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部長がヘンです

執筆者: 吉岡 宏敏 人材育成

管理職だけで1,100人もいる企業で、管理職ブラッシュアップ研修をしたことがある。

1グループ約50人で3日間の研修を20数回行うという大型施策だったが、全管理職への一斉研修は初めてということであり、本研修に先立つプレ研修でマインドセットを行うことにした。それも200人ずつ2週間連日で一気に行う企画だった。教育のテーマは「人を育てるリーダー」だったので、プレ研修はそれに先立つ触発を狙い、いろいろな事例を見たうえで、「自身のリーダーシップ論」を書くという事前課題の告知をする場と設定した。

リーダーシップの事例というと企業人でも著名な方々のエピソードが使われることが多いが、それではあまり刺激がない。ここでは、あえて無名の、しかも他社の管理職者を取り上げることにした。4社の4人の管理職者に対して、VTRインタビューを行い、彼らの人を育てるリーダーシップの持論を、個別具体的に語ってもらった。それを各5分ほどの映像に編集して投影しながら、講師が問題提起をするという趣向である。

人選と交渉を入念に行ったこともあり、4者4様、実に興味深い“日常の理論”を堪能することができた。このプレセッションは受講者の反響もよく、期待通りの刺激たりえたことが事後のアンケートにもおどろくほど饒舌に書かれていた。4人ともに触発的な話だったが、そのなかで、「部下管理は子育てと同じだ」との持論を持つエンターテイメント企業の開発部長(男性)の話が、ひときわ面白かった。

彼は、部下たちとのコミュニケーションの、自分なりの行動原理を語った。たとえば、部下に話があるときに、自室に呼ぶことはしない。必ず、部下の席に行って、そこで話す。その際には、立って座る部下を見下ろしながら話すとか、部下を立たせて話すとかではなく、近くのゴミ箱にでも腰を掛けて同じ目線で話をする。あるいは、仕事を与えたら、ある程度自分でできるようになるまで、決して具体的指示は与えない。ここぞというところで介入するといった、さまざまな“ワザ”をその理由とともに楽しそうに話してくれたのだった。

2週間のセッションが終わって、アンケートの好評さからも手ごたえはあったが、組合を通じて、現場の“異変”が人事部に伝えられた。それは、上司がプレ研修に出てから自分達に接する態度が変わったというものだった。なかでも、「部長が突然席まできて、ゴミ箱に腰かけて話かけてくるんですけど。。。」といった報告が複数あった。いったいどんな研修をやったのか、と組合は聞いてきたのだった。

これは、副次的な効果である。研修などをやるくらいで行動を変えるのは難しいといわれる。それでも、「なるほど」と自分が胎落ちするようなやり方であれば、素直に真似てみるということから、行動変容は始まるのだろう。しかし、やってみようという気にさせた原因は、その方法の納得感が高かったからだけではないのでないか。振り返ると映像のなかで持論を語る4人はそろって、いかにも楽しそうだった。そのことこそが、刺激だったのではないか。

人を育てることは、楽しい。そのノンバーバルなメッセージが映像から伝わったからこそ、共感を呼び行動を喚起したのだと思う。

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プロフィール

吉岡 宏敏 (よしおか ひろとし)

シニアパートナー

東京教育大学理学部応用物理学科卒業。ベンチャー企業経営、ウィルソンラーニング・ワールドワイド株式会社コーポレイト・コミュニケーション事業部長等を経験後、株式会社ライトマネジメントジャパンに入社。人材フローマネジメントとキャリアマネジメントの観点から、日本企業の組織人材開発施策の企画・実行支援に数多く携わる。ライトマネジメントジャパン代表取締役社長を経て、現職。

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