2025.12.19
マネジメントのミスマッチを防ぐには? 管理職の昇格試験の改善ポイントを解説
多くの企業で「マネジメントに向いていない人がマネージャーになっている」いわゆる管理職のミスマッチ問題が存在しています。優秀なプレイヤーを管理職に昇格させても、管理職として成果を出す人もいれば、管理職としての役割を果たせない人もいます。 どうすればマネジメントのミスマッチを防ぐことができるのでしょうか。 重要なのは、管理職の昇格試験の段階で、「管理職として期待される行動が発揮できるか」を見極めることです。本記事では、マネジメントのミスマッチを防ぐために、昇格試験の改善ポイントを解説します。 目次 1.管理職の昇格試験とは 2.管理職の昇格試験の目的 3.管理職昇格試験の内容詳細 4.まとめ 1.管理職の昇格試験とは 社員が管理職の昇格を希望するときに、昇格要件を満たしているかを判断するプロセスを指して「管理職の昇格試験」としています。後述するように、「試験」といっても、テストとは限らず、面接、模擬演習、360度評価など、さまざまな手法が存在します。 このように多様な評価手法が存在する理由は、管理職昇格判断の難しさを示しています。通常、管理職の候補となる人材とは、メンバー時代から業績や貢献が認められて昇格しています。ところが、管理職になったとたんに、マネジメントという新しい業務を任されることになります。 マネジメントができるかどうかは、プレイヤーとしての評価からは判断がつかないため、人事評価とは別軸のプロセスで見極めを行う必要があるのです。 2.管理職の昇格試験の目的 管理職の昇格試験の目的は、会社が管理職に期待する能力・行動を発揮できるかを見極めることにあります。期待する能力・行動で共通性の高いものとしては、たとえば以下が挙げられます: 対人能力・コミュニケーション 意思決定・問題解決力 適応力・ストレス耐性 情熱・達成意欲 経営的な視点。 これらの共通項をおさえつつも、何を重視するのかという「めりはり」は、会社によって、また事業や組織のステージによって変わってくるものです。 組織連携の細やかさに競争力の源泉のある会社であれば、「対人能力・コミュニケーション」とりわけ「仕事の目的や詳細を丁寧に説明する」という行動が重要かもしれません。接客や小売業のなかには、ストレス耐性を重視する職場もあります。 研究開発部門の管理職は領域に関する研究実績、IT事業であれば領域の資格等級などの「専門性」が必要とすることもあります。 まず、「わが社の管理職に求める能力・行動は何か」を明確にすることが、管理職の昇格試験を改善する第一歩です。 3.管理職の昇格試験の内容詳細 「管理職に求める行動・能力」を特定したら、それを評価するのに適した手法を採用することが、次に重要です。 以下は筆者の独断による、目的と手法のマッチング例です。 横軸が期待される行動・能力、縦軸が手法例で、とても適しているを◎、適しているを〇、可能であるを△にしています。また運用によって適否が変わるものは()に入れています。 対人能力・コミュニケーション 意思決定・問題解決力 適応力・ストレス耐性 情熱・達成意欲 経営的な視点 高い専門性 筆記試験 〇 〇 人材アセスメント(インバスケット) 〇 △ △ 〇 模擬プロジェクト 〇 〇 〇 〇 〇 (〇) 360度診断 ◎ 〇 〇 小論文 ◎ ◎ (〇) 役員面接 ◎ ◎ このような整理を使うと、わが社に必要な管理職の昇格試験のセットが見えてくるはずです。いくつかの事例をご紹介しましょう。 例1:目標達成型チーム運営の管理職 (営業組織など) 現場の管理職に求められること: ー自組織で達成すべき目標とその意味合いをしっかりと理解する ー部下にブレイクダウンした目標を伝え、声掛けや励ましで鼓舞する ーチームを盛り上げ、あきらめず取り組む 診断手法と見極めのポイント: ー360度評価⇒ 対人コミュニケーション力の発揮度合い ー小論文⇒ 自分の言葉でビジョンを語る力の発揮度合い ー役員面接⇒ 真摯さ、やる気のプレゼンテーション力の発揮度合い 例2:現場における創造性の発揮を重視する自律型組織 現場の管理職に求められること: ー指示待ちではなく高い目標に向かって課題解決に取り組む ー失敗や多様性を許容する心理的安全性の高い職場風土の醸成 ー部分最適に陥らず全体最適で意思決定を行う 診断手法と見極めのポイント: ー360度評価⇒ ハラスメント行動がないこと ー筆記試験⇒ 経営や論理思考の基本スキルの発揮度合い ー人材アセスメント⇒ 課題解決力、意思決定力の発揮度合い 例3:研究開発リーダー 現場の管理職に求められること: ー研究開発のロードマップに基づく研究テーマを設定する ーメンバーの自律性・情熱を尊重しつつ、進捗管理を行う ーコミュニケーションを活性化する 診断手法と見極めのポイント: ー経営提案(アクションラーニング研修※)とピアフィードバック⇒ 論理性、巻き込み力、影響力、コミュニケーション力 ー人材アセスメント⇒ 課題解決力、意思決定力の発揮度合い ※他部門メンバーと協働し、事業・部門課題に対する施策提案を作成し経営にプレゼンテーションする長期研修 まとめ 管理職のミスマッチが生じているなら、管理職昇格試験を見直しましょう。ポイントは2つです。 ・目的=「わが社の管理職に求める行動・能力」を明確化すること ・目的に適した手法を選び、多角的に見極めること 管理職昇格試験の内容は、広く共通的な要素もありますが、同時に、会社や事業のステージによってめりはりが異なるものです。わが社に、今、どのような管理職を求めているのかを分析していくプロセスこそが、基準の明確化や適切な見極めにつながります。 管理職は、現場の要であり、業績の成長と人材の成長を担う存在です。管理職の質向上をめざすには、まず入口となる、管理職の昇格試験から見直してみてはいかがでしょうか。 参考 [誰を昇格させるか](https://www.transtructure.com/column/hr-management/p5986/) [管理職昇格試験では遅すぎる](https://www.transtructure.com/column/search/smart-assessment/p6287/) [昇格試験をWEB化して公平性と即戦力化を実現~階層別テストを活用した事例](https//www.insource.co.jp/ihl/251027_assessment_hierarchy_test.html) [管理職登用試験の方法やポイント|論文例や問題例を紹介](https//etudes.jp/blog/management-promotion-examination) [昇進・昇格試験に関する導入事例](https//www.noma.co.jp/case/promotion_test/) [昇格選考における論文評定の分析(Recruit Management Solutions)](https//www.recruit-ms.co.jp/research/essay/pdf/2004jaas01.pdf) トランストラクチャのWebで完結する人材アセスメント「スマートアセスメント」ご紹介