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有効求人倍率と企業変革

執筆者: 高柳 公一 雇用

全国の6月の有効求人倍率(季節調整値)は5月より0.09ポイント低下し、1.11倍となった。値をどう見るか。リーマンショック後の0.5倍を割る水準ほどではないものの、昨年まで続いてきた1.5倍以上の状況からみると、かなり低下した。先行き不透明な環境下で、企業が新たな採用を控えている事や、人事部門がコロナ感染拡大の中での働き方への対応や、雇用調整助成金の申請などで手一杯で、採用まで手が回らないという事もあるだろう。いずれにせよ、労働市場の需給バランスが大きく変化し、コロナ禍以前のように、総じて企業が、人材が思うように採用できない状況は一転した。

同指標の値から、雇用状況が悪化しているとは言えるが、一方で、今後の経済を見通す指標としての株価は、必ずしも悲観的には推移していない。日経平均やNYダウといった株価インデックスは、2~3月に底を打った後、回復に転じ、コロナ前の水準まで、ほぼ戻してきている。ナスダックに至っては、コロナ後に史上最高値を付けた。株価が堅調な理由として、単に世界的に金余りという事や、コロナ禍は短期的であり、中長期でのキャッシュフローに大きな影響はないとの見方と共に、コロナ禍により、企業変革が促進される事が好感とされているからとも言われている。災い転じて、デジタル・トランスフォーメーションや働き方改革が加速され、生産性が向上し、企業の収益率が高まる事が期待されているという事だ。

実際、米国の投資ファンドのカーライル社が、コロナ禍で社会構造が変わり、欧米に比べて遅れていた日本企業の変革への機運の高まりを受け、今後3~5年間で1兆円規模の投資をするとの新聞報道もあった。今後、コロナ禍がいつまで続くのかは不透明ではあるが、いずれにせよ、いつか終わる。感染拡大が収束するまで、採用についても何もせずにいると、その時点では、すでに勝負がついてしまっているかもしれない。

ちなみに、過去、最も景気のよかったといわれるバブル期の有効求人倍率は、1990年の1.43倍だったが、昨年前の数年間は、それを凌ぐ1.5~1.6倍を推移していた。つまり、最近は、労働人口が減少していく中で、必ずしも好景気でなかろうと、恒常的に人手不足が発生する状況になっている。バブルの頃とはゲームのルールが異なっているわけで、今や、先が見えないからと言って、近視眼的ないしは盲目的に、採用を抑制してしまうと、それが命取りになるかもしれないと言える。

今回のコロナ禍の発生は、日本にとどまらず、世界全体へむけた社会変革、企業変革へのウェークアップコールだとも言われている。企業として、人事として、この状況をどう捉え、どう行動するか、正直、大変悩ましい判断を求められているが、コロナ終息後も企業が生き抜くためには、人事の変革も、立ち止まる事なく行っていく必要がある。そのためにも、中長期な視点で見て、経営の人的資源の質的な転換をはかるため、有効求人倍率の低い今こそ、チャンスと捉えて、積極的に、将来にむけた必要人材を獲りにいってはどうだろうか。

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プロフィール

高柳 公一 (たかやなぎ こういち)

代表取締役 CEO シニアパートナー

一橋大学商学部卒業。米国ジョージワシントン大学経営大学院修了。プライスウォーターハウスコンサルタント社に入社し、国内外の大手企業に対して、人材開発、業務改善、IT戦略立案等のコンサルティングプロジェクトに関与。その後、トーマツコンサルティング株式会社にて、多くの組織・人事に関するコンサルティングを行った後、当社、取締役シニアパートナーを経て現職。人事分析、人事制度設計、他幅広い分野の人事コンサルティングに多数関与。

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