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コラム

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ライタープロフィール

小野寺 真人
小野寺 真人(おのでら まこと)

大学卒業後、大手アパレル会社にて人事、商品企画、新規ブランド事業開発に携わった後、ファッション雑誌系ECサイト運営会社の事業責任者として、人事、ブランド開発、新規ECサイト構築をリードする。当社に入社後はマーケティング部門に所属し、営業、Web施策の企画・開発、セールスプロモーションを主体とした業務に従事。

部下を育てること | その他

部下を育てること

部下を育てることに関して、企業が大きな勘違いをしていると思うことがあります。 それは、部下はすべて同じ手法で育てるものだと考えているところです。 部下の人材には大きく2種類あり、ひとつは「成長する気がある部下」、もうひとつは 「成長する気がない部下」であり、これを最初に見抜くことが必要です。なぜならそれぞれに対応の仕方が異なってくるからです。 「成長する気のある部下」ですが、これは簡単です。まず話をキチンと聞いてあげる。もし間違っていればその場で軌道修正をして、あとは褒めていけば勝手に伸びていくのです。 ところが、こういった成長する気のある部下は少なく、やはり成長する気のない部下の方が多いと感じるのです。画一的な教育を受けてきて、あまり自分を出したらよくないのではないか、目立ちたくないし、お金もそんなに要らないとか、消極的な考えになっているのです。 そんな消極的な彼らは、いわゆるマニュアル人間であることをふまえて、やり方をこと細かく教えていくことがポイントになります。それから自分の頭で考えさせることが大事です。 「この先はどうすればよろしいでしょうか」と聞いてきたら「自分で考えなさい」と突き放す。「この先はあれをしなさい、これをしなさい」と指示するのは楽ですが、やっぱり自分で考えさせるには答えを教えてはいけないのです。 アメリカで生まれたファストフード店、とにかくマニュアル通りに仕事を進めることで有名ですが、これはアメリカという国事情がからんでいると言われています。それは英語も話せないスタッフを雇用して仕事をさせるため、この通りにやっていけば安全の最低限度が確保されるということです。マニュアルを使うと、どうしてもそれを絶対視する傾向があります。マニュアルにすべて頼ってしまうと進歩がなくなるのですが、このフード店では最低限度のレベルを整えて、そこからそれを超えて創意工夫を期待しているため、店ごとの良い点に少し違いが出ているようです。 また、最近の若手社員を育成するキーワードとしては、マズローのいう「自己実現」があります。仕事の選択は、面白いかどうかであり、この面白さでやる気や意欲が違っています。 例えばゲームソフトを開発する者は、二日や三日の徹夜も平気だし、営業も目標やノルマとなると嫌だが、ゲームとして捉えると面白くなる。スポーツ選手も競技で自己実現する喜びを分かっているから厳しい練習にも耐えているのです。 今のマニュアル人間である若手社員は、基本的に上司の意図を察する能力が欠落しているとよく聞きます。あ・うんの呼吸で仕事を進めるということもありません。 これからの上司は、仕事の面白さを伝え、自分で考えさせることが必要であり、上司自身が「仕事のマニュアル」を作り、こういう方針で進めていく、こういう方法で仕事をするようにと部下にしっかりと伝えていかなければなりません。この上司の作ったマニュアルを超えられた者が、将来のリーダー層になっていくことを期待しながら。

拡張自我 | 調査・診断

拡張自我

普段何気なく使っている筆記具や腕時計、鞄などの様々なアイテムをキチンと意識して、毎日使っていることに感謝することが必要です。身のまわりのものが自分の行動に影響を与えてくれたり、自身を映し出す鏡になってくれたりするからです。 この筆記具や腕時計など、自分の身近なものを褒められると、自分が褒められたように嬉しくなることがあります。これは、私たちが自分周辺のものを自らの一部として認識しているからで、このことを心理学的には「拡張自我」と呼びます。 身につけるもので分かりやすいのはブランド品です。ブランド品を身につける人は「自分は高価なものを身につける価値がある人間だ」と思っていたり、そうありたいと思ったりしているからだそうです。高価なブランド品によって「拡張自我を利用して自信をつけようとしている」とも言えるのです。 また人間の脳は、実際の価値の議論は置いておいて、ブランド名に惹かれる傾向があるそうです。このことは、アメリカのベイラー医科大学で脳科学を専門とするモンタギュー博士らの有名な「コカコーラ」と「ペプシコーラ」の実験から明らかになっています。コカコーラとペプシコーラのブランド名を隠した状態とブランド名を見せた状態で、どちらかを選ぶ時の脳の反応を比較しました。実験の結果、ブランド名を隠した状態では、コカコーラとペプシコーラは同じように好まれて差がありませんでしたが、ブランド名を見せた状態では、コカコーラがより好まれる傾向を示したそうです。 (引用元:2004年『Neuron』掲載、Neural Correlates of Behavioral Preference for Culturally Familiar Drinks) さて、このように無意識のうちに自分自身に影響を与える自分の身のまわりの品について、日頃は身近すぎてほとんど意識しないと思いますが、きちんと手入れをして大切に扱うことが必要です。 野球のイチロー選手は道具の手入れをすることで知られています。「イチローの流儀」小西 慶三 (著)によるとイチロー選手がどのくらい道具を大切にしているかが伝わってきます。イチロー選手は勝った試合でも、負けた試合でも試合が終わってロッカーに帰って来ると、必ずグローブの手入れをするそうです。負けた腹いせにグローブを投げつけるなどは、もってのほかの行動です。 拡張自我から考えると、使用後に道具を手入れするということは、自分を手入れすることと同じです。仮に失敗した時にも感謝の念を持ちながら手入れをして向き合うことで、次へのパワーや自信が生まれてくるのかもしれないのです。 身近な物を大切に思い丁寧に心をこめて手入れをすると、きっとそれは自分の自信や力となって戻ってきてくれるのです。さて、このように無意識のうちに自分自身に影響を与える自分の身のまわりの持ち物たちへ、日頃は身近すぎてほとんど意識しないと思いますが、きちんと手入れをしたり大切に扱ったりしていますか?

台風15号 | その他

台風15号

台風15号による大規模停電が未だに千葉県で続いています。台風が上陸した千葉県内の停電は、9日午前8時のピーク時に約64万軒に及び、自然災害では東日本大震災以降で最大となりました。9月13日からの3連休は雨の予報であり、被害のあった家屋の対応も急ピッチで進めなければならず、房総にある知り合いの家に片付けの手伝いに行ってきました。 そこはニュースで見ていた状況と被害の想像をはるかに上回る被害が出ており、道端には倒れた電柱や、強風で飛ばされた屋根の一部や割れたガラスが散乱していて、防災行政無線も聞こえず完全に孤立していました。付近の住民も「電気の復旧や物資の支援があまりにも遅すぎる。市は何をしているのか。」と悲痛な叫び声を上げていました。 今回の台風15号の特徴を一つあげると、令和元年4個目の上陸台風であり、台風の強さの割には大きさが小さい台風で、台風の進行速度が時速30キロですから、単純計算すると、台風中心が通った場合でも、暴風が吹くのは3時間前、少しずれた場合は、これよりも直前ということになります。 このように、台風15号は暴風圏が小さく、かなり接近してから急に暴風が吹くため、台風が来る前の準備があまり進んでいなかったことも今回の被害につながったと言われています。 気象庁では、安心を与えてしまうなどの理由から、台風情報等で使用を控える用語になっていますが、昔は「豆台風」といわれ、新聞等でも使われていた言葉です。 日本はこのような災害があった場合には、各自治体が被害状況を把握し、市や県に報告を行い、やっと自衛隊の災害派遣を申請するとか、とにかく対応が遅い感じがします。 一方、アメリカは、災害対応の組織をまとめるような形でFEMAが組織され、その迅速な対応が評価されています。 FEMAとは大災害に対応するアメリカの政府機関で、「Federal Emergency Management Agency」の頭文字であり、日本語ではアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁と翻訳されています。 テロ対応等で知られているアメリカ合衆国国土安全保障省の下に置かれている組織であり、アメリカでハリケーンや洪水などが発生すると、災害が発生した州や連邦政府と調整しながら災害対応に当たります。災害によって受けた経済的なダメージに対して企業や政府に資金的な援助を行うことでも知られています。 このようにFEMAはアメリカで大規模災害が発生した場合に、その災害対応を迅速に支援し統括するアメリカにおける大きな組織であると言えます。 比べて日本の防災対策はあくまで「想定」を前提とした避難訓練、ハザードマップの提示、防災教育や災害時の情報伝達などの手段で避難を促すという対策に重点が置かれています。 結果、ありとあらゆるところに想定を設け,対策を整えるという「想定主義」なわけです。また、災害対策の前提となる被災の原因の検証についても、メディアで言われていることや思い込みで仮説を構築し,そこから改善策を検討していく「仮説主義」に陥っているのではないでしょうか。だから、実際に調査検証が進むに従って、仮説自体が誤っているといったことがみられるのです。 これら日本の防災対策の問題点は、あの東日本大震災を踏まえても何も変わっていません。「想定」を重視するだけではなく、起こった事実に向けた行動を考えること、ハードとソフト対策のバランスという原点に立ち返ること、メディアの論調や思い込みではなく、予断を持たず、徹底的に被災の現実に向き合うことが求められているのです。                                         以上

スティーブ・ジョブズをコントロール!? | その他

スティーブ・ジョブズをコントロール!?

スティーブ・ジョブズ氏と言えば、Apple社創設者の一人であり、経営者のカリスマ的存在として有名です。コンピューター、スマホ、音楽、アニメ映画と4つの産業で革命を起こし、まさに「世界を変えた男」と呼ぶにふさわしい偉人ですが、その性格はメチャクチャで、自己主張は激しく、ワガママで、常に部下に要求する仕事の質のレベルがものすごく高い、いわゆる鬼上司であったことでも有名です。そんなジョブズの求める仕事の高いハードルをかいくぐるために当時の部下たちが用いたというファントムデコイという心理学テクニックが面白い。 このファントムデコイはイギリスのアンドリュー・コールマンの提唱する心理テクニックで、ファントムが幻影、デコイは心理的囮を表します。ファントムという言葉はコンピューターRPG(Role-playing game)でよく見ますし、デコイという言葉はFPS(First Person Shooting)ゲームとかでよく使われる兵器の名前です。ゲーム上でミサイルや魚雷等をかわすときに使う囮兵器のことです。 普通、この囮兵器は本物?と錯覚させるために精工に似せて作りますが、ここでいうファントムデコイはあえて本物よりも数段劣化させて作るのです。 どういうことか?実際にジョブズが部下たちからコントロールされたときの話があります。 ジョブズは冒頭の通り、常に部下に高いレベルのアウトプットを要求します。それはときには無理だろうと思われるくらいしんどいハードルを課して、部下たちが出した最初の結果を必ずといってよいほど受け入れませんでした。「まだまだできるはずだ。もっと死ぬ気で働け、週90時間働け!」とブラック企業のトップのように叱咤激励を繰り返し、部下たちを限界まで挑ませたのです。ジョブズも「僕のいちばんの貢献は、本当にいいもの以外には常に口を出し続けたことだ」と言っているように。 そこで部下たちは、自分たちも「これはダメだな」と分かっているようなクオリティの低い商品をわざと先に見せることにしたのです。ジョブズの高い要求に答えられていないレベルのアウトプットを本命のアウトプットより先に見せておき、本命のプレゼンの前にジョブズをわざとがっかりさせておいたのです。 当然ジョブズは激怒します。「なんだよ!このくそ商品は!他にないのか?」そこで部下たちは次の商品を出します。でも出来はまだまだです。ジョブズは再度激怒します。「おいおい、まだこんなんかよ!もっとましなプランはないのか?」 そしていくつかの囮商品を見せてジョブズをさらに激怒させた上で、最後の最後に自分たちの中で最高の出来のものを提示したのです。すると、「あぁこれだよ!」ジョブズは初めて歓喜しました。 あのiPod誕生の瞬間です。 ジョブズの部下たちは、ジョブズをよく観察し理解しているからこそ、ファントムデコイを撃てたのでしょう。彼は今何を欲しているのか、何が苦手で、何が得意なのか、思考的優先順位は何なのか、それを知った上で囮プレゼンやフォローをしてきているのです。言い換えれば「ジョブズをお客様」と考えたのです。 自分たちのお客様であれば、お客様が何を求めているのか、なぜそれを求めるのか、また手に入れられるように最善の努力やサポートをしようとするはずです。このように上司を「自分たちのお客様」だと思って気配りや目配りをしていけば、必ず関係性は向上し仕事の遂行力も上がっていくでしょう。 上司のキャラをしっかりと把握して、言動や行動を工夫しながらコントロールしてみることで、前向きな方向へかじ切りできるのです。そうすることが、仕事を楽しく、快適なものにしていくことにつながるのだから。 以 上

モルトケの法則 | その他

モルトケの法則

先日、知り合いの経営者と新規事業を立ち上げる時に、その組織をどう構築するのが良いか、という興味深い話になりました。その経営者は、まず新規事業担当者を自ら任命し、任命された担当者に部下を社内から選ばせるのですが、その際に必ずモルトケの法則を紹介して考えさせるとのことでした。 このモルトケは旧ドイツ帝国の英雄であり、鉄血宰相ビスマルクの下で参謀総長を勤め上げ、隣国のフランス、オーストリア、デンマークとの戦いにことごとく勝利を収め、ヨーロッパ諸国から恐れられた人物です。 そして、モルトケは部下登用の考え方についての法則を示した事で有名です。その法則とは、組織のトップとしてどのような部下を任命すべきかについての法則です。部下の「能力」と「意欲」という要素とその高低で、4つの分類をしてその優先順位により登用すべきと唱えたのです。 【1位】能力は高い、意欲の低い部下 →命令に従順であり、確実に業務を遂行する。 【2位】能力は低い、意欲の低い部下 →業務上扱いやすい。 【3位】能力は高い、意欲の高い部下 →上司と対立する可能性があり扱いにくい。 【4位】能力は低い、意欲の高い部下 →意欲だけが空回りしてしまう可能性あり。 この法則によると、社員の意欲は低い方が良いのかと見えます。普通の考え方では3位の、能力も意欲も高い人が1位ではないのかと思いますが、モルトケは上記の理由により、1番目のタイプの部下がもっとも組織に必要であるとしました。結果、モルトケはこの法則によってドイツ軍を組織し数々の勝利を勝ち取ったのです。   会社内でも良くある話しですが、最下位の【4位】能力は低いが意欲は高い部下とは、つまり、やる気だけが取り柄な人です。 一般的に、意欲やバイタリティ溢れる人は、高く評価されがちです。でも、こういうタイプがなぜダメかと言うと、意欲の高さが能力の低さをカムフラージュしてしまうからです。 しかも、周囲の人も、その人を頑張っていると評価をしてしまい、実力とは関係なしに何となく評価されがちなのです。 仕事ができない人でも努力をしていると評価したい気持ちに陥りがちです。だって「彼は頑張っているから」です。しかし、本来の成果をキチンと見極めずに、頑張っているからというだけで、評価し登用してしまう事に問題があるのです。 やる気があることは決して悪いものではないと思いますが、やる気と仕事に対する能力に相関はありません。 組織のトップがやる気やバイタリティに騙され、間違った登用をすれば組織は衰退してしまうということです。 現代は、モルトケの時代より組織・人事の状況や、人材のスキルの保有度、能力、行動の傾向、パーソナリティ、価値観やリーダーシップを把握できるツールが揃っています。 このツールを駆使して、また人事データや社員に対する意識調査の結果により、組織・人材の状況についての客観的な把握と多様な切り口による分析をすることによって、合理的な施策展開をしていくこと必要と考えます。 なぜなら、企業の経営計画の達成と成長は、経営に必要とされるスキルを保有する人材が必要なだけ配置され、かつ継続的に生み出す仕組みであること、そして人材が期待される行動や意識をもって活躍・成長し続けることによって実現できるからです。                                                    以上

2:6:2の法則 | その他

2:6:2の法則

人事評価では、「2:6:2の法則」によりハイパフォーマーやローパフォーマーを識別する法則があります。 社員を評価する場合、20%を「優秀な人(ハイパフォーマーHP)、60%を「普通の人(アベレージパフォーマ-AP)、20%を「目標の成果を出せない人(ローパフォーマーLP)」というセグメントのことです。 この中のLPとは、組織において業績の芳しくない人材、能力やスキルが不足している社員を『パフォーマンスの低い人』という意味でLPと呼びます。能力を最大限発揮して組織に大きく貢献するHPの対義語にあたる存在で、業績の悪化や伸び悩み、他の社員への悪影響などを生む原因となり、ぶら下がり社員などとも言われます。 組織にLPがいる場合、切り捨てるべきだという乱暴な意見もありますが、果たしてそうでしょうか。 「LPの20%を退職に追いやることで、残り80%の社員のモチベーションが低下する」 ということがあります。 それは、上位20%のHP社員も、中位60%のAP社員も、常に「下位に落ちるリスク」があり、「下位20%になったら、退職しないといけないかもしれない」となると、組織のために働く意欲は低下するだろうし、転職を検討するなど人材流出のリスクも出てきます。 個人的な理由や市場環境の悪化などで、思うように成果が挙がらないことは誰にでも起こりうることですが、「会社はこういう状況でも、長期的なスパンで育成を考えてくれている」とあらかじめ確約されていれば、組織のために働くモチベーションは高まるはず。 パフォーマンスが上がらないからと退職を勧告されれば、社員たちは、「会社はいざというときに社員を簡単に切ってしまう。自分も会社に尽くす必要はない。」だったら「仕事はそこそこにして、自分の趣味や余暇に時間を使ったほうがいい」という思考が働くようになるでしょう。 また仮に、上位2割の優秀なHPがいなくなった場合、残り8割に優劣の差が生じて再び2:6:2の割合にセグメントされると言われています。LPの2割がいなくなることで、組織の生産性は向上するというイメージをお持ちの方もいると思いますが、結局は再びLPが生まれ、生産性が低い下位ができるのです。組織化された会社ではよく見られる傾向です。 また、「HP2割」「AP6割」「LP2割」で構成されていた営業部を、「HPだけのチーム」「APだけのチーム」「LPだけのチーム」に再編成したところ、APとLPのチームから、HPチームをしのぐトップセールスを記録するメンバーが複数誕生したという例も聞きます。LPの成績も、時期や役割によって変わる可能性が大きいことを示しています。 チームを編成する場合、多くの部署が存在する組織などは、各部署の「AP」のみを選抜してプロジェクトを任せたり、各部署の「LP」のみで会議を実施するなどで、それぞれのセグメントで力を向上させる施策から実行に移すのも有効です。 人材育成においては、AP層はもちろんのこと、モチベーションが低下しているかも知れないLP層に、より高い関心を持ち、彼らが業績に貢献できる仕組みを整えることを意識しておくことが必要です。 それには、組織全体の人材の構成を、まずはきちんと分析し、適宜、組織に最適な人材育成に乗り出すことが重要なのです。 社員がLPになる原因はさまざまでしょう。「採用時に見誤った」で済ますのではなく、またパフォーマンスが低いというだけで、その存在や役割をマイナスにとらえるのではなく、社員一人一人と向き合い、それぞれの原因を探ることが大切です。 個人の能力の差だけでなく、仕事への姿勢や意欲、周囲との関係からなぜLPに留まっているかを本人と上司や人事部で認識しなくてはなりません。 そして、AP社員のレベルまで引き上げる研修・教育などを実施すべきであり、またHPが有するスキルや行動特性を意識させれば、組織全体の強化につなげていくことができます。 LPの能力や意欲を向上させることは、会社の利益につながることを忘れてはいけないのです。 以上

車が空を飛ぶ | その他

車が空を飛ぶ

子供のころに読んだ手塚治虫のマンガ「火の鳥-未来編-」にはエア・カーが登場する。 車が空を飛ぶなんて、何十年先の未来かとワクワクして読んだものだ。それが、AI技術により2023年 には販売開始できそうな段階まできている!? 8月24日に経済産業省は人が乗って空中を移動できる「空飛ぶ車」の実現に向けた官民協議会を設立すると発表した。電動で垂直に離着陸できることから航空機とドローン(小型無人機)の間に位置付けられ、次世代の移動手段として期待されているというのだ。経産省は高性能電池やモーターなど、この「空飛ぶ車」への開発支援として、2019年度予算概算要求に約45億円を盛り込む方針だ。 この「空飛ぶ車」にはAI技術がかかせないが、AIは人事の領域でも活用されている。 従来の勤怠管理システム以外にも採用業務や人材育成、評価システムなど、新しい取り組みがされつつあるし、最近では、HR× Technologyを意味するHR Techという言葉も誕生し、人事の幅広い領域にAIの最新技術を活かす動きが活発化している。 最近よく耳にするのは、採用一次受けやチャットボットによる自動返答だ。 通常、採用時には、最初に人事担当者がエントリーシートを見るわけだが、担当者ごとに評価軸がぶれてしまう可能性があり、基準が定まらない等の問題があった。しかし、AIであれば膨大な量のエントリーシートを同じ基準で評価することができ、より公平な採用ができるというメリットがある。 一方、チャットボットは社員から人事に関する問い合わせや、学生への回答に活用されており、人事担当者の手間を減らしている。AI技術を活用することで、少ない人員で効率よく業務を進行することができるのだ。 これまで人間が行っていた手間がかかる仕事をAIが代わりに行ってくれることによって、人間は車を飛ばすような創造的な仕事に力を入れていかなければならないだろう。 オックスフォード大学研究員のカール・ベネディクト・フライ氏は、「今後の労働市場では、高いCreativityとSocial skillが必要」になると言っている。Creativityとは、「新しいアイデアやものを作り上げる能力」のこと。なにか新しいアイデアを生み出すには、複数の一般的なアイデアを、今までにない方法で組み合わせることが必要になるということだ。 つまり、優れたアイデアを創造できるかどうかは、そのきっかけになる引き出しをいくつ自分の中に持ってことと、好きなことにどれだけ没頭できるかどうかだ。 手塚治虫もこう言っている「僕の体験から言えることは、好きなことで、絶対にあきないものをひとつ、続けて欲しいということ。物語はここからはじまるのだ。」

やめられる才覚 | その他

やめられる才覚

こんな経験はないだろうか。 タバコをやめよう、お酒の量を減らそう等々である。 まず、なぜやめようと思うのか、体に悪いと思ったからなのか、お金の面なのか、それとも自分の意思を試すためなのか。 いろいろな理由はあるだろう。しかしその理由はやめるための心の踏み切り台にしか過ぎない。本当の理由とは何か、体に悪いことは悪い、それを知っていてやめない自分が一番悪い。この自己嫌悪から抜け出すこと、これが一番の理由である。 私の知り合いは、タバコをやめるのには自然にやめるのが良い、やめるのに力んではいけないと言った。至言だと思う。実際、風邪をひいたり喉が痛い時には自然と吸わなくなる。 体のため、お金のため、自分の意思のためと思ってはダメだ。ごく自然に自我の命ずるままにやめるのが決め手のようだ。 よく「今日からタバコをやめるぞ」と周囲に宣言して、持っていたタバコはもちろん、目の前からタバコに関するすべてのものを捨ててしまう人がいる。こういう人は才覚年令的にいうと低い。逆にタバコをいくつかしまっておいて、ライターや灰皿を身の回りに置きながらやめる人もいる。この方がやめやすいのである。 自然にやめるという心構えが大切なことはすでに述べたが、この自然さを身の回りに持つためにも、わざとらしい禁止は禁物。禁止による不安感、恐怖感に対しては、いつでも手にしようと思えば手にできるという安心感があればよいわけだ。空腹の時、そばに食べ物があれば安心だが、ないと少し不安になったりする。 仕事も日々の業務ルーティンを自身で見直しをして、優先順位をつけ、順位の低いルーティンをやめていくべきだ。そうでないとキャパオーバーに陥り、新しくアサインされた業務に対応できないようなことになってしまう。求められているのは、ひたすら業務を続けていくことより、成果を上げることだ。やめたことで新しいアイディアが生まれたり、新たなチャレンジをスタートさせるきっかけになる。肝心なのは、「やめることは難しいこと」という固定観念を捨てることと、力まず自然にやめられる才覚を持つことなんだと思う。

ドリルの穴 | その他

ドリルの穴

ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である。 これは偉大なマーケターであるセオドア・レビットが1968年に「マーケティング発想法」の論文で紹介している一節だ。 ドリルを買いに来た顧客は「穴を開けたい」という ニーズを解決する手段の1つとしてドリルを選んだにすぎず、そこにいきなりドリルの回転数や消費電力等のスペックを説明しても意味はない。ドリルを買いに来た顧客に最適なものを選んであげるには、ドリルで開ける穴の目的や、大きさや素材を確認するのが最初であるべきということだ。 セオドア・レビットは、40年も前から様々な著書の中で、製造業のサービス業化も予言している。過去の製造業のサービスというものは、その製品を売るための「おまけ」的なことであったが、未来は違っていき、売るための「おまけ」がサービス業に変わっていくだろうとしている。たとえばコンピュータメーカーが企業のために設置からソフトのインストール、データの入力作業を行い、今では製造業の会社に、このサービスを提供する子会社を設立しているし、サービス内容によって製品が選ばれていることもある。いわゆる主役と脇役の逆転を予言しているのだ。 マーケティング論を学んだ人にとっては、この「ドリルの穴」は馴染みがあると思うが、久々にこのフレーズを聞く機会があって自分もドキッとした。 営業で大事なことは、顧客が何を求めているかを察知し、それにどう対応するかだと思うが、 ともすれば、自社のサービス内容や商品の優位性だけをアピールしてしまいがちだ。 相手方の顧客の判断の仕方や決断のタイミングを観察しながら、自分なりに「このような考え方もあるな、こうしてはどうだろうか」などと別の方法を考えてみてもよいだろう。 とかく人というものは、一度身につけた価値基準や判断基準に固執したがるものである。 しかしそうした固執した方法や基準等は仕事の内容や関係する相手方の人物、状況によって合わないケースが出てくる。やはりビジネスとは生き物で、常に状況は動いているものと考えなくてはならない。身勝手な売り手都合になっていないか、きちんと買い手都合になっているのかをチェックする必要がある。 また、レビットが言っている顧客とのリレーションが企業の重要な資産であり、顧客情報管理のデータベースを構築、運用することが今後の明暗を分けることも忘れてはならない。 果たしてわれわれはできているのだろうかを再確認させられた。 以上

経営マインド | その他

経営マインド

次期経営層の育成が急務と言われている。 会社が急速な事業拡大中で、現場の経営を任せられる人材が必要で、また新たな強みを創出できるような事業創造型人材の育成の課題を持っている会社が多いからだ。 経営マインドを持って、経営者の立場に立ち、経営理念の下で全体を判断しながら任務を遂行することをできる人材が求められているということだ。 現場の管理職はというと、「経営マインドは今の立場で考えなくたっていい。将来的に経営者になった時に考えればいいじゃないか。今はプレイングマネージャーとして現場を引っ張っていくことで精一杯なのだから」、と考えている人も多い。 しかし、会社の業績が一組織、一管理職にかかってくる今日では、管理職としての責任を担い始めた時から、経営マインドを持って仕事に対処し、部下をリードしなければビジネス戦に負けてしまうし、自分の成長も望めない。 管理職としての自分の立場にこだわると、組織の利益を上げることやミスを無くすことだけに心を奪われがちである。これではとても管理職として仕事の取組みとは言えない。 組織は会社全体の利益に寄与するものであり、そのためのリーダーという立場で考えれば日々の仕事が会社の経営理念や課題にどう関与しているかが分かってくる。 なかには黒子に徹するような仕事もあるが、そんな時に会社の中での自分の位置づけがキチンとできてないと、何ためにやっているのか、役に立っているのか、となってくる。 会社の利益を考えない管理職はいないだろう。ところが自組織の責任範囲にこだわっていると、この利益への感覚が狭くなり、自分の考えだけで安易な方法で仕事を進めてしまう。 黒子の仕事でも、管理職として常に利益の創出を考えた取り組みをしているとそれは必ず将来生きてくるだろう。 日本のビジネス界は、常に企業としての理念が問われる。企業としての存在意義と理念がないと、現代のような消費者主導といわれる社会では立ち行かない。本来こうした企業理念は経営のトップが持つものであるが、管理職がこうした経営理念を常に大切にし、経営マインドを身につければ、日常の仕事を進めていく中で、強い精神的な支柱となるはずである。

テレワークの落とし穴 | その他

テレワークの落とし穴

働き方改革一連の施策としてテレワークを導入する企業が増えている。 テレワークとは、情報通信技術を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方で、Tele(遠く離れた)+Work(仕事)の造語である。TelephoneやTelevisionと同じ使い方だ。 テレワークには「雇用型」「自営型」「在宅」に分類される就業形態があり、環境負荷への軽減や企業変革の促進、そしてワークライフバランス向上等の効果があると言われている。 この在宅テレワークを導入した会社があり、導入の際に様々な問題が出たことを聞く機会があった。 この会社は、まず時期を定めてテレワークを導入するステップを定めた。その後プロジェクトチームを発足させ、その目的を明確にし、対象部署を決定していく。 その過程の中で、なぜ会社に出勤するのだろうという理由を挙げて、それを解消することが一番の近道と考えた。理由としては、会社に自席があるから、会議があるから、資料があるから、仲間がいるから、働いている実感があるから等々が並んだ。 それを解消すべくインフラも整え、テレワークをスタートさせようとした際に大事なことを忘れていた。 「テレワークで具体的に何の業務をさせれば良いのか」だ。部課長が揃って何となく考えていたが、結局ルーティン業務しか思いつかない。なぜなら部課長は一度もテレワークを体験していなかったのだ。 結局、テレワークを実際にする社員に何をするのかを考えさせ、周りに宣言させることで仕事の内容は決まった。 次に人事考課だ。人事考課は公平さが要求されることはもちろんだが、部下一人ひとりの仕事ぶりや人間性を的確に把握、洞察する眼が欠かせない。テレワークすることで、日頃の部下の仕事能力、行動力、長所や短所をきっちりとつかまえていないことから起きる考課ミスのケースが出てきたのだ。これは単なるコミュニケーション不足では済まされない、歪んだ主観がまかり通るような低次元の考課レベルに戻ってしまったと再度評価について教育をする必要があるだろう。 人事考課で部下を査定することは自分を査定することだ、いかなる環境下でも自分が部下をどう指導し、育成したかが問われているのだと。 テレワークは今後も普及していくことだろう。それには管理職のマネジメントスタイルの転換が不可欠だ。 慣れ親しんだ目で見える管理手法から、離れた場所でも適切かつ効果的なマネジメントが求められる。 テレワークをすることによって評価が下がったり、あるいはマミートラックに陥るようだと部下はたまったものじゃない。こういった評価がまかり通るようでは職場も有能な人材も壊してしまう。 ぜひ他山の石としたいものだ。 以上

これでだめなら・・・ | その他

これでだめなら・・・

これは実際の会社の例である この会社は、従業員3,000名規模で北は札幌から南は福岡まで複数の拠点がある会社だ。 当時、人事評価を刷新するということで、MBO(Management By Objectives)を取り入れたが、その運用に悩んでいた。MBOの導入時には、この制度は働く社員一人一人に力を存分に発揮してもらうための仕組みであり、単純に評価で賃金格差をつけるための仕組ではないと、何度も社員説明会を開いて、何とか理解を得たように見えた。 実際の運用に入ったところ、期初の目標設定のレベルがひどかった。目標に具体性はなく、何となくやっつけで思いついた目標が並び、それを上司も黙認するようなケースが多かった。その上、MBOシートの提出期限すら守られない。組合には、この人事評価の仕組みは個人別にノルマを課せられる“やらされ感”満載のもので、シラけてしまうという意見も届いた。 やはり制度の浸透には時間がかかるのだろうと、まずは期初の目標設定について研修を行った。これは一般社員だけでなく、管理職も入れて拠点別に何度も実施して、レベルの向上を図った。それでも一向にレベルの向上が見られなかった。社風的に馴染まないのか、それとも導入のステップを間違えていたのか、組合とも協議を重ね、これでだめならMBOをやめようかとも思ったそうだ。 最後に取った施策は、全従業員のMBOシートの開示だ。前出の通り、この会社は全国6拠点あり、それを社内イントラでつないでいるので、各拠点ごとにMBOフォルダを作り、そこに個人別のシートをPDFで掲載し、だれでも閲覧できるようにしたのだ。 そうすると、今まで何度も研修を実施してもレベル向上しなかった内容が一気に改善した。 目標は具体的になり、遅れ気味であった提出期限も守られるようになった。 半期が終了し、実績も加わり、それも開示した。シート内に評価者からのコメントを記入する箇所があるが、今までは一次評価者からはせいぜい2.3行だけで、二次評価者からは左に同じなどのコメントしかなかったものが、枠いっぱいにコメントされるようになったのだ。 自分以外の3,000人に閲覧されるという緊張感が奏功したと考えてよいだろう。 MBOの目的は、会社からと社員からの両面を持っている。この両面から目標管理の目的をきっちりと認識し、お互いの目的が達成されるように運用されなければならない。 会社としては、経営計画や短期目標を達成するために部門や個人が具体的にどの様な目標を立て、何をするのかを決めて、経営計画の達成をする仕組みになっていることを望む。 一方、社員としては業績目標やその役割を通じて自分自身が成長していくための仕組みであることが望まれる。業績目標達成のために何をすればよいのか、何を身につければよいのか、自身と向き合うとともに、上司からのアドバイスを受けながら、いかに成長していけるかがポイントになる。 様々な会社で話を聞くと、これがうまく機能していない会社が多いように見受けられる。 紹介した会社の例は、目標設定時から全社を巻き込んで機能させた、ある意味荒ワザかも知れないが、参考にしてはどうだろうか。 以上