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久保 博子

KUBO HIROKO

パートナー

PROFILE

 国内大手生命保険会社を経て、現職。
パートナーとして組織・人事コンサルティング業務に携わる。
人事制度設計を始め、グループ人事管理の仕組みやセカンドキャリア制度、研修企画等、数多くの企業の人事改革プロジェクトを担当。
他方、自社内の商品開発業務や、管理部門の実務責任者として全社の基盤構築業務にも従事。

常識にとらわれず
人事の変革に挑戦したい

労働力不足、AIによる技術の進化、脱炭素・・・等々、変化が求められ続ける経営環境の中で生き残っていくためには、これまでの人事では通用しないという認識になってきています。
働く人々は70歳まで働くことを前提として、今まで以上に個々人にとって最適な「よく生きる」ためのキャリアを考えるようになっています。
企業側もイノベーションを起こし進化し続ける会社に変わることが喫緊の課題です。

昨今の企業の人事の変革ニーズは渇望感に近いものがあります。
企業と個人がWin-Winな成長を遂げ、人事において競争力をもつ企業の人事の在り方に常識はありません。経営が目指す姿を実現していく人事を経営の方がたと共に考え、挑戦し続けていきたいと思います。

書籍

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  • 『新版 人事の定量分析』
    中央経済社・共著 (2016.9)

執筆コラム

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人的資本経営と人事の反省会 | 調査・診断

人的資本経営と人事の反省会

 「人的資本経営」は、ここ数年人事の世界においては最も注目されている言葉の一つである。2020年に出された経済産業省 の 「人材版伊藤 レポート 」 、2022年に政府が「人的資本可視化指針」の中で、人的資本の開示項目を示していることなどの 影響 もあって、近年急速に議論が進み、経営課題として議論されるようになっている。 近年急速に発展した議論ではあるが、長らく人事の世界に身を置いていると、実はそれほど目新しい考え方ではない。人材を資源としてみるのではなく、資本として捉えるという概念整理には新鮮さを感じつつも、経営における人事の機能は今も昔も変わらないし、経営計画を実現するために極めて重要であることも変わらない。昔から我々は多くの企業と経営と人事の連動性や経営計画を実現できる人事管理を目指して議論をしてきたことを考えると、人的資本という言葉に代わったところで目指している姿にそう大きな差を感じていない。(もちろん様々な発展はあるが)また、多くの日本企業は長期雇用を前提とし、「企業は人なり」といって、人材を大切にし、長期的に人材を育成してきた。「投資」という言葉は使わないものの、人を育て、短期・中長期の観点から会社を発展につなげていくことの重要性は経営者であれば皆考えてきていることだろう。「無形資産」とはあえて言わないが、そう考えてきた人も多いはずだ。  だとすると、今も昔も変わらず、目指している人事のありようがあるが、そこに到達していない原因を認識しておく必要があるだろう。  そもそも、人事の世界はあるべき姿が曖昧で議論がしづらいと言われてきた。「人」に対する施策の効果測定は難しい。「人」に関する情報が可視化されていないので、人事について議論しようとしても同じ情報量で話をすることも難しく、議論がかみ合いづらい。故に経営と人事が連動しているかもわかりづらく、どう経営として実のある議論となっているのか自信も持てず、もやもやする。結果として、経営の議論として人事は後回しにされやすいのではないかと思う。また、仮に議論していたとしても経営目標達成のための人事全体としての大局的な議論ではなく、個別性の高い、ないしは個別課題に対する局所的議論であったりして、経営に資する人事という観点では本質的ではなかったりすることもあるのではないか。もっと個別に考えてみたらいろいろ出てくるだろう。人事基盤の設計の問題か運用の問題か。様々な施策の効果が測定できないからか。それとも人事機能の経営上の重要性を軽視していた、というスタンスの問題か。振り返っていただきたい。多くの企業が経営目標達成には、「変革人材が必要だ」「自律型人材は必要だ」といって人事基盤を整備して10年以上たつが、なぜ企業に変革がおきなかったのか。。  つまりは、「人的資本」という新しい概念が立ち上がったところで、議論の本質は変わらないし、また人事の領域の議論の難しさも変らない。よって、人的資本の観点で一生懸命議論しても、これからも目指している人事のありように到達しないかもしれない、ということだ。昔から人事が重要な機能であるということをわかりながらも、うまく経営と連動させることができなかったということに対して、まずはしっかり向き合う、ということが必要なのではないだろうか。  経営として人事について活発に議論されるようになったのは、人事としては好機である。伊藤レポートが「人事・人材変革を起こすのに、資本市場の力を借りようと試みた。」ということは確実に効果があったのではないかと思う。機関投資家や欧米の外圧によって、人事課題が検討せざるをえない経営課題になってきているのだ。今こそ経営としてしっかりと人事の反省会を開き、目指すべき人事のありようの実現の一歩を踏み出していただきたい。

不退転の覚悟のしどころ | 人事制度設計

不退転の覚悟のしどころ

 多くの企業が中期経営計画の中に、人事基盤の刷新、人事制度の見直し、経営計画と連動した人材戦略確立など、人事施策を中計の主要な柱に掲げている。しかし、3~5年の中期経営計画の中で、それこそ「基盤」が変わるほどの変化を遂げた会社はそう多くないと感じている。それは一重に、人事の変革において、経営が覚悟を以て取り組むべき所が実は人事施策の方針策定や制度設計の先にもある、ということの認知がされていないからなのではないかと思うのだ。ビジネスのステージや置かれている環境が異なり、改革に対する慎重度や見直しの必要性の度合い、求めているスピードの違いがあるので、大きな変化の有無を良い悪いと評価するつもりはない。ただ、大きな改革をやり遂げた企業の特徴をいえば、「最初から最後まで」経営が不退転の覚悟を以て取り組んでいると感じる。  最初から最後まで、とは大きくいうと、①方針・制度策定時、②制度導入時(社員説明を行う段)③制度運用時(毎年の配置変更、昇格・降格を見据えた評価時、もしくは格付け見直しの時)である。①においては、経営メンバーで議論をし、経営としての重要な施策であることから、経営、もしくは現場を巻き込みながら、各施策の必要性の検証やリスク分析などを行い、かなり慎重に重要な決断を下している。もちろん議論をつくし、大きな改革を行う必要があるのであれば、覚悟を経営メンバーで共有し、意思決定がなされる。これはよく見かける光景だ。しかし、実は人事の改革で極めて重要なのは②と③であるが、この重要性が意外と経営に認識されていないのではないかと思う。  人事制度は全ての社員にとって身近であり、処遇に関わることから、非常に注目度が高い。だからこそ、人事基盤の見直しをするときにはその改定の目的、社員に期待すること、もしくは変わってもらいたいこと、を理解させることが重要である。等級・給与・教育・評価、さらには人事部の在り方まで、しっかり議論がつくされ、合理的に設計されたのであれば、それを理解してもらうために、言葉を尽くす必要があるし伝えるための工夫が必要だ。  しかし、出来上がった制度をどう伝えるか、どのような布陣で社員説明の場に臨むかは、あまり議論されずに進んでいる会社をよく見かける。制度の伝え方についていえば、厳しさがあると受け入れられづらいのではないか、という配慮や質問されることをリスクととらえ、リスク回避の結果、本来実現したい改革の本質を「ぼかす」説明会にしてしまったケースもある。  また、直接社員に言葉で語りかける絶好の機会であるため、本来であれば、社長(経営)の口から強烈なメッセージを発信してほしいところだが、実際は「人事部長・人事課長の制度設計最後の仕事」となっており、テクニカルな仕組みについて理解させることに終始していることも多い。確かにそこも重要だが、経営の想い、考えは結局伝わらずに終わっているケースも多い。制度のエンドユーザーに直接触れる機会こそ、不退転の覚悟をもって、経営の目指す世界と制度のつながりをしっかり落とし込んで頂きたい。それがしっかり伝わったかが説明会の良しあしの判断基準でもよいくらいだ。  ここまでの話は②の代表的な制度導入時の話であるが、実はもう一つ覚悟をもって臨むべきは③の、制度の運用である。方針議論の際に、必ずといってよいほど、パフォーマンスの割に処遇(等級)の高い社員に対しての問題認識や、優秀な若手登用の話が語られる。優秀な人材であれば年齢に関係なく登用し、パフォーマンスが高くなければ適正な格付けにする。これをやりたいがための制度を目指して設計しても、いざ運用してみるとそのような対象者が一人も出ていない。登用のケースにおいては、象徴的な人を一人は出そう、という考えのもと、導入時に数名登用したりするが、その後が続かない、もしくはその真逆で、登用しすぎて、本来の人材イメージに合っていない人材が登用され、制度の狙いを大いにぼかしてしまっている。  中計実現のために成しえたかったことは制度設計だけでなく、運用を以て実現できるのだが、もはや運用の段になると経営の目も届きづらい。細かな人事運用の結果は経営報告されていないことも多いだろう。制度導入を経たら、経営も、もはや中計の柱である人事基盤の構築という仕事が終わったと思われているかもしれない。しかし、基盤は制度設計と運用で出来上がるものである。経営として、目指す世界を実現するための覚悟を持った運用を先陣きって進め、運用の指導して頂きたいと思う。加えていえば、人事や管理職に「不退転の覚悟をもった運用」をさせることが、経営として覚悟をもって進めなくてはならない仕事なのではないだろうか。