「雇用施策・その他 」の記事一覧(2 ページ目)|コラム|株式会社トランストラクチャ

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雇用施策・その他

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退職勧奨のすすめ | 雇用施策・その他

退職勧奨のすすめ

 多くの企業に対してリストラのコンサルティングに関与してきましたが、日本企業の人員削減はある意味残酷だと感じます。企業業績が低下すると、企業としては人件費コスト低下のために人員削減を行うことがあります。バブル経済崩壊後のリストラブームでは団塊の世代と言われた50歳代社員が主たるターゲットでした。また最近ではバブル期大量採用世代の人員削減を行う企業が多い状況です。日本企業は年功的な要素が残っている企業が多いために、若年社員よりも中高年社員を削減するほうが、人件費削減効果が高いのはある意味で当然です。しかし中高年社員削減を行う企業で、退職を勧める社員を選別するに当たり、“そもそもあまり能力が高くない”であるとか“昔から業績貢献が少ない”とか“当社の方針や文化に合わない”“職務に適性がない”という理由がよく言われます。拠点が閉鎖になる地域で転勤できない社員に対して優遇した退職条件で退職を勧めることはまだ理解できますが、業績低下時に能力や適性を理由として中高年社員の退職を行おうとすること自体にそもそも問題があります。このようなローパフォーマー社員は中高年になってからローパフォーマーになったのであれば仕方ありませんが、若年段階からローパフォーマーだと言われている社員のほうがむしろ多いのではないでしょうか。この社員に対して業績低下を理由に、中高年になってから転職を勧めることが残酷だということです。日本の労働市場は特に45歳以上の中高年の転職年収が一般的には非常に安い傾向にあります。30歳代で転職すればそれなりの転職ができるのでしょうが、わざわざ労働市場価値が下がった時点で、そもそも戦力ではないなどと言ってしまうことが問題なのです。  このような社員はたまたまこの企業では能力発揮や適性がなかったかもしれませんが、他の企業で適職に就ける可能性もあります。しかしその可能性が低くなってから退職を勧めることをしてしまうのは、平時における人事管理がいかに甘いかということでしょう。最近では情報産業や環境変化の激しい業界、競争の厳しい業界などで、若年段階で優遇した退職条件で退職を勧める施策を定期的に実施する企業も増え始めました。退職勧奨といい割増退職金や再就職支援などの条件を提示し、早期に別のキャリアのチャンスの獲得を支援するというものです。このような退職勧奨を制度として毎年実施している企業もあり、そのために評価制度の品質も向上させ、評価が連続して悪い社員に対して、この仕組みを提示します。  日本の企業では大手になればなるほど退職勧奨を嫌う傾向が強いです。退職勧奨は優遇した条件で退職を勧誘するだけですので全くの適法行為です。しかし個別に退職を勧めることが違法だと勘違いしていたり、雇用を維持し続けることが大事であると思っている企業では、非常に強い拒否感があります。しかし雇用維持と言っておきながら業績低下となり人員削減をするときに、中高年社員にそもそもローパフォーマーだと言ってしまう感覚が残酷だということです。  成果・職務・実力主義的人事制度のもとでは、入社して早期に能力や適性があるかが以前よりわかりやすくなってきました。採用した社員を大事にするというのは、全員の雇用を維持することではなく、企業に向かない社員は労働市場価値が高いうちに大事に他の企業に送り出してあげることと認識され始めています。  人事制度の改革とともに退職勧奨は重要な部品として認識され始め、また社員に対する新たな救済措置として重要な施策になりつつあります。平時においてローパフォーマーに対して退職勧奨を定期的に実施することをお勧めいたします。

二つの時限爆弾 | 雇用調整施策・支援

二つの時限爆弾

 日本の大手企業の人員構成は企業の歴史が色濃く反映しています。代表的な人員構成は50歳台が少し多く、バブル期採用の40歳台社員が非常に多く、30歳台社員が少なく、20歳台社員が極端に少ないという構成です。年齢別の人員構成では45歳以上社員に大きなコブがあり、逆に30歳台20歳台が非常に少ないという歪な構成です。企業の業績が低調な中で最近の人事問題として深刻さを増してきているのはこのバブル期大量採用世代の問題です。これはすでに20年以上前から指摘されてきた問題です。バブル崩壊後のリストラブーム当時では、団塊の世代問題という50歳台の高齢社員の人数が多すぎ、そのため50歳代社員の削減が大きな人事問題でした。この時すでに突出した年齢層の社員が存在することが企業の人事管理上大きな問題であることが認識されていましたが、その後の20年間でバブル期大量採用世代の問題に抜本的な改革が行われずに来てしまったために、ついにこの歪な中高年社員偏在問題が顕在化深刻化しています。 そもそも短期業績がよいからといって新卒正社員の採用を大量に行うことは人事理論上全くナンセンスですが、ついにこの大量採用世代が企業の中核的存在としての年齢層となり、人件費の高騰化や管理職社員の余剰、活性化の阻害など極めて深刻さを増しています。バブル期の経営者が仕込んでしまった時限爆弾です。この問題のインパクトは非常に大きいとともに、今後10年〜20年長期にわたりこの問題に悩まされることが容易に想像されます。現在の業績低迷期にこの時限爆弾が爆発しかけてきており、さらには65歳までの雇用義務化が追い打ちをかけます。この爆弾処理は大規模な人員削減を行うか、年齢に関係のない人事制度にするか、企業が飛躍的に成長するかのいずれかの解決策しかありません。現在の経営者は過去の経営者が仕掛けた時限爆弾に対しての処理を求められているとも言えます。  この時限爆弾とともに、静かに進行しているもう一つの時限爆弾があります。すでに導火線に火が付き始めていますが、現時点では前述の時限爆弾処理もあり、あまり真剣に議論されていません。もう一つとは10年後20年後に企業の中核を担うコア人材が不足するという大問題です。バブル崩壊後新卒採用は抑制傾向にありました。特にリーマンショック後は新卒採用をストップした企業も多く、歪な構造がより一層悪化してしまいました。業績低迷時でも一定の新卒採用を行わなければ企業の中長期的発展は望めません。短期的視点で人件費抑制のために新卒採用を大幅に縮減すること自体も人事理論上は問題があります。新卒社員を大幅に抑制し続けている企業は、企業活力が次第に衰えるとともに、将来を担う人材を調達していないという点で、あまりにも短期的な視点と言わざるを得ません。不足している年齢層は中途採用すればよいと言う企業は、新卒から企業のコア人材を育成が必要でないと言っているようなもので、自社独自のビジネスモデルやマインドを軽視していると言わざるを得ません。  この同時進行している二つの時限爆弾を同時処理することが、将来の企業の継続的な繁栄の基盤となります。短期的、損益的視点で新卒社員採用を軽視する経営者や人事部門は将来に責任を持っていると言えません。まずは単純に将来20年後までの自社の人件費や人員構成のシミュレーションを定量的に目の当たりにすることが必要です。感覚的な議論ではなく目に見える形で将来の姿を数字として直視しなければ将来への経営責任を果たしているとは言えません。知らないうちに次の世代の経営者に対して新たな時限爆弾をセットしているとも言えます。