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残業代を懐かしむ? 非定型業務を担う人財の育成

執筆者: 高野 潤一郎 人材育成

「残業」という概念のように、「投下時間に対して報酬を支払う」という考え方は、極論すると、定型業務にしか馴染みません。作業量は、おおよそ投下時間に比例するかもしれませんが、価値や成果は、投下時間に比例するとは限らないからです。

定型業務の場合と違って、「何らかの基準を設けて測る、創出価値や成果で評価する」のが、非定型業務です。論文が引用された数や特許数などの指標で評価される、研究開発といった仕事は、非定型業務のわかりやすい例かもしれません。

他にも、ヴィジョンの構築や新規事業の企画、充分な情報が揃い切らない段階での意思決定をはじめ、持続可能な差別化やイノベーション(創新普及)に貢献するような優れた問いを生み出せるか、実際に厄介な問題を解決できるか、組織内の潤滑油的な役割を担って相乗効果を引き出せるか…といった能力の発揮に関係するのが非定型業務と呼ばれる仕事です。
(非定型業務には、定時出社等の「時間管理」は馴染みませんね。では、「非定型業務用のマニュアル」はあるでしょうか?…ありませんね。)

今後も、定型業務自体の重要性は変わらないのですが、その担い手が機械知能(Machine Intelligence:MI)やロボティクスに置き換えられていくという大きな潮流があることは認めざるを得ないのではないでしょうか。

もちろん、自動化や自律化のコストや手間に見合わないなどといった理由で、ヒトが求められ続ける定型業務はまだまだ多いと思います。

現時点でそういった実態があることは承知しつつも、人生100年時代を生きる私たちにとって、「非定型業務で能力を発揮できるように、自己刷新していくことが求められる」のは、避けられないことなのではないでしょうか。

「画一的な内容を、同じ理解の仕方で記憶・習得させる」という方法は、「定型業務を効率よくこなす人財」を育成するためには有効でした。しかし、その人財育成の方法は、「唯一絶対解のない『厄介な問題』(※)の解決に必須な、非定型業務が務まる人財」を育成するために有効とは言えません。

そして、「先生が生徒に一方的にモノを教えるという教育スタイル」が通用しなくなるにつれ、「MIを用いた個別学習」の浸透に加え、「正解を知らない先生が、生徒と一緒になって、身近な環境問題に関する解決策を考える」などといった北欧型の教育スタイルへの関心が高まっています。

見方を変えると、「学習者それぞれが独自に課題を設定して、その解決を図るプロセスを学ばせることができるファシリテーター」(変化・成長・学習の促進者)が求められるようになってきているということです。
…業界や企業の成長ステージ、プロジェクトの内容によっては、喫緊の課題です。

貴社では、環境変化に応じて自己刷新を遂げ、持続的な発展が可能になるように、「キーパーソンが、効果的なファシリテーター役を務めることができる」ように育成されているでしょうか? また、そういった人財が働きやすい環境を整えていらっしゃるでしょうか?

※「厄介な問題」(Wicked Problem:ウィキッド・プロブレム)
「難問」と区別する際に用いられることのある表現。
単に、解決に至るまでに多くの手順や時間が求められるとか、関係者が多くて問題の構造が複雑であるなどというだけでなく、分析思考・線形思考だけに頼っていては解決できない問題のこと。さまざまな原因が絡まり合って複雑な状況を生み出しているだけでなく、関係者によって何を問題と見なすかが異なっていたりするなど、「問題設定を明確に行うことが困難」であるため、なぜ現在直面しているような状況が起きているのかが不明であったり、独特の特徴や条件などを備えているため過去の問題解決策が適用できなかったり、問題解決に向けた試験的な取り組みを実施することで、対象とする状況などが変化してしまうために改めて問題設定を行う必要が生じたり、どういう状況になったら「問題が解決した」と見なせるのか判断するのが困難…などといった特徴(のどれか、またはいくつか)を備えた問題のこと。
例:感染症の大流行と経済活動に関する問題、高齢化問題、頭脳流出問題、肥満問題、移民問題、地球温暖化問題、持続可能社会の実現問題、テロリスト対策問題、貧困対策問題など

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プロフィール

高野 潤一郎 (たかの じゅんいちろう)

マネージャー

日本の科学技術政策立案プロセスの一翼を担う国立試験研究機関にて、国内外の研究開発動向の調査分析・将来予測に従事し、在職中にマテリアル・サイエンス分野の博士号を取得。大型事業契約(約1,000億円)締結や日米共同プロジェクト(約500億円)の基調に採択される論文を執筆。人材開発・組織開発支援会社を創業し、11年間に渡る経営(複数のフォーチュン・グローバル500企業への研修提供、グローバルに展開するコーチング財団の初代日本統轄ディレクターを兼務、人材開発・組織開発コンサルティングの提供、私立理工系大学にてキャリア講義ほか)を経て、現職。

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