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都道府県別人口<br />~深刻化する人口減少と都道府県間格差~ | 人事制度設計

都道府県別人口~深刻化する人口減少と都道府県間格差~

 現在わが国の人口は減少傾向です。2008年をピークに減少が始まり、2011年以降9年連続で減少しています。そして、国立社会保障・人口問題研究所の調査によると2040年代後半には1億人を割るという推計まで出ています。また、人口減少問題を都道府県別にみると、より深刻な状況がわかります。例えば、都市部への一極集中で都道府県間の人口格差が広がっています。その結果、人口減少の著しい都道府県はマーケットとしての魅力を大きく失いつつあります。  人口の絶対数で見ると、2015年は上位25%の都道府県だけで全人口の60%の割合を占めています。一方、下位25%の都道府県が全人口に占める割合は8%程度です。以上から、一部の都道府県に人口が集中し、人口格差が発生している事が分かります。  2030年時(推計)の人口で見ると、ランキング上位では、東京都、神奈川県、愛知県等は数値が大きく変わらず、依然としてマーケットの魅力が高いと言えます。一方、大阪府と北海道は減少数が約60万人と大きく、マーケットの魅力が大きく下がります。  また、ランキング下位では、宮崎県、富山県、秋田県が100万人を割ります。このことから、相対的な増減数は平均程度ですが、マーケット魅力の低下は避けられません。 (図1) 出典:総務省『国勢調査』2015年時の人口ランキング上位・下位25%を抜粋したもの。また、2030年時の数値はランキングではなく、2015年時のランキングに入っている都道府県の2030年時データである。  人口の増減率で見ると、全国的に東北地方・四国地方の都道府県の減少率が大きいです。その為、これらの都道府県はマーケットの魅力の低下度合いが大きいと言えます。理由は様々ありますが、例えば秋田県は出生率が低いと同時に死亡率が高い傾向にあります。同時に、県外への流出傾向も強いことから減少率が高くなっている可能性が高いです。 (図2) 出典:総務省『国勢調査』  都道府県別に見た人口の減少傾向は、ビジネスの仕方に大きく影響を与えます。例えば、100万人を切る都道府県の場合、ビジネスを行う単位として見ることが出来なくなる可能性があります。その為、支店の設置を県別ではなく中規模の地域単位で行って事業拠点を統合するなど、マーケット運営の効率化が進みます。それに伴い、リモートワークなど社員の働き方を変えなければならない必要性が生じます。特に、人口減少率が高い都道府県の場合、今後急速にマーケットとしての魅力が失われますので、組織の在り方を早急に考えなければなりません。  また、都市一極集中の傾向によって、地域間の物価差がより大きくなる可能性もあります。その為、社員の給与を働く地域によってコントロールがすることが必須となります。  以上  

労働者の就労に対する意識(年齢階層別)<br />~時代で変わる「働く目的」、やはりお金が一番?~ | モチベーションサーベイ

労働者の就労に対する意識(年齢階層別)~時代で変わる「働く目的」、やはりお金が一番?~

 労働者の就労に対する意識(以下「働く目的」とする)は、労働者の労働意欲・パフォーマンスに大きく関わります。その為、効果的な人材活用にあたり「働く目的」をしっかり踏まえた上で施策を検討する必要があります。但し、「働く目的」は時代や社会的背景に大きく影響を受け、世代によってその特徴に違いがある為、時代の変化に応じ世代別の傾向を捉えておく必要があります。  内閣府の『国民生活に関する世論調査』(2019年)によると、世代にかかわらず労働者の大半が「お金を得るため(=金銭的報酬)」に働いていることが分かります。特に、20代・30代・40代の三階層は割合の高さが顕著で、回答の約7割を占めています。一方、40代以降はその割合が低下し、70代以上の階層では4割程度となります。  そして、「生きがいをみつけるため (=生きがいを求める志向)」に働く労働者は40代以降で増加し、当該階層で1割程度だった割合が70代以上の階層では3割程度となっていることから、年齢が上がるにつれ重要視されていることが分かります。 (図表1)労働者の就労に対する意識 出典:内閣府『国民生活に関する世論調査』労働者の「働く目的」に関する調査結果(単一回答)を年齢階層別に示したもの    また、当該調査結果はこの20年間(2001年比(※))で大きく変化しました。 例えば、「お金を得るため(=金銭的報酬)」に働く労働者の割合は全世代において増加しています。他にも、「自分の能力や才能を発揮するため(=キャリア志向)」に働く割合は20代(若年層)で増加し、「生きがいをみつけるため(=生きがいを求める志向)」に働く割合は50代以降の高齢層で大きく増加しています。 ※2001年は、就職氷河期のピーク、情報化の進展(ブロードバンド元年)等社会環境が大きく変化した年として比較対象とした。 (図表2)労働者の就労に対する意識 出典:内閣府『国民生活に関する世論調査』  以上、世代別傾向を踏まえた上で「働く目的」別に以下の事が言えます。 「お金を得るため(=金銭的報酬)」は、2019年において全年齢階層で一番高い割合を占めています。また、2001年比で見てもその割合は全年齢階層で増加しており、働く目的として重要視する傾向がより強くなっています。このことから、労働生産性を高めるとともに、労働分配率を見直して社員への配分をより高める事が重要です。  「自分の能力や才能を発揮するため(=キャリア志向)」は、2019年において20代が一番高い割合を占めています。また、2001年比で見ても20代における割合は増加しており、若年層のキャリア志向が進んでいます。今後そういった成長意欲の高い人材を会社の主要な戦力として育成していく場合、重要なことが主に二つあります。まず、キャリアパスが明確で、魅力的なキャリアゴールを描ける制度になっていること、そしてキャリア構築をサポートする計画的な育成施策が整備されていることです。  「生きがいをみつけるため(=生きがいを求める志向)」は、2019年において50代以降で高くなっています。また、2001年比で見ても50代以降における割合は大きく増加しており、昨今働く目的として重要視されてきています。今後雇用年齢の上限延長に伴って増加が見込まれる定年再雇用者の活用は非常に重要であり、その為にも高年齢者が生きがいや働きがいを得られる体制を構築していく必要があります。  例えば、定年後も能力発揮が求められるような再雇用の在り方について検討する事が必要です。他方で、働き方に多様性を受け入れる体制の整備も必要です。これらを踏まえ、定年の5年以上前からキャリア形成支援の研修を実施する事や、継続雇用契約を締結する際に本人の求める労働スタイルにマッチした職務の提供を行う事も重要となります。 さらに、50代以降は健康寿命を延伸しないと体力・気力が大幅に低下し、それに応じてパフォーマンスが著しく下がってしまいます。その為、高年齢者の活用に当たっては、健康経営の推進も非常に重要となります。                 以上

単身赴任の割合は約1.5倍に増加|単身赴任手当など処遇の見直しが重要 | 人事制度

単身赴任の割合は約1.5倍に増加|単身赴任手当など処遇の見直しが重要

 ワークライフバランスが叫ばれる昨今においても、遠方での業務のために家族と離れて暮らす単身赴任の割合は意外にも増加しています。今回は、単身赴任割合の推移について解説します。  過去の推移を見ると、単身赴任者の割合(注1)は増加傾向にあり、1990年代後半から2017年までの間に約1.5倍となっています。共働き世帯の増加や親族の介護などの事情により、転勤の命を受けた場合であっても家族を帯同して赴任することが難しいケースが増えていることが影響していると言えるでしょう。   (図表1:単身赴任割合の推移) 出典:独立行政法人労働政策研究所「ユースフル労働統計2019」 注1)従業上の地位が雇用者である有業単身世帯数÷雇用者数により算出された割合を単身赴任割合とした。  単身赴任割合を年齢別に見ると、いずれの年齢においても増加傾向にあります。40代だけが横ばいとなっているのには、就職氷河期などの影響により労働者自体が少なく、異動を命じる余地がない割合が他の世代よりも高い可能性があります。  その他の各年代の中でも、1997年と比較して60代以上では2倍近くと、特にシニア世代は大きく伸びています。高年齢雇用安定法の改正によって2006年以降の定年の引き上げや再雇用による継続雇用制度の導入が企業に義務化されたことが影響していると考えられます。再雇用時のポストの空き具合等の都合による異動や、グループ会社への出向などに転勤が命じられるケースが考えられます。   (図表2:年齢別の単身赴任割合) 出典:独立行政法人労働政策研究所「ユースフル労働統計2019」 注2)男性のみ  一部企業ではコロナ禍におけるリモートワークの普及を受け、単身赴任を解除する動きが見られるものの、今後急に単身赴任者が大きく減ることは考えにくいでしょう。  単身赴任に際して支給する単身赴任手当等の支給実態を見ると、支給金額が合理的な理由をもとに決められている会社は少ないのが現状です。今後も単身赴任者が発生し続けることを踏まえ、単身赴任に関する処遇の見直しが必要でしょう。 以上

大卒者の増加 ~総合職・高度専門職の候補者が倍増?!~ | 人事制度設計

大卒者の増加 ~総合職・高度専門職の候補者が倍増?!~

 現代の日本では、少子化が著しく進んでいます。図1は、出生数と22歳人口を示しています。平成元年には約125万人が生まれていましたが、平成27年時点では約100万人と、平成の約30年の間に20%も減少しています。また、大学を卒業する年齢にあたる22歳人口も平成7年をピークに減少し続けており、平成27年にはピーク時の約6割にまで急激に減少しています。    (図1)22歳の人口の推移 出典:総務省統計局『人口推計 長期時系列データ(大正9年~平成12年)』総務省統計局『人口推計 長期時系列データ(平成12年~27年)』 厚生労働省『人口動態調査 人口動態統計(確定数)出生』  一方で、(図2)の大学進学率に目を向けると平成元年には約25%から平成27年の約52%へと倍以上に増加しています。大学進学率とは、高校卒業者のうち大学へ進学する人の割合です。(図1)と併せて見てみると、子供の数自体は減っている一方で、大学に進む人の割合は大きく増えていることが分かります。   (図2)大学進学率 出典:文部科学省『学校基本調査 年次統計 進学率(1948年~)』  さらに、(図3)にて大学卒業者数の推移を見てみると、年により多少の増減はあるものの、基本的には増加傾向です。平成元年には約40万人が大学を卒業していますが、平成27年には約56万人にまで増加しています。大学卒業者数に占める就業者数の推移を見ると、一部景気の好悪の影響を受けている年があるものの、基本的には毎年大学卒業者数の7割程度の人が就業しています。その数も、大学卒業者数と同じく増加傾向にあることが分かります。   (図3)大学卒業者数・大学卒業後の就職者数の推移 出典:文部科学省『文部科学統計要覧(平成30年版)11.大学』  これらのデータから、子供・若手の数自体は減少しているものの、大卒向け新卒採用の母集団は増加していることが分かります。今後も経営幹部・管理職の候補となる総合職人材や高度専門職等の採用の状況は大きく変わることはないでしょう。  一方で、若手の人口自体は減少しながら大卒が増加しているため、高卒・専門卒・短大卒等では採用母集団が縮小傾向です。労働市場におけるこれらの人材の供給は不足する見込みであり、企業の採用のあり方に変化をもたらすでしょう。具体的には、これまで高卒・専門卒・短大卒等を採用してきた人材を若手以外の人材に置き換えたり、社外へのアウトソーシングを活用したりする等、多様な人材の活用が進むことが考えられます。 以上  

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率 | 人事アナリシスレポート®

適切な管理職の割合は約10%|業種・企業規模別の管理職比率

 管理職は経営陣と一体となり、会社を牽引する非常に重要な役割を担うポジションです。重要性は極めて高く、指揮指導により組織を牽引する社員が全社員に占める割合は決して多くはないはずです。管理職比率の妥当な水準はどの程度なのかを探るべく、企業規模別・業種別の管理職比率のデータを解説します。  図表1は、企業規模別の正社員に占める部長比率・課長比率を示しています。企業規模が大きいほど部長比率は低く、課長比率は高い傾向にあることが分かります。部長比率に関しては、大企業であれ、中小企業であれ、部として設ける機能の数に大きな差が無く、必要な部の数に大きな差が無いため、大企業の方が社員に占める部長の数が少なくなることが考えられます。  一方の課長比率については、中小企業では組織規模が小さいことから、部長が課長の役割も兼ねるケースがあることや、大規模な組織では課長代理・課長補佐など、ラインマネジメントを担わないものの年功的な観点から課長級として処遇される社員を抱える余裕があることなどが影響していることが考えられます。  こうした傾向があるとは言え、部長比率・課長比率の合計はいずれの企業規模においても10%程度と、顕著な差がある訳ではありません。この数字は、実感とかなりの乖離があるのではないでしょうか。管理監督者の比率という観点では、特に年功的な人事管理を行っており平均年齢の高い会社では、30~50%という会社も散見されます。単に組織の管理者という視点では10%程度で足りるのに対してかなりのギャップがあることが分かります。   (図表1)管理職比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  次に、図表2で業種別に管理職比率をみてみると、産業計や他の業種と比較して、建設業では突出して高く、運輸業・郵便業は低いことが分かります。建設業では、1つの現場に対して元請け、下請け、孫請けがあるなど、ビジネスの構造が多重構造となっており、関与社数が多く、各社ごとに管理職社員がいるため、業界全体としても管理職比率が高くなっているのです。  一方の運送業では、管理職は運送・配送という単一の業務を担う人材を取りまとめるため、管理する部下の数を多く持てること、収益性の観点から管理する社員よりも現業に関わる社員を多くする方が効率的であることから、管理職比率が低く抑えられているのです。   (図表2)産業別部長比率および課長比率(平成30年) 出典:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』  管理職比率が図表1や図表2の水準並みである場合も、管理職比率と管理監督者比率の間に大きな乖離がある場合には、総額人件費や労務的の観点で問題があり、早急な見直しが必要です。  また、最適な管理職比率はビジネスモデルのあり方や正社員比率などにも依存するため、外部の水準によらず、ユニークな場合もあります。定期的に生産性の指標や、管理される側の従業員の働きやすさなどをモニタリングし、自社に合った水準を探り、上手くコントロールすることが望ましいです。 以上

若年・中堅層の転職率は全体の約3倍に増加|離職防止のための人事制度 | モチベーションサーベイ

若年・中堅層の転職率は全体の約3倍に増加|離職防止のための人事制度

 昨今、日本国内における人材の流動性が高まっています。背景にあるマクロ環境要因としては、終身雇用の衰退や、若者の転職に対する意識の変化などがあると想定されますが、いずれにせよ転職者の割合が今後増加する事に伴って、人事管理の在り方を変革していく必要があります。  図1は、転職者比率(以下転職率と称する)に関する推移を年齢階級別に示したものです。総数の推移で見ると、2011年の4.5%から2019年の5.2%で、1年あたり約0.1%の微増傾向となっています。また、年齢階級別にみると、基本的に若い世代になるほど転職率は高くなっています。直近1年間では、15-24歳で1.0%、25-34歳の階級で0.8%と大きく割合が増加しています。総数の増加割合である0.3%と比較すると、約3倍程度も増加しており、若年層~中堅層ほど顕著に転職率が増加している事が分かります。   (図1)年齢階級別転職者比率 出典:総務省『労働力調査 詳細集計(長期時系列データ)』  図2は、転職率が高い若年~中堅層において、実際に転職した人材の離職理由を示したものです。割合上位の項目(「その他の理由」を除く)に着目すると、どちらの階層も共通して、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「給料等収入が少なかった」の項目が上位3つを占めています。それぞれの階層でこれら上位3項目の割合を合算すると、19歳以下~24歳の若年層では43.9%で約2人に1人が当該理由によって辞職しています。同様に、25歳~34歳の中堅層では35.0%で約3人に1人が当該理由によって辞職しています。以上の事から、転職率の高い若年~中堅層においては、労働条件・人間関係・給料に関する問題が主な辞職理由となっていることが分かります。   (図2)転職入職者が前職をやめた理由別割合(2019年) 出典:厚生労働省『雇用動向調査』出典の転職入職者数データを基に加工  今後も人材の流動化はゆるやかに進んでいくものと考えられますが、流動化の進行に伴い、人事管理として中途採用の強化と離職防止の重要性が増すと考えられます。  中途採用の強化によって、今まで育成できなかったタイプの人材を採用できるチャンスが増えるとともに、即戦力の人材を獲得できるメリットがあります。但し、優秀な人材を採用するためには、求める知識、スキルを明確にすると同時に、労働市場に連動した給与へ転換する必要があります。つまり、職種、等級制度、給与制度の再整備が必要になるということです。  同時に、自社の社員の過度な離職も防止しなければなりません。特に若年者層に対してはワークライフバランスを重視した、労働条件・環境の整備が求められます。また、若年者層に関わらず、社員満足度調査などを定期的に実施して、離職の主要な原因を分析し、対応していくことも必須であると言えます。               以上

非正規雇用の割合は30年で2割から4割に増加|人件費構造の見直しが企業の急務 | 人事アナリシスレポート®

非正規雇用の割合は30年で2割から4割に増加|人件費構造の見直しが企業の急務

 ここ30年の間に非正規雇用者はその数でも、雇用者に占める割合でも大きく増加してきました。近年では、非正規雇用の活用の弊害や限界も指摘されていることから、今後は非正規雇用者の正規社員化や処遇の改善が進み、非正規割合の伸びは鈍化し、その後は減少傾向になることが予想されます。非正規割合の高い業種や企業では収益構造の転換が求められるでしょう。  図1を見ると、平成の約30年の間に、雇用者に占める非正規雇用者の割合は約2倍へ大きく増加していることが分かります。平成元年の非正規割合は約20%でしたが、平成31年には約40%と、雇用者の5人に2人が非正規雇用者となっています。平成9年の消費税増税や平成10年の金融危機の影響から景気が急速に悪化し、特に平成10年から平成15年までの5年間は非正規割合の伸び率が突出して高くなっています。この5年間の雇用者全体の内訳を見ると、正規雇用者数が減少し、非正規雇用者数が増加しています。景気の悪化を理由に、各企業が非正規化を進めたのです。   (図1)労働人口構成 出典:総務省統計局『労働力調査 長期時系列データ(詳細集計)』  これまで、人件費をできる限り抑え利益を確保する目的で、非正規雇用者の活用が進んできましたが、こうした目的での非正規活用はあらゆる問題もはらんでいます。例えば、非正規雇用者の賃金の低さ、経年での賃金上昇の少なさ、社会保険への未加入などです。そこで近年、同一労働同一賃金や無期転換の促進、社会保険の加入対象の拡大など、非正規雇用者の処遇改善への動きが見られるようになりました。  これらの動きを背景に、今後は非正規雇用者の処遇が正規雇用者並に引き上げられること、非正規雇用者の正規雇用化が進むことが見込まれます。これらは、非正規活用を進めてきた企業の人件費コストを大きく押し上げることとなるでしょう。例えば、総従業員数100名、非正規雇用者の比率が50%の企業で、非正規雇用者全員を正規雇用化するとします。正規雇用化に伴い給与水準の引き上げや賞与の支給などを行い、1名あたりの人件費単価が200万円増加する場合には、企業全体で1億円もの追加の人件費が発生します。  非正規雇用者を多く活用することで戦略的に利幅を上げてきた企業ほど、非正規雇用者の処遇改善のための人件費負担を重く背負うこととなるため、人件費構造や利益構造の見直しが急務となります。 以上

地域間の人口移動 ~都市集中により人事管理の見直しが必要~ | 人事アナリシスレポート®

地域間の人口移動 ~都市集中により人事管理の見直しが必要~

 わが国では現在、本格的な人口減少の下にあることは既知のことです。人口に影響を与えるのは、出生動向、死亡動向の2つの要素となります。日本は出生率が低く、寿命が延びているので人口減少となります。日本全体は減少しますが、これを都道府県別などの地域別にみるとさらに深刻な状況がわかります。地域の人口動向は、地域間の転入と転出の差が目立つ地域が増えてきているため、出生動向、死亡動向と同時に地域間の人口移動の人数が重要となります。  国立社会保障・人口問題研究所の「地域別将来推計人口」によると、今後2045年までに約14%の人口減少となります。地域別には一律ではなく、東京圏は6%しか減少しませんが、関西圏は17%、名古屋圏は12%、他の地域では20%もの人口減少となると予想されています。地域別にに人口減少のインパクトが異なるということです。例えば東京圏は2020年は3600万人2045年は3400万人と大きく変わりませんが、他の地域(東京・関西・名古屋以外)は5500万人から4400万人と激減します。この人数は市場の大きさを表すために、東京圏はビジネスとして変わらない魅力的な商圏でありますが、地方は広い面積で多くの人数が減少することから、急速にまた驚くほどマーケットとしての魅力が低下するということです。 (図表)地域別人口推移予測(単位:千人) 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年」東京圏は埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県、名古屋圏は岐阜県,愛知県,三重県、関西圏は京都府,大阪府,兵庫県,奈良県とし、それ以外を地方圏と定義しています  この人口減少と相対的都市圏集中は、日本におけるビジネスを大きく変えることになります。多くの企業は地方マーケットをより効率的に運営することを考えるでしょう。またビジネスの効率性という観点では、都市圏に経営資源を集中する企業も多くなると考えられます。各都道府県に支店を置くという感覚がなくなる可能性が高いということになります。社員を固定的に地域に配置することはより非効率となるため、徹底したシステム化などビジネスモデルそのものが大きく変わる可能性が高いと考えられます。  この都市圏集中は地域の物価差をより大きくすることになります。特に地代家賃の都市、地域間格差は極めて大きくなるでしょう。そのため社員の給与は地域によって異なるコントロールが必須となります。  現在の新型コロナにより、リモートワークの急速な普及があり、都市圏集中の度合いが少なくなる可能性もありますが、大きなトレンドとしては、都市圏集中と予測されており、これにより企業としては組織の在り方や働き方に影響をあたえるでしょうし、給与の地域格差も大きな課題となるでしょう。 以上

民事上の個別労働紛争相談件数  ~急増するパワハラ相談~ | モチベーションサーベイ

民事上の個別労働紛争相談件数 ~急増するパワハラ相談~

 近年、パワハラやセクハラなどの職場でのトラブルに関する話題をよく耳にするようになってきました。今回は、民事上の個別労働紛争相談件数とその内訳のデータを基に、労働者と事業者間でのトラブルの内容や傾向について解説します。  民事上の個別労働紛争相談とは、個々の労働者と事業者との間の労働問題についての相談のうち、労働基準法違反などに関わる事案を除いたものです。図表1から分かるように、民事上の個別労働紛争相談件数は増加傾向にあり、2019年度には過去最高の約28万件に達しています。2001年の個別労働紛争解決制度導入以降、右肩上がりに増加していた相談件数は、リーマンショックが起きた2008年度に急増し、さらに増加した現時点では2002年の件数の約3倍になっています。 (図表1)民事上の個別労働紛争相談件数 出典:厚生労働省『個別労働紛争解決制度施行状況(令和元年)』  図表2では、相談内容ごとの内訳を示しています。2008年度までは解雇についての相談件数が最も多かったものの、その後は減少傾向です。一方、雇止めに関する相談が2008年以降増加している背景には、2000年代前半の人材派遣の規制緩和、リーマンショックによる雇止めの増加、その後の人材派遣の規制強化という一連の変化があります。不況下では解雇や雇止めに対する相談が多かったのですが、直近10年では自己都合退職に関する相談が増えてきています。この背景には人手不足があると考えられます。  そして、直近8年間は、いじめ・嫌がらせの割合が最も高くなっています。背景としては、厚労省がハラスメント防止対策の報告書をまとめ、法整備への議論を進めてきたことなどにより、ハラスメントに対する意識が高まり、問題が顕在化したことが考えられます。 (図表2)相談内容別 相談件数の推移 出典:厚生労働省『個別労働紛争解決制度施行状況(令和元年)』 注)1回の相談において複数の内容にまたがる相談が行われた場合には、複数の相談内容を件数として計上しているため、図表1の件数と整合しない。  相談件数が増加傾向にあることから、労働者に対して相談制度が浸透していることが分かります。また、年度別に相談内容の内訳を見ると、景気や労働市場の状況、法整備・改正の影響を大きく受けていると言えるでしょう。  2020年6月にはパワハラ防止法が施行され、労働者のハラスメントに対する感度はさらに高まることが予想されます。  企業の事業運営に支障をきたさないためにも、これまで以上に法改正や時代の変化による労働者の要請を俊敏に察知し、未然にトラブルを防ぐための措置を講じる必要があります。 以上

日本の人口ピラミッドから、会社の社員の年齢構成と人事課題を再認識する | 人材開発

日本の人口ピラミッドから、会社の社員の年齢構成と人事課題を再認識する

 今後の日本の人口ですが、現在2020年から2050年に向かい大幅に減少します。この現象と同時に高齢化が驚くほどのスピードで進行することになります。このトレンドはすでに十分に認識されていますが、今後の日本企業、人事管理に決定的でかつてない影響を与えることを再認識する必要があります。マクロトレンドとしての人口推移が個別企業の人事管理にどのような影響を与えるかを、現時点で十分に認識し、今から備えなくてはなりません。  下図は2050年の日本の人口ピラミッド予想です。一見して生産年齢人口が減少し、老齢人口が激増、年少人口が減少します。重要であるのは生産年齢人口比率で、2050年はほぼ50%の比率まで低下します。生産年齢人口比率が高いレベルにあった1990年と比較すると、一見してそのインパクトは想像以上であるとわかります。1990年は生産年齢人口は約70%でした。   出典:総務省統計局『国勢調査』及び『日本の将来推計人口(平成29年推計)』出生中位・死亡中位仮定による ※2015年以前は総務省統計局『国勢調査』, 2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成29年推計)』[出生中位(死亡中位)推計]による    少子高齢化が進行するとともに。生産年齢人口の負担が激増することも非常に重要な論点ですが、個別企業の人事管理上最も大きな影響があるのは、人手不足となります。新たな人材を採用しようとしても、若手社員の採用は今よりも驚くほどハードルが高くなります。 中高年社員、ないしは60歳~65歳の前期老齢人口の戦力化は避けて通れない極めて重要な施策です。さらには65歳以上の社員の活用も視野に入れなくてはなりません。  人手不足、老齢社員の徹底活用に加え女性活用、外国人活用、BPRの推進なども含めて、30年後に向けて現時点から改革を進める必要があります。日本全体としても、個別企業としても人口問題はゆっくりとしたスピードで深刻さを増すことになりますので、改革改善のタイミングがとりづらいといわれています。しかし今からこれらの施策を実施しなければ、若手社員は離職していき、再教育や意識改革ができていない中高年、老齢社員のみが在籍する企業となってしまう可能性が非常に高いと言わざるを得ません。今一度日本の人口ピラミッド及び自社の社員構成を再認識する必要があります。

企業規模別の年収水準 | 人事アナリシスレポート®

企業規模別の年収水準

 年収水準は基本的に、企業規模の大きさに連動して高くなる傾向があります。企業規模が大きいほど、効率的に利益を出す事ができ、結果社員への配分を大きくすることが出来るからです。例えば、大企業の持つブランド力は、顧客ロイヤリティによる長期的な売上確保・高価格化による高利益率を可能とします。また、人材採用という観点においても、採用コストを抑制することが可能です。  図1は、2019年における、雇用期間に定めのない労働者の年収水準を、企業規模別・年齢階層別に示したものです。基本的にはどの年齢階層でも企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなっています。また、全年齢階層の平均で見ると、 1000人以上規模と500~999人規模では、160万円の差(月収約13万円差)、500~999人規模と100~499人規模では、70万円の差(月収約6万円差)が存在しています。このことから、最大規模区分と最小規模区分では最大230万円の差(月収約19万円差)が生じている事となります。 (図1) 出典:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』 年収=(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)で計算し加工  全産業で見た場合、企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなるという、年収の規模間格差は確かに存在しますが、産業別に見ると必ずしもそうは言えません。  図2は、図1のデータを総務省の標準産業分類に従って細分化したものですが、例えば不動産・物品賃貸業は、規模の大きさと年収水準の高さに殆ど連動がありません。他の産業で見ても、特定の年齢階層において同様の事が言えます。  従って、産業別に見た場合、特定の産業・年齢階層においては、企業規模の大きさに依存しない年収水準になっていると言えます。 (図2) 出典:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』図1のデータを産業別に区分して加工 ※企業規模の大きさに連動して年収水準が高くなるという前提のもと、中規模の500~999人規模に対し1000人以上規模・100~499人規模それぞれの水準を比較し、逆転している箇所を強調しています。  日本国内における人材の流動化は、今後緩やかに進行していくと考えられます。それに伴って、採用競争力の強化・ハイパフォーマンス人材の流出リスク低減化の必要性が一層高まってくると想定されますが、その際、外部労働市場の水準に基づく給与水準の検討は必須です。場合によっては同産業・同規模だけでなく、異なる規模の外部水準も視野に入れた上でベンチマークを行う必要があると言えます。              

総労働時間の推移 | 人事アナリシスレポート®

総労働時間の推移

 昨今、日本国内における一般労働者※の総労働時間は、政府による働き方改革の推進もあって減少傾向となっています。直近では法令に基づいて、大企業が2019年4月、中小企業が2020年4月に時間外労働の上限規制が適用されたこともあり、今後も減少傾向が継続すると推測されます。引き続き、労働時間の削減が社会的に要求されると考えたとき、自社水準を適正なレベルで推移させるためにも、外部水準がどの程度の値で推移しているか把握しておく必要があります。  図1は、従業員5名以上規模の企業における、一般労働者一人当たりの平均年間総労働時間の推移です。一番数値の大きかった1996年は約2050時間でしたが、直近の2019年時点では約1980時間であり、70時間も減っています。これは月に換算すると毎月の労働時間が6時間弱減少していることを示しています。また、直近3年間における減少傾向は特に顕著です。働き方改革を実施する企業が増えたことによって、約2020時間で長年横ばいだった推移が、2017年から2019年にかけては40時間も減少しています。これは毎年、月の労働時間が2時間弱ずつ減少していることを示しています。 (図1) 出典:厚生労働省『毎月勤労統計調査 (長期時系列表 実数・指数累積データ)』  図2は、上述のデータを企業規模別に細分化したものです。全体の傾向としては、基本的に企業規模が大きくなるに従って労働時間が少なく推移しています。また、直近の2019年時点で比較すると、500人以上規模が約1920時間で一番少なく、30-99人規模が約2010時間で一番多く推移しており、企業規模によって労働時間に最大90時間の差が発生していることになります。これは、毎月の労働時間に最大8時間弱の差があることを示しています。 (図2) 出典:厚生労働省『毎月勤労統計調査 (長期時系列表 実数・指数累積データ)』  近年の労働時間の減少は、働き方改革などの経営施策による成果であり、ポジティブにとらえるべきです。しかし実際には上述のとおり、一年あたり月に2時間程度の減少にとどまっており、先進各国と比較して長時間労働であることには変わりありません。それを踏まえると、これからの数年で年間100時間以上の減少を目標とするくらいの施策が求められます。  また、労働時間の企業規模間格差は非常に大きく、中小企業は深刻な状況です。効率化のためのシステム化や働き方の見直しのような経営努力は継続しつつも、企業規模の拡大施策、例えばM&A施策で規模の拡大に伴う効率性を獲得できれば、経営にとっても社員にとっても魅力的であり、メリットを享受できるということになります。 ※一般労働者 …短時間労働者以外の労働者  短時間労働者…1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い、又は1日の所定労働時間が一般の労働者と同じでも、1週の所定労働日数が一般の労働者よりも少ない労働者