CASE STUDY
事例紹介
これまでに約20の業界、毎年数百件の
コンサルティング実績を誇ります。
企業規模や特定の業界に限らず、人事領域の課題を包括的な解決策を提供したこれまでの実績をご紹介します。
©️ Transtructure Co.,Ltd.All Rights Reserved.
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これまでに約20の業界、毎年数百件の
コンサルティング実績を誇ります。
企業規模や特定の業界に限らず、人事領域の課題を包括的な解決策を提供したこれまでの実績をご紹介します。
お悩みに合わせた解決策をご提供いたします。
トランストラクチャは、人事の課題を把握し、
解決する3つのフェーズ
「調査・診断」「計画・設計」「導入・運用」に対応した、
それぞれのサービスを提供しています。
組織・人事の状況を多面的に定量分析し、問題・課題を見える化する組織・人事診断サービスをはじめ、人事制度設計、雇用施策、人材開発の領域で多彩なサービスを提供。分析や戦略構築から、施策の実践、得られた効果の検証までサポートを通じて、真に経営に貢献する人事コンサルティングを行います。
組織や人事の課題解決には、その背後にある要因を正確に見極めることが不可欠との思いから、トランストラクチャはデータ分析を基にした定量的なレポートを提供。客観的かつ精密な課題の見える化により、分析や戦略構築、施策を適切に実践。効果の検証も可能です。施策の効果測定や進捗管理にも役立ちます。
当社を起点に、人事システム、退職金、給与計算などの人事関連サービス専門企業との緊密なネットワークを形成。組織・人事に関わるほぼすべての分野に対する良質なサービスの提供が可能です。企業が抱える組織・人事分野のさまざまな課題をワンストップで解決します。
トランストラクチャのコンサルタントは、徹底した教育とナレッジの共有、品質管理により、人事コンサルティングの最新知識から当社のサービスに関する方法論・テクノロジーまで熟知しています。全分野を網羅する課題解決力で、お客様の組織の成長と変革に向けた持続可能な人事戦略と組織体制を構築します。
組織・人事制度導入後も、最少2名の経験豊富なコンサルタントが伴走。長期的かつ持続的な改善を支援します。これによりお客様の組織に対する深い理解を得られ、その組織文化やニーズに適した戦略や改革の提案が可能。組織の持続的な成長と成功を支える重要な要素です。
人口減少・少子高齢化、テクノロジーの進化、働き方とライフスタイルの変化など、かつて経験したことのない変化が生じる2030年を見据えた組織と人事の課題解決はお済みですか?まずは、貴社の現状をお聞かせください。
トランストラクチャについての会社情報やサービス利用のご検討に際して当社の資料が必要な方に役立つ各種資料はこちらからダウンロードが可能です。ご登録メールアドレス宛にご希望の資料をお送りします。
トランストラクチャのコンサルタントが執筆したコラムを掲載するたびに、あらかじめご登録いただいたメールアドレス宛に更新情報をご案内します。まずはお問い合わせフォームより購読希望をお知らせください。
トランストラクチャでは、人事の課題解決に役立つ具体的な事例や、
最新の人事トレンドを反映した無料セミナーを積極的に開催しています。
組織と人事に関する最新情報やノウハウを発信。
ビジネスの現場ですぐにでも役立つ内容を厳選してご紹介します。
人事に関する魅力的なデータやチャートを
分かりやすく解説します。
これらの情報は、将来の人事管理に向けた基盤を提供します。
2025.11.28
2025.11.10
トランストラクチャのコンサルタントによるコラムをお楽しみください。
多くの企業様へのサポートを通じて蓄積された知識や、
日々の人事・経営に対する洞察をシェアします。
2025.12.19
多くの企業で「マネジメントに向いていない人がマネージャーになっている」いわゆる管理職のミスマッチ問題が存在しています。優秀なプレイヤーを管理職に昇格させても、管理職として成果を出す人もいれば、管理職としての役割を果たせない人もいます。 どうすればマネジメントのミスマッチを防ぐことができるのでしょうか。 重要なのは、管理職の昇格試験の段階で、「管理職として期待される行動が発揮できるか」を見極めることです。本記事では、マネジメントのミスマッチを防ぐために、昇格試験の改善ポイントを解説します。 目次 1.管理職の昇格試験とは 2.管理職の昇格試験の目的 3.管理職昇格試験の内容詳細 4.まとめ 1.管理職の昇格試験とは 社員が管理職の昇格を希望するときに、昇格要件を満たしているかを判断するプロセスを指して「管理職の昇格試験」としています。後述するように、「試験」といっても、テストとは限らず、面接、模擬演習、360度評価など、さまざまな手法が存在します。 このように多様な評価手法が存在する理由は、管理職昇格判断の難しさを示しています。通常、管理職の候補となる人材とは、メンバー時代から業績や貢献が認められて昇格しています。ところが、管理職になったとたんに、マネジメントという新しい業務を任されることになります。 マネジメントができるかどうかは、プレイヤーとしての評価からは判断がつかないため、人事評価とは別軸のプロセスで見極めを行う必要があるのです。 2.管理職の昇格試験の目的 管理職の昇格試験の目的は、会社が管理職に期待する能力・行動を発揮できるかを見極めることにあります。期待する能力・行動で共通性の高いものとしては、たとえば以下が挙げられます: 対人能力・コミュニケーション 意思決定・問題解決力 適応力・ストレス耐性 情熱・達成意欲 経営的な視点。 これらの共通項をおさえつつも、何を重視するのかという「めりはり」は、会社によって、また事業や組織のステージによって変わってくるものです。 組織連携の細やかさに競争力の源泉のある会社であれば、「対人能力・コミュニケーション」とりわけ「仕事の目的や詳細を丁寧に説明する」という行動が重要かもしれません。接客や小売業のなかには、ストレス耐性を重視する職場もあります。 研究開発部門の管理職は領域に関する研究実績、IT事業であれば領域の資格等級などの「専門性」が必要とすることもあります。 まず、「わが社の管理職に求める能力・行動は何か」を明確にすることが、管理職の昇格試験を改善する第一歩です。 3.管理職の昇格試験の内容詳細 「管理職に求める行動・能力」を特定したら、それを評価するのに適した手法を採用することが、次に重要です。 以下は筆者の独断による、目的と手法のマッチング例です。 横軸が期待される行動・能力、縦軸が手法例で、とても適しているを◎、適しているを〇、可能であるを△にしています。また運用によって適否が変わるものは()に入れています。 対人能力・コミュニケーション 意思決定・問題解決力 適応力・ストレス耐性 情熱・達成意欲 経営的な視点 高い専門性 筆記試験 〇 〇 人材アセスメント(インバスケット) 〇 △ △ 〇 模擬プロジェクト 〇 〇 〇 〇 〇 (〇) 360度診断 ◎ 〇 〇 小論文 ◎ ◎ (〇) 役員面接 ◎ ◎ このような整理を使うと、わが社に必要な管理職の昇格試験のセットが見えてくるはずです。いくつかの事例をご紹介しましょう。 例1:目標達成型チーム運営の管理職 (営業組織など) 現場の管理職に求められること: ー自組織で達成すべき目標とその意味合いをしっかりと理解する ー部下にブレイクダウンした目標を伝え、声掛けや励ましで鼓舞する ーチームを盛り上げ、あきらめず取り組む 診断手法と見極めのポイント: ー360度評価⇒ 対人コミュニケーション力の発揮度合い ー小論文⇒ 自分の言葉でビジョンを語る力の発揮度合い ー役員面接⇒ 真摯さ、やる気のプレゼンテーション力の発揮度合い 例2:現場における創造性の発揮を重視する自律型組織 現場の管理職に求められること: ー指示待ちではなく高い目標に向かって課題解決に取り組む ー失敗や多様性を許容する心理的安全性の高い職場風土の醸成 ー部分最適に陥らず全体最適で意思決定を行う 診断手法と見極めのポイント: ー360度評価⇒ ハラスメント行動がないこと ー筆記試験⇒ 経営や論理思考の基本スキルの発揮度合い ー人材アセスメント⇒ 課題解決力、意思決定力の発揮度合い 例3:研究開発リーダー 現場の管理職に求められること: ー研究開発のロードマップに基づく研究テーマを設定する ーメンバーの自律性・情熱を尊重しつつ、進捗管理を行う ーコミュニケーションを活性化する 診断手法と見極めのポイント: ー経営提案(アクションラーニング研修※)とピアフィードバック⇒ 論理性、巻き込み力、影響力、コミュニケーション力 ー人材アセスメント⇒ 課題解決力、意思決定力の発揮度合い ※他部門メンバーと協働し、事業・部門課題に対する施策提案を作成し経営にプレゼンテーションする長期研修 まとめ 管理職のミスマッチが生じているなら、管理職昇格試験を見直しましょう。ポイントは2つです。 ・目的=「わが社の管理職に求める行動・能力」を明確化すること ・目的に適した手法を選び、多角的に見極めること 管理職昇格試験の内容は、広く共通的な要素もありますが、同時に、会社や事業のステージによってめりはりが異なるものです。わが社に、今、どのような管理職を求めているのかを分析していくプロセスこそが、基準の明確化や適切な見極めにつながります。 管理職は、現場の要であり、業績の成長と人材の成長を担う存在です。管理職の質向上をめざすには、まず入口となる、管理職の昇格試験から見直してみてはいかがでしょうか。 参考 [誰を昇格させるか](https://www.transtructure.com/column/hr-management/p5986/) [管理職昇格試験では遅すぎる](https://www.transtructure.com/column/search/smart-assessment/p6287/) [昇格試験をWEB化して公平性と即戦力化を実現~階層別テストを活用した事例](https//www.insource.co.jp/ihl/251027_assessment_hierarchy_test.html) [管理職登用試験の方法やポイント|論文例や問題例を紹介](https//etudes.jp/blog/management-promotion-examination) [昇進・昇格試験に関する導入事例](https//www.noma.co.jp/case/promotion_test/) [昇格選考における論文評定の分析(Recruit Management Solutions)](https//www.recruit-ms.co.jp/research/essay/pdf/2004jaas01.pdf) トランストラクチャのWebで完結する人材アセスメント「スマートアセスメント」ご紹介
2025.12.17
目次 - はじめに――人事が イノベーション人材の育成に取り組む理由 - イノベーション人材とは? - イノベーション人材の定義 - イノベーション人材を育成するポイント --イノベーション適性のある人材の特定 --イノベーション人材の育成施策例 - まとめ はじめに――人事が イノベーション人材の育成に取り組む理由 企業が成長する上で、イノベーションは不可欠です。 従来より、イノベーションは事業・組織のあらゆる場面で創出され、求められてきました。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターはイノベーションを対象別に5つに分類しました。その5つ(新製品開発/新生産方法の導入/新しい市場の開拓/サプライチェーンの開発/組織の改革)は、組織のほぼすべての機能に関連するものです。 人事が「イノベーション」に向き合う時、実際には2つの難しさがあります。 ・人材ニーズの多様性と個別性 「どの現場に、何ができる人材が求められているのか」の幅が広く個別性が高いこと ・中途採用の競争性 IT人材だけをとっても慢性的に不足しており、人がすぐ採れないこと この記事では、このような「人材ニーズ」「調達」の二つの難所に対して、イノベーション人材を社内で発見し、育成する手法で解決することを提案します。ご参考になれば幸いです。 イノベーション人材とは? 世の中の定義は多様ですが、主に以下のように分類・整理できます。 段階別分類 「自走型人材」/「プロジェクト型人材」/「新事業開発人材」など 役割やスキルに基づく分類 「アイデアを出す人材」/「事業を成長させる人材」 「技術タイプ」「企画タイプ」「管理タイプ」など 能力・特徴別分類 分析力・課題抽出力/コミュニケーションスキル/協調性/問題解決能力/ 指導力/忍耐力・胆力/情熱・意欲・モチベーションなど これらの定義は、自社の状況や目的に対して使いやすそうかという視点で選ぶことがおすすめです。 イノベーション人材の定義 本記事では、読者は「イノベーション人材を育成する」課題に取り組む人事を想定し、「保有能力」「役割」の2つの軸でイノベーション人材を定義することをご提案します。 <保有能力>の視点で見ると、自社の人材(や、これから採用する人材)が保有しているイノベーション人材に適した能力は何か、強みを強化し、不足を補うにはどうすればよいか、を考えやすくなります。 <役割>の視点で見ると、イノベーションは「チーム戦」で、多様なタイプの人材が連携して成し遂げるものという前提を置いて、自社の人材(や、これから採用する人材)に多いのはどのような役割タイプか、不足しているのはどのタイプかを把握し、育成したり、バランスに配慮した配置を行いやすくなります。 具体的に、育成に使いやすいと思われる<保有能力>(イノベーション適性)と<役割>の定義例を上げます。ご覧になれば分かりますが、独自の定義というより、過去に上げられているイノベーション人材の定義と重なるものです。 <保有能力(イノベーション適性)> 新しいことを始める力 組織で取り組む力 面白がる力 <役割> Driver=過去の常識や前提にとらわれないアイデアモンスター Explorer=実現の難しいアイデアほど燃えあがるファンタジスタ Designer=走りながら仕組化するウルトラプロフェッショナル Crew=未知の世界、予期せぬ事態を楽しむパーティメンバーイノベーション ここでのポイントは、「保有能力」と「役割」の2つの視点のかけ合わせです。保有能力だけに注目すると、単一のスキル開発に施策が留まりがちなところ、役割の視点を入れることで、その能力を組織でどのように発揮するのかというイメージが付けやすくなり、人事・育成者・育成される人材の間で育成の目的が明確化しやすくなることがメリットです。 イノベーション人材を育成するポイント イノベーション人材の育成は、単なる研修だけでなく、適性のある人材の特定と実践的な経験の提供が不可欠です。 イノベーション適性のある人材を特定すること 現場で見極められれば信頼性は高いですが、イノベーション適性は、日常業務では発揮しにくい可能性があります。そこで、第三者によって診断する適性検査やアセスメントも有効です。手法としては3つあります。 ①行動から思考力を「推察」する(=シミュレーション演習によるアセスメントセンター方式で思考力ディメンションに注目する) ②過去の経験から思考力を「判定」する(=インタビュー・アセスメントによる定性的に診断する) ③思考力そのものを「評定」する(=正解のない問いに対する回答を評定する) ポイントは、第三者の診断だけに頼るのではなく、多元的評価(行動データ、360度、過去の探索行動、ミニ実験課題での観察)と組み合わせることです。また、実務でのトライアル(社内ベンチャー応募・スプリント参加)などを適性検証の一部に組み込むこともよいでしょう。 イノベーション人材の育成施策例 イノベーション人材を発見することで育成が可能になります。 育成施策は、単発の研修や適性検査にとどまらず、イノベーションを阻害する組織構造や管理システムの課題を克服することが不可欠です。ここからは、「組織論的アプローチ」と「人事管理的アプローチ」の2軸で育成施策例をご紹介します。 ●イノベーションを阻害する階層型分業型組織の克服(組織論的アプローチ) 階層型で分業が固定化された組織は、情報のサイロ化や意思決定の遅延を招き、イノベーションの推進を阻害します。これを克服するためには、組織の柔軟性を高め、部門間の壁を取り払うことが重要です。 <施策例> クロスファンクショナルチームの設置による部門横断的な協働促進 フラットな組織構造への移行や権限委譲の推進 社内ベンチャー制度やイノベーションラボの設立による新規事業創出の場の提供 これらの施策は、例えばトヨタ自動車の「カイゼン活動」や、楽天の「イノベーションラボ」などで実践されており、組織の硬直性を打破しイノベーションを促進しています。 ●管理システムの克服(人事管理的アプローチ) 階層型分業組織の管理システムは、評価基準や昇進制度がリスク回避的であったり、権限移譲が不明確であったりすることが多く、イノベーションを阻害します。人事制度(等級制度や評価制度)を見直し、たとえば複線型人事制度を導入することでよりイノベーションに適した環境にすることは可能です。 育成でアプローチする場合の一例は、イノベーターのレベル別に次世代リーダーを育成する施策です。 <施策例> 開発部門人材・新規事業開発人材 新規事業をテーマとした実務伴走型・プロジェクト型の育成が有効です。また、育成施策だけでなくジョブローテーションや外部研修派遣、社内起業支援制度、業務時間の一部を新規挑戦に充てる「10%ルール」など、硬直的な人事管理を変える多様な施策を組み合わせている事例も見られます。 VUCAリーダー(経営・管理職) イノベーション適性の高いマネジメント=VUCAリーダーの存在は事業・組織の変革に不可欠です。VUCAリーダーを育成するには中長期的なプログラムで、 ・「自分らしさ」の確立 ・傾聴・共感・コミュニケーション力の向上 ・先見力・概念化力の育成 ・意思決定力・行動力の強化 などを強化することが有効です。集合研修(ワークショップ・ロールプレイ)と実践を繰り返し、イノベーション適性の発揮の度合いを高めていきます。 若手人材 組織の在籍期間が短いほど、イノベーション適性は高いスコアを出すという調査結果が存在します。組織に埋没する前の若手のうちから、未知の世界や予期せぬ事態を楽しみながら挑戦する「クルー」の能力を育成します。コニカミノルタの2年目人材が新入社員人材を教えるIT研修などもユニークな取り組みです。 まとめ 皆様の会社では、イノベーションに成功していますか? イノベーション人材は足りていますか? イノベーション人材がどこに必要なのか、どのような能力が求められているのかわからないまま、「イノベーション研修」の企画を行っていませんか? 打ち手を検討する前に、まずは自社人材の「保有能力」と「役割」のレベルを棚卸してはいかがでしょうか。誰を、どのように「育成」するべきか、結果が示してくれるはずです。 <参考> ・【Consulactionセミナー】成長を促す、イノベーション・ドライバー 革新的な人材とプロジェクトを生み出すための仕組みづくりとは? |博報堂WEBマガジン センタードット ・イノベーション人材とは?必要スキルと社内で育成する方法 | 記事一覧 | 法人のお客さま | PERSOL(パーソル)グループ ・イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説 ・イノベーション人材~重要性と特徴・育成方法を解説 | 社員のエンゲージメント向上を支援する 株式会社 NTT HumanEX ・イノベーターズ・ディスカバリー|イノベーション人材発見は㈱トランストラクチャ ・イノベーション人材をどう発見するか|コラム|株式会社トランストラクチャ(東京都) ・“未来のイノベーター” を採用で見極めるには?
「AIがそう言っていたので」といった言葉がよく聞かれるようになった。 口に出さない者も少なくないだろうから、私たちは既に考える機会の多くをAIに委ねているのだろう。 多くの企業にとってAIを前提とした業務設計は喫緊の課題であるが、誤ったAIの利用により「考えない組織」が生まれようとしている。 AIは人の思考を支援し生産性を高めるが、一方で人が適切に判断するスキルを劣化させるリスクを伴っている。2025年に報告されたポーランドの大腸内視鏡検査の観察研究では、AI支援を日常的に使用していた医師がAIなしで検査を行った場合、腺腫発見率が28%から22%に低下したと報告している(※1)。 また、AI支援下で業務を行う専門家は、AI未使用時に自力判断の精度が落ちる傾向があることが指摘されている(※2)。 これらはAIへの依存がスキル劣化を引き起こすことを示した実例だ。 現場の社員がAIを利用する動機の多くは、「的確に対応したい」、「誤りたくない」、といった善意からのものだ。その結果、AIを”正解保証装置”として扱い、自身の思考を放棄することにつながってしまっている。AIを活用しているつもりが実はAIに完全依存しているのだ。 この「服従的AI依存」は、いま企業が直面しているAI時代の新たな人事課題と言えるだろう。極端な例を挙げると、業務効率や業務量のウェイトが高い評価基準のもとでは、“考えないほうが得”な行動様式が定着するリスクがある。評価や教育の設計を誤ればこういった傾向を助長しかねない。 この「思考」の欠如により、組織の「判断」は容易に機能不全に陥る。AIのアウトプットは一見するともっともらしく、筋が通っているように見えるからだ。 AIを意思決定支援に利用する際は、正解を提示する推薦者(Recommender)としてではなく、あえて異論を唱える反論的役割(Devil’s Advocate)として使う方が利用者の判断精度を維持・向上できるとされている(※3)。 また、未知の課題に取り組む際など、自身のスタンスが確立していない場面では、AIに案を出させ、それに対して人間が批判的思考を重ねることで、AIの提案が自身のスタンスへと昇華される。AI依存を防ぐために必要なのは、AIをどう使うかのスキル教育ではない。思考を再設計することだ。 AIに「どうすればいいか」を問うのではなく、「本当にそれでいいのか」「他の視点はないか」を人間とAIが互いに問いを投げかけ合うこと。提案を否定・修正・再構築する双方向の批判的思考を通じて、判断力を維持・向上する。さらに、重要な判断や対外発信に関わる場面では、人間によるレビューを必須とするなど、リスクに応じたチェック体制も必要だ。こうした仕組みを維持するためには、評価制度の見直しも欠かせない。成果の品質やスピードだけでなく、「どう理解し、どう判断したか」というプロセスを可視化する力や説明力を評価項目に加え、思考を放棄しない姿勢を評価することも重要になるだろう。 AIに服従的な社員は決して怠慢なのではなく、むしろ慎重で責任感が強い。だからこそ、上司はその善意を理解し、適切なフィードバックやフォローを行うことが重要だ。AIの提案は十分に信頼できるものであるが、それは人間とAI相互の批判的思考を経たものに限られる。社員がAIの出力を検証し、自らの判断で補強できるよう導くことで思考停止から脱却できるのである。AIを活用する文化と、思考をAIに依存しない文化は両立させなければならない。AIをどう使うか、どう活かすかだけではなく、AIとどう考えるか、がこれからの競争力になる。 AIがすさまじいスピードで進化する現在、経営と人事はAIとどう向き合い、いかに『考える組織』をつくるか、を設計するフェーズに入っている。 参考文献 ※1:K. Budzyń et al., “Endoscopist deskilling risk after exposure to artificial intelligence in colonoscopy”, The Lancet Gastroenterology & Hepatology, 2025 ※2:G. Romeo & D. Conti, “Exploring automation bias in human–AI collaboration”, AI & Society, 2025 ※3:S. Ma et al., “Beyond Recommender: An Exploratory Study of the Effects of Different AI Roles in AI-Assisted Decision Making”, arXiv, 2024
私たちは「“見える化”を強みとした、
企業の持続的な成長・発展を後押しする組織人事コンサルタント」として、
日本社会が抱える多くの課題に向き合い、企業の未来を見据えています。
2025.12.16
2025.11.27
2025.10.28