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column

5年後

 日本企業の5年後はどうなっているだろうか。

 現在より少子高齢化は着実に進んでいる。高齢化により内需は次第に縮小することになるだろう。さらにオリンピックによる一時的な需要が無くなることになる。税金、社会保障費負担が増すことも確実である。5年後には急速に企業業績の低下が予想されるのだ。そのため現在の日本企業の経営は非常に重要な局面に立たされていると言える。グローバル展開を進め、日本市場が縮小しても力強く成長することを指向しなければならない。国内市場を対象にしている企業は、新たな需要を生み出す商品・サービスの開発投入を急ぐか、競合企業に対しての優位性を高めなければ生き残れない。残り数年で経営の革新をしなければ、今の延長線では魅力的な企業として存続できないばかりか、存続そのものが危機に立たされることにもなりかねない。この状況に対して経営の重要な部品たる人事は十分に対応しているだろうか。今後の環境を予測して、計画的かつ抜本的な改革を行っている企業もあるが、強く意識していない企業も多いと感じる。

 5年後急速に業績が低下すると、多くの企業は中高年社員をターゲットとした人員削減をかつてない規模で実施することが予想される。バブル崩壊後のリストラ時に“団塊の世代”の人員削減が行われたが、この規模を大きく上回る大リストラ時代が来るのだ。この背景には日本企業の人事管理が、いまだ年功的であることが大きく影響している。多くの企業の人事制度は“実力・成果主義”を標榜しているが、実際に実力・成果をストレートに反映しきれていない。換言すれば年齢との関係性を断ち切れない状態にあるのだ。そのため年齢が上昇すると人件費が上昇する、管理職が多すぎるなどの問題が放置されているともいえる。業績が悪くなると、人材育成投資を削減するので、この20年間十分な教育がなされたとも言えない。生産性の低い、処遇の高い大量の中高年社員を抱えきれなくなった時に、大規模人員削減を実施することになるだろう。

 今後の厳しい環境をチャンスととらえるためにも、人事は思い切った施策を早急に実施する必要がある。社員の能力の向上は待ったなしであろう。新たなビジネスチャンスの獲得、競合優位性の向上のための人材育成を急ピッチで行わなくてはならない。また過去の延長線での制度改定ではなく、5年後、それ以降の環境を予測した“実力主義”の人事制度に早急に転換しなくてはならない。“評価があまい”、“給与を下げるとかわいそう”などと言っている場合ではないのだ。

 企業の人事は岐路に立っている。5年後が一つの転換点とすると、今手を打たなければ間に合わないということを再度認識する必要がある。

以上

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