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評語の標語化
執筆者: 吉岡 宏敏 人事管理
評価票の無機質さは、なんとかならないものか。なにより学校の通信簿のような「評語」が大人げない。
コメントはいろいろ書かれているものの自身の評価結果が味気ない評語の羅列で示されている。成績としての良し悪しだけはわかるが、業務遂行や行動におけるリアルなレベルは伝わらないし、だからどうする、が見えない。ゆえに、上司コメントや面談による指導が評価という行為には不可欠とならざるをえない。
評語とは、
1. 批評の言葉。評言。
2. 成績の評価を示す言葉。優・良・可の類。
と辞書にあるが、人事の世界ではもっぱら後者の意味でつかわれる。評語=SABCDとか54321などの評点レベルの表現語、である。ついでに言うと、数字評語は、成績レベルとしては直感的だし、平均処理といったわかりやすい集計処理ができるけれども、アルファベットはいただけない、と常々思う。
評語だけではレベルがわからないから、評価制度ではたいていその説明がついている。それもまた味気ない。たとえば、
S / 5 期待を大きく上回る
A / 4 期待を上回る
B / 3 期待どおり
C / 2 期待を下回る
D / 1 期待を大きく下回る
といった表現で、味気ないだけでなく、そもそも、4と5、2と1の違いである「大きく」とはなにか。あいまいである。なので、評価者研修では、「期待とは、等級に求められる水準であり、5は、上位等級レベル」だとか、「問題があれば、2。支障があれば、1」などと解説する。
解説がいるくらいなら、評語自体をメッセージ化してしまったらどうか。それならば、見てすぐに自分のステータスがわかる。たとえば、こんな具合に。
■上位等級レベル。昇格準備 ←S / 5 期待を大きく上回る
■卒業レベル。要上位課題確認 ←A / 4 期待を上回る
■等級相応。要ストレッチ ←B / 3 期待どおり
■問題あり。要確認 ←C / 2 期待を下回る
■業務支障。降格危機 ←D / 1 期待を大きく下回る
いわば、評語の標語化である。標語とは、「主義・主張,運動の目的などを簡潔に示した短い語句。モットー。スローガン」であるから、ここであげた即興例なんかより、もっと自在に、もっと独自表現で、自社にとっての評語表現をメッセージ込めて作ればよい。
評語の一つ目の意味は、「批評の言葉。評言」である。当社にとって、5レベルの優れた人をどう評するか、が標語としての評語作成の出発点である。大げさに言えばそこに、会社の理念や組織哲学が表出するはずであり、味わいのある評価票がうまれるのではないか。
何を評価するかの観点は、多種多様だし、その表現もまたいくらでもある。企業固有でかつ琴線にふれるような文学的表現があってもいいとも思う。最近読んだ本のなかに、人を評する言葉としてこうあった。
佇まいの凛冽、志操の高潔、言動の超俗。
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プロフィール

吉岡 宏敏 (よしおか ひろとし)
シニアパートナー
東京教育大学理学部応用物理学科卒業。ベンチャー企業経営、ウィルソンラーニング・ワールドワイド株式会社コーポレイト・コミュニケーション事業部長等を経験後、株式会社ライトマネジメントジャパンに入社。人材フローマネジメントとキャリアマネジメントの観点から、日本企業の組織人材開発施策の企画・実行支援に数多く携わる。ライトマネジメントジャパン代表取締役社長を経て、現職。