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適正人員・人件費算定

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コスパに注目して戦略的な人材確保を<br />~給与が下がっても転職する中高年~ | 関連制度設計

コスパに注目して戦略的な人材確保を~給与が下がっても転職する中高年~

 企業の人事担当者からはよく、「離職防止のため、魅力ある給与水準を実現したい」「競合に劣らない給与水準を教えて欲しい」といった相談を受けます。労働者の転職理由に目を向けると、より良い給料が欲しいという経済的動機が強いようです。そこで今回は、給料を求めて離職・転職した労働者が、実際に転職後に高い処遇を得ているのか、調べてみました。  総務省の統計によると、2019年の年間の転職者数は351万人であり、過去の水準を若干上回り、最高値をマークしました。労働人口全体が徐々に少なくなっている中での転職者数の微増ですので、労働市場の流動化がじわじわと進んでいるといえましょう※1。各企業が自社の従業員の離職防止に取り組んだり、新たな人材確保の選択肢として中途採用・経験者採用をより重視したりすることは、今後も重要な施策と言えます。  年代別の動きで特徴があるのは55歳以上です。55歳以上の転職率は年々微増傾向にあり、2019年に過去最高値に達しています。この層は労働人口全体に占めるウエイトが大きく、各企業が高齢化や中高年余剰に悩むようになり、早期退職制度等を活用したセカンドキャリア選択を打ち出しています。今後も、これらの施策による企業からの中高年に対する流出圧力は一定程度かかるものと考えられるため、増加傾向が続くでしょう。 図表1:転職者数の推移 出典:総務省『統計トピックス No.123 増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~」  転職者が転職をする理由を調べると、最も多いのは「より良い条件の仕事を探すため」です。より細かく調べると、最も多いのは「人間関係」次いで「休日等労働条件」「給料」です 。この傾向には業種による差が見受けられます※2 。例えば、建設業・卸売小売り業などでは「給料」を理由とした離職が最も多く出ています。建設業では、建設需要の増加に対応し、各社が給料を上げることで労働者を確保しようとした傾向が影響しています。一方、卸売小売り業では、業界全体の給与水準が高くなく、労働条件も厳しい企業が多いため、どうしても処遇に目が行きがちであり、良い給料を求めて流動する傾向があります。いずれにしても、「給料」は労働者の離職・転職の動機となる重要な項目であると言えます。  そこで、転職により処遇が本当に上がっているのか、調べてみました。年齢を問わず集計すると、転職により賃金が増加した割合が39%、変わらない割合が20%、減少した割合が40%です。処遇改善を求めて転職する労働者は多いものの、実際には賃金が減少している割合の方が若干多いのが実情です。年齢別では、増加した割合と減少した割合の差は、20代~30代前半が多く、40代では拮抗しています。50代以降は減少する割合の方が多く、年齢を重ねる程、良い条件での転職が難しくなることを示しています。 図表2:転職前後の賃金変化 出典:厚生労働省『令和2年雇用動向調査』  少子高齢化が進み、若年層が少なく、中高年が余剰傾向にあることから、需給の関係により若年層が求められがちです。ここで、少し視点を転換し、人材採用の視点で少し議論をしたいと思います。中長期的に安定した経営が見通されるインフラ企業や超大企業では若者を大量に確保し、育成していく採用方針が合うでしょう。しかし、企業のおかれる状況や成長フェーズにもよりますが、変化の激しい時代を生き残るためには、20年30年かけて育成し、雇用し続けることよりも、3~5年の中期的視点で必要なスキルを必要なタイミングで、適切な価格で調達することが重要になるケースも多いでしょう。  若年層は、中高年層との相対的な比較では採用コストが高いうえ、経験が短く育成も必要であり、ランニングコストもかかります。さらに、彼らは再度転職活動をすれば処遇が上がる可能性も高く離職リスクも抱えています。一方、中高年層は、多少賃金が下がる転職も許容している実態から見ると、採用コストが相対的に低く、その時点で持っている経験やスキルを発揮してもらえれば十分と考えれば、育成コストも低く済みます。  もちろん、大前提として年齢にかかわらず、会社が求める素養や能力や経験を見極める必要はありますが、効率的に必要な人材を確保する観点で、中高年層を上手く活用するのも一手でしょう。 以上 ※1.総務省「統計トピックス No.123 増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~」より。定年・契約終了、会社都合、出向など、雇用契約上の理由や会社都合の理由を除く。 ※2.厚生労働省「雇用動向調査 入職者/性、産業(大分類)、就業形態、転職理由別入職者数」(2020年)

労働力人口<br />~多様な人材の活用と労働力需要の抑制がカギ~ | 適正人員・人件費算定

労働力人口~多様な人材の活用と労働力需要の抑制がカギ~

 現在、日本の人口は減少傾向にあり、同時に労働力も伸び止まりを見せています。今回は労働力人口の推移や、年齢別や性別といった属性ごとの就業者数について解説します。  労働力人口の過去の推移をみると、1990年代半ばまでは増加傾向にあり、1990年以降は伸び止まり、そして若干の減少傾向にありました。2010年代半ばからは僅かながら減少に歯止めがかかっています。女性や高齢者の活用により労働力の内訳を変えることにより、大幅な減少は免れている状況ですが、いずれは減少傾向に転じるでしょう。 図表1:労働力人口(単位:万人) 出典: 総務省統計局 「労働力調査」注)労働力人口の1952年以前は14歳以上人口のうちの該当する者 労働力人口とは、満15歳以上のうち、労働する意思と能力を持った人口を指す。具体的には、実際に働いている人のほか、労働の意思や能力があるものの失業中の人が含まれており、満15歳以上であっても専業の学生や主婦は除かれている。  そこで、年代別の就業者数と就業者に占める60歳以上人口の割合を見てみると、就業者全体の数は1995年をピークに減少傾向にあるものの、60歳以上の就業者は増加しています。60歳以上の就業者は1980年時点で約540万人でしたが、2015年には約1270万人と2.3倍の伸びを見せています。就業者全体に占める割合においても、1980年ごろまでは9%前後で推移していたものの、2015年時点では21.5%とやはり大きく増加しています。  今後は、少子高齢化により59歳以下の労働力の確保がますます難しくなるため、労働力を充足すべく定年延長や定年再雇用はますます進み、60歳以上の就業者は増加するでしょう。 図表2:年齢別就業者数・60歳以上割合 出典: 総務省「国勢調査」  続いて、男女別の就業者数と就業者に占める女性の割合を見てみます。男性の就業者数は、労働力人口・就業者数全体の推移と同様に伸び止まり、1995年以降は減少傾向にあります。  一方、女性の就業者数は1995年から近年に至るまで2600万人弱の水準でほぼ横ばいに推移しており、労働者に占める女性労働者の割合は増加傾向にあります。労働力人口の減少に伴っていずれは女性就業者数も伸び止まりを見せると思われますが、当面は女性労働者の割合が増え、労働市場全体や各企業内の労働力構成が大きく変わっていくでしょう。 図表3:男女別就業者数・女性割合 出典: 総務省「国勢調査」    女性・高齢者の他に外国人労働者の活用も年々進んでおり、2008年の48万人から2020年の172万人へと約3.5倍に増えています  少子高齢化により日本全体の人口が減少する中、今後も労働力人口が大きく増加することは考えづらい状況です。国内労働力の減少や構成の変化を受けて企業内のポートフォリオも大きく変化をしていくことでしょう。例えば1980年以前は外国人や高齢者の労働者は割合的にはほとんどおらず、女性も1/3程度でしたが、近い将来、男女が5:5の割合となり、外国人労働者が労働者全体の10%を超え、高齢者の割合も現在と比べて非常に高くなるでしょう。  今後に目を向けると、労働力の需給のコントロールが重要性を増します。前述の通り労働力は減少傾向になるので、女性や高齢者・外国人の活用によってダイバーシティを促進し供給量を増やすことが必要です。そして、ITやロボティクスなどの先端技術の活用や生産性向上施策によって、そもそもの労働力需要を抑えることも重要となります。  迫りくる労働力人口の不足を前に、各企業は女性・高齢者、外国人を戦力化しやすい労働環境の整備と、従業員の生産性向上施策、そして先端技術の活用による労働力需要の抑制を両立しなければなりません。

産業別雇用者数<br />~どの産業に雇用が集中している?~ | 適正人員・人件費算定

産業別雇用者数~どの産業に雇用が集中している?~

 日本の景気が安定してきた2013年以降、雇用者数※は増加傾向であり、2020年までの7年間で約180万人増加しています。しかし、すべからく全ての産業において雇用者数が増加しているわけではありません。社会環境の変化やテクノロジーの進化に伴って産業構造は常に変動しており、労働需要の縮小・拡大が産業別に起こるからです。 ※15-64歳の生産年齢人口における雇用者数(うち役員を除く正規及び非正規社員)  雇用者の増減数(2013年比2020年データ)を産業別に見てみると、雇用者数が増加している主な産業は「医療・福祉」「情報通信業」です。そして、これらの産業の増加数は雇用者全体の増加数の約60%を占めており、雇用が集中していることが分かります。  一方、雇用者数が減少している主な産業は「建設業」「生活関連サービス業」です。これらの産業の減少数は雇用者全体の減少数の約80%を占めております。 (図表) 出典:総務省『労働力調査』 注1)15-64歳の生産年齢人口における雇用者数(うち役員を除く正規及び非正規社員)データを活用 注2)主に雇用者数100万人以上の産業を抜粋  では、雇用者数の増減率(2013年比2020年データ)を産業別に見てみます。増加率は上から「情報通信業」「学術研究,専門技術サービス業」の順に大きく、これらの産業は雇用者増加数が一番大きい「医療・福祉」よりも増加の度合いが強いです。現在、「情報通信業」「学術研究,専門技術サービス業」ともに「医療・福祉」より雇用者数自体は少ないですが、仮にこの傾向が続けばいずれ規模の逆転が起こる可能性があるという事です。 一方、減少率は上から「生活関連サービス業」「建設業」の順に大きくなっています。これらの産業は減少数・減少の度合い双方が強い為、今後もこの傾向が続けば他の産業に比べ一層雇用者数が減る事となります。  雇用者数の増減要因の一つに、社会環境の変化やテクノロジーの進化に伴う労働需要の拡大・縮小があります。例えば昨今、「医療・福祉」は高齢化の進展や共働きの増加、「情報通信業」はICTの革新・利活用が進んでいます。その為、サービス提供のニーズが高まり、労働需要が拡大して雇用者数が増加したと考えられます。 一方で、当然ながら労働需要が拡大していても雇用者数が減少する場合もあります。例えば「建設業」は、リーマンショック以降オリンピックに向けて建設投資額が回復し、労働需要は拡大してきていると考えられますが、雇用者数が減少しています。これは、就業希望者数の低迷・ボリュームゾーンとなる高齢者の引退が進んでいる為だと考えられます。 以上

失業率の推移<br />~完全雇用状態の日本、今後の変化は?~ | 適正人員・人件費算定

失業率の推移~完全雇用状態の日本、今後の変化は?~

 直近約30年間の日本の失業率はおよそ2%から5%の間で推移しています。5%に達したのはバブル崩壊後とリーマンショック後であり、一時的に高い水準となっていますが、平均値では約3.4%に留まっています。3%以下の状態は、失業者がほとんどいない完全雇用の状態とも言われていることから、日本の失業率は低い水準にあると言えます。  一方で、諸外国に目を向けると、日本と比較しておおむね高い水準で失業率が推移していることが分かります。1991年から2019年の間の失業率を平均値で比較すると、日本では約3.4%であるのに対して、フランス、イタリア、ドイツでは7%を超えており、アメリカ・イギリスでも5%弱の水準です。日本では、諸外国と比較して労働者に対する求人の数が多く、失業率が低くなっているのです。 (図表:Unemployment rate(%)(G7)) 出典: Inretnational Labor Organization(ILO), "Unemployment rate by sex and age -- ILO modelled estimates, Nov. 2020 (%) -- Annual"    失業率がどの程度の水準であれば低いと言えるかについては諸説ありますが、2019年8月に日本の完全失業率が2.2%となった際、総務省は「景気など構造的要因による失業率はほぼゼロとなって」おり、「完全雇用に近い状況にある」との見方を示しています¹。また、イギリスの経済学者W.ベバリッジは失業率が3%の状態を完全雇用状態と定義しています。  過去の推移や諸外国との比較から、日本の失業率は景気悪化時には一定の失業者が生じて失業率が上昇するものの、平時においては完全雇用状態に近い、低い水準にあることが分かります。  今後の短期的な見通しとしては、COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大による経済活動の低迷の影響がこれから生じるものと思われ注視が必要ですが、日本全体の人手不足感を鑑みるに過去2回のピークほどは上昇しないのではないでしょうか。  一方で、中長期的に将来を見据えると、高齢化によるシニア層の余剰、産業構造やテクノロジーの変化による労働力に関する需給の変動、働く意識の変化などの影響が予想されます。具体的な例を挙げると、今後もITや福祉の分野では求職者よりも採用数が多くなる一方、事務等の領域では省力化やAI化が進んで採用数が少なくなることが予想されます。労働力の需給のギャップが大きくなることにより、失業率が高くなる可能性があるのです。 以上 参考文献 ¹:日本経済新聞「8月の完全失業率2.2%、総務省「完全雇用に近い状況」」(2019年10月1日)

有効求人倍率<br />~不景気は採用のチャンス?!~ | 人事制度設計

有効求人倍率~不景気は採用のチャンス?!~

 新型コロナウイルス感染拡大等の影響を受け、採用を控える企業も増えており、有効求人倍率にも表れています。今回は、有効求人倍率の推移や職種ごとの違いについて解説します。  有効求人倍率とは、ハローワークに申し込まれた求人数を求職者数で割ったものであり、1を下回ると求人の数が求職者数よりも少ないことを示します。有効求人倍率は景気動向による短期的な変化が多く、景気の下降局面では有効求人倍率も下降しています。  過去の推移を見ると、高度経済成長期やバブル経済のピーク時に2.00倍を超えており、リーマンショック時には史上最低値の0.42倍を記録しています。直近の数字を見ると、新型コロナウイルス感染拡大防止による外出自粛要請等の影響を受けて、2020年7~9月に1.05倍まで下がっています。  なお、ハローワークの求人のみが対象であり、ハローワークを経由しない紹介による採用やインターネットを活用した採用活動は反映されていない点、パート・アルバイトの求人も含む点に注意は必要です。 (図表1:有効求人倍率、新規求人倍率) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」、内閣府「景気循環日付」注1)新規学卒者を除きパートタイムを含む注2)1973年から沖縄を含む注3)四半期平均注4)図中、灰色の期間は、景気の下降局面(山から谷)である。2018年10-12月期の山は暫定。  一方で、職種別に見てみると、有効求人倍率の高さにかなり差があることが分かります。例えば、とび工や解体作業員等が含まれる職種である建設躯体工事は、令和2年11月度9.79倍、前年同月12.40倍であり、10~12名の採用枠に対して求職者は1名程度という状況です。景気動向による影響は多少あるものの、深刻な人手不足が生じていると言えます。  一方で、飲食店やホテルの従業員を含む職種「接客・給仕」、ソフトウエア開発者等を含む職種「情報処理・通信技術者」では、昨年から有効求人倍率が約半分となり、1倍に近づいています。また、「一般事務」等の職種においては、景気の降下の影響に関わらず、1倍を下回っています。  なお、令和2年11月度の職種別の有効求人倍率が前年比では下がっていることは、いずれの職種においても共通しています。 (図表2:職業別の有効求人倍率(令和2年11月、前年同月)) 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」、内閣府「景気循環日付」注)一部職種を抜粋している。  コロナ禍における景気低迷を含め、景気の下降局面で有効求人倍率が低下し1倍に近づいた職種や、1を下回っている職種について、人材の強化を目指す企業の観点からは非常に有利な機会であるとも言えます。景気降下局面には採用を控えることを検討しがちですが、求人数に対して求職者が多いということにより、採用において十分なセレクションが可能となるためです。例えば、高い技術力を持つ人材や経験豊富な人材を吟味できるのです。労働市場の動向を見極めて有意義な人的投資を実現したいものです。 以上

都道府県別人口<br />~深刻化する人口減少と都道府県間格差~ | 人事制度設計

都道府県別人口~深刻化する人口減少と都道府県間格差~

 現在わが国の人口は減少傾向です。2008年をピークに減少が始まり、2011年以降9年連続で減少しています。そして、国立社会保障・人口問題研究所の調査によると2040年代後半には1億人を割るという推計まで出ています。また、人口減少問題を都道府県別にみると、より深刻な状況がわかります。例えば、都市部への一極集中で都道府県間の人口格差が広がっています。その結果、人口減少の著しい都道府県はマーケットとしての魅力を大きく失いつつあります。  人口の絶対数で見ると、2015年は上位25%の都道府県だけで全人口の60%の割合を占めています。一方、下位25%の都道府県が全人口に占める割合は8%程度です。以上から、一部の都道府県に人口が集中し、人口格差が発生している事が分かります。  2030年時(推計)の人口で見ると、ランキング上位では、東京都、神奈川県、愛知県等は数値が大きく変わらず、依然としてマーケットの魅力が高いと言えます。一方、大阪府と北海道は減少数が約60万人と大きく、マーケットの魅力が大きく下がります。  また、ランキング下位では、宮崎県、富山県、秋田県が100万人を割ります。このことから、相対的な増減数は平均程度ですが、マーケット魅力の低下は避けられません。 (図1) 出典:総務省『国勢調査』2015年時の人口ランキング上位・下位25%を抜粋したもの。また、2030年時の数値はランキングではなく、2015年時のランキングに入っている都道府県の2030年時データである。  人口の増減率で見ると、全国的に東北地方・四国地方の都道府県の減少率が大きいです。その為、これらの都道府県はマーケットの魅力の低下度合いが大きいと言えます。理由は様々ありますが、例えば秋田県は出生率が低いと同時に死亡率が高い傾向にあります。同時に、県外への流出傾向も強いことから減少率が高くなっている可能性が高いです。 (図2) 出典:総務省『国勢調査』  都道府県別に見た人口の減少傾向は、ビジネスの仕方に大きく影響を与えます。例えば、100万人を切る都道府県の場合、ビジネスを行う単位として見ることが出来なくなる可能性があります。その為、支店の設置を県別ではなく中規模の地域単位で行って事業拠点を統合するなど、マーケット運営の効率化が進みます。それに伴い、リモートワークなど社員の働き方を変えなければならない必要性が生じます。特に、人口減少率が高い都道府県の場合、今後急速にマーケットとしての魅力が失われますので、組織の在り方を早急に考えなければなりません。  また、都市一極集中の傾向によって、地域間の物価差がより大きくなる可能性もあります。その為、社員の給与を働く地域によってコントロールがすることが必須となります。  以上  

大卒者の増加 ~総合職・高度専門職の候補者が倍増?!~ | 人事制度設計

大卒者の増加 ~総合職・高度専門職の候補者が倍増?!~

 現代の日本では、少子化が著しく進んでいます。図1は、出生数と22歳人口を示しています。平成元年には約125万人が生まれていましたが、平成27年時点では約100万人と、平成の約30年の間に20%も減少しています。また、大学を卒業する年齢にあたる22歳人口も平成7年をピークに減少し続けており、平成27年にはピーク時の約6割にまで急激に減少しています。    (図1)22歳の人口の推移 出典:総務省統計局『人口推計 長期時系列データ(大正9年~平成12年)』総務省統計局『人口推計 長期時系列データ(平成12年~27年)』 厚生労働省『人口動態調査 人口動態統計(確定数)出生』  一方で、(図2)の大学進学率に目を向けると平成元年には約25%から平成27年の約52%へと倍以上に増加しています。大学進学率とは、高校卒業者のうち大学へ進学する人の割合です。(図1)と併せて見てみると、子供の数自体は減っている一方で、大学に進む人の割合は大きく増えていることが分かります。   (図2)大学進学率 出典:文部科学省『学校基本調査 年次統計 進学率(1948年~)』  さらに、(図3)にて大学卒業者数の推移を見てみると、年により多少の増減はあるものの、基本的には増加傾向です。平成元年には約40万人が大学を卒業していますが、平成27年には約56万人にまで増加しています。大学卒業者数に占める就業者数の推移を見ると、一部景気の好悪の影響を受けている年があるものの、基本的には毎年大学卒業者数の7割程度の人が就業しています。その数も、大学卒業者数と同じく増加傾向にあることが分かります。   (図3)大学卒業者数・大学卒業後の就職者数の推移 出典:文部科学省『文部科学統計要覧(平成30年版)11.大学』  これらのデータから、子供・若手の数自体は減少しているものの、大卒向け新卒採用の母集団は増加していることが分かります。今後も経営幹部・管理職の候補となる総合職人材や高度専門職等の採用の状況は大きく変わることはないでしょう。  一方で、若手の人口自体は減少しながら大卒が増加しているため、高卒・専門卒・短大卒等では採用母集団が縮小傾向です。労働市場におけるこれらの人材の供給は不足する見込みであり、企業の採用のあり方に変化をもたらすでしょう。具体的には、これまで高卒・専門卒・短大卒等を採用してきた人材を若手以外の人材に置き換えたり、社外へのアウトソーシングを活用したりする等、多様な人材の活用が進むことが考えられます。 以上  

若年・中堅層の転職率は全体の約3倍に増加|離職防止のための人事制度 | モチベーションサーベイ

若年・中堅層の転職率は全体の約3倍に増加|離職防止のための人事制度

 昨今、日本国内における人材の流動性が高まっています。背景にあるマクロ環境要因としては、終身雇用の衰退や、若者の転職に対する意識の変化などがあると想定されますが、いずれにせよ転職者の割合が今後増加する事に伴って、人事管理の在り方を変革していく必要があります。  図1は、転職者比率(以下転職率と称する)に関する推移を年齢階級別に示したものです。総数の推移で見ると、2011年の4.5%から2019年の5.2%で、1年あたり約0.1%の微増傾向となっています。また、年齢階級別にみると、基本的に若い世代になるほど転職率は高くなっています。直近1年間では、15-24歳で1.0%、25-34歳の階級で0.8%と大きく割合が増加しています。総数の増加割合である0.3%と比較すると、約3倍程度も増加しており、若年層~中堅層ほど顕著に転職率が増加している事が分かります。   (図1)年齢階級別転職者比率 出典:総務省『労働力調査 詳細集計(長期時系列データ)』  図2は、転職率が高い若年~中堅層において、実際に転職した人材の離職理由を示したものです。割合上位の項目(「その他の理由」を除く)に着目すると、どちらの階層も共通して、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「給料等収入が少なかった」の項目が上位3つを占めています。それぞれの階層でこれら上位3項目の割合を合算すると、19歳以下~24歳の若年層では43.9%で約2人に1人が当該理由によって辞職しています。同様に、25歳~34歳の中堅層では35.0%で約3人に1人が当該理由によって辞職しています。以上の事から、転職率の高い若年~中堅層においては、労働条件・人間関係・給料に関する問題が主な辞職理由となっていることが分かります。   (図2)転職入職者が前職をやめた理由別割合(2019年) 出典:厚生労働省『雇用動向調査』出典の転職入職者数データを基に加工  今後も人材の流動化はゆるやかに進んでいくものと考えられますが、流動化の進行に伴い、人事管理として中途採用の強化と離職防止の重要性が増すと考えられます。  中途採用の強化によって、今まで育成できなかったタイプの人材を採用できるチャンスが増えるとともに、即戦力の人材を獲得できるメリットがあります。但し、優秀な人材を採用するためには、求める知識、スキルを明確にすると同時に、労働市場に連動した給与へ転換する必要があります。つまり、職種、等級制度、給与制度の再整備が必要になるということです。  同時に、自社の社員の過度な離職も防止しなければなりません。特に若年者層に対してはワークライフバランスを重視した、労働条件・環境の整備が求められます。また、若年者層に関わらず、社員満足度調査などを定期的に実施して、離職の主要な原因を分析し、対応していくことも必須であると言えます。               以上

地域間の人口移動 ~都市集中により人事管理の見直しが必要~ | 人事アナリシスレポート®

地域間の人口移動 ~都市集中により人事管理の見直しが必要~

 わが国では現在、本格的な人口減少の下にあることは既知のことです。人口に影響を与えるのは、出生動向、死亡動向の2つの要素となります。日本は出生率が低く、寿命が延びているので人口減少となります。日本全体は減少しますが、これを都道府県別などの地域別にみるとさらに深刻な状況がわかります。地域の人口動向は、地域間の転入と転出の差が目立つ地域が増えてきているため、出生動向、死亡動向と同時に地域間の人口移動の人数が重要となります。  国立社会保障・人口問題研究所の「地域別将来推計人口」によると、今後2045年までに約14%の人口減少となります。地域別には一律ではなく、東京圏は6%しか減少しませんが、関西圏は17%、名古屋圏は12%、他の地域では20%もの人口減少となると予想されています。地域別にに人口減少のインパクトが異なるということです。例えば東京圏は2020年は3600万人2045年は3400万人と大きく変わりませんが、他の地域(東京・関西・名古屋以外)は5500万人から4400万人と激減します。この人数は市場の大きさを表すために、東京圏はビジネスとして変わらない魅力的な商圏でありますが、地方は広い面積で多くの人数が減少することから、急速にまた驚くほどマーケットとしての魅力が低下するということです。 (図表)地域別人口推移予測(単位:千人) 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年」東京圏は埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県、名古屋圏は岐阜県,愛知県,三重県、関西圏は京都府,大阪府,兵庫県,奈良県とし、それ以外を地方圏と定義しています  この人口減少と相対的都市圏集中は、日本におけるビジネスを大きく変えることになります。多くの企業は地方マーケットをより効率的に運営することを考えるでしょう。またビジネスの効率性という観点では、都市圏に経営資源を集中する企業も多くなると考えられます。各都道府県に支店を置くという感覚がなくなる可能性が高いということになります。社員を固定的に地域に配置することはより非効率となるため、徹底したシステム化などビジネスモデルそのものが大きく変わる可能性が高いと考えられます。  この都市圏集中は地域の物価差をより大きくすることになります。特に地代家賃の都市、地域間格差は極めて大きくなるでしょう。そのため社員の給与は地域によって異なるコントロールが必須となります。  現在の新型コロナにより、リモートワークの急速な普及があり、都市圏集中の度合いが少なくなる可能性もありますが、大きなトレンドとしては、都市圏集中と予測されており、これにより企業としては組織の在り方や働き方に影響をあたえるでしょうし、給与の地域格差も大きな課題となるでしょう。 以上