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組織の病理

執筆者: 吉岡 宏敏 人材育成

 仕事はすごく面白いのに、会社が嫌で嫌でたまらない。なぜか、そんな愚痴を聞くことが多い。民間企業から公益法人まで所属は様々で、また年齢も異なる複数の知人たちが口を揃えるから、経験やキャリアの違いに帰着させられないことなのだろう。何がそんなに嫌かと聞けば、状況は異なるものの要は人間関係が耐えられないという。

 まず多いのは、上司の問題。感情的、場当たり的、パワハラ的、ただのヒラメ、あるいは、とにかく無能。と表現は様々なれど、言っていることは一つだ。まず自分で判断をしない、また判断したとしても間違った判断をする。組織視点からの判断業務をするのが管理職だから、つまりは管理職としての役割を果たしていない。加えてなによりも、それで仕事上支障があるからたまらないというのだ。

 ユーザーや顧客にサービスを提供するなかで、やりがいや使命感、手ごたえを得て、自分は仕事をしている(=だから仕事は面白い)のに、ダメな上司との不毛なやり取りがその邪魔をする(=だから会社は嫌だ)。あるべき問題意識や意義、責任感が共有されない上司(あるいは同僚、部下)とのやりとりに辟易し、それが、せっかくやりがいのある仕事そのものを棄損するようにすら感じさせるのである。

 サービスや事業の目的は、ユーザーや顧客やあるいは社会に対して役に立つことである。民間企業ならそれによって収益を得、公益法人なら役立つこと自体が存在理由である。だから、上司や同僚がそもそも論を逸脱して平然とおかしな判断や判断停止をすると、「おめえら、なんのための仕事かわかってんのか!」とさけびたくなる。仕事に真摯に向かい合っているからこその、上司その他へのいらだちともいえるのだろう。

 ひとりの人間という能力限界を超えて、より大きな働きかけを社会に対してなすために「組織」は生まれた。機能として分業し、統制することで組織力は高まるはずなのに、同時に、異なる志向や想いや価値観をもつ人間の集団ゆえの軋轢もあわせもつ。それが、組織目的、つまりなんのための仕事か、ということに関わる齟齬であればあるほど、モチベーション低下や場合によってはメンタル失調に結果するのではないか。

 もしかすると、事業や仕事の目的を意識するかしないか、の違いは結局、就労価値観の違いに帰着するのかもしれない。自分の時間を売って生活費を稼ぐのか、やりがいのある面白い仕事をしたいのか。手段としての労働と目的としての労働の違いである。価値観はそれぞれだから、どちらが良いということもない。ゆえに、その混在から起こる組織の病理なのだとしたら、いかんともしがたい。せいぜいが、ビジョンや理念の徹底した組織浸透、バリュー評価の活用による行動制御により、最低限の管理職役割として「何のための仕事か」との反芻を判断や業務指示の原理にせよと教え込むことぐらいしかできないだろう。

 かくて、このような愚痴に対しては、こう答えることにしている。仕事が楽しいのに組織が嫌になる、ではなくて、嫌なことがあるからこそ仕事の楽しさが一層輝くんじゃないの。それがコインの裏表のようにいつもセットなっていて味わえるのだから、幸せだよねー。その人たちには、決して味わえない労働の快楽なんだから。

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プロフィール

吉岡 宏敏 (よしおか ひろとし)

シニアパートナー

東京教育大学理学部応用物理学科卒業。ベンチャー企業経営、ウィルソンラーニング・ワールドワイド株式会社コーポレイト・コミュニケーション事業部長等を経験後、株式会社ライトマネジメントジャパンに入社。人材フローマネジメントとキャリアマネジメントの観点から、日本企業の組織人材開発施策の企画・実行支援に数多く携わる。ライトマネジメントジャパン代表取締役社長を経て、現職。

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