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column

評価制度に求められる「誠実さ」「真摯さ」とは

 時代の変化に対応すべく、従来の横並びの人事評価から、メリハリのある人事評価へと舵を切る企業が増えている。組織の期待に応え、高い成果を上げる社員には高い評価と処遇を、期待に届かず、成果の振るわない社員には低い評価と処遇を行う人事制度が主流となりつつある。

 人事評価が自身のキャリアや収入、ひいては人生設計に、これまで以上に影響を及ぼすことになると、評価に関する不平不満の声も強まることは想像に難くない。制度上の公平性や透明性の担保、運用面の評価スキル向上は当然のことながら、組織および評価者のスタンス・マインドセットにおいては「誠実さ」「真摯さ」が極めて重要になると考える。

 例えば、被評価者の昇格がかかった評価において、残念ながら低評価を付けざるを得ない場面がある。そのとき、低評価を付けるに至った理由・根拠を、可能な限り抜け漏れなく指し示すことができるか。また単に事実を羅列するのではなく、等級定義の深い理解に基づき、評価制度を貫く思想を正しく汲み取るとともに、さらに事業環境や経営状況、経営計画等に照らした複眼的な見地から、血肉の通ったフィードバックができるか。社員一人の評価にかける熱量(思考の広さ深さ)が組織における評価の「誠実さ」「真摯さ」として現れる。

 これは低評価者に対する温情や納得させるための方便ではない。単に手間暇をかければ良いという話でもない。社員が「組織の理念・戦略・方針・価値観を体現できるか」の問題である。従って高評価者に対するフィードバックにも同様のスタンス・マインドセットが求められる。評価時期になって慌てて準備するようでは足りない。

 時代に即応した厳しい人事評価を「誠実さ」「真摯さ」抜きで運用したとしたら、組織はどうなるだろうか。低評価者はふてくされて管理者の見えないところで組織に悪影響をもたらすかもしれない。高評価者は見切りをつけ、より年収水準の高い同業他社に転職するかもしれない。はたまた、厳しい評価をつけて辞められでもしたら困るからと、どうにかして評価を調整しようと間違った努力に走るマネージャーが出てくるかもしれない。この点、評価をする側、される側、それぞれに求められる基本姿勢や考え方を「評価者研修」「被評価者研修」という形で学ぶ機会を提供することも組織力向上の有効な手段となる。

 厳しい外部環境に対応するために、企業は絶えず変化を求められる。その中でも変わることのない理念や価値観、そして変化に即応した戦略や方針を、人事評価において忠実に体現する。新たにパーパスを策定したり、組織的な1on1を行ったりするリソースがなくても、組織力を向上させるチャンスは私たちの身近なところにある。

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