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インフルエンザとエレベーター

執筆者: 高野 潤一郎 人材育成

仮にあなたが病院を訪れ、「熱があって、のどが痛くて、鼻も詰まり気味で…」と話したところ、医師から「熱には解熱剤、のどには抗炎症剤、あと鼻づまり改善薬をそれぞれ処方しておきますね」と言われたら、どう感じるでしょうか?

私だったら不満ですし、不安を覚えます。
なぜなら「対症療法の羅列」で、「総合的な診断」がされていないからです。

いろいろな問題症状を伝えたけれど、総合的な診断の結果、風邪なのか、インフルエンザなのかなどについて伝えてもらえていません。そして、個別症状の解消を試みても、本質的な問題(真因)の解決には至らないことが想像できます。

それどころか、良かれと思って、「モグラたたき」のように対症療法を繰り返している間に、場合によっては、深刻な病気が進行してしまう可能性も否めません。

「そんな医師はいないよ」という声が聞こえてきそうですが…あなたの会社では、「問題症状をリスト化し、それらに対して1:1の解決策を検討する」という手法を用いていないでしょうか?

続けて、有名なエレベーターの話を見ていきましょう。

あなたが所有するオフィスビルで、「エレベーターの待ち時間が長い」という苦情が出ているとします。あなたは、この話をどう捉え、どんな解決策を打ち出すでしょうか?

よく出てくる案としては、「エレベーターをスピードの速いものに替える」や「特定の部品やプログラムを高品質なものに替える」といったものがあります。

しかし、優れた成功例として紹介されるのは、「エレベーターの横に鏡を取り付けたら、苦情が格段に減った」という話です。 何が違うか、お気づきになったでしょうか。

「エレベーターの待ち時間が長い」という苦情(問題症状)を聞いて、問題は「エレベーターが来るまでの物理的時間が長い」ことだと捉えると、「エレベーターのスピードを速める」という解決策が出てきます。

一方、同じ苦情を聞いて、問題は「エレベーターが来るまでの心理的時間、手持ち無沙汰で気まずい時間が長い」ことだと捉えると、「エレベーターに乗るまでの時間を、身だしなみのチェックなどに使ってもらうために、鏡を用意してあげてはどうか」という解決策が出てくるというわけです。

あるいは、同じ苦情を聞いて、「エレベーターの需要ピークが集中すること」が問題だと捉えれば、「昼食休憩の時間帯をずらす」といった解決策も出てきます。

冒頭の話では、「システム思考*で真因を捉えて、その解決に取り組みましょう」とお伝えしていました。

他方、エレベーターの話は、「私たちが本当に解決すべき問題は何なのか?それより、もっと良い問題は無いのか?」(真因が1つとは限らない。その事象を、どんな視点から捉えることを選ぶのか?)と考えることも非常に有効であるという内容でした。

私たちは、「短い時間で成果を出す、すぐに行動する」ことを求められ、「解決すべきはその問題なのか?」について吟味する手間を省きがちになってきているのではないかと感じています。

「人手不足だから採用に力を入れよう」、「評価面談が下手だからフィードバック研修をやろう」など、いろいろな話を聞きますが…それが、貴社にとって本当に取り組むべき施策なのか、是非検討なさってみてください。

*システム思考
ここでは、「さまざまな要素の複雑なつながりをシステムとして捉え、構造の全体像を俯瞰し、その複雑な挙動を理解して、システムそのものの改善を図るものの見方」を指しています。

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プロフィール

高野 潤一郎 (たかの じゅんいちろう)

コンサルティング部門 マネージャー

日本の科学技術政策立案プロセスの一翼を担う国立試験研究機関にて、国内外の研究開発動向の調査分析・将来予測に従事し、在職中にマテリアル・サイエンス分野の博士号を取得。大型事業契約(約1,000億円)締結や日米共同プロジェクト(約500億円)の基調に採択される論文を執筆。人材開発・組織開発支援会社を創業し、11年間に渡る経営(複数のフォーチュン・グローバル500企業への研修提供、グローバルに展開するコーチング財団の初代日本統轄ディレクターを兼務、人材開発・組織開発コンサルティングの提供、私立理工系大学にてキャリア講義ほか)を経て、現職。

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