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新規学卒者初任給
~令和の新卒は年収1000万円?!~

 令和元年の大卒初任給の平均は約21万円であり、過去最高額を記録していますが、この金額は高いと言えるのでしょうか。

 当然、初任給の水準には業種による差があり、人材を獲り合うような業種では水準が上がります。例えば、令和元年の大卒初任給は、情報通信業の21.8万円に対して、宿泊業・飲食サービス業は20万円と開きがあります。

 ここでは全体感を把握すべく、全業種を平均した値により初任給金額の推移を見ることとします。学歴別に初任給金額の推移を見ると、いずれの学歴においても直近24年で2万円前後と、じわじわと増額しているのが分かります。大卒では19,500円、高専・短大卒では22,700円、高卒では16,600円、大学院卒では直近15年間で18,500円の増加です。

(図表1:学歴別初任給金額の推移(全産業))

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(長期時系列データ)
注:大学院卒の初任給データは平成17年以降のみ

 さらに、物価の上がり下がりを加味した実質初任給にて過去の推移を見ると、実質的な増額幅はより小さいことが分かります。物価の変動を加味すると、大卒では約11,000円、最も伸びが大きい高専・短大卒でも約15,000円の伸びに留まっています。

(図表2:実質初任給金額の推移(全産業))

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(長期時系列データ)
   総務省「消費者物価指数」(長期時系列データ)
注:初任給金額(円)÷消費者物価指数(%)により算出した

 初任給に限らず、平成の約30年間で賃金は大きく上がっていません。産業がすでに成熟し、大きな経済成長の見通しもないことから多くの企業では景況感に不安を抱えており、コスト低減を前提とした戦略を取っているのです。実際、2000年以降労働分配率は低下傾向にあります。

 今後の初任給のあり方は、企業の戦略のあり方や採用市場の状況により大きく引きあがる職種と、今後も横ばいもしくは微増を続ける業種の大きく2つに分かれるのではないでしょうか。

 事業構造や収益構造に変革をもたらすことができる企業では、コスト低減に依存した収益拡大の戦略を脱し、変革や成長に資する人材の確保に乗り出します。例えば、NECでは2019年10月より新人事制度を導入し、新卒でも年収1000万円以上を得ることを可能にしました。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)や国内のメガベンチャーと人材の獲得競争をする中で、何とかして優秀な研究者を獲得したいという思いがあるようです。¹このように、高いコストをかけてでも確保したい人材に対し、年齢を問わず、より魅力的な金額を提示する企業が多い業種では、企業間の人材の獲り合いも活性化し、初任給水準は大きく引き上がるでしょう。

 一方で、年功的に賃金水準を徐々に上げる思想にある会社では、総額人件費の高騰を懸念し初任給水準を上げられないという実情があります。また、なかなか新しい付加価値や収益源を見いだせず、コスト低減による利益のねん出を続けざるを得ない企業や、そうした企業が多い業種においても、初任給水準は今後も横ばいか、人材不足等の影響による最低限の微増に留めざるを得ないでしょう。

以上

参考文献
1:日経ビジネス「NECが「新卒でも年収1000万円」制度を導入した真意」(2019年10月16日)https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/101100042/

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