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間違いだらけのMBO

執筆者: 林 明文 人事管理

 目標管理(MBO)は多くの企業で、業績の管理の手法として導入されています。このMBOは最初に誰がどのようにして広めたかわかりませんが、あまりにも非現実的で初歩的な誤認識が目につきます。この間違えたMBOについては、あまりにも語ることが多くありますが、その代表的な誤認識について議論したいと思います。

 まず目標管理の対象者ですが、多くの企業で社員全員を対象にしています。目標管理の対象者は、適切な目標を設定でき、それが測定可能で、また自分の権限でコントロールができる人であることが絶対的条件です。この原則を守らないと、多くの企業で出てくるいつも聞く問題が発生するのです。“目標が適切に設定できない”などはその代表的なものです。企業によっては目標を適切に設定しようと躍起になる企業もあります。まず無駄だと思います。上記の3つの条件が成立する社員はポストに就いている管理職社員がほとんどでしょう。一般の社員はチームで仕事をしていることが多く、またローテーションでたまたまその職務を担当していたりします。日本の企業では等級・グレード制度が厳格に運用されていないので、等級による目標の差なども明確にすることは不可能です。簡単に言えば目標管理はポストに就いている管理職に限定するほうがよほどわかりやすいのです。分解できない構造であるのに、無理に目標を一般社員にまで分解することが間違いなのです。

 目標管理の書籍などを見てびっくりすることがあります。たまに目標は社員自らが立てるべきであると書いてあるものがあります。これは経営管理上全くナンセンスです。根拠としては、会社の方針を理解して積極的に自分の目標を設定することによって社員の自覚意識が高まるなどとも書いてあったりします。会社の経営方針と経営計画が主要な組織に個別の方針や目標として分割されるのであって、社員が勝手に経営方針を咀嚼して自分の目標を立てるなどは時間の無駄でしょう。積極的に会社や部門の計画や目標に関与する姿勢は極めて重要だと思いますが、それは目標管理の中で達成するものではありません。

 さらに続けます。目標は経営にとって重要な達成したい事項ですので、その属性が定量なのか定性なのかに過度にこだわる必要は全くありません。なんとなく定量は正しいが定性は正しくないようなイメージや、定量こそ目標で定性はそのサブ的なものであるような解釈をしている企業がありますが、目標は目標であって数で測定できるか否かで大きな区別をする必然性は何もないのです。またいくつかの目標に“難易度”を設定することがあります。これがまたいい加減な指標です。難易度は等級・グレードをまたぐような目標の場合に、上位や下位等級との平均給与差などを使用して決定するのが理論的です。一般的には難易度の解釈も曖昧なことが多く、さらには“係数”の考え方も根拠が不明の企業も散見されます。

 他にも多くの論点はありますが、現在の日本企業の目標管理は問題が多すぎです。もっとシンプルにわかりやすく説明可能な形態に直ちに改造するべきです。

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プロフィール

林 明文 (はやし あきふみ)

代表取締役 シニアパートナー

青山学院大学経済学部卒業。 トーマツコンサルティング株式会社に入社し、人事コンサルティング部門シニアマネージャーとして 数多くの組織、人事、リストラクチャリングのコンサルティングに従事。その後大手再就職支援会社の設立に参画し代表取締役社長を経て現職。明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科客員教授。

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