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倉田 淑実

column
組織を育てる ~妬み嫉みのその先へ~ | その他

組織を育てる ~妬み嫉みのその先へ~

 処遇にメリハリをつけて優秀な人材に報うための制度を作りたいという相談は多い。そして、そうは言ってもメリハリをつけると妬み嫉みでハレーションが起きるから、現実的にはほどほどにしなきゃね、と葛藤する姿もよく見る。  特に、成果による処遇の連動性を高める議論をしている時や、管理職育成対象者を選抜・育成するための等級の設計などを議論している時に、そんな制度は理想だけど、人間には感情があるからうちの会社では無理だね、と。  不必要なハレーションは利益を生み出さないし、生産性が下がるので無駄である。しかし、感情の揺れ動きがあることは決して悪いことばかりではない。妬み嫉みの背景には感情と、それを湧き上がらせるだけの凄まじいエネルギーがある。  嫉妬やそれが引き起こすハレーションは、感情のベクトルや表出のさせ方として正しくはないし、ビジネスマンの立ち振る舞いとしても粋ではないが、そこには確かにエネルギーがある。  本人の自覚はともかくとしても、心の奥底で自分も認められたい、出世したいと思うからこそ、人を妬み羨む嫉妬心が生まれる。一方、全く立身出世に意欲・関心がない者は、誰が評価されようと、選抜されようと、淡々と出勤して日々の仕事をこなすだけである。  後者の集団はハレーションを起こさないため、一見問題なく見えるが、現状維持をする以上のエネルギーを持たない。将来の組織力を向上させるための種が無いのだ。  エネルギーが無いところにエネルギーを持たせるより、好き勝手に発散されているエネルギーの方向をコントロールする方が簡単だ。  負のエネルギーこそ、心の奥底から湧き上がる感情を湧き上がらせる際に発生しているものであり、驚異的な力を持つ。ベクトルを正すことさえできれば、とてつもない戦力となる。  他人を揶揄し、不平不満を言い、足を引っ張ろうとする負のエネルギーを、自らの壁を乗り越えさせるための正のエネルギーに変換するマネジメントや育成ができないだろうか。それさえできれば組織力が格段に上がる。  妬み嫉みがくすぶる組織は腐った組織ではない。強い組織になるための種を持つ組織だ。種を腐らせるか、好き勝手に自生させるか、それとも支柱を添えて丁寧に育て花を咲かせるかは働きかけ次第だ。

「変化対応に不可欠な“人事のデータ分析“」

連続的な変化・安定的な成長が見込まれた過去から一転、昨今、目まぐるしい変化に直面し、困難な状況の克服を目指す時代となりました。突発的で予期せぬ変化が生じ得る時代を生きる企業にとって、「変化対応」の重要性が増しています。本セミナーでは、①ポートフォリオ②パフォーマンス③中長期的視点 をキーワードに、人事部門における定量分析のポイント・具体例・施策展開に向けたポイントをお伝えします。人事部門が現状を定量的に把握し続けること、数字で現状を語ることは、変化対応を含めた経営上の意思決定を支える重要な根拠となるはずです。

なんとなく辞めたい若手 ~複眼的情報が若手の不必要な離職を防止する~ | 人事アナリシスレポート®

なんとなく辞めたい若手 ~複眼的情報が若手の不必要な離職を防止する~

 20代の離職率が高いという相談は常に多い。また、個人的にも、近頃20代から30代前半くらいまでの知人から退職・転職活動に関するアドバイスが欲しいとの相談がやたらと多い。  彼らの話をよくよく聞くと、背景には2つの誤解があった。1つ目の誤解は、組織人事分野のコンサルタントという職業が、なぜだか転職支援のプロだと思われているということ。人事=採用という図式が彼らの頭の中にあるようだ。転職支援を生業にしているわけではない事実を伝えつつも、幸いにして労働市場に関する知識はそれなりに持っているので何らかの役に立てればと、引き続き話を聞くこととする。  2つ目の誤解は、今の会社を辞めさえすれば、全ての不安や不満が解消されると思ってしまっていることである。  彼らのほとんどは大学を卒業後に入社をした会社で若手社員として奮闘している。学生時代の就職活動では入社後に企業で叶えたい夢を語らねばならないため、試行錯誤しながらやりたいことを探し、作文し、面接でアピールしているうちにその会社に受かりさえすれば未来が明るいような気がしてくる。  しかしながら、入社後数年が経つと自らが選択した業界・職種・企業の良いところも悪いところも見えてくる。企業にとっての強みと弱みは背中合わせの関係にあることも多いが、「なんとなく辞めたい若手」にとっては悪い点ばかりが見えてしまったり、客観的に見ればさほど悪い状況でもないものの、重大な欠陥のように見えたりしてしまう。  限られた世界の中で日々奮闘している社員にとって、視野が狭くなってしまったり、入ってくる情報に偏りが生じてしまうことは仕方ない側面もある。その結果、自らがとんでもない窮地に立たされているかのように錯覚し、本当は続けたかった仕事を辞めよう、辞めさえすれば不安が解消される、と思ってしまう。  情報の偏りを是正するだけで離職を踏みとどまったケースがある。小売業で働くある若手社員の主訴は「職場がすごく高齢化していて、若い人の意見が全然通らないし、アイデアが形にならない。」とのことであった。  そこで、まずは企業の従業員の平均年齢を調べてみた。すごく若いわけではないものの、本人が悲観するほど高くなく、一般的な水準だと推測できた。その後、全国の民間企業で働く労働者の平均年齢、都道府県別の平均年齢、業種別の平均年齢、企業規模別の平均年齢も調べてみた。驚くことに、当該企業の平均年齢はいずれの属性で調べた平均年齢よりも若いことが分かった。  世の中と比べて異常な高齢化をしている訳でもなく、むしろ若干若いくらいだとの事実を伝えた。併せて、日本の高齢化の程度・スピード、将来の予測情報を提示し、小売り業各社がターゲットとする市場(顧客)も同様に高齢化している旨を伝えてみた。事業規模の維持・拡大のため経営の方向性として中高年~高齢者を対象としたプロモーションに舵を切っている可能性が考えられないか、そのことが上司の方向性と本人のアイデアや意見との乖離を生んでいる可能性がないか、尋ねてみた。  主観的情報だけでなくあらゆる外部指標と比較をして客観的に観測したり、それを踏まえて上司の意見の背景を推察したりすることにより、不安感がずいぶん軽減されるようである。  もちろん定年まで見届けた訳ではないので、再度離職を考えるタイミングが来るかもしれないが、勢いに任せて偏った判断を下してしまうことは免れたのではないかと思う。  継続的なメンタルチェックや業務負荷に対する考慮、ワークライフバランスの考慮等、離職率に悩む企業が講じるべき施策は様々あるが、自社のあらゆる数字が外部に比べて優良であることを積極的に発信することが、漠然と未来を悲観する若者の離職防止に役立つかもしれない。

目的追究型コミュニケーション ~Quiz:珍しい緑色の木の実とは?~ | 人材開発

目的追究型コミュニケーション ~Quiz:珍しい緑色の木の実とは?~

 自然豊かな山道を歩いている。友人に「あっ!見て!緑色の実だ!珍しいね?!」と声を掛けられた私は「あぁ、本当だ。珍しいね。」と答える。  文字で見るとおかしな会話だ。植物に詳しいわけではないが、緑色の木の実は珍しくない。多くの種類の実は、熟れる前は緑色をしていることが多いのではないか。素直に「緑色の実は珍しくない」「実が熟れる前は大体緑色なのでは」と伝えるべきだっただろうか。  実は、先の会話は次のような光景を目前に交わされたものであった。 図表1 出典:photoAC  友人の方を振り返ると、発見の喜びに満ちた笑顔を浮かべている。  おそらく、鮮やかな紫色のような、この色の話をしたかったのだ。重要なのは彼女が発したワードの音が“MIDORI”だった事実ではない。見たことがない色をした実の存在に驚き、その驚きの度合いを伝えると共に、同じくらい驚いて欲しい、という彼女の発言の背景にある願望こそが重要だ。たまたま発された音が少し違っただけなのだ。  言葉は、人間が複雑な情報を伝えるための共通の道具として使っているにすぎないのだから、道具の精度よりも、まずは、何のために道具を使っているかという目的が最も重要だ。もちろん、目的を達成できるのであれば、道具の性能や優美さを追求したって構わないが。  従って、緑色というのは目前の木の実の色を正確に描写するための言葉としては誤っている、若しくは、緑色は珍しくない、という返答は、ここで交わされたコミュニケーションの目的に沿っていないと思われる。言い間違いを正すという意味では極めて正論だが、本人の願望に応えられているかという尺度ではナンセンスだ。  スムーズに物事を遂行するため、生産性や正確性が求められることが多いが、一見無駄に思われる、状況や雰囲気を自然に読むことこそがスムーズな遂行につながる。  「目前の木の実の色は紫色であるから、緑色としたあなたの発言は誤りだ」と指摘をすれば、2人が認識した物体と、それを表現する言葉が一致したことを即座に確認でき、短期的には非常にスムーズである。しかし、そうした返事をした場合、彼女が次回また新たな発見をした時に、情報を共有してくれるだろうか。長期的にみると、一瞬で得た正しさよりも機会損失の方が大きいだろう。  コミュニケーションを通じて状況を正しく理解し、認識の一致を測ることは大切だ。しかし、文字面の正しさに終始し、コミュニケーションの目的を見失うことがあってはならない。 より概念的に言えば、局所的かつ短期的な正しさを求めるあまりに、長期的な機会を損失すべきではない。  仕事柄、数字や文字情報に向き合うことが多い。単なる数字や文字の正誤や良否のみならず、情報の背景にある目的を緻密にデッサンしながら問題課題の解決に取り組みたい。

専門職とは何か | 人事制度

専門職とは何か

 専門職とは、どのような人材群だろうか。管理職にはならなかったが社内での経験がそれなりにある人材に対して、少し高めの処遇をするために設けている職群であったり、そうした人材と高度な専門性を有する人材が混在している場合であったり、会社により様々である。  人材を特徴ごとに区分する際につける名称は、会社の自由だが、「管理職にならなかった人材」と「その他の個別性が強く一把に括れない人材」をごちゃ混ぜにして専門職と呼ぶような会社も見受けられる。  このような「ごちゃ混ぜ専門職」の問題点は、各人の価値に応じた処遇やキャリアパスを実現しにくいことにある。価値に見合った処遇ができなければ、社員が有する価値に十分に報いることができず優秀な人材が流出しかねないし、価値よりも余分に処遇すれば総額人件費の膨張につながる。実態と合致したキャリアパスを用意できなければ、目的に合った計画的な育成ができなかったり、社員に対して「自分は将来どんな道を歩めばよいのか」という不安を抱かせたりしてしまう。  ここでいう本当の意味での専門職(以下プロフェッショナル人材、と呼ぶ)とは、特定の領域における専門的な知見や経験によって会社に貢献する人材のことである。一方、管理職にはならなかったけれど、それなりに高く処遇されているという人材は、社内で必要なスキルを十分に習得しており、業務に対する一定の熟練度を有する人材であることが多い(以下、熟練者と呼ぶ)。  プロフェッショナル人材と熟練者とでは、有する価値の種類が違うため、処遇の設計に対する思想も根本的に異なる。プロフェッショナル人材は、社内に限らず労働市場において活躍できる可能性が高いことから、外部労働市場における価値を鑑みた処遇をする必要がある。  一方の熟練者は、必要なスキルを習得しており、業務の熟練度も高く、安定的な業務遂行を期待できるという価値を持っている。必要以上の流出を防止するため外部労働市場を鑑みる必要もあるものの、社内の非熟練者と比較した場合の相対的な価値の高さを処遇で表現する必要がある。  キャリアパスという観点でも、まったく異なる性質を持つ。プロフェッショナル人材は、新入社員が社内であらゆる経験を積んで管理職へ育っていく道の上にはいないのだ。例えば、製造業の会社で採用した新人Aさんに製造現場や営業、管理部門と様々な職務領域を経験させ、管理職に登用されるまで育てあげたとする。優秀な管理職としての価値は十分に高まったとしても、法律家や、研究者など、特定の領域で他の追随を許さないほど専門性を高めた人材とは、やはり有する価値の種類も歩んできた道のりも全く違うはずだ。  仮にAさんの育成が上手くいかず、管理職への登用ができなかったとしても、急にプロフェッショナル人材として扱うのには無理があるだろう。プロフェッショナル人材とは通ってきたルートと有する価値の種類が違うのだから、社内における能力習熟度や業務の熟練度が高い熟練者として処遇する方が、キャリアのあり方や有する価値に見合っているといえる。  ビジネスモデルが必要とする人材の多様化や、流動的な時流を乗り越えるための管理職のスリム化を契機に、複数の人材区分やキャリアパスを設ける会社が増えている。せっかく分けるのであれば、人材群の特徴を精緻に描写し、特徴にぴったりの処遇やキャリアパスを設計する必要がある。人材群の特徴にぴったりの処遇やキャリアパスを設けようとしないのであれば、人材を区分する意味がないのだ。

お金の管理だけで十分ですか? | その他

お金の管理だけで十分ですか?

 かつて税法や簿記を勉強していた私は、知人や諸先輩方に、経理職を勧められることが多かった。会社全体の経営を数字で管理する経理という仕事に携わることで、ビジネスへの理解が深まり、経営的ポジションについたり、起業したりする際に役に立つという。確かに、管理部長のほとんどは財務・経理出身の方が多く、人事部長や総務部長という方はまれである。  経理の扱う数字によって会社全体の経営を管理しているという考え方には納得感があり、実際に税務・会計のコンサルタントとして多くの企業の数字に関わった。しかしながら、しばらく仕事をする中で、ある疑問が浮かんだ。  経理が扱う数字だけでは経営活動を管理しきれないのではないか、という疑問だ。  経理で扱う数字は「お金」に特化した数字であり、それ以外の分野については数字で表す習慣がなく、分析の対象となっていないことが多い。重要な経営的資源であるにも関わらず、客観的な数字で表現されたり分析されたりしないことが多い分野の代表的な例が、人事の領域である。  多くの、特に中小企業の経営者と対峙した経験の中では、企業の中で起こる様々な問題に対して、数字だけでは管理しきれず「(経理が扱う)数字+勘+経験」という組み合わせによって経営的判断を下しているケースが多々あった。経験豊富で勘が必ず当たる幸運な社長にとっては何の問題もないのだが。  「数字+勘+経験」のうち、数字で表現することができないことが多い「勘+経験」の領域を、数字で表現して分析してみることによって得られるメリットは非常に大きい。  一定のルールに基づいて整理された数字を使うことにより、他社、自社の基準や過去の数字などとの比較が可能になる。財務・経理の分野では、さほど意識せずこの手法を用いており、業種や規模によって経常利益率は○○%程度が目安、などと特定の指標と一定の目安を基準に議論を展開している。  これらの比較検討と分析・議論によって、経営課題を認識し、軌道修正を行ったり新たな手法を導入したり、複数ある選択肢の中から最適な選択を行ったりする際に、最善の判断を下すことができるのだ。数字を用いることによって、一定の基準の上で比較検討することが可能になり、無限の選択肢の中から直感で決定するというリスクを負わずに済む。これは、リスクヘッジという観点でも非常に有用だ。  「勘+経験」の領域であるとされがちな人事に関しても、BSを見るように人的資産の保有状況を見て、PLを見るように一定期間のパフォーマンスや創出される価値を測定することによって、何を基準にどこを目指すべきなのかがおのずと明確になるのだ。  会社や経営者の判断や価値観によって相違が生じることは予見しうるものの、同じ業種・規模で望ましいあり方はある程度定型化できるはずである。  実際には、多くの会社ではまだ行われていないことだが、今後は、人事の領域についても比較・分析という概念を導入し、数字を用いた一定の指標と基準をベースに、経営戦略の実現のために議論を重ねることが望まれるようになるだろう。