意識改革を継続して行っている企業は非常に少ない状況です。常に新たに若い技術者を採用して中高年は使い捨てにしているともいえます。本当に技術やマインドの教育をした結果使えないのであれば仕方ないのでしょうが、努力を怠っている企業は雇用責任を軽視しているとも言えるでしょう。広告業などでもセンスが古くなるといわれていますが、常に最新のトレンドに鋭敏さを持つべく教育努力は十分なのでしょうか。社員側も厳しい第一線で仕事をした後にはのんびりとした中高年用のポジションに就くことを暗に期待しているのではないかとも感じます。

 体力的に厳しいという現象についても議論しなくてはなりません。確かに中高年になれば健康上の問題が多く発生することになります。しかし日本の労働市場では第一次産業のように最も体力的に厳しい職場(農業や漁業など)の平均年齢は非常に高く、それでも第一線で活躍している人が大半です。また中小中堅企業では中高年といえども若年社員と同様の働きをしている人が多いのです。中高年社員が使えないと言っているのは大企業や労働市場が発達をして若年社員の採用が容易な業界だけの話とも考えられます。このような業界や企業では企業側の努力も足りませんし、中高年社員自身も甘えています。体育の時間ではありませんが体力強化を研修に加えたほうがよいかもしれません。

 日本の高齢化成熟化が急速に進行することに対応して、人事制度や教育も中高年社員に照準をあてた抜本的な見直しが必要になるのではないでしょうか。中高年社員は使えないというスタンスや社員の甘えの構造を抜本的に正さなくては雇用に魅力があり責任のある企業と言えなくなる時代が来ています。中高年こそ主戦力となる人事管理を早急に検討しなくてはなりません。

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