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がんばります

執筆者: 林 明文 人材育成

 “がんばります”という言葉はどういう意味なのか疑問に思うことがしばしばだ。何かの仕事を誰かに依頼すると、“がんばります”という返事をもらうことが多い。これは快く了解したという意味でしょうからあまり疑問に感じない。しかし仕事に対して指摘する、ミスを指摘するなど、こちらが期待している水準に満たない場面で、“がんばります”と言われると、この言葉の意味がよくわからず、果ては発言者のこの仕事の取組み自体や、さらにそもそも仕事に対する姿勢にまでさかのぼり疑問を感じることすらある。

 “がんばる”という意味を逆さにとると、いつもは通常のレベルで仕事をしていると聞こえる。“通常”のレベルと、“がんばる”のレベルの二つのレベルがあるのか。仕事の品質や生産性が高くなかったのは、通常レベルで仕事をしていたからなのだろうか、そうなると通常レベルでは品質生産性は高くないということなのか、などと勘ぐってしまうのだ。

 そもそも仕事に対する指摘や指導をした時に問題としているのは、その仕事の成果である。成果を判定するにはアウトプットのレベルと時間などの投下資源の量である。成果が十分でないという指摘に対して、がんばる、がんばらないということには何ら意味はなく、興味もない。何の返答にもなっていないのだ。あえて言うならがんばらないで成果を出してほしい。

 日本は欧米に比較すると生産性が低い。日本のビジネスマンは勤勉であるが、驚くほど長く働く。生産性が改善されれば、企業も社員も大いにメリットがある。社員一人の生産性が増加すれば、企業は利益が増えると同時に社員への配分も多くなるからだ。日本企業は生産性を強く意識しなければならないが、生産性を“数字”で管理している企業が実に少ないのが現状である。これでは生産性向上といっても、効果が測定できない。そのため生産性向上という壮大な課題は、往々にして残業時間削減という矮小な課題に転換されてしまうのである。

 重要なのは成果を出すことである。これは高いアウトプットと、より効果的な資源投下をすることであり、数字で測定することが重要だ。残業時間削減のような狭い議論から脱却し、真に生産性向上に真正面からの取り組みが重要ということだ。生産性向上、成果を上げることは、もっと技術論として議論されなければならない。そのためには社員への能力開発を思い切ったレベルと範囲で行う必要がある。今までの能力開発で生産性は大幅に向上していない。このことは能力開発の量と範囲が間違っていたと考えることもできる。また生産性向上のための様々なシステムやツールももっと積極的に導入するべきであろう。

 経営者や管理職社員は、成果、生産性の話に対して、“がんばります”という返事をする文化をなくす努力をしなければならない。何の返事もしていないのと同じであり、もっと言えば違う話にすり替わっているのだ。“がんばります”はできていないことに対する免罪符のように聞こえるのだ。“がんばります”という言葉を聞かないようにしたいものである。

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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