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真の打ち手は何か ~ 「長期的視点での人材育成」の満足度改善 ~ | モチベーションサーベイ

真の打ち手は何か ~ 「長期的視点での人材育成」の満足度改善 ~

 「長期的視点での人材育成」は、社員アンケートを様々な企業で分析する中、勤続意向の影響度分析にてより多く登場する、キーとなりえる設問項目の1つである。しかし、8割の企業が問題水準とされる低い満足度だ。(※) 満足度を改善するにはどのような施策を打てばよいだろうか。  そもそもなぜ多くの企業で満足度が低いのか。それは、他社との比較が難しいことも原因であろう。定量的な共通の指標(例えば一人当たりの人材育成費)がなく、また、定性的な情報であっても大手の教育プログラムの紹介記事や、企業の求人広告の記事が主で、詳細は分らない。世間一般の企業と比べた自社の取り組みレベルの評価が、誰もできないのだ。  それもあり、社員はアンケートで「会社は長期的に人材育成にとりくんでいるか」と聞かれた場合、"立派な階層別研修が用意されているか" "定期的に目的的な研修があるか"など考え、ない場合は低い満足度の回答をすることが想像できる。  しかし、「長期的視点での人材育成」の満足度改善施策が、"立派な階層別研修の構築"や"定期的な研修"だけであろうか?  当社の社員サーベイデータにて「長期的視点での人材育成」を目的変数にし、他の設問との影響度を調べた(回帰分析を行った)ところ、「現在の仕事での成長実感」に特に強い影響があることが分かった。  また、同じように「現在の仕事での成長実感」を目的変数に、他の設問との影響度を調べたところ、「職場での意見尊重」「上司からのスキル向上指導」「上司からの明確な指示」で強い影響が見受けられた。 "自身の仕事をよりよくしていくための意見が言える風土なのか" "自身の成長をサポートしてくれる上司はいるのか" "それにより仕事を通じて成長できていると感じられているのか" が、重要なのだ。  上記は当社の蓄積されたデータでの分析であり、もちろん企業によって課題や取り組みが違うため、結果は異なる。自社のリアルなデータを分析し、効果的な打ち手を提言することが必要だ。今、取り組んでいる人事施策の効果を確認できるよう、社員サーベイを企画・実施していくこと。施策効果が、期待どおりでない場合、分析を通じて効果的な次なる打ち手を考え実施すること。人的資本の注目が高まる中、人事はPDCA回していくための「CA」の力が更に求められてくるであろう。 ※当社のサーベイナレッジデータより算出 「会社は長期的に人材育成にとりくんでいるか」の質問に対し、5点満点中、「3点:どちらともいえない」を基準に、満足度の平均点が3点を切る企業を低い満足度とした場合

スマホレジ的DX | モチベーションサーベイ

スマホレジ的DX

 1年ほど前に、オフィス前にあるコンビニでセルフレジのシステムが導入された。 以来、そのコンビニでは、棚から商品を取って、バーコードを自分のスマホのアプリで読み込み、そのまま精算し、レジに並ぶことなく、誰とも会話する事なく店を出ている。ファミリーレストラン等でも、テーブルに設置されているタブレット端末の画面メニューを見ながら、注文をするようなシステムが導入されているが、コンビニのセルフレジは、商品を取って、代金の精算するまで、店舗のスタッフとは、まったくコンタクトせず取引が完了するので、その先を行っている。店側は、人件費削減になるし、顧客側もレジの列に並ばなくてよいし、まさに、デジタルトランスフォーメーションの代表的な例だ。  デジタルトランスフォーメーションでは、一般に、プロセスの自動化やデータ分析、クラウド移行、IOT導入など、デジタル技術の活用が前提になるが、それと組み合わせて、業務や取引プロセスを変更することで、ビジネスモデルの進化がなされる。先ほどのスマホレジの場合も、商品の代金決裁の機能の主体者を提供者からユーザーに移管させた訳である。  当社で提供している社員意識調査においても同様の効用を感じる例がある。 社員意識調査の質問項目別のポイント集計は、サーベイ対象者全員と共に、年齢別、男女別、部門別、役職別、等級別、職種別といった属性ごとのポイント集計を行っている。そうする事で、例えば、ある質問項目に対する全社員の満足度は、比較的高い結果がでているが、年齢別でみると30代、40代の社員に比べて、20代の社員が極めて低いという事がわかる。  では20代の社員だけなぜ満足度が低いのかを検討する中で、今度は、20代の特定の部門に所属している社員が他の部門と比べて低いことがわかれば、20代のなかで、特定の部門に所属している社員にターゲットを絞って固有の理由を考えればよいことになる。  こうして、年齢別X性別、年齢別X部門別、年齢別X等級別、等、様々な属性を掛け合わせて見る事で、ピンポイントの状況が把握できるので、結果として、その理由も推察しやすくなるし、対策も打ちやすくなる。当社の提供する社員意識調査では、当社で、全社のポイント集計と共に属性別のポイント集計、および、結果に対して想定される原因や想定されるソリューションを一通り提示するが、それに加えて、2つの属性の掛け合わせの集計に関しては、簡易的なダッシュボードツールも提供して、クライアントが、20代の男性、40代の課長など設定された属性の中から、ツール上で自由に選択し、その集計結果が把握できるようにしている。  こうした属性X属性の集計は、必ずしも、すべての組み合わせでやることは有効ではないし、まずは、単独の属性別での集計結果の中で、着目すべき結果に対して、原因を考察し、特定の属性X属性というクロス集計を見てみようという流れになるので、サーベイの提供者である我々が、あらかじめ一定の仮説のもとでクロス集計を行うよりも、ユーザーとしてのクライアント企業の方で、提供したダッシュボードツールを自由に使いながら、考察する方がより効果的で本質的な問題把握が可能になると考えている。  こうした機能の主体者を移管させる事が有効となる可能性は、企業内の人事部と社員の間でも十分ありうる事だろう。人事評価の過去の履歴や分布情報なども、人事が抱え込んで、分析をしようとしても、なかなかやりきれないのであれば、一定以上の管理職にデータを提供し、人事評価を行う前に、過去データを分析することで、より評価品質が向上したり、評価対象者に対する効果的な育成ポイントが見えてきたりするかもしれない。

メディアとしての社員 | モチベーションサーベイ

メディアとしての社員

 企業統合や経営/事業変革に伴い、ミッションとビジョンを改めて策定することは最重要施策といってよい。付加価値として何を生産し、社会に対してどのような貢献をなすことでコーポレイトサステナビリティを実現するか。そのエッセンシャルな意思表明がミッション、ビジョンであり、企業活動のブランディングの核となるものだからである。    ブランディングの核とは、対外的には、事業活動を通じて形成される企業イメージの統一軸であり、対内的には、事業活動を担う社員が主体的に行動する際に常に参照すべき軸(=基準/規範)だということだ。事業活動とは一人一人の社員の仕事の集積だから、とくに大事なことは後者。ゆえに、新しいミッション、ビジョンは制定後に、いかに全社に浸透させ、企業活動に反映させていくかがまず最初に問われ、インターナルコミュニケーション戦略の巧拙と徹底度がその成否をわけることになる。  ミッション、ビジョンの背景や意義/意味を理解させるべく、さまざま機会を設けての広報(=ビデオメッセージや階層別勉強会等)、経営陣による車座セッション展開、行動基準やバリュー評価項目へのブレークダウンなどがなされるものの、ともすると、理解は進むけれどもどこか「会社の方針だから」といったやらされ感を払拭できずに、主体的行動が生成するという意味での「浸透」には至らなかったりする。  行動喚起のポイントは、一人一人にとっての「自分ゴト化」である。新たなミッション、ビジョンが、自分にとってどういう意味をもつのか。自分の将来とミッション、ビジョンが示す会社の将来を関係づける――つまり、自分の夢、仕事を通じて実現したいこと、キャリアビジョンといった個人的な想いとの重なりのなかで、会社のミッション、ビジョンを肚落ちさせる。社会性と抽象性の高いステートメントというものは、自分にとっての意味づけができて初めて、具体的な行動実践への意志を持てるのだ。たとえば自己言及とグループダイナミクスを組み込んだプロモーションにより、そうした内省/言語化ができれば、あとは、実践に向けてのスキルをインプットしてあげればよい。  さきに、ブランディングの核は、対外的なイメージ統一軸と対内的な主体的行動の参照軸の二つと言った。インターナルコミュニケーション戦略の要諦となる「自分ゴト化」は、もちろんこの後者に資する施策ではあるが、実は、前者の企業イメージ形成にも直結する。社員一人一人の一挙手一投足から、顧客はその会社ブランドを感じとる。つまり、一人一人の社員が、顧客のイメージ形成の際のタッチポイントになってしまうからだ。  全ての個々の社員は、ブランドに即した行動の実践者であると同時に、顧客や市場や社会に向けて自社のブランドを伝えるメディアなのである。一人一人の社員が、社会に対するブランディング・コミュニケーションのメディアであるからこそ、自分ゴト化することにより生まれる「ブランディングへの信念」が、見えないけれども感じ取れるメッセージとして伝わることで、リアリティをもったブランドイメージが接する顧客や社外の人々のなかに形成される。  メディア戦略とは、広告媒体をはじめとしたさまざまなPR/コーポレートコミュニケーション媒体活用を「社外向けのメディアミックス」としてではなく、「社員というメディアを補完し増幅するもの」として、組み上げなければならないのだ。つまり、社会に対するブランドプロミスの発信のターゲットは、つねに、まず第一に社員なのである。

Web会議は疲れる⁉ | モチベーションサーベイ

Web会議は疲れる⁉

 最近のコロナ禍で、オンライン会議といわれるWeb会議が非常に増えました。このWeb会議だと、会社に行かなくても自宅からだし、移動時間がなくなって良かった、出席する負担も軽いはずだし、時間を効率的に管理できると考えていたが、1日に2回、3回実施するとリアルで会議や商談をするより、はるかに疲れるなぁと思うようになったのです。連続でこなそうものなら、疲労がピークに達する場合もあるほどです。  なぜWeb会議は、リアルの会議に比べてこれほど体力や精神力を必要とするのでしょうか。web会議の場合は、参加者全員とコミュニケーションをとる必要があり、相手の言っていることや考えていること、表情をすべて理解しなければいけないという意識が働くわけです。そのため、いつも能動的なスタンスで、画面に向かいます。さらに映る背景を気にしながらカメラにいいポジションでという意識から、同じ姿勢で固まったままになりがちです。  通常の会議であれば、何人か出席していたとしても、自分が発言している時は他の参加者は、その他大勢となるので、参加者の顔は見えるが、個々の表情にまでそんなに意識を向けなくても良いのです。つまり会議全体の「雰囲気」さえ把握していれば問題ないのです。  ところがweb会議では、遮断された「雰囲気」をできる限り摂取しようと画面を通して伝わってくる情報に目や耳を集中させることが必要になります。「全参加者分の個別ワイプ画面」と対峙することになる状況が続き、たくさんの顔と向き合うと、一人ひとりの表情や動作が非常に気になるという事態が発生します。いろんな顔に目を向けることになるし、さらに、共有された資料も見ながら常に集中し続けているし、情報が多すぎて整理できない。この高度な集中力を要求されることが、web会議後のなんとも言えない「疲労感」につながっているのではないかと考えるのです。  今後、Web会議に疲れていると自覚しているのであれば、ツールの使い方の工夫が必要です。たとえば、出席者の確認をしたら、あとはカメラ映像をOFFにしてしまうとか、時間を思い切って短く設定するとか。テレカン(teleconference)のように複数人で電話会議をすることは前から実施しており、映像を使わないことがあります。音声だけでも十分にコミュニケーションはできるはずです。映像というツールが使えるからついつい表情も見たくなり、映像は常にONにという暗黙のルールや圧力を感じるときもありますが、実務的な打ち合わせなどでは、顔よりも資料に目線を集中させた方がはるかに効率的なこともあるのです。  今後もweb会議はますます発展していくことが予想されます。すでに会議だけでなく、集合型の研修をWeb型研修に切り替えるケースも増えてきているし、web会議にしかない良さ、冒頭にあげたような「効率」の面では圧倒的に便利です。その一方で、対面での会議でも、これからweb会議がどんどん合理的なツールになれば、「非合理的な」コミュニケーションの手段として残って欲しいなと思います。  リモートワークに体が慣れてないうちは、いろいろ大変なことも多いです。会社でなく家にいるからといって、決して楽ではないわけです。充実したリモートライフを送るためにも、気づいたことがあればいろいろと工夫していきたい。それぞれの良さを踏まえたうえで、場面に応じた使い分けが大事ですから。

「モンスター社員」の増殖 | モチベーションサーベイ

「モンスター社員」の増殖

最近、「モンスター社員」と言う言葉をよく耳にする。厳密言うと「モンスター社員」にも色んなタイプがあるようだが、一般に、処遇や福利厚生に対し過度な要求をしたり、会社の制度やルールに対して否定的・非協力的な主張をして、自身の要望が受け入れられないと、「労基署に行く」等と言って人事を脅したり、実際にそうする「やっかいな社員」の事を指すようだ。 入社時点に想定していた内容と異なる業務を求められると、話が違うと、拒否したり、上司や人事から気に入らない注意を受けると翌日から無断で休む、さらには、インターネットのSNSや掲示板上に、そうした状況を誇張・曲解した上で、会社や上司・同僚を誹謗中傷する投稿をする等・・。こうした「モンスター社員」は、従来の「やる気のない社員」や「さぼり社員」とは異なり、よりたちが悪いと言える。会社にとっては深刻な存在で、対応を間違えれば、一人のモンスター社員が、会社全体の価値を下げてしまうリスクさえあるかも知れない。 モンスター社員が「増殖」している背景には、採用難が続く中で、会社の採用基準が甘くなりがちな事や、働き方改革が進む中で、残業時間の抑制や休暇の取得など、労働者の権利をきちんと確保していこうとする社会的要請が高まる中、「会社」より「社員」の権利をより尊重する空気が我が国の社会全体に漂っていることも影響しているだろう。 また、SNS上に発信されたコメントにひとたび火が付くと、その内容の正否を確認される間もなく、それが世界中に瞬時に拡散してしまうというネット社会特有の現象もまた、事態をより悩ましくしている。 最近、かつて目覚ましい企業再生を果たし、賞賛されてきた著名な企業経営者が、一たび、逮捕されると(まだ有罪と確定したわけではないのに、)手のひらを返したように、否定的なコメント一色になる我が国のマスコミや識者の論調に、正直、驚いているところだが、我が国のそうした「推定有罪的」国民性?もまた、会社が毅然としたアクションを取りにくくしていて、結果として、「モンスター社員」をのさばらせてしまっているようにも思う。 会社のいわゆるブラック企業的行動を排除させるために、「社員」の権利をより尊重する方向で、「会社」と「社員」の関係をリバランスする取り組みはよいのだが、それが行き過ぎて、社員の権利を守ることに囚われすぎてしまうと、会社の中に、多数のモンスター社員の増殖を許してしまうような事にならないか。ルールに基づく「モンスター社員」への毅然とした対応と共に、社会全体としての「会社」と「社員」のパワーバランスが適切かどうかを検証していく姿勢が、我々、ひとりひとりに求められている。

ストレスワクチン | モチベーションサーベイ

ストレスワクチン

多くの組織で問題になっているメンタルヘルスの予防的施策として、ストレスワクチンという処方がある。 メンタル不調を結果するような状況に至る前に、ワクチンを打ってストレスの抗体を作り、個々人のストレス耐性を高めておく手法だ。「ワクチンを打つ」とは、Off-JTのワークショップとフォロープロセスのことで、まずは組織診断によりその会社固有のストレス因子を検出し、それを使ってストレスフルな状況の予行演習を体験する。主に、入社間もない社員に対し行われる予防施策である。 企業内ストレスにさらされる状況はある程度決まっている。一般的には、入社直後や配属直後、異動後や転勤後、管理職への昇格したときがそうであり、加えて各社の業務や組織の特性と風土や慣習によって、ストレス状況の類型化ができる。部門による人間関係の特性や組織の意思決定のクセが、その会社固有のストレス因子かもしれない。それを“抗原”として、想定される状況下で、自分がどのように対処すべきかを先行して考えることで、ストレスを受け止める力を身につけさせるということである。 言うまでもなく、生産性を追及する組織である限りストレスは必須だから、組織のストレスをなくしていくのではなく、個人のストレス耐性が課題になる。「メンタル失調になりそうな候補者を検出できないか」という採用担当の方々からの要請も少なくないように、“個々人の資質問題”に偏りがちなアプローチに対して、ストレスの抗原−抗体反応の仮説は魅力的ではないか。 この仮説が正しければ、EAPや産業保険医体制の整備、あるいは管理職へのメンタルヘルス研修などで、不調者の予兆を個別的に早期発見、早期対応するくらいしかメンタルヘルス対策がないなかで、組織的な予防施策として展開できるからである。 「必ず直面するストレス状況を、事前にイメージさせ、受け止められるようにする」とは、その時どうすればよいかをシミュレーションさせることだけが大事なのではない。何より、その状況の背景の意味を考えさせ、理解させること。個人の業務や役割の意味とその背景にある会社のミッション、そうした業務が自分にとって、自分の将来にとってどのような意義を持つのかを、深く考えさせることこそが重要だ。つまり、将来のストレス状況にポジティブな意味づけを予め前提させる。ストレスとモチベーションが表裏の関係あること自体を体感させるのが、こうした施策の最大のポイントだろう。 さらに、ストレスワクチンの効用はもうひとつある。組織の暗黙知が明示化することである。抗原を検出するための事前のストレス診断により、暗黙のルールや集団行動のクセのインパクトがわかる。例えば、ある部門はきわめて家族的な人間関係に特性があるかもしれない。新入社員がこうしたことを事前に知ることで、効率的に仕事に集中できるはずだ。 かつて、辞めてほしくない社員に対して、アメリカの会社は“ゴールデン・ハンドカフ(金銭による手錠)”をかけるが、日本の会社は“エモーショナル・ハンドカフ”をかけると言われたことがある。日本企業の雇用関係は、長期雇用の黙契がなくなり、成果と報酬の契約的関係になりつつあるとはいえ、暗黙のルールや人間関係の圧力は存在する。ストレスワクチンは、それに対するプラグマティックな挑戦でもあるのではないか。

社員の幸福感の高め方 | モチベーションサーベイ

社員の幸福感の高め方

 幸福感の高い人はどのような人だろうか?一般的には配偶者のいる人や非喫煙者、心身が健康である人はそうでない人と比べると幸福感が高いと言われています。また、興味深い調査として、幼少時にシルバニアファミリーで遊んでいた女性とそうでない女性を比べたものがあります。この調査では、大人(20~25歳)になった時点での幸福度は、シルバニアファミリーで遊んでいた女性のほうが高いという結果が出ています。  しかし、当コラムを読んでくださっている皆さんが興味をもたれるのは、「幸福感」という概念は、ビジネスの中でどのように活かすことができるのか?特に、「生産性」や「業績」といった代表的な成果指標に対してどの程度の影響を与えるものなのかといったことではないでしょうか。  欧米の研究を見ると、幸福感の高い社員は、生産性が高く、売り上げも多く、リーダーとしても優れ、高い業績を上げる。また、病欠も離職も少なく、仕事のストレスに負けることもないという報告があります。幸福な気持ちで業務に取り組むと、時間の使い方が効率的になり、仕事の質を下げることなく生産スピードを向上させることができるそうです。その結果、幸せな気持ちで物事に取り組んだ人は、そうでない人と比べて生産性が12%向上するという調査結果も発表されています。ちなみに、不幸は生産性を10%低下させるそうです。  では、企業にとって良いことづくめの幸福感は、何から影響を受けているのだろうか。幸福感の高めかたが分からないと施策を講じられませんが、この領域の研究は国内外を通してまだ始まったばかりです。  国内における先駆け的な研究は、2012年に内田・城戸が人材育成学会にて発表した『ポジティブ組織行動論の試み-仕事での「幸福感」と組織内要因-』であると言えます。内田らはこの中で、約300名のビジネスパーソンから集めた定量データを分析し、幸福感を高める5つの組織内要因を明らかにしています。この5つは、「マイビジョンへの挑戦」、「自己効力感」、「地位と給与の満足」、「仕事の社会的評価」、「努力と評価の関連」と名付けられた因子であり、これらが幸福感に対して統計的に有意であることを示しています。  自分の実現したいビジョンをもち、得意分野を活かしながら挑戦的に仕事ができていること。自由裁量の度合いが高く、自分の能力を活用しながら自信をもって仕事を進められていること。現在の地位や役割と、得られる給与等の報酬に満足していること。自分の仕事が社会的にも組織内においても評価されていること。そして、自分の努力が上司などから人事的に評価されること。つまり努力と評価のつながりが認識できることが「幸福感」を高めるのです。  2回のコラムで取り上げた「幸福感」は、組織内で伝播する特性をもっています。自分が職場で幸せであると思えるほど、共に仕事をする仲間だけでなく顧客に対しても、より多くのポジティブ感情を伝えるようになります。そして、最終的には、職場全体がポジティブな状態へと変わってゆき、大きなビジネス成果を生み出すのです。ポジティブ感情のドミノ効果と呼ばれるこの現象は、組織に対して大きな変化を起こすための小さな一歩の必要性を示唆しています。  職場の幸福度について興味をもたれた方、詳しく知りたい方はお気軽にご連絡ください。 以上