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人事制度

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地域別世帯収入 <br />~総力戦で稼ぐ北陸モデル~ | 人事制度設計

地域別世帯収入 ~総力戦で稼ぐ北陸モデル~

 北陸地方は、都道府県幸福度ランキング(一般財団法人 日本総合研究所)などの民間調査でも上位にランクインするなど、「幸せ」「暮らしやすい」といったイメージを持たれている地方です。今回は暮らしやすさにも影響する北陸地方の世帯収入について、データの側面から解説します。  北陸地方は、2人以上の勤労者世帯における月間の家計収支黒字額が1位の地域です。その理由は大きく分けて2つあり、まず、世帯収入額は関東地方に次いで高いこと、そして支出が少ないことです。 (図表1) 出典:総務省統計局『家計調査(2019年)』    北陸地方では、勤労者1人当たりの平均年収は高い訳ではありません。図表2は都道府県別の1人当たりの平均年収ですが、石川県23位、福井県27位、富山県28位、県新潟31位と、いずれも都道府県平均並みかそれ以下の水準です。 (図表2) 出典:総務省統計局『家計調査(2019年)』出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査(2019年)』    世帯収入が高いのには、1世帯当たりの人数が大きく関係しています。他の地方と比べて世帯人数が多く、世帯における有業人数も多いのです。また、北陸地方では他の地域と比較して、女性配偶者の有業率が高いという特徴があります。背景としては、子・両親・祖父母などと複数の世代で同居している世帯も多く、子の世話や家事を分担できることが考えられます。北陸地方では、学生を除くほとんどの家族に稼ぎがあることが珍しくなく、世帯当たりの稼ぎ手が多いのです。  そして、1位の関東地方と比較して収入額はやや低いものの、関東地方よりも世帯における消費額が低いことから最終的に手元に残る黒字額では1位となっています。  複数世代の同居により世帯における有業人数と収入の最大化を実現するモデルを仮に北陸モデルと呼ぶこととします。この北陸モデルは、今後企業がダイバーシティを実現するための大きなヒントとなるのではないでしょうか。世帯内の助け合いによって高年齢者や女性の社会進出を実現している地方において、企業は多様な働き手を確保できるためです。  働き手にとっては世帯収入の最大化というメリット、企業にとっては都心より人件費単価を抑えながらも必要な働き手を確保できるというメリットを互いに享受することができます。仕事のリモート化が進む時世においては、都心においてビジネスを展開している企業にとっても、地方に本拠地を移したり、地方の人材を活用したりすることもより現実味が増してきているのではないでしょうか。 以上

有効求人倍率<br />~不景気は採用のチャンス?!~ | 人事制度設計

有効求人倍率~不景気は採用のチャンス?!~

 新型コロナウイルス感染拡大等の影響を受け、採用を控える企業も増えており、有効求人倍率にも表れています。今回は、有効求人倍率の推移や職種ごとの違いについて解説します。  有効求人倍率とは、ハローワークに申し込まれた求人数を求職者数で割ったものであり、1を下回ると求人の数が求職者数よりも少ないことを示します。有効求人倍率は景気動向による短期的な変化が多く、景気の下降局面では有効求人倍率も下降しています。  過去の推移を見ると、高度経済成長期やバブル経済のピーク時に2.00倍を超えており、リーマンショック時には史上最低値の0.42倍を記録しています。直近の数字を見ると、新型コロナウイルス感染拡大防止による外出自粛要請等の影響を受けて、2020年7~9月に1.05倍まで下がっています。  なお、ハローワークの求人のみが対象であり、ハローワークを経由しない紹介による採用やインターネットを活用した採用活動は反映されていない点、パート・アルバイトの求人も含む点に注意は必要です。 (図表1:有効求人倍率、新規求人倍率) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」、内閣府「景気循環日付」注1)新規学卒者を除きパートタイムを含む注2)1973年から沖縄を含む注3)四半期平均注4)図中、灰色の期間は、景気の下降局面(山から谷)である。2018年10-12月期の山は暫定。  一方で、職種別に見てみると、有効求人倍率の高さにかなり差があることが分かります。例えば、とび工や解体作業員等が含まれる職種である建設躯体工事は、令和2年11月度9.79倍、前年同月12.40倍であり、10~12名の採用枠に対して求職者は1名程度という状況です。景気動向による影響は多少あるものの、深刻な人手不足が生じていると言えます。  一方で、飲食店やホテルの従業員を含む職種「接客・給仕」、ソフトウエア開発者等を含む職種「情報処理・通信技術者」では、昨年から有効求人倍率が約半分となり、1倍に近づいています。また、「一般事務」等の職種においては、景気の降下の影響に関わらず、1倍を下回っています。  なお、令和2年11月度の職種別の有効求人倍率が前年比では下がっていることは、いずれの職種においても共通しています。 (図表2:職業別の有効求人倍率(令和2年11月、前年同月)) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」、内閣府「景気循環日付」注)一部職種を抜粋している。  コロナ禍における景気低迷を含め、景気の下降局面で有効求人倍率が低下し1倍に近づいた職種や、1を下回っている職種について、人材の強化を目指す企業の観点からは非常に有利な機会であるとも言えます。景気降下局面には採用を控えることを検討しがちですが、求人数に対して求職者が多いということにより、採用において十分なセレクションが可能となるためです。例えば、高い技術力を持つ人材や経験豊富な人材を吟味できるのです。労働市場の動向を見極めて有意義な人的投資を実現したいものです。 以上

新規学卒者初任給<br />~令和の新卒は年収1000万円?!~ | 人事制度設計

新規学卒者初任給~令和の新卒は年収1000万円?!~

 令和元年の大卒初任給の平均は約21万円であり、過去最高額を記録していますが、この金額は高いと言えるのでしょうか。  当然、初任給の水準には業種による差があり、人材を獲り合うような業種では水準が上がります。例えば、令和元年の大卒初任給は、情報通信業の21.8万円に対して、宿泊業・飲食サービス業は20万円と開きがあります。  ここでは全体感を把握すべく、全業種を平均した値により初任給金額の推移を見ることとします。学歴別に初任給金額の推移を見ると、いずれの学歴においても直近24年で2万円前後と、じわじわと増額しているのが分かります。大卒では19,500円、高専・短大卒では22,700円、高卒では16,600円、大学院卒では直近15年間で18,500円の増加です。 (図表1:学歴別初任給金額の推移(全産業)) 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(長期時系列データ)注:大学院卒の初任給データは平成17年以降のみ  さらに、物価の上がり下がりを加味した実質初任給にて過去の推移を見ると、実質的な増額幅はより小さいことが分かります。物価の変動を加味すると、大卒では約11,000円、最も伸びが大きい高専・短大卒でも約15,000円の伸びに留まっています。 (図表2:実質初任給金額の推移(全産業)) 出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(長期時系列データ)   総務省「消費者物価指数」(長期時系列データ)注:初任給金額(円)÷消費者物価指数(%)により算出した  初任給に限らず、平成の約30年間で賃金は大きく上がっていません。産業がすでに成熟し、大きな経済成長の見通しもないことから多くの企業では景況感に不安を抱えており、コスト低減を前提とした戦略を取っているのです。実際、2000年以降労働分配率は低下傾向にあります。  今後の初任給のあり方は、企業の戦略のあり方や採用市場の状況により大きく引きあがる職種と、今後も横ばいもしくは微増を続ける業種の大きく2つに分かれるのではないでしょうか。  事業構造や収益構造に変革をもたらすことができる企業では、コスト低減に依存した収益拡大の戦略を脱し、変革や成長に資する人材の確保に乗り出します。例えば、NECでは2019年10月より新人事制度を導入し、新卒でも年収1000万円以上を得ることを可能にしました。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)や国内のメガベンチャーと人材の獲得競争をする中で、何とかして優秀な研究者を獲得したいという思いがあるようです。¹このように、高いコストをかけてでも確保したい人材に対し、年齢を問わず、より魅力的な金額を提示する企業が多い業種では、企業間の人材の獲り合いも活性化し、初任給水準は大きく引き上がるでしょう。  一方で、年功的に賃金水準を徐々に上げる思想にある会社では、総額人件費の高騰を懸念し初任給水準を上げられないという実情があります。また、なかなか新しい付加価値や収益源を見いだせず、コスト低減による利益のねん出を続けざるを得ない企業や、そうした企業が多い業種においても、初任給水準は今後も横ばいか、人材不足等の影響による最低限の微増に留めざるを得ないでしょう。 以上 参考文献 1:日経ビジネス「NECが「新卒でも年収1000万円」制度を導入した真意」(2019年10月16日)https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/101100042/

都道府県別人口<br />~深刻化する人口減少と都道府県間格差~ | 人事制度設計

都道府県別人口~深刻化する人口減少と都道府県間格差~

 現在わが国の人口は減少傾向です。2008年をピークに減少が始まり、2011年以降9年連続で減少しています。そして、国立社会保障・人口問題研究所の調査によると2040年代後半には1億人を割るという推計まで出ています。また、人口減少問題を都道府県別にみると、より深刻な状況がわかります。例えば、都市部への一極集中で都道府県間の人口格差が広がっています。その結果、人口減少の著しい都道府県はマーケットとしての魅力を大きく失いつつあります。  人口の絶対数で見ると、2015年は上位25%の都道府県だけで全人口の60%の割合を占めています。一方、下位25%の都道府県が全人口に占める割合は8%程度です。以上から、一部の都道府県に人口が集中し、人口格差が発生している事が分かります。  2030年時(推計)の人口で見ると、ランキング上位では、東京都、神奈川県、愛知県等は数値が大きく変わらず、依然としてマーケットの魅力が高いと言えます。一方、大阪府と北海道は減少数が約60万人と大きく、マーケットの魅力が大きく下がります。  また、ランキング下位では、宮崎県、富山県、秋田県が100万人を割ります。このことから、相対的な増減数は平均程度ですが、マーケット魅力の低下は避けられません。 (図1) 出典:総務省『国勢調査』2015年時の人口ランキング上位・下位25%を抜粋したもの。また、2030年時の数値はランキングではなく、2015年時のランキングに入っている都道府県の2030年時データである。  人口の増減率で見ると、全国的に東北地方・四国地方の都道府県の減少率が大きいです。その為、これらの都道府県はマーケットの魅力の低下度合いが大きいと言えます。理由は様々ありますが、例えば秋田県は出生率が低いと同時に死亡率が高い傾向にあります。同時に、県外への流出傾向も強いことから減少率が高くなっている可能性が高いです。 (図2) 出典:総務省『国勢調査』  都道府県別に見た人口の減少傾向は、ビジネスの仕方に大きく影響を与えます。例えば、100万人を切る都道府県の場合、ビジネスを行う単位として見ることが出来なくなる可能性があります。その為、支店の設置を県別ではなく中規模の地域単位で行って事業拠点を統合するなど、マーケット運営の効率化が進みます。それに伴い、リモートワークなど社員の働き方を変えなければならない必要性が生じます。特に、人口減少率が高い都道府県の場合、今後急速にマーケットとしての魅力が失われますので、組織の在り方を早急に考えなければなりません。  また、都市一極集中の傾向によって、地域間の物価差がより大きくなる可能性もあります。その為、社員の給与を働く地域によってコントロールがすることが必須となります。  以上  

単身赴任の割合は約1.5倍に増加|単身赴任手当など処遇の見直しが重要 | 人事制度

単身赴任の割合は約1.5倍に増加|単身赴任手当など処遇の見直しが重要

 ワークライフバランスが叫ばれる昨今においても、遠方での業務のために家族と離れて暮らす単身赴任の割合は意外にも増加しています。今回は、単身赴任割合の推移について解説します。  過去の推移を見ると、単身赴任者の割合(注1)は増加傾向にあり、1990年代後半から2017年までの間に約1.5倍となっています。共働き世帯の増加や親族の介護などの事情により、転勤の命を受けた場合であっても家族を帯同して赴任することが難しいケースが増えていることが影響していると言えるでしょう。   (図表1:単身赴任割合の推移) 出典:独立行政法人労働政策研究所「ユースフル労働統計2019」 注1)従業上の地位が雇用者である有業単身世帯数÷雇用者数により算出された割合を単身赴任割合とした。  単身赴任割合を年齢別に見ると、いずれの年齢においても増加傾向にあります。40代だけが横ばいとなっているのには、就職氷河期などの影響により労働者自体が少なく、異動を命じる余地がない割合が他の世代よりも高い可能性があります。  その他の各年代の中でも、1997年と比較して60代以上では2倍近くと、特にシニア世代は大きく伸びています。高年齢雇用安定法の改正によって2006年以降の定年の引き上げや再雇用による継続雇用制度の導入が企業に義務化されたことが影響していると考えられます。再雇用時のポストの空き具合等の都合による異動や、グループ会社への出向などに転勤が命じられるケースが考えられます。   (図表2:年齢別の単身赴任割合) 出典:独立行政法人労働政策研究所「ユースフル労働統計2019」 注2)男性のみ  一部企業ではコロナ禍におけるリモートワークの普及を受け、単身赴任を解除する動きが見られるものの、今後急に単身赴任者が大きく減ることは考えにくいでしょう。  単身赴任に際して支給する単身赴任手当等の支給実態を見ると、支給金額が合理的な理由をもとに決められている会社は少ないのが現状です。今後も単身赴任者が発生し続けることを踏まえ、単身赴任に関する処遇の見直しが必要でしょう。 以上

大卒者の増加 ~総合職・高度専門職の候補者が倍増?!~ | 人事制度設計

大卒者の増加 ~総合職・高度専門職の候補者が倍増?!~

 現代の日本では、少子化が著しく進んでいます。図1は、出生数と22歳人口を示しています。平成元年には約125万人が生まれていましたが、平成27年時点では約100万人と、平成の約30年の間に20%も減少しています。また、大学を卒業する年齢にあたる22歳人口も平成7年をピークに減少し続けており、平成27年にはピーク時の約6割にまで急激に減少しています。    (図1)22歳の人口の推移 出典:総務省統計局『人口推計 長期時系列データ(大正9年~平成12年)』総務省統計局『人口推計 長期時系列データ(平成12年~27年)』 厚生労働省『人口動態調査 人口動態統計(確定数)出生』  一方で、(図2)の大学進学率に目を向けると平成元年には約25%から平成27年の約52%へと倍以上に増加しています。大学進学率とは、高校卒業者のうち大学へ進学する人の割合です。(図1)と併せて見てみると、子供の数自体は減っている一方で、大学に進む人の割合は大きく増えていることが分かります。   (図2)大学進学率 出典:文部科学省『学校基本調査 年次統計 進学率(1948年~)』  さらに、(図3)にて大学卒業者数の推移を見てみると、年により多少の増減はあるものの、基本的には増加傾向です。平成元年には約40万人が大学を卒業していますが、平成27年には約56万人にまで増加しています。大学卒業者数に占める就業者数の推移を見ると、一部景気の好悪の影響を受けている年があるものの、基本的には毎年大学卒業者数の7割程度の人が就業しています。その数も、大学卒業者数と同じく増加傾向にあることが分かります。   (図3)大学卒業者数・大学卒業後の就職者数の推移 出典:文部科学省『文部科学統計要覧(平成30年版)11.大学』  これらのデータから、子供・若手の数自体は減少しているものの、大卒向け新卒採用の母集団は増加していることが分かります。今後も経営幹部・管理職の候補となる総合職人材や高度専門職等の採用の状況は大きく変わることはないでしょう。  一方で、若手の人口自体は減少しながら大卒が増加しているため、高卒・専門卒・短大卒等では採用母集団が縮小傾向です。労働市場におけるこれらの人材の供給は不足する見込みであり、企業の採用のあり方に変化をもたらすでしょう。具体的には、これまで高卒・専門卒・短大卒等を採用してきた人材を若手以外の人材に置き換えたり、社外へのアウトソーシングを活用したりする等、多様な人材の活用が進むことが考えられます。 以上  

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率 | 人事アナリシスレポート®

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率

 管理職は経営陣と一体となり、会社を牽引する非常に重要な役割を担うポジションです。重要性は極めて高く、指揮指導により組織を牽引する社員が全社員に占める割合は決して多くはないはずです。管理職比率の妥当な水準はどの程度なのかを探るべく、企業規模別・業種別の管理職比率のデータを解説します。  図表1は、企業規模別の正社員に占める部長比率・課長比率を示しています。企業規模が大きいほど部長比率は低く、課長比率は高い傾向にあることが分かります。部長比率に関しては、大企業であれ、中小企業であれ、部として設ける機能の数に大きな差が無く、必要な部の数に大きな差が無いため、大企業の方が社員に占める部長の数が少なくなることが考えられます。  一方の課長比率については、中小企業では組織規模が小さいことから、部長が課長の役割も兼ねるケースがあることや、大規模な組織では課長代理・課長補佐など、ラインマネジメントを担わないものの年功的な観点から課長級として処遇される社員を抱える余裕があることなどが影響していることが考えられます。  こうした傾向があるとは言え、部長比率・課長比率の合計はいずれの企業規模においても10%程度と、顕著な差がある訳ではありません。この数字は、実感とかなりの乖離があるのではないでしょうか。管理監督者の比率という観点では、特に年功的な人事管理を行っており平均年齢の高い会社では、30~50%という会社も散見されます。単に組織の管理者という視点では10%程度で足りるのに対してかなりのギャップがあることが分かります。   (図表1)管理職比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  次に、図表2で業種別に管理職比率をみてみると、産業計や他の業種と比較して、建設業では突出して高く、運輸業・郵便業は低いことが分かります。建設業では、1つの現場に対して元請け、下請け、孫請けがあるなど、ビジネスの構造が多重構造となっており、関与社数が多く、各社ごとに管理職社員がいるため、業界全体としても管理職比率が高くなっているのです。  一方の運送業では、管理職は運送・配送という単一の業務を担う人材を取りまとめるため、管理する部下の数を多く持てること、収益性の観点から管理する社員よりも現業に関わる社員を多くする方が効率的であることから、管理職比率が低く抑えられているのです。   (図表2)産業別部長比率および課長比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  管理職比率が図表1や図表2の水準並みである場合も、管理職比率と管理監督者比率の間に大きな乖離がある場合には、総額人件費や労務的の観点で問題があり、早急な見直しが必要です。  また、最適な管理職比率はビジネスモデルのあり方や正社員比率などにも依存するため、外部の水準によらず、ユニークな場合もあります。定期的に生産性の指標や、管理される側の従業員の働きやすさなどをモニタリングし、自社に合った水準を探り、上手くコントロールすることが望ましいです。 以上

非正規雇用の割合は30年で2割から4割に増加|人件費構造の見直しが企業の急務 | 人事アナリシスレポート®

非正規雇用の割合は30年で2割から4割に増加|人件費構造の見直しが企業の急務

 ここ30年の間に非正規雇用者はその数でも、雇用者に占める割合でも大きく増加してきました。近年では、非正規雇用の活用の弊害や限界も指摘されていることから、今後は非正規雇用者の正規社員化や処遇の改善が進み、非正規割合の伸びは鈍化し、その後は減少傾向になることが予想されます。非正規割合の高い業種や企業では収益構造の転換が求められるでしょう。  図1を見ると、平成の約30年の間に、雇用者に占める非正規雇用者の割合は約2倍へ大きく増加していることが分かります。平成元年の非正規割合は約20%でしたが、平成31年には約40%と、雇用者の5人に2人が非正規雇用者となっています。平成9年の消費税増税や平成10年の金融危機の影響から景気が急速に悪化し、特に平成10年から平成15年までの5年間は非正規割合の伸び率が突出して高くなっています。この5年間の雇用者全体の内訳を見ると、正規雇用者数が減少し、非正規雇用者数が増加しています。景気の悪化を理由に、各企業が非正規化を進めたのです。   (図1)労働人口構成 出典:総務省統計局『労働力調査 長期時系列データ(詳細集計)』  これまで、人件費をできる限り抑え利益を確保する目的で、非正規雇用者の活用が進んできましたが、こうした目的での非正規活用はあらゆる問題もはらんでいます。例えば、非正規雇用者の賃金の低さ、経年での賃金上昇の少なさ、社会保険への未加入などです。そこで近年、同一労働同一賃金や無期転換の促進、社会保険の加入対象の拡大など、非正規雇用者の処遇改善への動きが見られるようになりました。  これらの動きを背景に、今後は非正規雇用者の処遇が正規雇用者並に引き上げられること、非正規雇用者の正規雇用化が進むことが見込まれます。これらは、非正規活用を進めてきた企業の人件費コストを大きく押し上げることとなるでしょう。例えば、総従業員数100名、非正規雇用者の比率が50%の企業で、非正規雇用者全員を正規雇用化するとします。正規雇用化に伴い給与水準の引き上げや賞与の支給などを行い、1名あたりの人件費単価が200万円増加する場合には、企業全体で1億円もの追加の人件費が発生します。  非正規雇用者を多く活用することで戦略的に利幅を上げてきた企業ほど、非正規雇用者の処遇改善のための人件費負担を重く背負うこととなるため、人件費構造や利益構造の見直しが急務となります。 以上

企業規模別の年収水準 | 人事アナリシスレポート®

企業規模別の年収水準

 年収水準は基本的に、企業規模の大きさに連動して高くなる傾向があります。企業規模が大きいほど、効率的に利益を出す事ができ、結果社員への配分を大きくすることが出来るからです。例えば、大企業の持つブランド力は、顧客ロイヤリティによる長期的な売上確保・高価格化による高利益率を可能とします。また、人材採用という観点においても、採用コストを抑制することが可能です。  図1は、2019年における、雇用期間に定めのない労働者の年収水準を、企業規模別・年齢階層別に示したものです。基本的にはどの年齢階層でも企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなっています。また、全年齢階層の平均で見ると、 1000人以上規模と500~999人規模では、160万円の差(月収約13万円差)、500~999人規模と100~499人規模では、70万円の差(月収約6万円差)が存在しています。このことから、最大規模区分と最小規模区分では最大230万円の差(月収約19万円差)が生じている事となります。 (図1) 出典:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』 年収=(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)で計算し加工  全産業で見た場合、企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなるという、年収の規模間格差は確かに存在しますが、産業別に見ると必ずしもそうは言えません。  図2は、図1のデータを総務省の標準産業分類に従って細分化したものですが、例えば不動産・物品賃貸業は、規模の大きさと年収水準の高さに殆ど連動がありません。他の産業で見ても、特定の年齢階層において同様の事が言えます。  従って、産業別に見た場合、特定の産業・年齢階層においては、企業規模の大きさに依存しない年収水準になっていると言えます。 (図2) 出典:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』図1のデータを産業別に区分して加工 ※企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなるという前提のもと、中規模の500~999人規模に対し1000人以上規模・100~499人規模それぞれの水準を比較し、逆転している箇所を強調しています。  日本国内における人材の流動化は、今後緩やかに進行していくと考えられます。それに伴って、採用競争力の強化・ハイパフォーマンス人材の流出リスク低減化の必要性が一層高まってくると想定されますが、その際、外部労働市場の水準に基づく給与水準の検討は必須です。場合によっては同産業・同規模だけでなく、異なる規模の外部水準も視野に入れた上でベンチマークを行う必要があると言えます。