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あなたは、ボーナスを受け取る資格があるか

執筆者: 吉田 典史 経営

 今の時期、ボーナスが支給される。社員らは一喜一憂するが、いざ手にすると不満が出るものだ。「なぜ、この額なのだろう」「どうして、もっと増えないのだろうか」…。

 私も会社員の頃、これに近い思いをもった。11年前に会社を離れ、フリーランスとして仕事をするようになってからは、つくづく甘い考えだと思う。
「ボーナスの支給額が少ない」と嘆く以前に、それに見合う働きや実績を残したのかどうかこそが、問われないといけない。

このあたりを徹底して突き詰めて考えている社員は相当に少ないのではないだろうか。数千人にひとりいるか否か、だろう。おそらく、受け取るのが当たり前と思っている人のほうがはるかに多いのではないか。

役員や人事部員などは、この時期、それぞれの社員に、少なくとも次のことを考えさせるように誘いたい。

「ボーナスを受け取る資格が、自分にはあるか」
「支給額の分を本当に稼いでいるか」

会議で意見を述べさせてもいいし、レポートを書くことを命じてもいい。こんなことを毎年、繰り返すだけでも、意識は少しずつ変わっていくはずだ。担当する仕事や成果、実績、さらに部署や会社の業績などについて敏感になるだろう。

 そもそも、多くの会社はなぜ、「ボーナスを受け取る資格があるか」と社員に自問自答させていないのだろうか。いくつかの理由があるのだろうが、1つは社長や役員がいわゆるサラリーマン経営者であることが考えられる。取材で感じるのだが、サラリーマン経営者と創業経営者の経営へのこだわりは相当に違う。創業経営者は、厳しい人が多い。

 さらにいえば、社員から逆恨みをされることを警戒する役員や人事部員などもいるのではないだろうか。多くの社員は、賞与を受け取ることを当然と思っている。その人たちに「ボーナスを受け取る資格があるか」と言おうものならば、総スカンになるかもしれない。

そんなことを思っているならば、きわめて好ましくない。賞与は、当たり前のごとく、支給されるものではない。

これまでの長い月日で、会社がビジネスモデルを懸命につくり、試行錯誤を重ね、改良を加えた結果、利益を出せるようになったのである。それは、会社員ひとりでは絶対につくれない。現時点で少々、稼いでいるかといって、たかが知れている。賞与を全社員に支給できるようになるのには、会社の血みどろの「歴史」が必要だったのだ。

この「歴史」のありがたみを、社員ひとりずつに感じさせるようにしたい。
社長や役員、人事部員などはどうか、社員を前に語ってもらいたい。今に至るまでにいかに苦しみ、それを乗り越えたか、と…。

私はフリーランスになり、痛感した。給料分を稼ぐことは、こんなに苦しいことであったのか、と。11年前のことを思い起こすと、「もう、あんな経験はしたくない」と言いたくなる。

経験論で言おう。稼ぐ仕組みも仕掛けもない中、つまりは、丸裸でスタートし、数十万円の給料分を稼ぎ続けるのは、平均的な会社員では難しいはずである。

まして、その数か月分になるボーナスは、大多数の会社員には到底、稼ぐことはできないものだと思う。そのボーナスを支給するのだから、社長や役員、人事部員は機械的に、ルーティンワークとして対応してはいけない。

むしろ、「会社が血みどろになり、つくりあげた仕掛けや仕組みのお陰」であることをあえて強調するべきなのだ。「ウザい」と思う社員もいるかもしれない。それでも、踏み込んで語ってほしい。社員の意識を変えていく、大きなきっかけになるはずである。

社員の意識は、企業の最強の資産なのだから…。

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プロフィール

吉田 典史 (よしだ のりふみ)

1967年、岐阜県生まれ。2006年以降、フリーランスに。特に人事・労務の 観点から企業を取材。一方で、事件・事故など社会分野の取材を続ける。 著書に『震災死』『封印された震災死』『悶える職場』など多数

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