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シェアリングエコノミー時代の採用

執筆者: 高柳 公一 人事管理

予定通りに人材確保が出来ない今、採用業務に多大な時間と労力を割かざるを得ない企業は少なくない。そんな中、中途採用の選考時に面接で、応募者のドタキャンや無断欠席が時々あるという話をよく聞く。書類選考を行い、応募者と面接者の日程調整し、面接室や書類を用意し、いざ、面接日に応募者を待っていると、予定の時間になっても、何の連絡さえもなく応募者が現れない、さらに、こちららから電話しても全くつながらない・・そんなことが、少なからず起こっているようだ。

やむを得ない事情で、突然キャンセルせざるを得ないこともあるのだろうが、少なくとも、約束した時間に何の連絡もなく、面接の場に現れないというのは、社会人・企業人として資質を問われかねない行為だ。

無断欠席することで、採用担当者の準備調整の時間や面接者の待機時間などを含め、相当な無駄なコストが企業側にかかっている事を応募者は想像できないのだろうか。いや、面接を無断欠席してしまう事の問題の大きさは、応募者もある程度理解しているのだろうが、いざ面接日の時点で応募時と状況が変わり、その企業に入社する意思はなくなり、迷惑がかかる事はわかっているが、何となく、連絡するのが気まずかったり、面倒くさいという理由で、しらばっくれてしまうというのが実情なのだろう。なんとも、情けなく、無責任な話ではある。

こうした行為の背景には、コンピュータやインターネット等のテクノロジーが発達し、採用募集している複数の企業に対し一斉に応募が可能になったり、選考プロセスがメール中心のコミュニケーションとなる中で、求職活動の人間的な側面が希薄化し、応募者は企業側の立場をリアルに感じる事が難しくなっているのかも知れない。

しかし、それ以上にこうした問題が起こっているのは、無断欠席しても、社会的責任を追及されず、応募者自身に実質的に痛みを伴うことがないからだろう。もし、ある企業で採用選考時に無責任な行動をしたとしても、それが把握されるのは当該企業だけで、おそらくは、外部に知られることもなく、応募者のその後の職業人生にキズがつくこともないのだ。

ネット社会が進化する中で、今、オークションやAirBnB(民泊)など不特定多数のサービスの提供者と利用者をマッチングするいわゆる「シェアリングエコノミー」が広がりを見せている。こうした取引では、提供者と利用者が相互に取引を評価する仕組みが確立されている。例えば、AirBnB(民泊)では家を貸すホストと泊まるゲストが互いに評価する。この仕組みは自分も評価されるので悪意のある評価は付けにくい。自分に低評価を付けられると、今後やホストに拒否される可能性があるからだ。相互評価の仕組みがあることで、提供者、利用者ともに、善良で適正な取引を行うことが促されて、安心したマッチング取引が可能になっている。

企業の採用活動においては、インターネット上の口コミサイトなどでは、各企業の採用プロセスや対応などが、評価され、広く公開されている一方で、マッチングの相手となる応募者の選考プロセス時の行動については、当該企業のみが知るのみで、応募者の言動が評価されたり、シェアされることは一切ない。こうした企業側だけが評価される一方的なシステムが、結果として、応募者の無責任な行動を助長していると言えなくもない。

個人情報の保護などクリアすべき点はあるだろうが、何らかのかたちで、求人企業と応募者が相互にチェック、評価される仕組みがあってこそ、バランスのよい牽制機能が働き、採用業務の効率化や高品質化が進むのではないだろうか。 

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プロフィール

高柳 公一 (たかやなぎ こういち)

代表取締役 CEO シニアパートナー

一橋大学商学部卒業。米国ジョージワシントン大学経営大学院修了。プライスウォーターハウスコンサルタント社に入社し、国内外の大手企業に対して、人材開発、業務改善、IT戦略立案等のコンサルティングプロジェクトに関与。その後、トーマツコンサルティング株式会社にて、多くの組織・人事に関するコンサルティングを行った後、当社、取締役シニアパートナーを経て現職。人事分析、人事制度設計、他幅広い分野の人事コンサルティングに多数関与。

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