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人事の笑えない話

執筆者: 林 明文 経営

人事管理の中でよく冗談とも言えない小話があります。その時々の人事の問題や本質は捉えつつも皮肉的自虐的不謹慎であるという感覚があり、あまりおおっぴらには話されない傾向にあります。まあ笑えないジョークというところでしょうか。私が遭遇した人事関係で笑えない話を少ししたいと思います。

1.”部長ならできる”
非常に古典的な笑い話です。バブル崩壊後のリストラ時によく使用された話です。当時は団塊の世代管理職が余剰していたことから、管理職の人員削減が多く行われました。企業内に管理職待遇の社員が多かったことから、管理職としての仕事をしているのではなく、実務を半分、管理職のサポート半分という仕事のスタイルをしていた人が多かったのでしょう。実務を中心にしているわけでないので、実務のノウハウも現場の社員にはかないません。また管理能力も高い訳ではありません。部長のサポートをしているということなのですが、部長も周りにサポートしてくれる管理職がいるものですから、自分一人の責任で管理をしていません。このようなキャリア的に中途半端な管理職の社員がリストラで会社を退職して、再就職のためにいろいろな面接に行きます。面接の担当者が”あなたは何ができますか?”と聞くと、”部長ならできます”と答えるそうです。実務に自信がないことから、周りのサポートを受けて部長というイスに座ることはできるということを言いたかったのだと思います。

“部長ならできる”という言葉はビジネスマンとしてのキャリアを考えさせられる象徴的な言葉としてちょっと流行った言葉でした。

2.“みんな徹夜でがんばったんだ”
ある会社でサービス残業が多く、労働基準監督署から指導が入ったそうです。この会社は損益的に厳しく、超過勤務手当をまともに支払うと人件費倒産するのではないかという状況でした。しかし現場では非常に忙しく、多少の業務効率化などをしても、厳しい経営環境の中で、残業を大幅に少なくすることは難しかったそうです。労基所の指導はしごく全うなもので、社員の労働時間管理をすること、労働時間に対する超過勤務手当を支払うこと、長時間労働者の健康管理を徹底することの3点だったそうです。総務担当取締役は労基所の担当官に、このサービス残業問題は半年間待ってほしいと言ったそうです。当然監督官は直ちに適正な状態にしろと言います。このままでは人件費倒産することなども話をしましたが、結果監督官は、次月に個人別の時間管理表の提出をする事と時間管理表通りの超過勤務手当の支払いを行うことを命じました。

会社側は各職場で毎日出勤時間と退社時間の管理表をつけるように指示をしましたが、一定範囲の時間しか残業として認めないと付け加えたそうです。要は形だけの時間管理表を作成しろということです。次月に監督署に赴き時間管理表を提出しました。監督官は時間管理表をみた後に、この管理表は適正に出退勤時間をつけていないのではと言ったそうです。総務担当取締役は、“この時間管理表はちゃんとつけるように指導しています。人事は徹夜でがんばったんです”ちなみに人事部の社員は時間管理表上では残業時間がほとんどなかったそうです。これもコンプラか会社の損益かという事でよく使われた悲しい話です。

3.“部長代理なんていらない”
とある企業で人員削減の相談を受けました。社員数3000名の企業で社歴の長い伝統ある企業です。人員削減の相談で社内では問題があるので、当社に来ていただくことになりました。2、3名の方が来社されると思っていましたが、7名の方がお越しになりました。名刺交換すると、人事部長、人事部部長、人事副部長、人事部長代理が2名、人事次長、人事課長の7名です。伺った話は非常に深刻で、3000名の社員のうち500名くらいが余剰であるとのことです。しかも管理職がかなり余剰しているそうです。人事制度を簡単にお聞きすると、特に部長のポストに比較して部長級の社員が異常に多いとのことでした。そもそも年功的な人事制度や運用の結果このような状況となったということで、短期的には人員削減を実施するとともに人事制度をもっとシンプルにしなければなりません。直言癖のあるコンサルタントが、“そもそも部長がいる上に副部長がいて部付部長がいて部長代理なんていらないですね。”人事管理としてのあるべき姿を話すスタンスからは部長代理はいらないと言わざるを得ません。先方は大人の会社で、当方の意図するころや直言を素直に聞いていただきました。中間的な役職が多い企業が多く、会議をするときも参加者によっては多少気にはなりますが、直言するしか当方の存在価値はありません。

4.“シニアバイスプレジデント”
名刺交換するとたまによくわからない肩書きに遭遇します。外資系の企業の名刺の肩書きでおもしろいものがよくあります。例えば先日ある外資系企業の方3名と名刺交換しました。1名はバイスプレジデントもう一人がシニアバイスプレジデント、もう一人がディレクターでした。3名の上下関係は何となくわかりましたが、意味がよくわからなかったのでストレートに聞いてみました。“御社の社長の肩書きは?バイスプレジデントは副社長ですか?何人いますか?シニアバイスプレジデントとは?社員全員で何人ですか?”失礼になってはいけないので実際にはもっと気を遣った聞き方をしていますが、答えは、社長はCEOでCOOもいるそうです。バイスプレジデントは10名いるとのこと、その中でシニア付きが3名だそうです。社員全員で30名の会社だそうです。肩書きはビジネスを行いやすくするためにある程度自由につければよいと思いますが、ずいぶんインフレな会社もあるのだなと、ある意味感心しました。世間とズレすぎで面白すぎです。

5.“有給は無いの?”
たまに遭遇する取締役です。取締役になるときに十分な教育を受けていないのか、商法上の取締役の権限や役割、人事上の扱いがよくわかっていない方がたまにいます。社員の延長線上で役員になったという意識ですので、たまに面白いことを聞かれます。”役員には有給はないの?”“役員にも夏冬の賞与を払ってほしい”“休日に出勤したときの扱いは?”などなどです。ご本人が悪いわけではないと思います。取締役は社員と全く異なる存在です。十分な教育を。

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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