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階層型組織で失敗を奨励されても…

執筆者: 高野 潤一郎 その他

 「今の私の夢は…新しい機能や優れたデザインの製品を考えて、真面目で緻密な作業をするという日本企業にそれを製造してもらうこと。そして、私の考案した製品が世の中に広まることです。」

 2年くらい前、東南アジアのトップクラスの理工系大学に所属する学生は、このように語り、周囲の学生も、「それは良いね!」と賛同していました。あなたは、この状況をどう感じられるでしょうか?

 イノベーション(創新普及)が重要と言われるようになって久しいですが、外国の方からすると、「日本企業≒誠実で信頼できる外注先、下請け業者」という印象を持つ人が一定の割合で存在するようになっていると捉え、私は残念に思いました。

 いろいろな切り口から検討できる話ですが、このコラムでは、次の視点で考えてみましょう。

 ・「立派な外注先」に適した組織構造・組織風土のままで、「イノベーションの推進」がうまくいかないと悩んでいないでしょうか?「失敗を奨励する組織構造・組織風土」になっていますか?

 さて、ここまでの話を踏まえ、国内に目を転じると…例えば、「テレワーク導入を急ぎすぎて【失敗しないため】には?」などと、「失敗を避けましょう」という意図の表現を数多く目にします。

 そして…「繰り返し起こる同じ失敗」は無くすべきですが、「新たな可能性を探求した結果としての失敗」は奨励するなど、「失敗を区別して扱う」ことに慣れていない組織が多いとも感じています。

 イノベーションの推進を得意とする組織では、例えば、「小さなグループでいろいろな実験を行ってみて、【失敗=学びの機会】を踏まえて改善を図るという学習サイクルを高速で回すことによって、その時点における最適解を確立し、組織全体に展開していく」というやり方を採用しています。

 「規則を検証せず、マニュアルに盲目的に従って職務をこなす」、「上司が言うことには絶対に従う」、「不確実性を減らし、予測可能性を増すために、何事にも稟議書や上司の承認を求める」ということが重要な組織、すなわち「間違ってはいけない」という文化の根付いた「着実に実行する組織」には、階層型の構造が適しますが、イノベーションの推進には適さないのではないでしょうか。

 また、プロジェクト・マネジャーは、プロジェクトのマネジメントという機能を果たす人というだけで、常に正しいわけでも、すべての領域でメンバーよりも優れているとも限りません。「マネジャーの言うことは絶対に正しい」と思考停止していては、現場での協創は起こらず、事前の計画以下の価値創出しか見込めないため、イノベーションの推進には繋がりづらくなってしまいます。

 この頃は、「Yさんは、プロジェクトAではマネジャーだけれど、プロジェクトBではメンバー」といった場面も増えてきています。目的に応じて、組織における役割が柔軟に変更されるようになってきているため、常にYさんが上位職者という認識は実状に合いません。(再雇用等により、かつての部下が上司になる例なども増えています。)

 誠実な作業者集団にとどまらず、イノベーション推進組織になるのであれば、「お互いに、挑戦的な失敗を奨励したり、創造的な摩擦を新たなアイディアに昇華させようとしたり…」ということを重視することにして、もう「上司と部下」を卒業してはいかがでしょうか?

 イノベーションの推進に力を入れるのであれば、「上下関係を基盤とするマネジメント」ではなく、「多様性のマネジメント」、すなわち、テクノロジーの活用により容易となることが見込まれる「異才に個別対応するマネジメント」にシフトしていくのが有効ではないでしょうか?

 改めて、自組織の方向性と、構造や風土が合致しているかどうか、確認なさってみてください。
以上

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プロフィール

高野 潤一郎 (たかの じゅんいちろう)

マネージャー

日本の科学技術政策立案プロセスの一翼を担う国立試験研究機関にて、国内外の研究開発動向の調査分析・将来予測に従事し、在職中にマテリアル・サイエンス分野の博士号を取得。大型事業契約(約1,000億円)締結や日米共同プロジェクト(約500億円)の基調に採択される論文を執筆。人材開発・組織開発支援会社を創業し、11年間に渡る経営(複数のフォーチュン・グローバル500企業への研修提供、グローバルに展開するコーチング財団の初代日本統轄ディレクターを兼務、人材開発・組織開発コンサルティングの提供、私立理工系大学にてキャリア講義ほか)を経て、現職。

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