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間違いだらけの女性活躍推進

執筆者: 大久保 尚代 人事管理

小学生の子を持つ筆者の周りのワーキングマザーたちに異変が起きている。赤ちゃんの頃から保育園に預けて働き、寝る間を削って雇用やキャリアを維持してきたワーキングマザーが、一人また一人と転職や非正規への転身を果たしているのだ。個人としてはハッピーでも、勤めていた会社としては、ようやく本格的に活躍してもらえると思った矢先に退職されてしまった格好である。なぜこのようなことが起こっているのか、そして避ける手立てはどこにあるのだろうか。

全体を俯瞰してみれば、平成28年4月の女性活躍推進法の施行以来、日本の女性活躍推進は順調に進んでいるように見える。『男女共同参画白書(概要版) 平成30年版』※によれば、生産年齢人口の就業率は女性25~44歳で74.3%、前年比1.6ポイント上昇。出産を契機に女性が退職するいわゆる「M字カーブ」の底も浅くなっており、産んでも辞めない傾向が強まっている。一方で、管理的職業従事者に占める女性の割合は,平成29年においては13.2%であり,諸外国と比べて低い水準となっている。

「就業」という観点からみれば好調だが、「活躍」にはまだまだ課題があるという状態である。冒頭のワーキングマザーたちがその例だ。一体「活躍」の何が課題なのか。彼女たちのコメントから見えるのは、1つには昇格プレッシャーだ。

「管理職になるようしつこく言われて会社を辞めた。ここで会社の言う通り昇格したとしても私にはとても無理だと思ったら、居づらくなってしまった」(金融業・正社員)

管理職になりたくないという声は、女性に限らず、中堅社員でも、専門性の高い職種でもよくある話だ。管理職昇格はモチベーションにはならない。では何で動くのか。それは「やりたい」と気持ちが動くかどうかだ。

「ずっとやりたかった仕事のアルバイトからスタートすることにした。正社員は、残業20時間できますか?と言われてあきらめたけど、とにかく始めてみる」(代理店・正社員)

「やりたい」と思えば、すごいエネルギーが生まれるものだ。女性管理職を増やしたい、男性と同等にチャンスを与えるので応えてほしい、というオファーは、しょせん会社の論理である。会社の論理そのままで、ワーキングマザーだけに変われと言うのは大きな間違いだ。

多くのワーキングマザーは、子どものケアや家事など家庭のさまざまな役割を、「私しかできないこと」という諦めと責任感で引き受けている。会社が仕事に向けて彼女たちの“気持ちを動かす”には、彼女たちが抱えている「私しかできないこと」リストの上位に仕事を位置付けるしかない。が、組織とは本来、だれでも代替できるように仕事を管理するものだから、「私にしかできない仕事」は基本ない。だから「私がやりたい」という気持ちがものすごく強く持てないと、リストの上位には食い込めない。

とすれば女性活躍推進として会社が取り組むべきは、「やりたい」という気持ちを育てるよう、仕事と職場を変えることだ。スモールステップで自分のアイデアを実現する機会を増やす、そういった活動を評価するのは一案だろう。

ワーキングマザーの「やりたい」を引き出せたとき、あなたの会社はすべての社員にとって、「やりたい」を感じられる組織に近づいているに違いない。

※ 『男女共同参画白書(概要版) 平成30年版』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/18-2/dl/gaikyou.pdf

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プロフィール

大久保 尚代 (おおくぼ ひさよ)

マーケティング部門 マネージャー

ニューヨーク大学大学院メディア・エコロジー・プログラム修了(MA)
大学卒業後、出版社にて書籍の企画編集に携わる。フルブライト・プログラムで米国に留学、帰国後社会人向け教育研修会社に入社。企業の変革リーダーの育成や組織の活性化支援、マーケティング業務に従事。当社においては営業およびセールスプロモーションを担当している。

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